もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。次で本編最終話の予定です。


平穏が戻ったトロイアとアイアイエー島のマカリオス

 第一次トロイア戦争が終結した。トロイアの王子パリスがメネラオスの妻ヘレネーを連れ帰った事で始まった戦争は、ミュケナイの守護者マカリオスが大暴れした事で連合軍が甚大な被害を受けて一時撤退した事でトロイアは滅亡の危機から救われたのであった。

 

「おおー、かなり大きいですねぇ」

 

 トロイアを包囲していた連合軍が撤退してから数ヶ月後、トロイアは落ち着きを取り戻し市民達は明るい表情を浮かべて神々とマカリオスに感謝し平穏な日常生活を送っていた。その様子を見ていたアクイラは自分の父親がトロイアを守り切った事を誇らしく思っていたが、トロイアの大きな広場で建造されている巨大な石像を見て感嘆の声をあげる。

 

「でもいくら何でも大きすぎませんか?今のトロイアにあんな石像を建てる余裕はあんまりないですよね?」

「んー、アクイラ殿の言う通り戦争が終わった直後で財政的に余裕はないんだが、王子であるパリスの提案だし父上や市民達はマカリオス殿の石像を建てる事に皆納得してるからねぇ……まあオジサンもちょっと大きすぎるとは思うけど」

 

 パリスの提案で建造されているマカリオスの石像を見たアクイラとヘクトールはちょっと大きすぎないかと思いつつも建造を止めるつもりはなく、パリス達の好きなようにさせていた。

 

「でもパリスさんったらとても熱心に父さんを称えてましたねー、そこまで恩に着なくてもいいとは思うのですが」

「いや恩に着るのは当然だ。自分の我儘にマカリオス殿を巻き込んでしまった挙句、命を投げ捨ててトロイアを守ってくれたんだ。パリスがマカリオス殿に心から感謝するのは当たり前だし、これで感謝していなかったら俺が愚弟を始末していたよ。今のパリスは熱心に鍛錬をしているし真面目に王子として仕事をこなしているから以前よりかは成長しているかな?でもまだまだ頼りないし見てないと危なっかしいけど」

 

 マカリオスの熱心な信者となったパリスに対してヘクトールは苦笑しながらも、兄として弟の成長を喜んでいた。

 

「いずれパリスも父上に孫の顔を見せてあげれるのかねぇ?」

「ああ、それは大丈夫ですよ!パリスさんとヘレネーさんはとても仲がいいですし僕も熱心に後押ししていますからね!多分来年にはパリスさんは父親になれるでしょうね!」

「ほぉ、それはよかった。オジサンも甥か姪ができそうで嬉しいよ……これで今後もトロイアが平和だったらよかったのになぁ」

 

 パリスが近い内に父親になると聞いたヘクトールは喜びつつも今後トロイアを待ち受ける運命を予想して渋い顔を浮かべて溜息をつく。連合軍は一時的に撤収したが、いずれトロイアに戻ってくるだろうと確信していたからだ。

 

「オジサンはもう大戦争は懲り懲りだよ。アガメムノン達も諦めてくれないかねぇ?」

「残念ですが難しいでしょうねー、向こうも面子がありますからヘレネーさんを取り戻すまでは諦めないかと。まあその前にヒュロスさんを制裁するようですが」

「だよねぇ……こうなったらヒュロス殿がどれだけ粘ってくれるかだな。オジサンがジイサンになるまでは耐えてほしいんだけどなぁ……連合軍にはアキレウスがいるし難しいよなぁ」

「安心してください!ヒュロスさんにはヘラクレスさんがいますから!あの人は死にかけの病人ですが曾孫の顔を見るまでは死ねないと言っていたそうですし、最低でも五年は持ち堪えてくれるはずですよ!」

「いや流石にそれは厳しいんじゃないかなぁ?いくらヘラクレス殿でも年老いて病に蝕まれた状態でアキレウスと戦えば……いやでもあの大勇士ヘラクレス殿だしなぁ」

 

 ヘラクレスの出鱈目ぶりにヘクトールは少し苦笑しながらも、いずれ襲来してくるであろう連合軍に備えるべく今から準備を始める事にしたのであった。

 

「ではミュケナイとは今後友好国として関係を強化するとして、国の守りはどうしようか?」

「なら天才魔術師兼大魔女の僕にお任せください!ちょうどいい感じに父さんの石像が建造されてますので、あれを素体にして決戦兵器を造ってあげますよ!期待して待っててくださいね!」

「えっ、あの石像を決戦兵器に?……あ、行ってしまった。ま、まあいいか。国防の要になるのなら俺も止める理由はないしな」

 

 ……その後完成した巨大なマカリオス石像はトロイアを護った大勇士の石像としてトロイア市民達から人気を集める事になる。ちなみにプリアモス王やパリス達の許可を得た上でアクイラが母親の手も借りて徹底的に改造しており、第二次トロイア戦争にて連合軍が襲来した時には石像が動き出して見た目によらず非常に機敏な動きで連合軍に殴り掛かり、最終的にオデュッセウスが用意した巨大な木馬と戦って木馬を撃退した後、石像は崩壊したというが真偽は定かではない。

 

 

 

 

 

「……………」

「……………」

 

 

 

「……………」

「…ね、ねぇ」

 

 

 

「……………」

「………うぅ」

 

 

 

「ええい貴様等いい加減にしろ!黙って見ていれば貴様等全然喋らないではないか!貴様等らしくないしいい加減鬱陶しいからきちんと話し合わんか!」

「も、申し訳ありません我が王よ」

「だってぇ……」

 

 ヘクトール達がなんだかんだトロイアで平穏に暮らしている頃、アイアイエー島に運び込まれたマカリオスが目を覚まし妻のキルケーと対面していた。目覚めたマカリオスは何とも言えない表情で妻を見ており、キルケーもばつが悪そうに目を逸らして沈黙する。そんな二人の様子を見ていたエウリュステウス王は呆れた様子で二人の仲を仲裁する事にした。

 

「その、色々とあってまだ状況が飲み込めないのです。俺はあの戦いで死んだと思っていたのですが、目が覚めたらアイアイエー島にいて妻に抱きしめられていて、しかも体が縮んで子供の姿になっているので何が何だかわからないのです」

「あー、うむ、まあそうだろうな。阿呆な貴様じゃなくても困惑するだろうな」

 

 目覚めたら子供の姿になっている事に困惑しているマカリオスにエウリュステウス王は困惑して当然だと頷き、キルケーに説明するよう促す。

 

「おいキルケーよ、説明してやれ」

「え、ええとね、旦那様を蝕んでいたヒュドラの毒は私の手によって完全に除去されたんだけど、旦那様の身体はかなり衰弱していたから元の状態には戻せなくてね。ならいっその事私好みに改良しようと思ってぇ……その、頑張りすぎちゃってぇ……子供の姿になるまで若返るのは想定してなくてぇ」

「そうか、それじゃあ仕方ないな。早く身体を慣らすようにしよう」

「……………あ、あれ?旦那様あんまり怒ってないの?私が旦那様に隠れて色々とやってたのは気付いているでしょ?」

 

 身体の変化に驚きつつも受け入れているマカリオスの様子を見たキルケーは、自分の予想よりも穏やかな様子を見せるマカリオスに困惑し恐る恐る確認する。

 

「ああ、キルケーが俺の為に色々と頑張ってくれたのはわかったし、君に愛されているのを実感できてよかったよ。俺に隠し事をしていたのは少し不満だけどな」

「うぐぅ!」

「許してやれマカリオスよ。キルケーが貴様に知らせずに事を進めていたのは理由があるのだ」

「理由、ですか?」

 

 キルケーが自分に隠れて計画を進めた理由がわからないマカリオスに対してエウリュステウス王は溜息をつきながら言葉を続ける。

 

「いや、だってなぁ……貴様に知らせたら計画の事が間違いなく露見してしまうからだよ。貴様は呑気で隠し事ができない阿呆なのだし、そんな阿呆と秘密を共有するわけにもいかんだろう?」

「あっ、な、なるほど確かに……!」

「いや納得するでない。貴様はそれでいいのか?」

 

 エウリュステウス王の言葉を聞いたマカリオスは確かに自分のような阿呆に計画を教えたらダメだよなと思わず納得してしまう。

 

「そうか、それなら仕方ないかぁ……まだよくわからないがキルケーは阿呆な俺の代わりに頑張ってくれたんだな。ありがとう、君を一瞬でも疑ってしまってすまないかった。許してくれ」

「だ、旦那様ぁ!やっぱり旦那様は最高だよー!もう旦那様が戦う必要はないしこれからはアイアイエー島でずっとラブラブ生活しようね!」

 

 疑って悪かったと謝罪するマカリオスにキルケーは感極まって抱きつく。そんな二人の様子を見ていたエウリュステウス王は夫婦喧嘩があっさり解決した事に安堵しつつある要求をす。

 

「うむ、無事仲直りできたようだな。ではキルケーよ、私の今の身体を交換してくれ」

「えー、今の身体でいいじゃないか。若くて健康体な人間の身体だよ?嘘は言ってないよ?」

「うむ、そうだな。若くて健康な少女の身体だな。だが私は男なのだ。男の身体に変えてほしいのだが?」

「えーいやだよ。また一から造り直すの面倒なんだよねー。王様は諦めてその体を受け入れてね!大丈夫!女の身体も悪くないよ!それにこの良妻賢母な大魔女が造ったその体は不老で病気知らずで不老不死に近い傑作なんだよ?本当に要らないのかい?新しい身体は今より確実に劣る出来になるよ?」

「……………クッ!確かに今の身体が素晴らしいのは否定せんが……!うぬぅ!」

 

 前の身体とは比べ物にならない程優秀な肉体なのは否定できずエウリュステウス王は苦虫を嚙み潰したような顔で考え込み、それを見ていたマカリオスは思わず苦笑しキルケーもケラケラと笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ旦那様!旦那様の身体を改良した結果遂に、遂に旦那様を豚にする事ができるようになったよ!これでいよいよ旦那様を豚にしていっぱい愛でる事ができるね!じゃあ今日の夜の鍛錬()が終わったら豚にしてあげるね!いや、今から豚にして愛でるね!大丈夫!自分の意志で戻れるようにするから!……そうだ!いい機会だから私達の愛を王様に見せてあげようか!」

「おいよせやめろ、そんなものを見せるでない。しかし貴様のその豚にして愛でたいという執念は凄まじいが、その執念は一体何処から来るのだ……?どういう経緯があったら豚にして愛でるという性癖が生まれるのだ?というかマカリオスよ、貴様これから豚にされそうだがそれでいいのか?」

「構いません。妻が本当に嬉しそうで俺も嬉しいです」

「う、うむそうか……………まあ納得しているのなら部外者の私が口出しする事もないか」




パリス:第一次トロイア戦争を経験し少しだけ成長した。マカリオスをリスペクトし筋トレに励むようになったとか。アポロン神としては少々残念だがパリスとヘレネーの子供に期待する事にしたようだ。

アクイラ:引き続きトロイアの味方として活動している。

ヘクトール:今後について悩んでいた次期トロイア王。ヘクトールの戦いはこれからだ!

マカリオス:エウリュステウス王の執り成しによって夫婦喧嘩はあっさりと終わった。キルケーによって子供にされたマカリオスだがこの姿も悪くないと思い受け入れた模様。今の強さは0.3ヘラクレスである。今後はアイアイエー島で隠遁するが偶には外に出るかもしれない。

キルケー:夫を豚にして愛でる事が出来たので大満足する。今後はアイアイエー島で夫とラブラブ生活を送りつつ、週五で夫を豚にして愛でようと決意したとか。

エウリュステウス王:新しい肉体になったらTS慎二になったが、最終的に渋々と受け入れていた。




というわけで最終章となりました。次で本編最終話の予定ですが、番外編で色々と書くつもりです。
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