もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら 作:名無しのマネモブ
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「スウゥーーーッ……フウゥーーーッ……落ち着け、落ち着くのだ私よ、私は大神に選ばれしミュケナイの王なのだぞ……」
マカリオスが謎の女占い師と出会った数日後、宮殿の玉座にてエウリュステウス王は頭を抱えつつも冷静になろうと深呼吸を行っていた。
「あの化け物に借りを作ったのは非常に気に入らないが、奴がいなければ阿呆が騙されていたのは確かだ。チッ、阿呆の主人として礼は言わねばならんか。うぬぅ、化け物に礼など言いたくないのだが」
エウリュステウス王としてはアルケイデスに礼を言うのは非常に癪であり思わず舌打ちするくらい不機嫌になっていた。苦い顔をしたエウリュステウス王は自分に屈辱的な行いをさせたマカリオスに必ず制裁する事を決意する。
「マカリオスは本当に世話が焼ける。まったく困ったものだ。とりあえず不審者の女は捕まえる事ができたが……あの阿呆め、なんて女に目をつけられたのだ」
そしてエウリュステウス王は本気で嫌そうな顔をしつつ宮殿の中庭へ目を向ける事にした。
「いやね?私も最初は興味本位で君に接触してみたんだよ?君の事は以前から興味があったんだよね~大神ゼウスが奴隷に手を出したって聞いた時は本当にビックリしたし、そして奴隷の母親から生まれた君は子供の頃から勇士達を軽く蹴散らすくらい強くてミュケナイの守護者として有名だったからね。それに半神とは思えない程穏やかな性格だと聞いて興味が湧いてさ、直接見てみようと思ってアイアイエー島を離れてミュケナイを訪れてみたんだが、そしたら山を持ち上げている君を見つけたんだ。君が鍛錬に励む姿はとてもかっこよかったよ!」
「なるほど、わざわざ俺を見にミュケナイまで来てくれたとは嬉しいな。でもキルコス殿は島から離れて大丈夫なのか?」
「わあ、心配してくれてるのかい?フフッ、君はやはり優しいなぁ。分身を置いてきてあるから心配しなくていいとも。私は大魔女だからね。あらゆる分野の魔術や薬に精通しているし分身を作るくらい余裕なのさ……ああそれとね、そのキルコスという名前は偽名だから私をそう呼ぶのはやめてほしいな。私の事はキルケーと呼んでおくれよ」
「そうか、わかった。貴方の事はキルケー殿と呼ばせてもらおう。それと貴方はとても賢くてスゴイ人なのだな。頭の悪い俺とは大違いだ」
「うんうん、それでいいよ。私達は夫婦になるのだから偽名で呼ぶのはよくないからね。それに私の事を無邪気に尊敬してくれるなんて嬉しいな。それに私の作るキュケオーンをとても美味しそうに食べてくれるし胸がキュンキュンしてしまうよ……よし、君の為なら毎日キュケオーンを作ってあげようじゃないか!あの美味しいキュケオーンをこれからは何時でも食べられるなんて君は実に幸運な男だよ!この世界を見回しても君より幸運な人間はいないと断言できるね!」
「おお!あの美味い麦粥を食べれるのか!それは素晴らしいな!」
「ウフフ、そうだろうそうだろう!じゃあ早速君の父である大神ゼウスに結婚の許可をいただこうか!……………ヨシ!じゃあ結婚式の準備は全部私がやるから旦那様はキュケオーンを食べながら待ってておくれよ」
「やめろ阿呆が、食い物に釣られるんじゃない。子供じゃないんだぞ」
「あ、そうだった。すまないアルケイデス殿」
「……なんだよー、部外者は口を挟まないでほしいなー。豚にするよ?」
そこには縄でぐるぐる巻きにされ拘束されている女占い師……名高き大魔女キルケーと、彼女が逃げ出さないか見張る二人の大男……マカリオスとアルケイデスがいた。
「どうすればいいのだこれは……?いや落ち着け、まずは家臣達を集めて対策を考えよう」
とんでもない厄ネタが来た事にエウリュステウス王は頭を抱えつつも、ミュケナイ王として対策を考える事にしたのであった。
「よし、集まったな。お前達も既に知っているだろうが、私のマカリオスに大魔女が接触してきた。誰か案はあるか?」
エウリュステウス王は集まった臣下達を見回し妙案がないか問う。臣下達は顔色を悪くしつつ必死に考えていたが、誰も案が思いつかず沈黙してしまう。
「ええい、これだけ集まっているのに誰も声を上げないのか。宮廷魔術師よ、貴様の意見を聞きたい。貴様はあの大魔女に対抗できるか?」
「お、王よ……」
不甲斐ない臣下達にイラつきつつもエウリュステウス王は宮廷魔術師の一人に問いかけるが返ってきた言葉は無情であった。
「王よ、恐れながら申し上げます。相手はアイアイエー島に住む名高き大魔女です。お恥ずかしい話ではございますが魔術師として格が違いすぎます。私如きでは到底対抗できませぬ」
「……まあそうだろうなぁ」
顔面蒼白になって答える宮廷魔術師を見つつエウリュステウス王は怒る事なく納得する。神の血を引く大魔女にただの人間の宮廷魔術師が対抗できるわけないと理解していたのだ。
「マカリオスと化け物にあっさり捕まっていたが、あの大魔女は本来ならば常人が対抗できる存在ではない……もしかするとここの会話も聞かれているかもしれん」
―うん、聞いてるよ―
「ヒィッ!?」
突如として虚空から聞こえてきた女性の声にエウリュステウス王と臣下達は思わず飛び上がり動揺してしまう。特に宮廷魔術師は魔術師としての格の違いを思い知らされ茫然自失となっていた。
「な、ななな何のようだ魔女よ!わ、わわ私に手を出せばマカリオスが黙っていないぞ!?」
―そんなに怯えないでほしいなー。心配しなくても君達に手を出すつもりはないよ―
エウリュステウス王は恐怖し震えるが、大魔女キルケーはケラケラと笑いつつ言葉を続ける。
―これから私はマカリオス君の妻になるからね。旦那様の主君や同僚には決して手を出す事はないさ―
「えっ、いや待て!もう結婚する事前提なのか!?早すぎるのではないか!?あの阿呆の何がそこまで気に入ったのだ!?」
キルケーの言葉を聞いたエウリュステウス王は怯えるのを忘れて困惑する。マカリオスと接触してからたった数日で結婚すると聞けば王が困惑するのも無理はないだろう。
―あ、マカリオス君の良さについて聞きたいのかい?そうだなぁ、まず純粋な精神だよ!神の血を引く半神は大抵は傲慢な性格になるんだけど、マカリオス君はビックリするくらい穏やかだよね。マカリオス君の強靭な肉体は大神の血が色濃く出たけど、性格はきっと母親に似たのだろうねぇ―
―それと私が差し出すキュケオーンを疑う事なく食べてくれたのは嬉しかったし、キュケオーンを沢山食べても全然平気な所も気に入ったよ。美味しそうに食べてくれるしマカリオス君の為なら幾らでも作ってあげられるね!―
―それに私が大魔女だと知っても無邪気に称賛して尊敬してくれたんだよ!信じられるかい?私のような魔女をマカリオス君は純粋に尊敬してくれたんだ……マカリオス君はちょっと頭が悪いけどそれを補って余りあるくらい素晴らしい所がいっぱいあるんだ!彼となら夫婦生活も上手くいくと私は確信しているよ!―
「う、うむ、そうか……いやあの阿呆はちょっとどころではなく頭が悪いと思うのだが……うむ」
大魔女キルケーの怒涛の言葉の嵐を聞いたエウリュステウス王はコイツお喋りな女だなと引いてしまうが、それでもすぐには結婚はできないと抵抗を試みる。
「だ、だがすぐには結婚できんぞ。マカリオスはこのミュケナイの守護者として有名なのだし、結婚するとなれば盛大な式を用意せねば」
―ああそれは大丈夫!こちらで用意するから!大神の許可はいただいているし1時間もあれば準備が終わるから君達は参加するだけでいいよ―
「そ、そうか、すごいな大魔女は……………おい待て」
聞き捨てならない言葉を聞いたエウリュステウス王は思わず呆然となる。
「え、大神に許可をいただいた?本当に?」
―うん、そうだよ?疑うなら君が信頼するマカリオス君にも聞いてみたらどうだい?彼も大神の声は聞こえたからね―
「そ、そうか……そうかぁ……大神が認められたのならば我々はもうどうしようもないではないか……」
大神ゼウスから結婚の許可をいただいたと聞いたエウリュステウス王はマカリオスとキルケーの結婚を止める事はできないと理解する。そしてエウリュステウス王は諦めた表情を浮かべ結婚式に参加する事にした。
「ま、まあ大神の認可が下りたのならばミュケナイにとっても悪い事ではないのだろう。私もマカリオスの主君として結婚式に参加しよう」
―よしよし、話が分かる王様でよかったよ。これで拒否するようなら嫌がらせするつもりだったけど大丈夫みたいだね!―
「……嫌がらせとは具体的に何をするつもりだったのだ?」
―えっとねー、王様の臣下達を全員豚に変えたり、アルケイデスを発狂させてミュケナイで暴れさせるか、王様を女の子に性転換させるとかかなー?―
「なんだその恐ろしい嫌がらせは!?特に最後は恐ろしすぎるぞ!?」
やはりこの大魔女はろくでもない奴だと確信しつつエウリュステウス王は今後の事について前向きに考える事にしたのであった。
(まあいい、とりあえずマカリオスに嫁が来たからよしと考えよう。大神ゼウスの血を引く半神の種と大魔女の胎から生まれてくる子供はきっと強くて優秀なはずだ。二人の子供に私への忠誠を刷り込みミュケナイを守らせればいいだろう)
―うんうんそうだねー、私とマカリオス君の子供はとっても優秀だろうから王様も期待していいよ!―
「うわぁ、心を読むんじゃない!?」
「なぁ、大丈夫なのか?大神の声は私も聞いていたが本当に大丈夫なのか?」
「まあ大丈夫だろう、大神が御認めになったのだから安心していい。おおそうだ、アルケイデス殿も俺の結婚式に参加してくれないだろうか?」
「それは別に構わないが……貴様は本当にいいのか?」
拘束から解放されたキルケーがノリノリのハイテンションで結婚式の準備を進めるのをアルケイデスとマカリオスは呑気な様子で眺めつつ雑談していた。
「俺は全然大丈夫だ、というか嬉しくて仕方ないのだ。あれ程の美人から好意を向けられて、あの美味い麦粥が何時でも食べられるようになるなんて俺は本当に幸運な男だよ!」
「……貴様は阿呆だが大物だなぁ」
マカリオスが幸せそうな顔をしているのを見たアルケイデスは、本人が幸せそうなら別にいいかと思い直しマカリオスを祝福する事にした。
……そしてミュケナイで行われたマカリオスとキルケーの盛大な結婚式はミュケナイ市民達から困惑されつつも大いに祝福される事になる。突然の展開についていけない市民達が続出していたが大魔女を怒らせるのはマズイと察して祝福し、豪勢な食事を楽しむ事にしたのであった。ちなみにその後のミュケナイでは怒涛の急展開が起きる事をマカリオスの結婚式と呼ぶようになったという。
キルケー勝利拳!勝因は対抗馬がいない内に速攻勝負に出た事
FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。
ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。
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