ゲヘナ学園所属の男子生徒がいろんな生徒に重い矢印向けられていく話   作:コウハクまんじゅう

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ん、癖に素直なことはいい事。(アンケートちら見)
ん、頑張って書きます。
ん、本編どうぞ。



やっぱり波乱が起きる通院

 

 

 翌日。

 抱きしめてくれないと学校行けないと駄々を捏ねるヒナを目いっぱい抱きしめ、弁当を持たせて見送った。

 ヒナを送り出した後、先生から俺の体調を気遣う内容のモモトークが送られてきた。

 同時に、今日が通院日であることの確認と、交通手段を訊ねる文も併せて送られてきた。

 

『ゲヘナだとトラブルも多いだろうから、よかったら私が車で送ろうか?』 

 

『ありがたいですが、ナギサが車を手配してくれるそうなので大丈夫です。』

 

『そっか。銃撃戦に巻き込まれたりとか職質を防ぐためかな?』

 

『そうですね。俺は数少ない男子生徒ですし、帯刀もしていますから。公共交通機関使おうものなら一発で捕まります。』

 

『あはは、人気者は辛いね?…ところで、いつの間にナギサと仲良くなったの?前まで敬称で呼んでたのに』

 

『なんか、本人から呼び捨てでいいと言われたので。』

 

『ふーん…そっか。』

 

 そこから数分の間を置いて、以下の文が送られてきた。

 

『元気になったらシャーレにもおいで。いつでも歓迎するから』

 

 と、今週11回目になる勧誘の文を以て締め括られた。

 そのうちに行きます、と返信しスマホをポケットにねじ込むと、身支度を再開する。

 

 車で移動するので人目につきにくいとはいえ、念のため刀は袋に包んで背中に背負い、ホルスターにはイオリから貰ったショットガンを収める。

 最後に、ナギサとセイアに持っていくための手土産と、パスポート代わりの招待状を持って部屋を出た。

 

 その後は特筆するべき事柄もなし。外に控えていた車に乗り、一時間半揺られてトリニティへ到着した。

 

 

 

 

□■□

 

 

 

 

 病院へ着くと、正面玄関前には入院中に世話になった担当医のセリナと、見たことがない青い長髪の生徒の姿があった。

 運転手のティーパーティーの生徒に礼を告げて車を降りると、セリナが駆け寄ってきた。

 

「お久しぶりです、石切さん!あれからお身体の方はどうですか?」

 

「久しぶりだな、セリナ。日常生活に支障は無い…が、まだ妙な感じはするな。すまないが、まだまだ世話になる。」

 

「もうっ、謝らないでくださいってば。患者さんを救護することは、当然のことですから」

 

 そう言って頬をふくらませるセリナに「ああ、そうだったな」と笑って頷く。

 すると、「─失礼します」と凛とした声と共に青髪の生徒が歩いてきた。

 

「お初にお目にかかります、石切達也さん。私はトリニティ総合学園3年生、救護騎士団団長を務めている蒼森ミネと申します。以後、お見知りおきを。」

 

 目を瞑って見事なカーテシーを披露する蒼森ミネ。ふわり、とスカートの裾が淑やかに揺れる。つられてこちらも背筋を正した。

 

「丁寧な挨拶痛み入る。知っての通り、ゲヘナ学園3年風紀委員会所属、石切達也だ。」

 

 スカートの裾から手が離れ、閉じていた瞼が持ち上がり、エメラルドの鋭い瞳がこちらを射抜いた。

 気高さを感じさせる声色、気品ある振る舞い、組織の長としての力強さ。

 『救護』する組織なのに『騎士団』とはこれいかに?といささか疑問ではあったが、彼女の姿を見るとその疑問は自然とかき消えた。と同時に、俺の中には困惑が芽生えた。

 

(あれ?聞いていた話から遥かに乖離しているぞ?ヒナから『暴走機関車』って聞かされていたんだが??どう見たってこれ分相応の騎士団団長だよな…)

 

 そう。調印式参列にあたって、俺はトリニティの首脳陣の情報をある程度ヒナから聞かされていた。

 トリニティの生徒会長にあたる『桐藤ナギサ』。トリニティの救護を請負う救護騎士団の長『蒼森ミネ』。謎多き組織シスターフッドの長『歌住サクラコ』。

 結局、会場に現れたのはナギサと歌住サクラコだけだったが。

 そして、蒼森ミネはヒナ直々に要注意人物として指名されていたのだが…。

 

(別に今のところ何もおかしくないよな…)

 

「…あの、石切さん。どうされました?」

 

 あっまずい、顔見すぎて割と怪訝な表情してる。

 

「っ、ああ、いやいや失敬。少し考え事をしていただけだ。こうなって(左目を失って)からというもの、考え込むことが多くなったもんでね。」

 

「…そうですか。…いえ、当然です。日常生活に支障をきたす程の大怪我は、体だけでなく精神にも影響を及ぼすものですから。辛くなったら周囲の人を、それが難しいようでしたらいつでも救護騎士団を頼ってください。」

 

 ミネ団長は真剣な表情で言う。

 なんとか誤魔化せたが、誤魔化し方が悪かったかも知れない。先ほどまで高潔さを纏っていた瞳が、幾らか陰りを帯びたように見える。

 

 なら尚の事言えねぇ。 

 『酷い前評判と実際の印象がかけ離れていて困惑してました』なんて死んでも言えねぇ。

 

「い、石切さん。左目の状態を診ますので、どうぞ中へ。」

 

 そんな気まずい空気を払拭するべく、セリナが気を使って中へ案内してくれた。申し訳ない。

 

 

 

 

□■□

 

 

 

 

「うん、化膿もなし。傷口もしっかり塞がっていますし、新たな傷や衝撃が加わった形跡もありません。石切さん、ちゃんと自宅療養なさっていたんですね、偉いです!」

 

「ハハ、流石にこれ以上無茶して心配かけたら監禁されかねないからなァ」

 

「か、監禁…ですか…」

 

「じょ、冗談冗談!冗談だって!……多分な。」

 

 頬を引き攣らせるセリナに慌ててフォローを入れ、眼帯を巻き直し帽子を深くかぶって眼帯を隠す。

 ま、左目の状態は安定しているようでひとまず安心だ。

 

「ところで、俺はいつになったら戦場に…現場に復帰できるんだ?」

 

「そうですねぇ…思っていた以上に回復力が高いので、もう一度通院する頃には復帰できると思います。あっ、もちろん左目への被弾には十分気をつけてくださいね?」

 

「わかった。…と、なると。通院は来週で最後か?」

 

「はい、そうなります」

 

「そうか、そうかぁ…よかった。これ以上休んで戦線から離れてたら、体が鈍り倒して使いもんにならなくなっちまうからなァ…っと」

 

 椅子から立ち上がり、軽く伸びをして体をほぐす。袋に包んで壁に立てかけていた刀を持ち上げ、肩に担いだ。

 すると、壁に背を預けていたミネ団長が静かに口を開いた。

 

「…あの、石切さん。一つよろしいでしょうか」

 

「どうした、ミネ団長。」

 

 壁から離れたミネ団長は、コツリと靴を鳴らして一歩こちらに踏み出した。

 

「石切さんは、なぜ戦うのですか?」

 

「─…」

 

 不意を突かれ、一瞬言葉が詰まった。

 まさかこのタイミングで戦う理由を訊ねられるとは思わなかった。しかし突然どうしたと言うのだろう。

 

「そりゃもちろん、風紀委員として秩序を保つためだ。…急にどうした?ミネ団長。」

 

「本当の理由は、違う。ですよね?」

 

「……」

 

 時間が止まったような錯覚に陥った。今度は言葉ではなく、息が詰まる。

 こちらを鋭く射抜くエメラルドの瞳の前に、一切の身動きを封じられた。

 コツリ、とミネ団長はまた一歩こちらに足を踏み出した。

 

「以前、ツルギ委員長があなたの事を嬉しそうに話していました。『彼は、こっち側だった』と。」

 

 一歩。確かな足取りでミネ団長はこちらへ近づいてくる。対照的に、俺は指一本動かせないまま歩み寄ってくるミネ団長の姿を眺めることしかできなかった。

 

「正義実現委員会がお見舞いに来た時、あなたは目の喪失を嘆いたり、目を奪ったアリウスの事を恨むでもなく、ただあの時の戦いを振り返って己の未熟さを自嘲していたそうですね。」

 

「……ああ」

 

 掠れたか細い声を辛うじて喉から絞り出した。ミネ団長はそれ以上距離を詰めてくることなく、ただ俺を真っ直ぐに見つめた。

 

「お見舞いの話とツルギ委員長の話だけでは測りかねていましたが、こうして直接お話して確信しました。」

 

 

─あなたは、戦いが好きなのですね。

 

 

 心臓が飛び跳ねた。

 誰にも悟られることはないだろうと高を括っていた己の本性を、こうも容易く看破されるとは。

 僅かな反抗心が口を動かした。

 

「……一体、何の根拠が。」

 

「来週には戦線に復帰できると分かったとき、安心した笑みに交じって、獣のような獰猛さが垣間見えました。まるで、戦っているときのツルギ委員長のような。」

 

 そう言われ、思わず頬に手を当てた。

 そうか、そこまで顔に出ていたか。

 いや、それにしてもこの短時間でよくそこまで気づいたものだと感心さえする。

 

「…それで、戦狂いの本性を見抜いてどうするつもりなんだ?」

 

「いえ、特に。」

 

「えっ?」

 

 あまりにもあっさりとした返答に思わず拍子抜けする。

 なんだ。それじゃあなぜこの人は俺の本性を暴いたんだ、と訝しげな表情を作ってみせる。

 

「ただ、救護騎士団としてあなたに忠告を。」

 

「忠告」

 

「はい。…貴方の体はもう貴方だけの物ではない、ということです。戦好きもほどほどになさってください。もし何かあれば、私が救護に参ります。ゆめゆめ忘れることなきよう。」

 

 それだけ言ってミネ団長は部屋を出ていった。

 俺はミネ団長の背を見送った後、再び椅子に深く腰掛けた。

 

「はぁぁ……まさか会って数分の人間に本性見抜かれるとは思わなんだ。」

 

 だが、不思議と不快感は無かった。むしろ初めて己の本性の一端を形として見ることが出来た充足感さえあった。

 

「あのぅ、石切さん…」

 

 恐る恐る、といった様子でセリナが話しかけてくる。

 

「その…」

 

「何も言わなくていいさァ、セリナ。とりあえず、また世話になる。よろしく。」

 

「あ…はいっ」

 

「さて、と。診察も済んだし、次はナギサとセイアに会ってくるかな。」

 

 セリナの頭を二、三撫でた後に俺も病室を後にした。

 

 

 

 

□■□

 

 

 

 

「ほ、本当に男子の生徒だ!」

 

「あっ、あの、貴方がナギサ様を救った騎士様なんですか!?」

 

「かっこいい…タイプ…」

 

「私もお姫様抱っこされたい!」

 

「ち、調印式の時に助けて頂きありがとうございましたっ」

 

「今日はなぜトリニティに!?」

 

「ま、まってまってまって…」

 

 病室を出て数分も経たぬうちに、たちまちトリニティの生徒に囲まれてしまった。

 正義実現委員会の皆が見舞いに来てくれた時に、俺の存在は知れ渡っていると聞いていたがまさかここまでとは…

 

(あまりに迂闊、不用意に出歩くべきではなかった…ッ!!こんなことになるなら大人しくハルちゃん達を呼んで、ナギサ達のところまでついてきてもらうべきだったァ…)

 

 数にして数十人。ここがゲヘナだったならば一蹴してさっさと離れていたのだが、いかんせんここはトリニティ。絶対に問題は起こせない。

 しかも俺を取り囲む生徒の中には調印式の時に助けられたお礼を言いに来ている子も多くいる。そんな子たちを邪険にするなど、俺にはできなかった。

 

(だ、誰か助けてくれ…)

 

 このまま大人しく正義実現委員会の到着を待つしかないかと諦念に陥っていたその時、足元に黒い物体が投げ込まれた。

 

─手榴弾

 

 気づいた時には既に遅く。手榴弾が炸裂し、辺りには眩い光が迸った。

 

「きゃあ!?」

 

「閃光弾がっ…」

 

 周囲から悲鳴が上がり、その場はたちまち混乱状態に陥った。芋洗い状態でもみくちゃにされている最中、誰かに手を引かれこう囁かれた。

 

「こっち」

 

 かろうじて見えたのは、俺の手を引っ張りながら走り出す白い長髪の少女のみ。

 

 閃光弾で歪んだ視界のまま引っ張られること数分。俺はどことも分からぬ教室に転がり込んでいた。

 

「…うん、ここまで来れば大丈夫。」

 

 俺を引っ張り込んだ少女は、顔から仮面のようなものを外してこちらを振り返った。

 よく見れば、外した仮面は調印式の時に見たアリウス生のガスマスクに酷似しているように見えた。

 

「すまない、怪我はないか?」

 

 こちらに手を差し伸べてくる白髪の少女。ガスマスクの下に隠れていた顔は意外にも凛々しく、芯の強さを感じさせた。

 

「あ、ああ…とりあえず、助かった。」

 

 少女の手を借りて立ち上がると、そこには3人の少女がいた。

 

「あ、アズサちゃん!?そこの方は一体…」

 

「うぇっ、ちょっ、そいつ男じゃない!お、女の子のいる密室に男連れ込むなんて何考えてるの!?エッチなのは駄目、死刑ぇっ!!」

 

「あら?もしかしてそこの殿方は…」

 

 三者三様の反応。いきなり転がり込んでしまったが、一名を除いて反応は悪くないようだ。

 

「っとと」

 

 一歩踏み出そうとすると、体がよろめく。白髪の少女は、俺の()()に回り込んで体を支えてくれた。

 

「無理して動かないほうがいい。威力は絞ったけど、まともに食らえば二時間は酔う。」

 

「いや、大丈夫だ。慣れてる。……ふぅ、ようやく落ち着いた。ありがとう。ええ〜っと…とりあえず、自己紹介から始めてみるか?」

 

 頑なに俺の左側から離れようとしない白髪の少女に礼を言うと、困惑と不審の目を向けてくる少女達に向かい合った。

 

「俺は、ゲヘナ学園3年の石切達也だ。不審過ぎて今すぐ銃向けたくなる気持ちは分かるが、まずは…ん?」

 

 俺が名乗った瞬間、3人の表情が明らかに変わった。

 不審者を見る目から、話に聞いていた人物を見る目…いや、それよりもっと親しみと尊敬を感じる目へと。

 

「石切…で、では、あなたがナギサ様と先生を救ってくださった騎士様…あっ、私はトリニティ総合学園2年生の、阿慈谷ヒフミと申しますっ」

 

「同じく2年の、浦和ハナコと言います。よろしくお願いしますね、石切さん♡」

 

「同じく2年。白州アズサだ。」

 

「あっ、わ、私っ下江コハル…です。1年生で、正義実現委員会に入ってます」

 

 黄色の髪が阿慈谷ヒフミ。

 桃色髪の色気がある方が浦和ハナコ。

 ガスマスクの白州アズサ。

 桃色髪の死刑の方が下江コハル…と。うん、覚えやすくて助かる。

 

「さて、自己紹介も終わったことだし、一つ聞きたい。ここはどこで、みんなは何の集まりなんだい?」

 

 すると、阿慈谷が一歩前へ進み出てきた。

 

「ここは補習授業部の部室で、私達は同じ補習授業部の部員です。なので。」

 

 それまで様子を見ていた浦和と下江も、阿慈谷の隣まで歩いて来た。俺の左側に張り付いていた白州もいつの間にか3人の元へ戻っており、4人は息を揃えて。

 

「「「ようこそ、補習授業部へ!」」」

 

 どうやら俺は、彼女たちに歓迎されたようだ。

 





根っこゲヘナと紳士は両立します(鋼の意志)

この主人公の根っこは戦闘狂です!こいつ転入生だけどちゃんとゲヘナに染まってます!!(クソデカボイス)
と初っ端に出しておけば良いものを、生徒達との絡みを書きたいあまりに疎かにしてしまい、ここまで引っ張ることになってしまいました。でも片鱗はちらちら出てました。
戦いの勝ち負けに拘るあまり、自身の怪我とか顧みない奴です。サオリへの執着を見れば一発で分かります。

まぁそんなことはさておき。
もうこれ以上ゲヘナとトリニティ反復横跳びは勘弁なので、この機会にトリニティの主要人物で出ていない人は惜しげもなく出します。
(ティーパーティー3人なのに)1人足んねぇよなぁ?(確定演出)
(ナギサ、ミネ、と来てるのに)もう1人足んねぇよなぁ?(確定演出)

石切を含めた男子生徒が複数出てくるコメディ物を新しく書きたい。でもこっちの投稿遅れるかも。書いていい?

  • ん、書くべき。
  • ん、こっちを書くべき。
  • ん、いいから石切は生徒を抱くべき。
  • ん、いいから石切は生徒に襲われるべき。
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