爺さんが死んだ。それでも日は流れる。束の間の休みが終わり、いつも通りの学校がまた始まる。いつも通り授業を受け、いつも通り一日が終わる。
はずだった。
「そこのあなた!何者!」
下駄箱でいきなり声をかけられた。
「何者と言われても...あ、このクラスの岩水です。」
「あ、どうも...じゃなくて!あなたその力は何!答えて!」
何を言っているんだこの人は。
「えっと、何をおっしゃっているのか...とりあえず、お疲れ様です。」
挨拶だけしてそそくさとこの場を去る。
「ちょ、ちょっと!待ちなさい!」
よくわからない人に絡まれた時には逃げるに限る。
「いきなり因縁つけてくる人って本当にいるんだな...」
「別に因縁って訳でもないのよ。」
気がつくと横にルーが立っていた。
「...びっくりした。外でも消えることは出来るのか...」
「ええ、私はあなたと共にあるのよ。」
「?」
「いずれ理解できるわ。そうそう、多分私の力の一端を感じ取ったのでしょうね。」
「それってもしかしてまずいのか?」
「?いいえ、あの人間から喧嘩売られることはあるかもしれないけれど、あなたが死ぬことはないわ。その前にあの人間が死ぬのだから。」
「...殺さないでくれよ。」
「はいはい、わかっているわよ。」
「...このままスーパーに行くか。何か食いたいものはあるか?」
「肉がいいわ。鳥だとうれしいわね。」
「了解。照り焼きでも作ろうか。」
「まあ、まるでテカテカと光ってそうな名前ね。どんな料理なのか楽しみだわ。」
ほんのりと見た目通りの子供っぽい笑顔で笑う。今までは見た目とは程遠いほどの大人らしい仕草ばかりであったため、珍しいと感じた。
夕食を食べ終わった後、ふと気になったことが聞いてみることにした。
「そう言えば、帰り道の時に言っていた共にある、と言うのはどういうことなんだ?」
「あなた、思ったよりもしっかり物事を把握しようとするのね。少し意外だわ。」
「あんたと深くかかわるなら知っておくに越したことはないだろ。」
ルーはくすくすと笑った。
「あら、私と深く関わってくれることは確実になことなのね?」
「そりゃあな。契約とかそれっぽいのするつもりなんだろ?」
「?...ああ、そうね。こう言ったことに関する知識がなかったものね。もう契約は終わっているわよ。」
「は?」
「あなたを主と認める、と私は言ったわ。それであなたはもう契約を済ませているのよ。」
「えぇ...」
「これがあんたのおじいさんが私を御せなかった理由よ。私が認めなければ封印以上の干渉はなにもできないのよ。」
「...なんでそんな存在に俺を選んだんだ?」
「ふふ...まだ秘密よ。」
「いつか、ね」
ルーはウインクして消えていった。