爺さんの家に怪しい少女がいた   作:灰のスシ

7 / 7
7話

吸血鬼が爪でルーをひっかこうとする。が、そこを黒い粒が防ぐ。そしてルーは手から黒い球を出し、その球が吸血鬼に向かって飛んでいく。その球を吸血鬼が爪で切り裂く。

 

 

 

「はぁ...」

 

 

 

ルーは溜息をつく。

 

 

 

「終わったわ。帰りましょう。」

 

 

 

...何を言っているんだこの幼女は。

 

 

 

「いや、一発しか当たっていないじゃないか。」

 

「えぇ、それで終わりよ。」

 

「何を言っている!相手をしなければそこの男を」

 

 

 

いきなり吸血鬼の目が曇り始めた。

 

 

 

「あ、な、あ...」

 

 

 

吸血鬼の白い肌に黒い斑点が現れ、地面に倒れ伏してもがき始める。非常に苦しんでいると傍から見て一目瞭然であった。...そして、

 

 

 

「が...ぁ...」

 

 

 

白目になり体の至る所が膨れ上がり、遂に声も発さなくなった。

 

 

 

「...死んだ...のか...」

 

 

 

ルーはふっと微笑む。

 

 

 

「忘れて頂戴。あなたには刺激が強かったわね。」

 

 

 

周囲の光景がくずれていく。

 

 

 

「...私はそういう存在なのよ。これでも力は5分の1程度の力しかないけど...それでもあんな存在を簡単に殺すことができるの。」

 

 

 

ルーは悲しそうな顔をしてこちらを向く。そして背を向け、俺より前を歩き出す。その背中があまりにも寂しそうで、思わず肩を掴む。

 

 

 

「そんな顔をするなよ。」

 

「...私が怖いでしょう?」

 

「ある意味それは最初からだろう。今更だ。」

 

「最初?」

 

「断ったら、なんて俺が言った時だ。あの時にもう既に脅されていたからな。」

 

「...ふふ、実際にその力をみてもあの時と同じっていうの?」

 

 

 

おかしそうに微笑む。

 

 

 

「ああ、変わらないだろう。それに、お前は少なくとも俺と向き合って、必要なことは教えてくれるし、あいつを殺したのも俺のためだろう。」

 

 

 

ルーの言っている情報、そして、あいつの言葉をすべて真とするなら、俺は本当に殺されていただろう。出るにはあいつを倒すしかなかった。そしてあの吸血鬼曰く、あの空間には意図して引きずり込まれた。ただの人間の俺には太刀打ちできなかっただろう。だからこそ、

 

 

 

「俺を守ってくれてありがとうな。」

 

 

 

間違いなく、命を救ってもらったのだから感謝をしよう。

 

 

 

「ふふ...なぁに、こんなに私に入れ込んで。そんなに私、あなたの好みだった?」

 

「...そういう冗談、言うんだな。」

 

「照れ隠しよ。察して頂戴。」

 

 

 

もうルーの顔に陰りはなかった。

 

 

 

「それも、悪くないかもしれないわ。」

 

「?」

 

「ふふ、気にしないで。」

 

 

 

いたずらっぽく笑い、前を歩く。

 

 

 

「帰りましょう。」

 

 

 

まだ力が抜けきっていないのか、青白い色が抜けきっていない髪が夕陽に照らされていた。

 

 

 

 

 

 

考える。それにしてもどうして俺はあんなに惨い死体を見て、あまり何も感じなかったのだろうか。ルーがそばにいたから?...いや、違う。いや、部分的にはあっているか。気づいている、これが適応するということだと。俺はもうルーから逃れることはできないのだと。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

人の生き様大好き系上位存在が蔓延る世界に生まれ落ちた生存本能極振り転生者(作者:せぞんのう)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

その世界には人間の輝きが大好きな悪魔が無数にいた。▼死を経験したことで生存本能に意識を極振りした転生者のルセラは、悪魔を利用してでも生き残ることを画策する。▼しかしその姿は悪魔たちにとって、性癖ど真ん中をぶち抜く行為だった。▼しかも生き残るためにあらゆることをやってのけるこの異常者の行動は悪魔の想像の遥か斜め上を行く所業ばかり。▼やがて、生存本能極振り転生者…


総合評価:10265/評価:8.88/連載:10話/更新日時:2026年05月08日(金) 07:05 小説情報

すべてを失って身売りした少女にすべてを与えてみた結果(作者:ヤンデレすこすこ侍)(オリジナルファンタジー/コメディ)

転生したら全てを持っていた。▼転生先は大国アズヴォルデ帝国の第三皇子だった。▼ふ~ははははっ! これで好き放題出来る!▼あんなことや、こんなことを、好き勝手にやらせていただく!▼そう息巻いて過ごすこと十五年。▼俺は早速飢え始めていた。▼つまらない。▼つまらないのだ!▼何もかもを手に入れてしまって、何にも充足感を得られない!▼金も名誉も地位も力も、全てを持って…


総合評価:24987/評価:8.86/連載:31話/更新日時:2026年06月12日(金) 12:00 小説情報

カードゲーム世界で考察配信したら、黒幕っぽくて楽しい(作者:マクロコスモス)(オリジナル現代/冒険・バトル)

カードゲーム世界で無名配信者をしていたヒカルは、ある時カードのイラストやフレーバーに関する考察配信をしてみることにした。▼転生者特有のメタ読みを活用した結果、見事にカードの裏に潜む悪の組織の意図に気付き、組織が壊滅。▼まるで黒幕のようだと、ヒカルは思う。▼そんな状況でヒカルは――喜んで配信を続けることにした。▼なぜなら彼は人の嫌がることが大好きな陰湿デッキ使…


総合評価:26828/評価:8.64/連載:15話/更新日時:2026年08月02日(日) 18:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>