ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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日常回です。飛ばしてもらってもかまいません。



それはデートなのでは…?

 

〜星屑の庭 自室〜

 

「…ッ。」

 

大口を空けて欠伸をする。結局ダンジョンから帰った後、魔石を換金してシャワーを浴びたら直ぐ部屋に行って寝てしまった。今は…昼前か。

 

「……。」

 

取り敢えず身体を起こす。…嫌な夢を見た。あの『七日間』で両親を喪った子供の顔と、あの娘…ウィーネの、ベル達と別れる時の顔が重なった。何も分からないまま恐ろしい事に巻き込まれ、最後は親と離れ離れになった子供が見せた泣き顔。別れを理解できないまま、泣き叫ぶ子供の顔だ。

 

「…止めだ止めだ。」

 

過去は過去。引きずってしくじるぐらいだったら考えるな。頭を振り、雑念を払いながらベッドから降りる。支度を始めた。

 

 

〜星屑の庭〜

 

支度を終えて部屋から出る。すると、団長が歩いてきた。

 

「おはよ。ロイ。」

 

「団長…あれ、巡回は?」

 

「今日は私とリオンは休みなの。」

 

「そっすか。」

 

結局、丸々1日くらいかかったからな。ダンジョンに潜ると時間感覚が狂う。

 

「…何かあった?」

 

「…まあ、昔を思い出しただけっス。」

 

「…7日間の事?」

 

「はい。」

 

この人妙に鋭いからな。隠し事は無駄だ。

 

「辛かったら何時でも言ってね。…絶対、一人で全部抱えて行かない事。」

 

「…はい。」

 

言えない事もあるが…この人の気持ちを無駄にはしたくない物だ。

 

 

〜団欒室〜

 

団長と一緒に団欒室に入ると、リオンが居た。他の皆は巡回やらダンジョンやらでいない模様。

 

「ロイ。付き合ってもらえますか。」

 

……いきなり何言ってるんだコイツ。よりにもよって団長が居る所で…。

 

「……え!?何々リオン、遂にデート!?一番乗りね!」

 

「違いますっ!少し…その、個人的な買い物を…。」

 

「それを世間一般ではデートと呼ぶのでは…?」

 

と言うか一番乗りってなんだ?…まあ良いか。

 

「いや、良いけどさ。俺も買わなきゃいけないものあるし。」

 

「そ、そうですか…!」

 

「ホントに可愛くなったよなリオン。」

 

「か、かわっ…!?」

 

エルフらしいあの鉄面皮は何処にやったのやら。はっきり言って違和感が凄い。

 

「ふふっ。ロイが帰ってきてからよ?リオンが笑う様になったの。」

 

「アリーゼっ!!」

 

「わぁとんでもない事聞いた。」

 

「忘れてください!」

 

「検討に検討を重ね検討することを検討します。」

 

「検討するだけして何もしないってことね!」

 

「ロイっ!!」

 

インパクト強すぎて忘れらんないと思います。お互いに支度はできてるので出発した。

 

 

〜北メインストリート〜

 

北のメインストリートに出る。だが、できれば北の方…特に『黄昏の館』付近には近寄りたくないのだ。アイツに出くわすとマズいからな。

 

「一先ず、腹拵えしましょう。」

 

「ん?あぁ。」

 

そう言えば起きてから何も食べてなかった。と、いっても食べられる所なんて…。

 

「すみません。ジャガ丸君のプレーンと…小豆クリーム味で良いですか、ロイ?」

 

「ん〜…そうだな。小豆クリームで。」

 

やっぱりジャガ丸君か。基本的にひき肉は邪道だと思っている。甘いのが美味しい。

 

「はい!小豆クリームにプレーン!」

 

「ありがとうございます。はい、ロイ。」

 

「ん。あんがと。」

 

美味しい。やっぱり小豆クリームしか勝たん。…ってあれ?

 

「……ん!?君、ロイ君じゃないか!」

 

「ヘスティア神…何してるんすかこんな所で。」

 

「その…借金の返済を…。」

 

えっそんなに巨額なのか。まあ人数も少ないしな…。

 

「お知り合いでしたか?」

 

「彼にはベル君達がお世話になったからね!」

 

「あぁ、そう言えばヘスティア・ファミリアとダンジョンに行くと…。何かとクラネルさん達とは縁がありますね。」

 

「そうだねぇ。ゴライアスの時もエルフ君には助けられちゃったし…。」

 

へー。何か二人揃ってベルと繫がりあると思うと、奇妙な縁があるかもしれないな。

 

「ま、デート中だろ?お喋りは此処までにしておこうじゃないか!」

 

「デ…へ、ヘスティア様、これはデートでは…///」

 

「そうだな。これは『個人的な買い物』だもんな。」

 

「……それはデートだと思うよエルフ君。」

 

「ぅぅ…///」

 

神がマジレスするって相当だぞ。認めろよお前。

 

「……行きますよっ!」

 

「おうっ!?」

 

「お幸せに〜!」

 

手を引っ張られる。あっ誤魔化した!だっせ〜。

 

 

〜北のメインストリート 服屋〜

 

「ふむ…これはどうですかロイ。」

 

「もうちょい明るい緑が良いんじゃね?」

 

「そうですか…なら…。」

 

個人的な買い物とは戦闘衣…外套だったらしい。替えが欲しいんだと。戦闘衣を専門に扱っている服屋に入った。

 

「これですか?」

 

「そんぐらいかな。目立ち過ぎないし、似合ってる。」

 

「そ、そうですか…///」

 

……あれ。めちゃくちゃカップルっぽい事してんな俺たち。いやデートだから良いのか?

 

「それでは、これを…ロイは何か買わないのですか?」

 

「俺はもうあるし。あと金が無い。」

 

「私が出しましょう。」

 

「ヤダね。ヒモになってたまるか。」

 

13歳でヒモとかお先真っ暗だろ。あと金はトラブルの元だ。

 

「13歳は養われるべき年齢なのでは…?」

 

「そうなの?」

 

「一般人ではそうかと。」

 

せやったんか…。4歳からコレだから知らんかった。いや、5歳の中頃までは実質養われてたような物だけど。

 

「…やはり、買わせてください。貴方は歳上に甘える事を覚えた方が良い。」

 

「結構甘えてると思うけどなぁ…。」

 

「全く甘えてないとは言いませんが…それでも足りません。」

 

「足りないかぁ…。」

 

同年代が周りに居ないからなぁ。比較ができん。こんなもんだと思ってた。

 

「それでは、どれにしますか?やはり黒い物でしょうか…?」

 

「うーん…あ、これ良いな。」

 

「…?ロイ、それは私の物と同色です。スキルの発動条件に外れてしまう。」

 

「いや、リバーシブルだよ。」

 

「成る程…。」

 

良くあるフード付きのケープ。形状はリオンのそれと同じだが、両面使えて便利だ。汚れても裏返せば何とかなるからな。お値段は…。

 

「二万ヴァリス!?」

 

「値段は気にしないでください。このくらいは払えます。」

 

「いや、そうだろうけどさ…。」

 

流石に万超えると払わせるのは気が引ける…。でも此処それなりに高い店だからなぁ…。どう頑張っても5000ヴァリスは飛ぶし…。

 

「ほら。行きますよ。」

 

「えぇ…。」

 

……此処は甘えるか。こうなったリオンは譲らないしな。

 

 

〜北のメインストリート〜

 

「ありがとうございます。私の買い物は終わりです。」

 

「いやこっちこそ。お高いの買ってもらっちゃったし。」

 

「気にしないでください。これからも、貴方には沢山返したいのです。」

 

そんなに貸した覚えはないがね。少なくとも二万ヴァリスの物を買ってもらえるような事はしてないと思う。

 

「少し休憩しませんか?」

 

「うん。」

 

道の端に設置されたベンチに座る。…近いな。いや当たり前だけど。エルフらしい整った顔立ちが直ぐ隣に居ると思うと、緊張する。

 

「……ロ、ロイ。」

 

「…何?」

 

「その…話しておきたい事があります。」

 

「ほーん…。」

 

何かシリアスなムードだ。

 

「ロイ。実は私…その、最近は殆どダンジョンに潜っていません。」

 

「……何で?」

 

「怖くなってしまったのです。」

 

あー…。

 

「貴方を私の魔法で撃ったあの時から…私は、魔法を行使する事が怖い。友を…仕方なかったとは言え、殺してしまった。見殺しにしてしまった。その原因であるあの魔法を使う事が怖い。今では巡回と豊穣の女主人…後はクラネルさん達に頼まれた時だけ、ダンジョンに潜るだけです。」

 

「…気に病まないでほしいけど。」

 

「できません…あの時も私が冷静さを失わなければ、全員生きて帰れた筈でした。」

 

うーん…しょうがないけどさ。そりゃ同じファミリアの仲間を自らの魔法で殺しましたなんてトラウマになってもおかしくないけどさ。でもなぁ…。

 

「でも、俺はリオン達に生きて欲しかったし…。」

 

「私達は…貴方にも生きて欲しかった。」

 

正直、ここはいくら話しても平行線だろう。お互いがお互いを大事に思ってるから、永遠に結論は出ない。

 

「あの時はあれが最善だった。それは理解しています。それでも言わせてください。ごめんなさい。これから、一生をかけて償わせて下さい。」

 

「……うん。」

 

こんなに、悲しませたくなかったんだけど…。何処で間違ったのかなぁ。

 

 

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