ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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お前そんなだったっけ…?

 

〜豊穣の女主人〜

 

「し、失礼しました…///」

 

「ふふっ。他のお客さんも居ますからね?」

 

「良く言うよ。コレ分かってて足止めしたんだろ。」

 

「バレちゃいました?」

 

「当たり前でしょ。」

 

ったく。シルさん苦手なんだよなぁ。まあリオンに会えたから良かったけどさ。

 

「し、しかしロイ、貴方は…その、死んだ筈では…?」

 

「いやぁ…うん、まあ色々とな。ここじゃちょっと話せないから、明日で良いか?」

 

「ええ。ところで、今夜は何処に泊まるつもりなのですか?」

 

「そこら辺の宿取るさ。」

 

「そ、その…星屑の庭に…。」

 

「無理だろ。5年前だって俺だけ宿暮らしだったし。」

 

ファミリアに居た頃も俺だけ宿暮らしだった。理由は単純、あらぬ噂が生まれるのを回避する為。ただですら暗黒期で都市機能が麻痺しかけてるオラリオで、治安維持活動もしてるファミリアが男女の問題…痴情のもつれで信用を失う訳には行かないのだ。まあそれでも俺個人に突っかかってくる奴は居たけど。

 

「そう…ですか…。」

 

「そんな目に見えて残念そうにしなくても良いじゃん。」

 

「いえ、大丈夫です…。」

 

リオンが俯く。えぇ…?何か、俺の知ってるリオンじゃない…?昔はもっとツンツンしてたんだが…。

 

「…リュー、連れて行ってやりな。」

 

「えっ。俺の意見は…?」

 

「あんたは黙ってついて行けば良いんだ!ほら、さっさと行った!」

 

えっ。俺の意見は無視すか…?

 

「ミア母さん…?今日の勤務がまだ…。」

 

「元々今日は臨時だったろ。あんたも冒険者。ファミリアの方が優先だよ!」

 

「分かり、ました。ありがとうございます。ミア母さん!」

 

「ちょっ…!?」

 

リオンが俺の手を掴み席を立つ。まだ払ってないんですけど!?

 

「特別だ。ツケといてやるよ。暇な時に払いに来な!」

 

「えっちょ…あーっ!?」

 

恩恵を授かった冒険者のパワーであっという間に連行された。

 

 

〜星屑の庭 玄関前〜

 

「来てしまった…。」

 

「嫌でしたか…?」

 

「そうじゃなくてね?」

 

もっとこう…自分の脚で来たかったなって。感動する間も思い出にふける間もなく来ちゃったし…。

 

「強引ですみません。しかし…貴方が居なくなってからと言うものの、皆暗いのです。早く顔を見せてあげてください。」

 

「暗い?団長も?」

 

「はい。」

 

「ライラさんも?」

 

「そうですね…。」

 

「輝夜さんは?」

 

「前にもまして猫かぶりが酷くなりました。」

 

「……。」

 

マズいな。もしかして俺、かなりやらかした?

 

「……アストレア様は。」

 

「大変気に病んでいました。貴方は…アストレア様にとっても、私達にとっても大切な人だった。ロイ自身は自覚が無いのでしょうが…。」

 

…意外、だったな。他の皆は兎も角、アストレア様と団長にはハッキリとこのファミリアに入った理由を伝えた。俺は…本来、このファミリアに居て良いような人物ではない。このファミリアに入ったのも感情と衝動、少しの打算に流されるまま、成り行きだった。それを分かった上で、あの人達は俺を仲間だと思ってくれてたのか…。

 

「…行こう。ロイにとっても、ここはちゃんと話すべきだ。」

 

「……押忍。」

 

両開きの扉を開けた。

 

 

〜星屑の庭〜

 

……ん、誰も居ないな。

 

「すみませんロイ。うっかりしていました。明日、ダンジョンに潜る予定だったので夜警のメンバーと私以外は皆早めに寝るのです…。」

 

「あ〜…ならしょうがないか。」

 

じゃあ今夜は諦めるか。ダンジョンに潜るだけならアストレア様は居るから挨拶はできるだろうし、今日は宿取ってそこで一泊…。

 

「待ってください。」

 

「…え?」

 

うっ、後ろ…当たっ…!?

 

「行かないで…行かないで、ください…!」

 

「……ちょ、一旦…!」

 

離れないと…再会した時と言い、何かボディータッチ多くね!?後ろから抱きしめられ、身動きが取れない。……意外と柔らかいな。

 

「すみません…でも、怖いのです…このまま貴方と別れてしまえば、再び会えなくなってしまうのではないかと…!」

 

「ちょっ力強いって!分かったから離して!?」

 

「一緒に寝てください…今晩だけで良いんです…!」

 

「分かったから!!」

 

リオンの腕が離れる。やめてくれ。久しぶりに触る女がエルフなんて俺の性癖がお亡くなりになっちゃう。5年前はエルフ特有の潔癖で触るのなんて服越しじゃないと許してくれなかったのに…。

 

 

〜リオンの部屋〜

 

「……。」

 

「えーっと、リオンさん?」

 

「は、はい!何でしょう…。」

 

「えっと…その、まさか同じベッドで寝るとかじゃないっスよね…?」

 

「…ダメ、ですか?」

 

「ダメじゃないけど…。」

 

ダメでは無いけどさ。むしろ歓迎だけどさ。もうちょっとタイミングというかムードというか…。

 

「そう…ですよね。私が、貴方と共に過ごす資格なんて…。」

 

「いや資格とかじゃなくてね?」

 

「では何故…。」

 

「5年前、…言っちゃ悪いけどかなりエルフっぽかったじゃん。接触嫌ってたし、ましてや俺がファミリアに入った時なんてトラブル続きだったし…。」

 

「……はい。」

 

「で、それが今回これで…いきなり来られても資格云々よりも何でなのかなって困惑が勝つんだけど…。」

 

「……すみません。少し、説明不足でした。私は…怖くなってしまったのです。」

 

「怖い…?」

 

俺が死ぬのが?

 

「私は…貴方に貰ってばかりでした。ファミリアに入って、少し経ってから貴方が入って来た。あの時は、お互いに問題があって対立してばかりで…でも、ちょっとずつ、貴方は歩み寄って来てくれた。」

 

「…まあ、忘れたい事もあったし。」

 

というかそっちがメインだった。人と関わることで、過去を断ち切りたかった。もう…あの頃には戻りたくなかったんだ。

 

「それでも、未熟だった私を貴方は何度も助けてくれた。それは感謝しています。しかし…。」

 

「しかし?」

 

「しかし…5年前のあの日、あのモンスターによって貴方を喪って気づきました。私は、貴方の事を何も知らなかった。助けて貰ってばかりで…貴方を何も知らなかったんです。」

 

「…。」

 

…確かに、俺も歩み寄りが足りなかった。ファミリアに所属しておきながら、住んでいる所は別でダンジョン探索と巡回以外は関わる事は稀。あの時はそれで良いと思っていたが…。

 

「そこは…申し訳無いと思ってるよ。」

 

「いえ。貴方は悪くない。私達の責任です。貴方はあんなにファミリアに尽くしてくれたのに、私達は何も返せなかった。ロイ…私は、このままあの時のような関係が続いて…貴方が、貴方を理解出来ないまま別れてしまうのが怖い。どうしようもなく怖いのです。」

 

「……。」

 

知らないまま別れる…か。

 

「…分かったよ。これから、これからやろう。ちょっと遅いだろうけど…俺も皆の事、もっと知りたいって思ってる。」

 

「ありがとうございます…!では…その…。」

 

「…でもいきなり同衾は違うのでは。」

 

「…い、いえっ!先ずはお互い夜を共に過ごす事で、互いの理解が深まるのです!」

 

「性欲的なヤツだろそれは!!」

 

「いえっ!!絆です!!それに私は年下好きではない!!」

 

「説得力何処行った!?疾風の二つ名が泣くぞお前!?」

 

8歳差の年頃の男子に添い寝迫るな!!俺思春期だぞ!?

 

「…そ、それでも今夜は一緒に寝るのです!ほらっ!!」

 

「あっ!?」

 

無理矢理ベッドに引きずり込まれる。それと同時に腰がリオンの細腕に捕まった。

 

「くっそ…もう良いやっておい。自分で引きずり込んでおいて照れるんじゃないよ。」

 

「…///」

 

このポンコツエルフ一発殴りてぇ。こっちも恥ずかしくなってきた。

 

「すみ、ません…その、逆を向いてもらっても…?」

 

「……分かったって。」

 

向かい合わせの体勢から背中を向けるように寝る。ったく…。

 

「…おやすみ。」

 

「…おやすみなさい。ロイ。」

 

女性と寝るのは初めてではないとは言え、あっさり瞼が落ちてくる。明日は…明日からが、本番だな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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