ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
〜人造迷宮クノッソス〜
「リトル・ルーキー、ブラック・バルバロイ。どうしてダイダロスの系譜が、イカれた先祖の遺言なんかに従ってきたか…千年もクノッソスに付き合ってきたか、分かるか?」
「……」
「……?」
…確かに、言われてみれば変な話だ。いくらダイダロスが名匠だとしても、千年もの間、律儀にクノッソスの建造を続けさせるなんて無理だろう。代替わりしてまで続けるなら尚更。何処かで反逆されて
「血が、そうさせるんだよ」
「……え?」
「……血?」
ディックスが俺達の答えを待たずに口を開く。血…血縁?何故……。
「血がよぉ、言ってくるんだよ。この馬鹿みたいな迷宮を完成させろって、ダイダロスの血がざわつきやがるんだ!!」
「っ――」
「……あーね」
カース、魔法の類か?もしくはもっと別の何か…。まさか血まで改造するとは。
「居てもたってもいられねえ!ダイダロスの血が駆り立てやがる!」
やっぱダイダロスってクソだわ。バベル建設の功績はあるけどダイダロス通りとかクノッソスとかでその功績全部パーにしてるもん。
「このゴミみてえな薄汚い場所で生まれた時からそうだ!クノッソスが、『手記』に書かれた『設計図』が、俺達を引き摺り込んでドロドロに溶かしやがる!誰も逃れられねえ!この血の呪縛からは!」
恐ろしいものだ。生まれた時から、生き方を強制されてる人生。呑まれてしまえば楽しめるんだろうけど、もっと別の生き方を探したい奴からすれば地獄そのものだろう。自由なんて無い。
「ふざけてんだろう、なぁ!?俺に命令して良いのは――俺だけだろうが!!」
……まあ、この男の場合はちょっとその自由を求める意志が強すぎるんだろうけど。
「……俺はこんな
禿同。異端児達にとっても人間にとっても良い物じゃない。ま、完全に制圧できれば何か良い活用方法が見つかるかもだが…。
「俺は世界中の何よりも、この迷宮が憎い」
だが壊せねえ。血が止めるんだ。ダイダロスの呪いが。それどころか作品を完成させろって指図しやがる。
ディックスは淡々と語り、ゴーグルの上から瞳を押さえつけていた手を離す。
「一時期、ダンジョンに八つ当たりした時があったぜ。
「……!」
「だが、当然満たされねえ」
そうだろうな。ダンジョン=モンスターじゃない。モンスターはあくまでも地下迷宮に産み落とされ、生息する生物にすぎない。ダイダロス達を狂わせた元凶はあくまでもダンジョンだ。
「どうすれば俺は満たされるのか…迷宮を作りながらずっと考えていた、その時だったなあ、喋る化物共を見つけて、狩り始めたのは。確か……あぁそうだ、威張り散らしていた
15年前…か。俺が生まれるよりも前だ。
「普通のモンスター共とは違う。泣きやがる、命乞いをしやがる。ダイダロスを狂わせた、ダンジョンから産まれた化物共が、だ。……ははっ、たまらねえ」
……。
「俺は見つけたぜ、『呪い』に代わる『欲望』を!!」
ディックスは興奮し、右手の槍を一閃させる。
「あの化物共を辱め、泣かせて、絶望させて、ゴミクズみたいに扱ったところで、俺は初めて満たされる!!血の飢えを鎮めることができる!!」
「なっ…!?」
「ご先祖様の言う通り、俺は
……はぁ。
「快感だぜぇ〜!血に勝るって事はよぉ!?それは自分を超えるって事だ!酒も薬でも満たされねえ――最高の快楽だ!!」
……なーるほど。コイツ、手段と目的がいつの間にか入れ替わってたクチか。目的を…迷宮を完成させる為の
「そんな事の為に…!!」
ウィーネを。そうベルが言いかける。すると、ディックスの表情から笑みが抜け落ちた。あーあ。
「そんな事?」
突然、ディックスの表情から笑みが抜け落ちた。
「取り消せよ、ガキ」
「――っ!?」
「分からねえだろう、逆らえねえ血の衝動ってのが」
っと。逆鱗に触れられたディックスは、片手でこちらを突いてくる。力、感情任せの突き。しかし、その怒りを表すかのようにさっきよりも断然速かった。
「目の奥が焼け切れちまう程の、自分じゃどうにもならねえ『呪い』ってやつがなあ!」
紅槍の薙ぎ払いが俺達を襲った。
〜18階層〜
「っ……はあっ、はあっ…!」
森の中で、一人エルフが木刀を構えていた。周りには大朴刀を傍に投げ出したまま気絶しているアマゾネス、木に激しく打ち付けられ気を失っている水色の髪の女性。その他、紺色の短髪を土埃に染めた麗人、頭から血を流し気絶しているアマゾネス…、『ガネーシャ・ファミリア』の精鋭達。そして…エルフの目の前に、漆黒の怪物。
「っ!!」
そよ風が吹き抜け、それを合図にするようにエルフが走り出す。
『フッ!!』
怪物が手に持った
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
落下の勢いを利用し、渾身の力でリオンは木刀を下に押し付けた。が…。
「なっ…!?」
防がれた。角で。怪物の頭部に煌めく、猛牛のような紅い剛角で。そのまま怪物は力任せに、首を上に振り上げた。全力を受け止められ、その身体を宙に浮かせる事しかできなかったリオンは木に叩きつけられる。
「ぐぅうっ…!?」
しかし、それでもリオンの瞳からは戦意は消えない。それを確認した怪物はゆっくりと歩み寄り、ラビュリスを腕ごと上げる。
「っ――」
間に合わない。回避も防御も不可能。リオンは死を覚悟し、目を瞑る。脳裏には『彼』の顔が浮かんでいた。
「――――………」
何時まで経っても痛みが来ない事にリオンが違和感を感じて目を開けると、怪物は斧を下げ、森の中に消えていく。
「……待て…っ…!」
リオンの言葉に立ち止まり、首だけ振り返る怪物。
「…その先には、彼が…っ…!!」
痛みに耐え、立ち上がろうとする。だが、まるで身体が動かなかった。リオンは5年前の惨劇を思い出す。見るだけで何もできず、大切な人を喪ったあの時を。思い出してしまった。
「っあ…!待てっ、待てっ……!!」
怪物は一瞥すると、今度こそ森の中に消えた。
「くっ……クソっ…!クソぉっ…!!」
エルフの慟哭だけが、その場に響いていた。
〜人造迷宮クノッソス〜
「ま、そういうこった。俺は、欲望に素直になっただけの人間なんだよっ!」
「くっ…!」
「はぁ…っ…!」
っ…そろそろ精神力がキツい。あとポーションは2つだけ…コレを使えば後がなくなる。
「なあ、リトル・ルーキーはダメだったがよ…お前なら分かんだろ?ブラック・バルバロイ。お前も、形は違えど血縁に苦しめられてきたじゃねえか」
「…!」
ッチ。嫌な話しやがって…!
「お前も、『上』に全部吸われたもんなぁ?才能も、力もよ!アストレア・ファミリアに
「……!」
「ロイさんが…?」
……さっさと片付けよう。俺とコイツは違う。違うんだ。
「……俺とお前は違う。」
「いいや同じだ。血に苦しめられ、嫌になって反逆した!今でも憎いだろう、自らを苦しめる『血』が!!」
「反逆?お前は欲望に任せただけだろ。始まりは反逆心でも、結局は欲望に身を委ねた。俺は人間、お前は獣だ。」
「ひっでぇなぁ!?獣は
「いいや獣はお前だよ。欲望に任せて異端児達を
「………そうか、てめえもイカれちまってんだなぁ?」
「当たり前だ。冒険者にイカれてない奴なんて居ない。」
殺して稼ぐ職業やってるのにイカれてないはありえない。
「ぐっ!?」
「っ!?」
「お?お仲間の方は限界みたいだな?」
っち…!此処でか!ラーニェ達が押され始めた。フェルズは囲まれて分断されてるし、今此処で救援に向かわなければ…!
「良いぜ行けよ。だが、リトル・ルーキーは置いていけ。用がある。」
「っ…ロイさん、僕は…大丈夫です…!」
「……頼んだ。」
…救援に向かった。
リュー・リオン 原作よりも少し口が悪くなっている。誰のせいなんだ…?(すっとぼけ)
ロイ・■■■■■■■■■ この秘密はもう少し後で。