ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
〜ダイダロス通り〜
…さて、とりあえずは…っ!
「ふんっ!」
『ァ………ぁ?』
「っ!ウィーネ!」
槍だけなら今頃抜け出されていただろうが、ライラさんのワイヤーがある。抜け出される前に額に宝石を戻した。眠ったウィーネをベルに渡す。
「良いか、言わんでも分かってると思うが全力で逃げろ。このダイダロス通りの複雑さを活かせば、少なくともLv3以下の冒険者なら巻ける筈だ」
「ロイさんは…?」
「徹底抗戦。時間を稼ぐ」
「…相手はロキ・ファミリアですよ?」
「だから全力で逃げろって言ったんだ。数分は稼ぐがそれ以上は保証できない」
「……分かり、ましたっ!」
「っ、追え!」
ベルが逃げ、周りの冒険者が追う。これで良い。このまま2人で徹底抗戦しても全滅だ。
『――オオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
「武装したモンスター!」
「やはり、リヴィラが壊滅した騒ぎとは無関係じゃないみたいだね…」
「ロイ……!!」
団長達がこちらを見てくる。……今は構っている場合じゃない。
「……リドと、レイか」
「…ロイっち、俺達も戦うぜ」
「死ぬぞ」
「覚悟の上です。それにフェルズも援護してくれる」
……っち。どいつもこいつも…。グロスが降りてくる。
「ロイ。敵との戦力差は」
「10…いや、20、30倍は開いている」
「……それ程、ですか」
「残念ながら嘘や冗談の類じゃない。俺等全員で特攻しても、勝率は1%を切る。それは変わらない。アステリオスは?」
「もうちょっとで来る。あ、アステリオスが深層で知り合ったすげぇ新入りも一緒らしいぜ」
「新入り?種族は?」
「分かんねぇ。でも多分骨系だ。スパルトイじゃねぇか?」
スパルトイ一人追加した所で……いや、もうやめよう。そろそろあちらも来る筈だ…おっ、フィンさんがこっちを見た。
「……さて。ロイ。君には色々と聴きたいことが出来てしまった。一緒に来てもらおうか。」
「……このモンスター達『全員の』身元を保証してくれるなら、大人しく同行しますよ」
「残念ながら、保証しかねるね。僕たちは冒険者、モンスターは殺さなきゃいけない」
「ですよね。じゃ…」
「……本気、みたいだね。アリーゼ、彼を無力化する必要があるけど…」
「…待って。話をさせて」
…団長。
「……ロイ、どういう事?何でモンスターを庇ったの?」
「……言えません」
「ダメ。言って。貴方と戦いたくない」
「なら、このまま帰ってもらえませんか?」
「無理よ……私達は、アストレア・ファミリアだから。分かるでしょ?」
「…ええ。でも、それでも、言えません」
「…分かった。貴方が、モンスターを、庇う、ならっ……!」
団長がクリムゾン・オーダーを抜く。……さて、互いに5年前ならまだしも、今の俺達じゃ差が有りすぎてヤバいだろう……っと、全員来るか。
「ロイ」
「輝夜さん」
「……お前にも、理由があってこうなったのだろう。だが、私達は冒険者だ。
「……黙ってやられる訳にはいかないので」
輝夜さんが刀に手をかける。ライラさんは無言だが、手製の爆弾を取り出していた。メイスは…正直武器に関しては相手との性能差が有りすぎて鍔迫り合いになったら間違いなくこっちが先に折れるが、元々身体能力で惨敗しているので問題無い。……よし、行くか。
「………っ!」
「……!」
腕のボウガンを展開、矢を早撃ちする。輝夜さんが切り捨てようと抜刀するが…。
「っ!?」
爆発する矢だ。矢じりにはサイズが小さくて売れ残った火炎石を仕込んである。リド達もアイツとお師匠以外のロキ・ファミリアの面々と交戦を始めた。
「ウォォォォッ!!」
「リザードマン、ね…」
リドと
「余所見する余裕があるのか?」
「っっ!!」
はっや!?当たり前だけど5年前よりも速え!輝夜さんの神速の剣技を持ち前の視力で何とか避け……!
「っぐっ!?」
後ろから直剣の斬撃が結界に直撃した。団長か…いつの間に後ろに…!
「…っっっ!!!」
全力で右に跳躍。更に後方から投擲された爆弾を間一髪回避した。っと…!
「ロイ!」
「…自分に集中しろ!!」
レイの相手は
「……喋るモンスターか。絆されたのか?」
「それもあります…よっ!」
「それはもう見た」
矢を放つも回避される。昔から鎧に頼らず自らの剣術のみであらゆる敵と渡り合ってきた輝夜さんの回避能力は一級品だ。不意打ちか初見の攻撃じゃないとまず当たらない。
「ロイ…お願い、降伏して。貴方を斬りたくないの……」
「できない相談ですね団長。こっちにも引けない理由があります」
「……っ!――はあっ!」
「ぐっ!?」
結界のヒビが大きくなる。クソったれ…ちゃんと結界に傾斜付けて逸らしてるのに…。まだ、
「……オラよっ!」
「っっ!!」
休む間もなくライラさんの爆弾が飛んでくる。当たったら間違いなく吹っ飛ぶ。消耗を避ける為にも、極力被弾は少なくしなければいけない。
「……はあっ!!」
「ふっ!!」
剣撃を何とか避け、矢で牽制しながら時間を稼ぐ。矢は残り十本そこら…もう後がない。発煙筒は残っているが、正直今の状況で使った所で…っと。
「落ち…があッ!?」
『――――――――――ッ!!』
いつの間にか背後を取られていたレイを矢で援護。
「てめぇッ!!」
「よっ!」
「当たるか…ッ!?」
向かってくる
「はあっ!!」
「フッ!!」
「っ゛!?」
団長達の左右からの剣撃か。結界で受けるが思わず怯んでしまい、その隙に爆弾が飛んでくるが…。
「「!?」」
「2名様…ご案なぁぃっ!!」
団長達に武器ごと組み付き、拘束。俺は結界があるが、団長達は違う。突然の事で固まる団長達と共に爆弾を受けた。ゲホッ…!!
「っっ…!はあっ…あー痛え…。」
「……バケモンかよ」
「いったぁっ…!」
「やはり…油断は大敵だな…!!」
ライラさんにバケモン呼ばわりされるが、自爆は俺の十八番なのだ。多少は勘弁してほしい。
「っっ…オイバカゾネス!!さっさとそいつ潰せっ!!」
「アレ?何か苦戦してる?」
「アリーゼ達が?珍しいわね…」
「いっくよーっ!!」
…ダブルブレードか。珍しいな。
「やあっ!!」
「……はっや。」
…Lv.6か。遠心力の力もあって圧倒的な速度ど威力の剣撃が次々と襲ってくる。が、どれも直線的だ。武器のサイズもあって余り細かい動きはできないらしい。
「当たんなーい!アルゴノゥト君みたーい!」
「アルゴ……?っとっ!!」
「っち…!慣れてるわね…!!」
「ふっ!!」
「っと!!」
「っ!」
「ぐっぁ…!?」
団長の剣撃を何とか避けるも、輝夜さんの刀は避けきれずに被弾。峰が腹に叩き込まれる。意識が飛びかけた。
「ぐぅっ……はあっ!!」
「ええっ!?」
「空き瓶!?」
ポーションの空き瓶をメイスで殴り飛ばす。ガラスの破片が肌を裂く礫になり、アマゾネス姉妹に向かう。
「でもっ…!?」
「避けろ!!」
当然それだけじゃ止まらないだろう。なので『奥の手』だ。意図的に結界の魔力を暴走させ、
「っ!!!」
「…燃え尽きろ、外法の業ってな!!」
身を焼き焦がす魔力が暴走を始め、辺りを白い閃光が埋め尽くした。
プライマルアーマー出したんだから、アサルトアーマーも…。