ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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ラスボス

 

〜アストレア・ファミリア本拠 星屑の庭 団欒室〜

 

「えーっと、それでは異端児帰還作戦の作戦会議を始めます。皆々様、お手元の資料を」

 

ヘスティア・ファミリアの面々、ヘルメス、アスフィさん、アイシャさん…そしてアストレア様に団長とライラさん、その他呼びかけて来てもらった人…椿さんにヘファイストス様、それにミアハ・ファミリアの主神、ミアハ神に眷属のナァーザさん。最後にタケミカヅチ・ファミリアのタケミカヅチ神とその眷属の人達全員。以上の人員が集まった。勿論フェルズとレイも居る。

 

「…はぁ!?何これ!?」

 

「ロキ・ファミリアの布陣と対幹部戦の大まかな作戦についてですが?」

 

「いや、これ会議じゃないの!?もう決まってるじゃない!?」

 

ちっちっち…甘いなぁヘファイストス様も。

 

「と、思うじゃないですか?でも良く見てください…一人だけ作戦内容が書かれていない奴が居るでしょう?」

 

「………剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインか。」

 

「タケミカヅチ神大正解!え〜…はぁ、明るいのは疲れるな…いやマジで疲れます。もうむりぽ…」

 

「こらこらへこたれんなロイ。アタシが付いてるんだぞ?」

 

「やったあライラさん大好き!……じゃあアイツどうしたら良いんですか?」

 

「………///」

 

ライラさんが目を逸らす。やっぱりかぁ…、やっぱり対策ないのかぁ…。

 

「…あの、アイズさんって…それ程、強いんですか?コレだけの人が集まったんです、ちょっと足止めするくらいなら……あ、アイズさんが弱いって言ってる訳じゃなくて…!」

 

「あ〜分かってる分かってるリトル・ルーキー。説明するから待ってろ。剣姫は…確かに、『とある条件』を達成しない限りは正直このメンバーだけでも、椿と数人が出張れば何とかなる。『とある条件』を達成しなければな」

 

「その『とある条件』とは?」

 

ライラさんの言葉にミアハ神が反応する。ま、気になるよな…。

 

「俺がアイツ…いや、アイズの近くに居ないこと。具体的に言えば有視界程度、手の届く範囲内にいない事。逆に言えば、ロキ・ファミリアはこれを目指してくる。」

 

「ロイさんが…?」

 

「……どういう事です?ロイ様と剣姫は、一体どういう関係で……?」

 

っす〜…はぁっ。やっぱり聞いてくるよなぁ…。

 

「……えーっと、先ずは俺は…その。」

 

 

 

 

 

アイツ……剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインの弟です。

 

 

 

 

 

…はぁっ!?

 

 

 

 

うーんやっぱりこうなるかぁ…。

 

「…えーっと、ご質問があれば」

 

「えっえっえっ…!?」

 

「ベル様が壊れました!何とかしてくださいヴェルフ様っ!」

 

「俺かよ!?俺鍛冶師だぞ!?せめて薬師に頼れよ!!」

 

「いや我々としてはロイの出自の方が気になるのだが…?」

 

「はいベル深呼吸…ひっひっふー…」

 

「それは妊婦にやる奴ですナァーザ様!」

 

ミアハ神は本当にその通りだと思いますすいません。リリはツッコミご苦労。

 

「…いや、私は知ってるから驚かないけど」

 

「ヘファイストス様!?」

 

「オラリオ暗黒期からこの都市に居るなら、剣姫の弟は結構有名な話よ?まあ一年ちょっとで消えたし、その後もっと大きな事件が起こったから覚えてる子は少ないでしょうけど…」

 

「……確かに、リリも聞いたことはあります。でもあんなの都市伝説や噂の類だと思ってました」

 

「でしょうねえ…でも、その弟…ロイが当時の剣姫の強さの秘密なんて知らなかったわ。ヘルメスはどうなのよ?」

 

「俺は知ってたぜ?最初っからロイ君とアイズちゃんの追っかけだったからな…そして当然、アイズちゃんのスキルの事も知らされてる。ウラノスとロキから都市の最重要機密として伝えられてたから、誰にも言えなかったのも事実さ」

 

「……それでロイ、そのスキルとは…。ロキ・ファミリアが…等級Sのファミリアが総出で目指すほどの、圧倒的なスキルとは何なのですか?」

 

アスフィさんが神妙な面持ちで聞いてくる。辺りが静まり返った。

 

「…資料の2ページ目をご覧ください」

 

各々がページを捲る。驚愕の視線が紙に突き刺さった。

 

「なん……ですか、これ…!」

 

「…出鱈目が過ぎるよ!」

 

「残念ながら全部事実です。俺がアイズ・ヴァレンシュタインに捕まった場合、コレを相手にしながら戦わなければいけません」

 

リリとアイシャさんが戦慄する。資料の2ページ目にはスキルの内容だけが記されていた。

 

スキル

 

風の宝(アリア・テゾーロ)

血縁者からの親愛を受けている間、以下の効果の自動付与。

・早熟する。

・スキル保持者の親愛が続く限り効果持続。

・スキル保持者の親愛の丈により効果向上。

 

血縁者が近くに居る場合、以下の効果の自動付与。

・一段階の階位昇華(レベルブースト)

・全能力値(アビリティ)に超高補正。

・体力及び精神力(マインド)自動回復(オートヒール)

・風魔法の効果向上。

 

嫌悪の感情を抱かれている血縁者が戦闘可能状態で近くに居る場合、以上の効果の減衰に加え、戦闘時半永久的に体力・精神力が低下。

 

「レベルブースト…!?」

 

「まさか…そんな…!?」

 

「えーっと更に悪い事に、コレに魔法…【エアリアル】の効果も乗ります。異端児と相対した時はもう一つのスキル、復讐姫(アヴェンジャー)の強化も乗るので…まあ人間相手なら全部発動する事は無いんですが、仮に全部発動した場合、このオラリオでも勝てるのはオッタルさんだけです。」

 

そう、タチの悪い事にこのスキル、エアリアルや復讐姫の効果と重複するのだ。エアリアルのスピードと防御力、復讐姫のパワーで強化した後にこのスキルが発動してしまえば……どうなるかは想像に難くない。

 

「……分かった。で、どうするんだい?まさか全員でタコ殴り…なんてバカな真似はしないだろう?」

 

「勿論。アイズ・ヴァレンシュタインについては…俺と、ベルで相手します」

 

「……分かり、ました」

 

「『嫌悪の感情を抱かれている血縁者が近くに居る場合、以上の効果の減衰に加え、戦闘時半永久的に体力・精神力が低下。』……コレを利用するしかねぇ。聞いた所この効果は、ロイが近くなればなる程強くなるらしいからな。通常時でも止めきれる保証が無い以上、最大限近づけるだけ近づいて、2人で足止め、その他の幹部も皆で足止め、その隙にフェルズが異端児達を連れて迷宮に撤退だ。」

 

ガレスさんも居るし、椿さんにはそっちを相手してもらうしかない。と、なるとその次に強い戦力…俺達でアイズを足止めする。

 

「作戦内容はライラさんと俺が考えた物ですが、はっきり言って足止めできれば何でも良いので自由に変えてもらって構いません。使える物は何でも使い、都市最強達に勝利をもぎ取る。コレだけを忘れずに頑張ってください。作戦会議は以上。解散!」

 

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

 

 

〜広場のベンチ〜

 

会議後、ベルに広場に呼び出された。ベンチに2人で座る。

 

「……で、話って何だ?ベル」

 

「…アイズさんとの、事です」

 

「……ありがとな」

 

配慮がありがたい。あえて皆の前では聞かなかったのだろう。

 

「いえ…その…」

 

「……」

 

「……ロイさんは」

 

「?」

 

「ロイさんは……その、アイズさんの事、嫌いなんですか?」

 

「………うーんと」

 

ベルが悲しそうに聞いてくる。うーん……。

 

「僕は…その、アイズさんに、憧れて、恋焦がれて此処まで頑張ってきました。特訓も特別に付き合ってもらって…いつかあの人の隣に立つ為に、此処まで頑張ってきたんです。ロイさんは、僕が向けている感情(モノ)とは違うかもしれませんけど、それでも…アイズさんを、愛して居ないんですか?」

 

「……愛して居ない、とは少し違う。」

 

「…?」

 

愛して居ないなら、アイツの事なんて今頃頭の片隅にも置いていないだろう。もしかしたら忘れてるかも。好きの反対は無関心…と言うやつだ。

 

「……愛してると言うと、それも少し違う。少なくとも今の俺は……アイツを敵として見てるし。」

 

「……複雑、なんですね」

 

「…ああ。でも、アイツみたいになりたいと…物語の英雄みたいになりたいって思って、俺はアイツの元を離れた。あのまま後ろをついて行っても、自分が腐りそうで怖かったから。5年前はハッキリ嫌いって言えたんだけどな…今は分かんないよ」

 

「そう、ですか…分かりました。ありがとうございます」

 

ベルが頭を下げ、戻っていく。……はぁ。

 

「…ヘルメス。何の用です?」

 

「お?バレてたか。流石だね」

 

「何の用かって聞いたんですけどね…」

 

「いや、少しお話をね?ベル君と同じようにさ」

 

今度はヘルメスが隣に座る。何なんだ一体…

 

「本当は、僕は異端児達を犠牲に君達を英雄として祀り上げようとしてた」

 

「……ああ、だから手記だの鍵だの隠し持ってたのか」

 

団長から聞かされた時は思わず顔を顰めた物だ。やはり喰えない神である。

 

「まあね。でも、見事に君のファミリアにバレちゃってね。ウラノスと話してる所に突撃されて、何もかもおじゃんさ」

 

「…それを言うために?」

 

「それもある。けど、そうじゃない。実は異端児達のあの騒動以来、ダイダロス通りで惨殺された遺体が次々と発見されているんだ。」

 

「……惨殺?」

 

「あぁ。アステリオス君は無闇に殺すような奴じゃないし、レイちゃんが言っていた新入りだと思うけど…何か聞いているかい?」

 

「いいや全く。そっちが持ってる情報と違いないよ」

 

「そうか…うーん…」

 

新入りが…?でもスパルトイっぽいしな。できなくは無い。けど…アステリオスがその辺伝えてないとは思えない。わざとか…?

 

「どうする?話し合いは通じるんだと思うけど…でも、何か妙何だよね。」

 

「妙?何が?」

 

「ん〜…何か、誰か誘き寄せるような…。ま、旅人の勘だけどね。何も知らないなら良いさ」

 

「…ま、もう動かせる戦力は居ないし。その場で対応するしか無いだろ。場合によっては…まあ、団長達にも動いてもらわなきゃかもだがな…」

 

「そうだね…じゃ、これで」

 

惨殺死体…今の所異端児達は善性の者しか居ないけど、もし悪性だった場合は…。

 

 





〜現状確認〜

Lv.3 ロイ・ヴァレンシュタイン

力 F 321

耐久 E 455

器用 F 301

敏捷 D 501

魔力 D 503

【魔法】なし

【スキル】

撲殺蛮族(バルバロイ)
打撃で敵性存在を排除した場合『力』と『敏捷』上昇。
連続排除の場合は更に効果向上。
上昇する効果に上限無し。

黒隠(ナイトシーフ)
暗所、または黒色を布面積の80%以上身に纏った場合、結界魔法の自動展開。
結界魔法の硬度は魔力のアビリティに比例。
スキルの発動には精神力を消費。発動中は継続的な消費。
単独での戦闘時に精神力の自動回復。

【????】

【???】



〜他派閥との関係性〜

ヘファイストス→5年前に1回だけ防具を作ってもらった。その他には特別な感情は無いし、相変わらずヴェルフLOVE。

椿・コルブランド→特に無し。ガレスの付き添いで1回だけ顔を合わせたことがあるが、当時は特に印象にも残らなかった。今回の助っ人参戦もヴェルフがヘファイストスに頭を下げた結果。

ヘルメス→信用も信頼も尊敬もしていないが妙な所で気が合う。お互いに利用し合う仲。アスフィの件で借りがある。

アスフィ・アル・アンドロメダ→ヘルメスに言われて主人公に魔道具の製作を教えた。死の7日間で主人公(アストレア・ファミリア)に助けられ、それなりに恩義を感じている。恋愛感情は無し。

ミアハ→顧客と店主。主人公が何かと金欠でディアンケト・ファミリアのポーションを買えない事が多々あった為、値段が比較的安いこっちで購入していた。

ナァーザ→顧客と店員。ビジネストークしかしたことがない。特に何もなし。

タケミカヅチ→今回が初対面。とは言えタケミカヅチの方はミアハから予めある程度聞いていた。良くもなく悪くもない。

タケミカヅチ・ファミリア→同上。



アイズ・ヴァレンシュタイン→実姉。幼少期に色々あり、ロクに話し合いもしないまま最愛の存在である主人公が改宗、別れることになった。アイズ視点ではずっと話したいと思っていたが、ロキやリヴェリアの説得により我慢を続けていた。5年前主人公が戦死したと聞いた時は危うく首を吊りかけたらしい。今回の件で再会できたものの、今度は自分が心の底から憎んでいるモンスターを庇われて混乱の渦に囚われている。


次回はロキ・ファミリアかな?

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