ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
〜リリルカ・アーデ視点〜
皆様、リリルカ・アーデです。私は今、迷宮都市の一角で迫真の囮をしています。ですが…。
「グレイス・サギタリウス!」
「ピッ!!」
「リ…ロイさん!!」
死にそうです。うわぁぁぁぁぁぁ!?おのれあの陰険キチガイ黒フード蛮族めっ!!!一生恨んでやるっ!!!
「アルクス・レイっ!」
「うああっ!!」
フェルズ様の魔道具でロイ様の結界を擬似的に再現しているからまだ耐えられてますけど、それがなかったら終わってますからね!?本当に何考えてるんですかあのクソ野郎は!!
「くっ…ファイアボルトっ!!」
「ヴィア・シルヘイム」
ベル様が魔法で応戦するものの、
「やぁっ!」
「おあーっ!?」
「ロイさん!!」
「ん〜…?リヴェリア、これ本当にアイズの弟?あの時とは雲泥の差なんだけど…」
「しかし、魔法はちゃんと…」
(でしょうね流石フェルズ様ですっ!)
偽装の魔道具までキッチリ装備させられた。魔道具に関してはほぼ何でもありになっている。でももう嫌だぁぁぁあ!!
「もう限界だっ!!」
「リ…ロイさん!?」
ベル様が信じられない物を見るような目で見てくるが無視。ありったけの煙幕と発煙筒、撹乱用の手投げ弾をばら撒いてハデス・ヘッドを被る。
「うわっ逃げられるってリヴェリア!」
「レフィーヤ!」
「アルクス・レイっ!!」
!?!?あンのクソエルフっ!!後で覚えてやがれですっ!!あっちょ当た……!?
「まっ…たっ 助け! おあーっ!?」
めのまえがまっしろになった!!
〜ヘスティア視点〜
……さっきからサポーター君の宝玉から凄まじい怨念が昇って来る気が…いや気の所為だ。気の所為だと思おう。
「アスフィ君!もうちょっとだ!」
『了解しました。……まさか
『深いため息だねぇ。気が滅入るからやめてくれよ』
『無理です……だから嫌だったんですよ
こっちもこっちで凄まじい怨念が…ヘルメスの所の子は悲惨だね…。まあボクも人の事言えないけど。(借金的な意味で)
「春姫君は大丈夫かい?」
『っ…はいっ!』
流石にLv.3〜4の集団に付いていくのは堪えるだろう。だが、彼女の妖術は絶対に欠かせない。唯ですら離れているのだ、少しでも埋めなければ。
「…そこだ!そこの角を左!」
「了解。通信を中断します」
さて、なるべく稼いでくれよ…!!
〜アステリオス視点〜
迷宮街の路地に地獄絵図が広がっていた。辛うじて皆生きては居るものの、血の匂いが辺りを満たしている。そしてその中に漆黒の体躯と紫紺の少女が一つずつ。
「やっぱり、最高じゃない?地上に来て良かった!」
「……お前も、再戦を?」
「うんっ♡ダーリンと、
「……俺も、似たような物だ」
正直この女と一括りにされるのは嫌だったが、自分もやる事だけを見たらそう変わらないので弁明は諦めた。
「ねぇねぇアステリオスっ、ダーリンはどんな感じだったの?私気になるっ!」
「……ふむ。」
あの男……ロイについてか。
「強い男だ」
「むぅ…そんなの分かってるもん!」
それ以外は…。
「……俺の、好敵手を想起させた。素早く、捉えにくい」
「うんうんっ!本当に速いよねぇ…全然当たらないし♡」
冒険者達の力…恩恵無しでリド達に喰らいついた時は正直驚いた。人は、彼処まで至れるのかと。
「アレでまだ発展途上。愉しみだ」
「んふふ…やっぱりダーリン、素敵…♡」
肩の女が恍惚とした表情で彼方を見上げる。……俺はコレと同じなのか。少し肩を落とし、暗闇を進んだ。
〜ベル・クラネル視点〜
っ…!やっぱり速い!絶え間ないダブルブレードの連撃が迫ってくる。
「強くなったねアルゴノゥト君!でも、これでぇ…おしまいっ!」
「っあ!?」
壁に叩きつけられる。肺から空気が押し出された。それと同時に…。
「あ、これって…!」
「手記と、鍵か。」
ベルトに付けたポーチのロックが外れ、中から金属球と小さな手帳が零れ出る。
「うーん…でも、偽物って可能性もあるよね?」
「ああ。だが、持っていくしかない。コレを逃せばいつ手に入るか分からんからな…」
リヴェリアさんとティオナさんが鍵と手記を回収する。コレで騙されてくれると良いけど…。
「それではな。…そちらから襲ってきたのだ、傷は自分で治すと良い。」
「…ベル・クラネル。後で必ず話を聞かせてもらいますからね」
「私は残るよ〜?」
「……」
リヴェリアさん達が離脱する。っ…ポーションを飲もう。ティオナさんの目は有るけど、まだやる事はある。
〜ロキ・ファミリア本陣〜
「うん…これは」
「手記だ…本物かどうかは分からんがな」
妖精部隊の手によってロキ・ファミリア本陣に鍵と手記が届けられる。鍵は既に確認済みだ。偽物だったので一先ず保管された。
「うーん…ライラやロイがこんな迂闊な事するかな…?」
「…だが、異端児達が我々の知り得ない扉を目指しているのも事実」
実際、現れた異端児達の集団はロキ・ファミリアの知らない扉を目指しているようだった。
「ベートとティオネもヘルメス・ファミリアの妨害に遭っているようだし…困ったな。完全に切れる手札が無くなった」
「ガレスは?」
「今出したばかりだ。何が起こるか分からない」
「……」
現状、ロキ・ファミリアは手詰まりに陥っていた。ティオナはベル・クラネルの監視、ベートとティオネは妨害に遭い、ガレスは急行中だが何かされないとは思えない。
「兎に角、リヴェリア達はガレスと共に扉の守護に着いてくれ。ロイも何処から来るか分からない…出てきたモンスター達の数も少ないし、きっとまだ仕掛けてくるだろう」
出てきたモンスター達は少ない。恐らくは第一波…これから本隊が出てくるだろう。リヴェリアは頷くとフェアリー・フォースを連れて現場に向かった。
〜異端児視点〜
一方その頃異端児は。
「うおおおおっ!?」
「きゃああああっ!?」
リドとフィアの赤コンビに率いられた数人の異端児が陽動の為に走り回って(フィアは飛び回って)いた。矢や魔法の雨をくぐり抜け、脇道から出てくる冒険者達を躱す。
「居たぞ追えっ!!」
「あのハーレム野郎が庇った奴らだ!きっと碌でも無いぞ!主に異性関係が!!」
「というかモンスターにそう言うのあるのか…?」
「知らねぇよ!兎に角捕まえろっ!!」
金目当ての冒険者も居るが、大半がロイへの私怨で動いている。凄まじい執念だ。
「ロイっち恨まれすぎだろ!?」
「でも内容的にロイは悪くない気が…」
「そうだけどよぉっ!?」
リドが思わず叫ぶ。それもその筈、囮として二人が出てからはずっとコレなのだ。
「「「「ブラック・バルバロイ許すまじっ!!」」」」
「うおおおああっ!!」
「きゃあっ!?」
目を血走らせた男達が赤いモンスター二人に襲いかかる。とんだとばっちりである。
「ロイっちってまさかヤバい奴なのか…?」
「…もしかしたら…?」
当たりである。
〜アストレア・ファミリア視点〜
クノッソス南東の扉。其処には紅い髪をなびかせた剣士が立っていた。アストレア・ファミリア団長、アリーゼ・ローヴェルである。
「突撃するわ!Go・Go・Go!!」
「団長、本当に良かったんですか?ロキ・ファミリアとの関係にヒビが……」
「良いの!元々あっちから持ちかけて来た話だったし、この程度で絶縁する程フィンもバカじゃないわ!」
セルティが魔法を放ち、アリーゼが出てきたモンスター達を焼き祓いながら前進する。炎の
「私達は此処で極彩色のモンスターを狩り続けて、開けておけば良い!南西はアーディ達が何とかしてくれる!完璧ね!!」
「声が大きいぞ団長!聞かれたらどうする!?」
「聞かせておきなさい!聞かれたところでどうせ手出しできないわ!バチコーン☆」
『『『イラァ…!!』』』
聞き耳を立てるロキ・ファミリアの団員達の額に青筋が浮かぶ。確かにそうなのだが、もう少し言い方を考えて欲しいと思うセルティと輝夜だった。
「兎に角、サーチアンドデストロイ!Go・Go・Go!」
「ああもうっ!!」
暗い通路の中を前進した。
〜闇派閥視点〜
「ん〜…ちょっと予想外だねぇ。喋るモンスターの方に行くと思ってたけど…」
クノッソスの奥、迷宮の大広間でタナトスが呟いた。闇派閥からしたら、今のアストレア・ファミリアの行動は謎だった。こんな利益の無い消耗戦に加勢するより、喋るモンスター達を追いかけて鍵を手に入れた方がよっぽど有意義だからだ。
「まあ良いや。モンスター達の方に行かないならこのまま消耗してもらおう。どんどん出しちゃって〜」
「ははっ!」
今にも鼻歌でも奏でそうな声色で、タナトスが命じる。死神の使徒は走り出した。
「バルカちゃんも、協力お願いね」
「…無駄な時間だ。だが割かなければいけない労力でもある」
広間の中央にある大紅玉を、『D』が刻まれた目を光らせながら操るバルカ。彼もダイダロスの系譜の一人だ。バルカ・ペルディクス。名工の一族の人間は、気怠そうに扉の開け閉めを繰り返してモンスター達を迷宮の外に導いた。
「そっちがそうするなら、こっちはこうする。何を考えてるのか知らないけど、嫌がらせしながら別働隊で鍵は回収させてもらうよ」
タナトスはクスクスと笑い、石の天井を見上げる。上で四苦八苦しているであろう敵勢を思い浮かべ、笑みを加速させた。
「……それはそれとして、
「……噂は聞いて居る。大抗争の時に随分と暴れたそうだな」
「うん。この場にヴァレッタちゃんが居なくて良かったよ…真っ先に殺しに行ってただろうからね」
「……なら、彼処で死んだのは幸運だったという事か」
「そうかもねぇ…」
遠い目をして邪神は深いため息をついた。
〜原作キャラとの関係性〜
アステリオス→それなりに高評価。一緒に居た期間こそ短いものの、それなりに話したし主人公が異端児達を支援している所を見た。深層で会った新入りを見て、自分を客観視できるようになりげんなりしている。
ヴァレッタ→既に故人だが、主人公の事を死ぬ程憎んでいた。具体的に言えばフィンの次くらいには。ベートに殺されなければ此処で憤死する羽目になっていたかもしれない。
闇派閥→オラリオで何処からともなく生まれた蛮族が引き起こした 『大抗争の惨劇』(秩序側から見たら奇跡)から7年。
闇派閥は、ブラック・バルバロイ許すまじ派、ブラック・バルバロイ怖い派、そんな事よりも現状を何とかしようぜ派の3つに分かれ、混沌を極めていた……。
男性冒険者の方々→ブラック・バルバロイ許すまじ!!!こっちは別に混沌を極めておらず、団結している。欲望全開の男どもに、アストレア・ファミリア+αは冷めた目(養豚場の豚を見る目)で見ている。