ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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迅速、狡猾、暗殺者の調べ

 

〜ダイダロス通り 西〜

 

えー、やってまいりましたダイダロス通り西!僕は今…。

 

「あ〜…ちょい右。…もうちょい右。よーそろー」

 

『投下します』

 

レイに頼んで小麦粉を投下してもらっています。え?何でそんな事してるかって?それは後ほど…。

 

『それでは、これで帰還しますね。頑張ってください、ロイ』

 

「サンキュ。じゃあね」

 

レイには元々残りの異端児達を見てもらっていた。残りと言うと、イケロス・ファミリアに捕まっていた、戦闘経験の少ない異端児達である。あくまでも戦闘経験が少ないと言うだけで戦えはするので連れてきたそうだが…相手は歴戦のロキ・ファミリア達だし、流石に相手が悪い。今回は残念ながら戦力外なので、一箇所に固まっていつでも逃げられるようにしてもらっている。

 

「さてと…。」

 

双眼鏡を取り出し、そこそこ高い建造物の上から白く染まった路地を注意深く観察する。あんな粉まみれでも目立つんだよ。緑髪のハイエルフは。……ほら彼処だ。

 

「お師匠に、千の妖精(サウザンド・エルフ)純潔の園(エルリーフ)道化の魔書(ロモワール)…わぁ勢揃いだ」

 

何人か知ってる顔も居るが…それにしてもえげつねえ大戦力だな。戦争でもするんか?(すっとぼけ)

 

「……行くか。」

 

地面を蹴った。

 

 

〜リヴェリア視点〜

 

上空から大量の紙袋が落ちてくるのを確認した私は、素早く指示を飛ばした。

 

「これはっ!?」

 

「全員固まって動くな!防御陣形!」

 

エルフの集団が陣形の間隔を狭め、防御を固める。モンスター達は…既に居ないか。

 

「ゴホッ!ゲホッ!」

 

「くっ…吸ってしまいました…、ゲホッ!」

 

辺りには粉が充満している。普通の路地なら風が吹いて粉を攫ってくれるだろうが、ここは迷宮街の路地。複雑に繋がれた道はそれだけで風の進行を妨害する。

 

「ゲホッ…詠唱は…無理か…ケホッ!」

 

粉が気管支を刺激、発声を妨害する。これでは詠唱したくてもできない。

 

「何で…!?耐異常のアビリティは…っ!」

 

「耐異常のアビリティは毒や病などにしか反応しない…ケホッ!」

 

アビリティの盲点を着いた戦略。加えて魔道具と違い、市販されている唯の小麦粉だ。数の調達も容易い。幾つ飛んでくるか分からない。

 

「全員近接準備!円陣だ!周囲を見張れ!」

 

各々が杖を、短剣を構える。何処から来る…!?

 

「っ!?っが…!?」

 

「シフォン!」

 

「っ…大丈夫です!」

 

矢…?鏃の部分に木製のキャップが付いている。気絶させる為の非致死性の鏃だ。

 

「一体何処から…!?」

 

全員で目を凝らす。噎せ返るような不快感の中、頭を回した。

 

 

〜ロイ視点〜

 

「……。」

 

ふむ。流石ロキ・ファミリアだな。陣形の構築が速い。手慣れてる。だが、狙いは一つ、時間稼ぎ。リド達が逃げ切れる時間を稼げればそれで良い。防御に専念するなら、こちらも何もしない。

 

「…ゴホッ、…全員、円陣解け!元の隊列を維持しながら前進!」

 

バレテーラ。うーん…まあ良いか。粉ゾーンを突破したら攻撃開始だ。魔剣を構える。エルフ相手だろうと知ったこっちゃない。

 

「……良し。」

 

前進し始めた。魔法でリド達を探知される前に仕掛けるか。

 

「――――鳴神」

 

クロッゾの魔剣…ヴェルフ作、『鳴神』を振り下ろす。剣先から電撃が迸った。

 

 

〜リヴェリア視点〜

 

粉の煙幕を抜け出た。息を整えて詠唱を始めようとする…が。

 

「防御っ!!」

 

雷鳴が空気を切り裂く。咄嗟に指示を出すが…。

 

「かっ…!?」

 

「くっ…!?」

 

二人持っていかれた。電光が身体を打ち抜き、気絶させる。

 

「上だ。全員近接戦闘っ!!」

 

「遅い」

 

声と共に丸い物が投擲される。爆弾か!

 

「散開!」

 

「くうっ…!!」

 

隊列の中心に投擲された。避けようと散開し、列が崩れる。そこに…。

 

「恨みは無いが、仕事なんでな」

 

黒い影が飛び込んだ。

 

 

 

〜ロイ視点〜

 

鳴神から放たれた雷鳴が空気を切り裂く。

 

「かっ…!?」

 

「くっ…!?」

 

二人。電光が身体を打ち抜き、気絶させる。

 

「上だ。全員近接戦闘っ!!」

 

「遅い」

 

させない。立て直されたらこっちが負ける。素早く爆弾を投擲する。ダミーだけど。

 

「散開!」

 

「くうっ…!!」

 

狙うは隊列の中心。部隊が避けようと散開し、列が崩れる。そこに…。

 

「恨みは無いが、仕事なんでな」

 

飛び込む。優先目標を探した。…其処か!

 

千の妖精(サウザンド・エルフ)、覚悟!!」

 

「私ですか!?」

 

あったりまえ。お師匠の後継候補なんて危険人物放置しておけるか。スキルや魔法の内容は詳しくは分からんかったけど、目撃情報的にどうせ他のエルフの魔法使えるとかやろ。

 

「させん!皆のもの、かかれ!」

 

「鳴神!」

 

「「「きゃっ!?」」」

 

鳴神で雷をばら撒きながら突進する。途中で魔剣は砕けるが、問題無い。元から使い捨てだ。空いた手も合わせてメイスを大上段に構える。

 

「くっ…レフィーヤ!」

 

「っ…!」

 

杖を上に掲げて防御姿勢を取る千の妖精(サウザンド・エルフ)。…近接は弱いのか。やっぱり後方魔導士だな。直前でメイスを手放し、顎目掛けて拳を振るう。

 

「なっ…っ…ぁ…?」

 

「おっと」

 

崩れ落ちる身体を地面にそっと置く。よし逃げよ。もう十分だろ。

 

「囲んで叩け!」

 

「よっ」

 

「!止まれっ!?」

 

またもや爆弾を取り出す。今度は本物だ。閃光弾だけどね。

 

「それでは皆様さようなら」

 

「ま…っ!!」

 

閃光弾を足元に叩きつけ、ダッシュで退散した。

 

 

〜リヴェリア視点〜

 

っ…やられたな。レフィーヤが…いや、兎に角今は。

 

「…被害報告!」

 

「レフィーヤが気絶!他、魔剣によって魔導士2名が同様、周囲に麻痺多数!」

 

「リヴェリア様、此処は一旦…」

 

「ああ。回復だな…魔法の使用は控えろ。アイテムで対処!」

 

動ける者達がポーションを取り出し、負傷者の治療を始めた。

 

「しかし、まさかこんな大胆に奇襲してくるとは…」

 

「ロイにとって此処は庭のような物だ。我々の油断だな」

 

「しかも、あの魔剣は…!」

 

「…クロッゾの魔剣だ。相手にはヴェルフ・クロッゾが居るからな」

 

らしいと言えばらしいが…少しは遠慮しろ、全く。

 

「…ふふっ」

 

「…リヴェリア様?」

 

「…すまない、何でもない」

 

「何でもない顔じゃないですよ…?」

 

最後に戦場で会ったのは…大抗争の時か。成長したな…。

 

 

〜ロイ視点〜

 

ふーっ…特に危なげもなくやれた。お師匠相手に彼処までやれたのだ、少し嬉しい…いや、かなり嬉しい。

 

「あ〜。こちらロイ、こちらロイ。戦闘終了、魔剣1本、閃光弾一つ喪失も被弾無し(ノーダメージ)。ヘスティア神、リド達は?」

 

『さっすがロイ君!!リド君達はもうかなり離れた!暫くは安心さ!』

 

「了。他の戦況は?」

 

『ロキ・ファミリアの部隊が動き始めた。ロイ君が派手にやってくれたからね…例の地点に向かっている』

 

「作戦通りですね…ベルと合流します」

 

『分かった。僕はリド君達の誘導に専念するよ』

 

さ〜て。もうちょいだな。

 

 

 

 

 

 

 

〜アイズ視点〜

 

迷宮街の一角。暗闇の小路に美しい黄金が歩いていた。

 

「……ロ、イ…」

 

瞼を閉じれば暖かいユメ。瞼を開ければ冷たい現実。自らが欲しい物は目の前に無く、ただ其処には霧と静寂が有るのみ。

 

「……行かなきゃ」

 

行って、もう一度、もう一度だけ。もう一度だけ…いやこれからも、永遠に。もう、行かせない。ずっと一緒に。

 

「待ちぃ」

 

「……ロキ?」

 

「おぅ。アイズたんの永遠の主神、ロキさんや」

 

「…今は、そう言うの良いです」

 

「悪い悪い。ちょいといつものクセがな?」

 

いつもの細目が少し空いている。その他は…変わりない、ように見える。でも、寒い。

 

「で、ロイた…ロイに言われた事ちゃんと考えてきたか?」

 

「っ……」

 

少し空いた目の中に、眼光が奔る。こちらの全てを撃ち抜いてくるような視線に、思わず身体を震わせた。ロイに、言われた事。ロイか、モンスターか。最愛の肉親か、滅殺(ねがい)か。どちらかを選ばないといけない。でも、嫌だ。選べない。私にとっては、どっちも必要な物。そうだ。どっちも、必要……な、筈だ。

 

「アイズ、選んだんか?どっちか。それとも、どっちも手に入れる方法、考えてきたんか?」

 

「………」

 

「……できんかったみたいやな」

 

朱色の髪が揺れ、ロキは肩を落とす。その通りだった。できていない。私は、選べないし、見つけられてない。

 

「なら、ウチが言える事は一つや。戻りぃ。館に戻って、留守番しとき。会ったらダメや。今会ったら、絶対にヤバイ」

 

「……なんで」

 

何でそう言う事言うんだ。何で…!

 

「もう、子どもや無いんやロイも。ちゃんと覚悟決めて、ちゃんと考えて、悩み抜いて、それでも答えを出して彼処に居る。それをアイズ一人のフラフラの力で踏みにじったらアカン」

 

「…やだ」

 

口が、勝手に開く。あぁ、やめて。こんな事言いたくない。ダメ、止まって。私はこんな事言う為に…。

 

「ダメや。戻り。主神命令や」

 

嫌だっ!!!

 

ぁあっ…!

 

「嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ!!何でそんな事言うの!いっつもそう!大事な事は隠して、私に教えてくれない!私はあの子のお姉ちゃんなのに!リヴェリアもロキもフィンもガレスもっ!!ロイの事聞いたらいつも誤魔化す!何で私だけ仲間外れなの!?何で私だけ……っ…!!!」

 

「アイズた…」

 

 

 

 

私だけっ!!会えないのっ!?!?

 

 

 

 

 

止まらない。いや、止まらなくてもいい。もう知らない。もうどうでもいい。私はただ、あの子に会いに行くだけ。

 

「私はただ会いたいだけなのに!!家族に会って、話をしたいだけなのに!!何でダメなの!?何でいけないの!?誰も話してくれない!!リヴェリアの言いつけを必死に守って、毎日たくさんモンスターを倒して!!強くなった、Lv.6にもなった!!なのに何で!?何でなのっ!?!?答えてよっ!!」

 

「それは…ッ…!」

 

「……やっぱり、そうなんだ。何時もそうだよね。ロイの事を聞くと、皆辛そうな顔をして何も答えてくれない」

 

もう良い。自分で聞きに行く。それしか無い。

 

「待ちっ!!マジでダメなんや今は!!本当にマズいんや!!」

 

「……五月蝿い」

 

「っ…!」

 

ロキが縋り付く手を離す。ようやく自由だ、ロイを探そう。脚に力を込める。

 

「ま、待ちっ…!」

 

すっかり晴れた夜空に駆け出した。

 

 





〜ロイ君の脳内〜

レフィーヤ→放っておいたらヤバい奴1。攻撃防御索敵回復ができるだけの器用万能。コイツに自由行動される時点で不安要素が倍増する。部隊行動してくれたのが唯一の良心。

リヴェリア→お師匠。放っておいたらヤバい奴2。攻撃防御索敵回復ができるだけ(ry

ラウル→放っておいたらヤバい奴3。指揮系統がコイツが居るだけで立て直される可能性大。さっさと潰さないと後々面倒。

レイ→タクシー件爆撃機。空を飛べるってだけで優勝。もうコイツの彼氏でええか…あっちょ団長待って冗談だって冗だ


〜補足説明っぽいなぐり書き〜

アイズ→うわ出た(遂に)。ラスボス系お姉ちゃん。たぶんこの作品で一番曇ってる人。最愛の弟とのんびりモンスターぶっ殺し生活してたらある日突然全て取り上げられた。それからはリヴェリア達の言う事をちゃんと聞いて我慢していたが、今回のあんまり過ぎる再会で遂に大爆発。誰か止めてやってくれ(できるのなら)

ロキ→神なのに人の心がありすぎる人。この作品で2番目くらいには曇ってる。リヴェリアマッマは同率2位。まあそのせいでアイズを止められなかったんだけどね☆(人の心とかないんか?)

ロイ君→蛮族系主人公。諸悪の根源。コイツが何もしなければ『ロキ・ファミリアは』安泰だった。姉弟喧嘩勃発秒読み。

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