ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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うわでた。




裏ボス

 

〜ロイ視点〜

 

「っ!ぐっ!がっはっ!?」

 

「…!!」

 

容赦無い細剣の峰打ちが身体を叩く。あ〜…ヤバい死ぬ。

 

「…お願い、其処をどいて。お願いだから…!」

 

「ゲホッ…、まだまだだ……!」

 

あ〜…肋骨はとっくの昔にお亡くなりになった。鎧は手甲は割れ、チェストプレートもヒビが入っている。まさに満身創痍…。

 

「斬る、よ…?」

 

「そうか…!」

 

遂に来たか。剣が突き付けられる。

 

「すごく、痛いんだよ?だから…」

 

「……答えは、変わらない…!」

 

「………!」

 

徹底抗戦。元々彼処で果てる筈だった命だ。今更何を躊躇う事があろうか。友の為世の中の為。傷跡を新しく作るなんてもう慣れた。

 

……っ!!!

 

剣が迫る。月光が反射し、切っ先が白く煌めいた。

 

 

 

「――――――――――待って!」

 

 

 

その直後。目の前に青い衣の剣士が降り立つ。……アーディか。

 

「……貴女は」

 

「…ガネーシャ・ファミリア、アーディ・ヴァルマです」

 

「何の用…?」

 

「これ以上の戦闘は、駄目です」

 

「……バカ、言えっ、コイツを行かせる訳には…!」

 

「ロイは黙って」

 

「………」

 

有無を言わせぬ物言い。思わず口を閉じてしまう。

 

「……ロイが其処を塞ぐ限り、私は斬らなきゃいけない」

 

「分かってます。此処は、行ってください」

 

「……おいっ、勝手に話進めるな…!」

 

「駄目だよロイ。これ以上は、駄目。嫌な予感がする」

 

「……はぁ?」

 

嫌な、予感だと?アーディの言葉に首を傾げる。

 

「……この場は、お互いに此処までにして下さい。お願いします」

 

「……通れるなら、私は、良い……でも」

 

剣が、糸が切れたように下げられる。肩を落とし、奴は次の言葉を紡いだ。

 

「ロイ。私…君の事、諦めた訳じゃないから」

 

「……上等だ、いつか、俺もっ、お前を超えて…!!

 

超えて、手に入れる。理想の世界を。去っていく背中を睨みつける。己の嫉妬(原点)がざわめいた。

 

 

 

〜ロキ・ファミリア視点〜

 

「………そうか」

 

「すまん…」

 

バツが悪そうに眉を下げる主神に、小人族の団長はため息混じりに肩を落とした。

 

「リヴェリアにどう言おうか…いや、今からでも止めるか…?」

 

「無駄や…物陰から見たけどもう始めてしもたわ。あんまり酷い事言わんとええが…」

 

「言うな……は酷だね。お互いに溜めすぎた」

 

「せやなぁ……もうどうしたらええんやあの二人…!」

 

「なるようになるしかないね……」

 

既にロキ・ファミリアの動かせる幹部は居ない。ベート、ティオネは足止めを喰らい、ティオナは行方不明。ガレスは未だに氷が解除できず、リヴェリアは異端児達に撒かれた後、闇派閥の相手をしている。モンスター目的にしろ喧嘩の仲裁にしろ、他のロキ・ファミリアの団員ではLv.3以上が犇めく戦場を攻略するのは厳しいだろう。詰みだった。

 

「…兎に角、既にリヴェリア達が追っていたモンスターの一団は見失ってしまった。ロイとベル・クラネルが護衛していたと言うモンスターの一団は……正直、今の戦力で追っても返り討ちにされるだけだ。アイズに任せるしかない」

 

「もう追わんで良いと考えると気が楽なんやが…」

 

「そうだね…そもそも今回の戦いはこちら側に利益は無い。これからの事を考えると、此処は引いた方が賢明だろう」

 

星々も徐々に消えている。このダイダロス通りでの騒動も、終わりを迎え始めていた。

 

 

 

〜ロイ視点〜

 

日が昇り始めた早朝。朝焼けに照らされ始めるダイダロス通りの一角で、アーディと治療を始めていた。

 

『えーっと、聞こえるかいロイ君?ロキ・ファミリアの団員達が撤収を始めたそうだ。取り敢えず一段落って事で良いんじゃないかな?』

 

「そうですね……アイズは?」

 

『ベル君が何とか説得できたよ…ウィーネ君にも頑張ってもらう事になったけどね…』

 

助ける筈の女の子に助けられるとは…情けないが、良かった。これで終わりか。

 

『お疲れ様だね…皆よく頑張ったよ』

 

「ヘスティア神も。お疲れ様でした」

 

あ〜……マジで疲れたもうやりたくない。ストレスしか無かったな…。

 

「お疲れ様。はい、エリクサーだよ」

 

「サンキュ」

 

……ぷはっ。あぁ^~身体にエリクサーが染みるんじゃぁ^~。

 

「……それで、嫌な予感だけど」

 

「…あ」

 

そう言えばそんな事言ってたな…えっまだ続くんです?

 

「まだ続くのかぁ……」

 

「そんなしょんぼりしないでよ…こっちまでしょんぼりしちゃう」

 

2人揃って(´・ω・`)する。だってもう疲れたもぉん。

 

「兎に角、誰かと合流しようよ。流石に二人だけだと…」

 

「そうだn………!?

 

 

その時。身体に妙な悪寒が走る。隣を向くとアーディも青褪めた顔をしている。…これは。

 

 

「ロイ、アーディ!!」

 

「リオン!?」

 

「お前アストレア様はどうした!?」

 

リオンはアストレア様の護衛に着いていた筈。

 

「すみません、抜け出してきました!それよりも嫌な予感がして…!」

 

「俺等もだ。何だコレ……いや、コレは…!」

 

知ってる。俺は、俺等はコレを知っている。だが、何故だ!?此処はダンジョンじゃない。此処はあの薄気味悪い穴ぐらじゃない。そもそも奴は完全に殺した。俺が火炎石で吹っ飛ばした!

 

「……………ぁ?

 

「リオン!?」

 

リオンが膝をつく。気付いたらしい。アーディはあの場に居なかったからな。コレを知らない。

 

ロ………イ………コレは…!!

 

「アイツだ…何故かは分からんし知らんが、来てる!」

 

「リオン!?アイツって、誰なの!?」

 

「5年前の俺の死因だ!!」

 

っ…!?

 

アーディが更に青褪める。即座に全員得物を抜いた。

 

『ロイ君!ベル君がアステリオス君と……って、どうしたんだい!?』

 

「……ヘスティア神、お願いが」

 

『お願いって……?』

 

「団長達を、呼んで下さい。なるべく早く」

 

『ちょっと待ってくれ、アリーゼ君達にはオクルスを渡してない。時間がかかるよ?』

 

「構いません。なるべく早く!Lv.5以上の冒険者を、なるべく早く!」

 

『分かった!』

 

通信が切れる。走らせてしまったかもしれない。だが、仕方ない。下手すれば全滅もありうる相手だ。

 

ロイ、逃げましょう…無理です、勝てません…!!

 

「気持ちは凄く分かるがリオン、逃げる方が無理だ。そもそも姿も見えてない、何処に逃げるかも……」

 

 

見つけた♡

 

 

…おっと。

 

 

 

〜バベルの塔〜

 

「……っ!?」

 

「フレイヤ様!?」

 

「如何なされましたか!?」

 

バベルの塔、最上階。一人の美神が冷や汗を流して立ち上がった。滅多な事では余裕の笑みを崩さない彼女が、目を見開いて外界の一点を見つめている。侍女達は突然の反応に、ただ聞くしかできなかった。一人を除いては。

 

「……ヘルン!」

 

「はっ」

 

「ヘイズと…アレンにダイダロス通り南東に向かうように伝えて。ロイを死なせないで!」

 

「…御意のままに!」

 

焦りの表情を浮かべて退出するヘイズ。周りの侍女達は呆然としていた。フレイヤは何とか腰を降ろす。

 

「…………!」

 

「フ、フレイヤ様?」

 

「いったい何を…」

 

焦っているのか。そう聞き終わる前に、ダイダロス通りの一角から炎が上がった。

 

「…何が…?」

 

「……マズい事になったわ」

 

先程と変わらずにある一点だけを睨みつけるフレイヤ。其処には輝く魂と赤黒く染まった魂があった。

 

 

〜ロイ視点〜

 

透き通るような白銀の髪に、紫紺のフレアドレスを纏った可愛らしい少女。だが、纏うオーラが少女の姿には似合わない、階層主のソレだった。

 

やーっと見つけた……ダーリン♡

 

「……お前にダーリンなんて呼ばれる筋合いは無いね」

 

「わ、さっすがダーリン♡私の事分かるんだ〜♡」

 

分かるに決まってんだろ、この5年間お前のツラ忘れた事なんて……いや、見た目は大幅に変わってるか。でも、リドの奴、何がスパルトイだ。詐欺も良い所だぜ。

 

「ち、近づくなっ!!近づいたら…!!」

 

「……ん?あぁ、あの時の情けないバカ金髪じゃない。そんなに凄んでもちっとも怖く無いよ?」

 

「……友だちを、悪く言わないで貰えますか?」

 

「……何このオンナ。ダーリン、浮気?」

 

そして何だこの…甘ったるい声は。オラリオ中の塩をかき集めて口に含んでも中和できないだろう。それぐらい甘ったるい。殺しに来たとは思えないし、砂糖吐きそう。

 

「……友だちだ」

 

「………まあ良いわ。ダーリン、私…何で此処に居ると思う?」

 

「……何でだ?」

 

嫌な予感。でも、ただ逃げたいなら此処に来る必要は無い。つまり…。

 

殺し(愛し)合いにきたの♡」

 

「……やっぱりね」

 

はぁ…あのイカれ姉妹と言い、俺の敵はイカれた奴しか居ないのかね……。お前だけが癒しだよサソリ君…ごめん嘘お前も恨んでるわ。諸悪の根源的な意味で。

 

「……どうしよ」

 

「え〜…?ヤッてくれないの〜?」

 

「言い方」

 

疲れてるんだよこっちは…いやエリクサーは飲んだけどさ。

 

「……帰れって言ったら?」

 

「帰らな〜い♡」

 

「逃げたら?」

 

「追いかけて殺す〜♡」

 

知ってた。……死んだかもな。

 

「……リオン、行けるか?」

 

「っ……はいっ…」

 

うーん膝が笑ってる。駄目そうだな。

 

「…アーディ、リオン連れて下がれ」

 

「良いよ〜?邪魔しなければ見逃してあげる。さっさと逃げなよ」

 

「……分かった」 

 

「ま、待って…待ってアーディ!ロイを独りにしてはいけない!待って、まって…!やめ、離してっ…!

 

推定Lv、おおよそ7の上から8の下。異端児になってから魔石でも喰らったか?想定外だ…確実にあの時よりも強くなっている。ポーションは潤沢に有るが、飲む暇が無いだろう。単独戦闘になるから精神力は気にしなくて良いが。

 

「駄目っ、ロイっ……やめ、やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

「――――」

 

「―――♡」

 

集中。相手から送られてくる熱っぽい視線を一身に受け止め、駆け出す。

 

 

…アハッ♡

 

フッ!!

 

 

剣と戦鎚が交差した。

 

 

 





〜原作キャラとの関係+本編だとたぶん書くことが無い裏話〜

ジャガーノート(30階層の個体)→メインヒロイン()本編の一年前くらいに異端児化。元々イレギュラーなモンスターだったので特に人型でも無かったものの、女の子になった。見た目は某小聖杯のアイツ。ただしあっちよりもゴリゴリの前衛器質。

サソリ君→サソリ。7年前に主人公と交戦。アルカナムを手に入れて調子に乗っている所をボコされた。ロイ君が天敵。ロイ君からも割と恨まれている。

イカれ姉妹→クレイジーサイコシスターズ。大抗争前に何度か交戦。大抗争は普通にヘディン達にボコされたものの、姉妹達が主人公と相思相愛()だった為にあまりにも気が散りすぎて半ば呆れられるような形で捕縛、投獄された。主人公生存の報を聞いて嬉しすぎて絶頂したらしい。年齢差的に笑えない。

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