ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
〜ロイ視点〜
朝焼けの迷宮街に黒い影が三つ。凄まじい速度で攻防を続けていた。
「やるな羽虫」
「そっちもね猫ちゃん!」
「………ゲホッ」
俺は休憩中。本音を言えば此処で気絶してしまいたいが、任せっきりにしたら後が怖い。ポーションも無いし、我慢だ。
「待っててねダーリン!もうちょっと愉しんだら
「余所見か?」
「キャッ…!?」
やはり都市最速は伊達じゃないな。あのジャガーノートが押されてる。まあ力量差もかなりあるんだろうが…。
「……」
だが、そろそろ日が昇る。この戦いが公になる前に、決着をつけたい。もっと増援が欲しいな。
「ロイっ!!」
「何だお前か…」
そして我が姉。今見たくなかったんだが。
「ロイ…血が、あっ、ナイフも…!」
「ゲホッ……まぁ、いや、かなり頑張った方だ…!」
「見れば分かるよそんな事っ…!」
こちらを見て涙を浮かべる。さっきまで喧嘩してたんだがな…。
「……誰、誰がこんな事したの?」
「……おい、落ち着け。出てる出てる、
「無理。言って……いや、もう分かった」
グルン。アイズの首が180度右に。アレンさんと戦ってるジャガーノートに向く。
「アイツだね……殺さないと」
「殺すのは同意見だ…アイツは危険すぎる…ゲホッ」
此処で確実に殺さないと手が付けられなくなる。俺限定とは言え、人を平然と傷つける奴を生かしておく必要は無い。あの姉妹は紆余曲折有って監獄行きになったがな。
「ロイは此処で待ってて。私、ポーション持ってないから…」
「人を何処までも舐め腐りやがって…」
「ち、ちがっそんなつもりじゃ…!」
何が違うんだ?俺等を無傷で伸すつもりだったって事だろ。一々鼻につく奴だ。
「っち…まあ良い、手を貸せ。アイツは見た目だけ見れば最もヒューマンに近い、人目に付けば下手な勘違いされる」
「ま、まって動いちゃ…!」
「任せっきりはマズい……休憩は十分だ、俺も行く」
正直Lv.6二人に合わせるのは骨が折れるが…まあ、スキルも含めれば不可能じゃない。
「ダメだよっ、死んじゃうっ、また、ロイがっ、死んじゃう…!」
「これぐらいで死んでるならLv.3まで来てねぇよ…。しんどいのは事実だがな…!」
傷口が熱い。ナイフの異物感が、熱として伝わってくる。だが、身体は動く。
「……待って、やっぱり戦っちゃダメ…!」
「じゃあどうしろと…?もう朝まで時間無いんだぞお前…!」
「あっ…」
水平線の彼方には既に朝日が見え隠れしている。本格的に明るくなる前に終わらせなければ、場が混乱するだけだ。早く、早く動かなければ。
「……分かった、でも、無理したら止めるから」
「るっせぇな…分かってるよ」
「なら、良いよ」
さて…リベンジだ。
〜アレン視点〜
…っち。中々攻めきれねぇな。俺のスピードに付いてきやがる。
「楽し〜っ!」
「否定はしねぇ」
思えば久しぶりだな、俺と互角の奴は。魔法込みならこっちの方が上だが…魔法を跳ね返すらしい、迂闊に出せない。
(剣筋もおざなり、武器の使い方もなってねぇ。付け入る隙は此処だな。だが…)
時間が無い。夜明けまでは残り数十分。火力が必要だ。
「アレンさん!」
「やっと来やがったか」
後ろを見れば金銀姉弟。取り敢えず手数は増やせる。
「脚引っ張んなよ」
「前向きに努力します!」
「…!」
〜ロイ視点〜
あれから攻め続け、夜明けまであと3分。もう時間が無い。
「げほっ…!」
「ロイっ!」
「っち…オイ、此処でへばるくらいなら失せろ」
「大丈夫です…!」
吐血。既にインナーの下は傷から溢れた血で真っ赤だ。派手に動かないように努めていたが、やはりLv.6クラスの動きに付いて行くにはある程度派手にやらざるを得ない。
「「ロイっ!!」」
「っ…お、団長…やっと来た…!」
団長と輝夜さんだ。ラッキー。この2人が来てくれたのは本当にデカい。
「ロイっ、大丈夫……じゃないっ!何そのケガ!?」
「ポーションは使い切ったのか!?」
「多めに持ってきてたんですけど、全部…」
アイズとの戦いでも数本使った。多めには持ってきていたが、まさかLv.7クラスと連戦なんて想定していない。
「そんな貴方に癒しをお届けー」
「……うわヘイズじゃん」
「嬉しそうですね安心しました」
「思ってないな?」
そしてヌルっと現れるヘイズ。コイツとは……友達?くらいの関係だ。
「ふふ〜久しぶりに私に会えて嬉しそうですね?」
「………うん?」
「そこは疑問符なしでお願いしたかったです」
いや、うん、だってヘイズだし。別にコイツなら死にもしないだろうし、根本的な所は変わる事も無いだろうし。
「別にお前は心配してないよ」
「散々助けたのに?ちょっと傷ついちゃいますねー」
「必要無いだろ?お前なら。お前の強さは俺が知ってる」
「…………そう言う所ですよ///」
何かいきなり顔を逸らされたんだが。そんなにショックだったのか?
「……んんっ。それにしても、今回も派手にやられましたねー。私が居なければ失血死ですよ?」
「相手が相手だからな…しょうがない」
「ロイが此処までやられるなんて…あの子いったい何なの?」
「ジャガーノートです」
「「………………は?」」
「ジャガーノートです」
「「………………は?」」
マジです。あの女の子がクソ骨です。
「……本当か?本当に……アレが?」
「非常に残念ですけど、マジです。本当と書いてマジです」
「……なら、此処に来たのは」
「俺と
「……輝夜。生かして返さないで」
「言われるまでもない…!」
おっと怒らせちゃったな…やっぱり言わない方が良かったか?いや、何れバレる事だ。早い方が良いか。
「愛されてますねー。【ゼオ・グルヴェイグ】」
「サンキュ」
ふーっ…やっと楽になった。
「皆で叩けば殺れるかな…殺れるかな?」
「これだけの戦力が集まっても不安ですかー?」
「ぶっちゃけ不安」
いや、アレンさんとアイズで封じ込めていると言えば聞こえは良いけど、逆に言えば二人でも封じ込めるしか出来てないって事だからね?日が完全に昇るまでに殺れるかな…。
「ロイ、こうしている間にも時間は過ぎている。早く動くぞ」
「了解です…よし、行きます!」
屋根を蹴り、駆け出す。最後の攻防が始まった。
〜星屑の庭 主神の間〜
「ジャガーノートが異端児になっただぁ!?」
「………はい」
アストレア・ファミリア本拠、星屑の庭。アーディに支えられて何とか撤退してきたリオンは、別件で動いていたライラに報告を済ませた。
「っ〜!………はぁ、ふぅっ。っち…この小忙しい時に…」
「リオンちゃん、大丈夫?」
「ありがとうございます、マリュー…大丈夫です」
「リオン…身体震えてるよ?深呼吸して…」
「……」
リオンは俯いている。彼女の中には5年前の惨劇がこびりついていた。目の前で仲間が灰と化すあの光景。自らが冒険者を半分引退する原因になった、忌々しい記憶。
「………会いたい」
「リオン…?」
「彼に、会いたい……!」
「大丈夫よリオン、アリーゼも輝夜も行ってくれてる、今度こそロイは帰ってきてくれるわ…」
アストレアも慰める。心中穏やかでないのは皆同じ。それを分かっていてもリオンは震えを止められない。
「……兎に角、アタシらが行ってもどうにもならねぇ。今は待機だ。現場の処理も残ってるしな」
「そうね…大丈夫よ、今度こそ」
「………はい」
力無く希望に縋る五人。暗く沈む室内に反し、外は徐々に朝日に照らされていた。
〜ロイ視点〜
「フッ!!」
「遅いよっ!」
「…五光っ!」
「わっ!?」
上級冒険者四人、中級冒険者一人。現状この場に居る戦力の概要だ。オラリオに存在するファミリアの中でも上位の実力を持つ四人が集まって、共闘している。
「はあっ!!」
「っ!」
「よい…しょっ!!」
紅黄金のヒールロッドが、クリムゾン・オーダーが。奴の肌を掠め、姿勢を崩す。其処に…。
「死ね」
「っづっ!!」
アレンさんの槍撃が肩を穿ち抜く。やっとマトモに入ったか…。
「いったぁ…!やったなっ!!」
「ロイ!」
「っとぉ!?」
剣を素早く投擲してきた。ギリギリで回避。人型になってからと言うものの投擲も使うようになったから油断も隙もない。
「もう一回!」
「見えてるぜっ!」
「っく!?」
ナイフを2本生成して投擲してきたので、キャッチして投げ返す。流石に予想外だったのか、回避が遅れて1本が腕を掠めた。
「はぁっ…はぁっ…何かダーリン、強くなってない…?」
「アビリティ上がったんだろ。なんせLv.7クラスと二連戦だからな。二連戦だからなっ!!!」
Lv.7クラスと二連戦だからね。どっかの誰かさんがお姉ちゃん面しなければもっと楽になってたんだけどね!!
「ご、ごめんね…そうだよね、私なんか…!」
「こんな時に姉弟喧嘩すんじゃねぇ!!」
ごめんなさい。真面目にやります。泣き出したバカを放置して殴りかかる。
「はぁっ…まだ、まだっ!」
「息が上がってんぞ骨女!」
畳み掛けるなら今。今度こそ終わらせる。
「全員詠唱開始!」
「【金の車輪、銀の首輪】【憎悪の愛、骸の幻想、宿命はここに】」
「【禍つ彼岸の花】」
「【アガリス・アルヴェシンス】!」
「【
「【足りぬ輝き、至らぬ渇望】【傷つき、罅割れ、朽ちてなお、原野彷徨う虚な魂】【数多の死と三度の饗炎を超え、黄金の雫をここに】【アース・グルヴェイグ】」
アース・グルヴェイグは保険だが、他全員はコイツを確実に消し去る為に必要な物だ。俺も攻撃魔法があったらなぁ…。
「フッ!シッ…!はあッ!!」
「くっ、うっ!はっ!!」
アース・グルヴェイグの効果を利用し、突貫。傷ができるのもお構いなしにジャガーノートに殴りかかる。俺は時間稼ぎ。流石にあのメンツの魔法に混ざる勇気はない(そもそも足手まとい)。
「ふっ、ふふふっ!他の女の邪魔が入っちゃったのは残念だけど、今私とっても幸せ!」
「そりゃ結構でございますねぇっ!!」
剣の峰をフルスイング。しかしこの剣本当に折れないな。もうこのまま貰っちゃおうか。
「その剣を私だと思って、使ってねっ!♡」
「言われずとも使ってやるよっ!」
安物メイスよりは頑丈だろうし、峰打ち意識すれば使えなくもあるまい。スキル的には別に打撃であれば良いので、武器に拘る必要は無いのだ。コイツのドロップってのが癪に触るけど。
「アハッ♡どんどん速くなってる♡あの時に近いよっ♡」
「お前のせいだがな!」
まさか力を取り戻すキッカケが、コイツになるとはな…。因果か、因縁か…。
「……ねぇ、ダーリン。生まれ変わっても、私と
「当たり前だ。お前は俺が殺す。例えお前が何度生まれ変わろうと、俺が何度生まれ変わろうと…お前は、お前だけは俺が殺す。ダンジョンでも、地上でも関係ない。総て、尽く塵に還してやる!」
「………ダーリン、大好き♡!」
俺はお前の総てを赦さない。お前は存在してはいけないモノだ。
「お前に相応しいのは墓場だけだ。死ね!」
「もっと♡」
剣と剣が衝突し、火花が散る。朝日が奴の銀髪を照らし、星屑のような光が散った。そして…。
「ロイ!」
「うらあっ!!」
「きゃッ!?」
足払い。間髪入れずに下から掬い上げるように剣を振り、奴の軽い身体を宙に放った。
「あっ…♡」
「【グラリネーゼ・フローメル】!!」
「【ゴコウ】っ!!」
「【
「【
槍が、刀が、剣が。あらゆる魔法の奔流が、奴の身体を覆い尽くした。
〜原作との相違点〜
アイズ→お姉ちゃん(ロイ君非公認)。ロイ君が居れば
ヘイズ→ヒーラー(物理担当)。ロイ君との特訓で近接が大幅強化されている。流石に勝つ事はできないものの、魔法無しでも二、三十分程度ならヘグニとも互角に渡り合える。魔法有りなら普通にヘグニにも勝てる(ほぼ相性だが)
ジャガーノート→ヒロイン()。経験の薄さを突かれて敢え無く敗北。でも第一級冒険者五人相手にして此処まで粘ったのはヤバい。誰だよこんなの造ったの。ちなみにあと二、三年早く生まれていたら本格的にヤバかった。
今後の展開について。どっちが先の方が良いですかね?
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大抗争(アストレア・レコード編)
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深層編