ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
異端児編はひとまずコレで終わります。日常回を二つ挟んでアンケートで多かった方に突入するので、投票お願いします。
〜ロイ視点〜
結論から言えば、アイツは消滅した。流石に第一級冒険者の集中砲火には
「…………ふーっ。終わったぁ…!」
「ロイっ!」
「ロイ、ああっ…そうだよね、怖かったよね…!」
思わず膝から崩れ落ちる。ぶっちゃけ怖かった。未だに感覚だけは遺ってるんだよ。爪が腹に入ってくる感触。
「オイ、終わりじゃねぇぞ。あのガキ…【リトル・ルーキー】が例のミノタウロスと戦ってやがる」
「アステリオスですか………ちょっと待ってなんで?」
アイツ自体よく分かんない所が有るし。戦いたい奴が居るとかは言ってたけど………あ。
「………あ〜っ…、あ、そういう事かぁ…。なら仕方ないか…」
「ロイ、ベルの事何か知ってるの…?」
「えーっとだな、その、因縁ってやつ?」
「……っち、そう言う事か」
アレンさんも何か察したらしい。と言うか何かしたな?
「…ま、兎に角介入は無しでお願いします。アイツらも…色々有ると思うので」
「ウチは元々そのつもりですよー。フレイヤ様の神意です」
「…分かった。ロイがそう言うのなら、アストレア・ファミリアも介入しない」
流石っす団長。男心を分かってらっしゃる。我が愚姉は…。
「私は…ごめん、フィンに確認しないと」
「あ〜…うん、それはしょうがないか」
忘れがちだがコイツも組織人だ。上の確認は必要だろう。
「…えーっと、皆様御協力ありがとうございました。この埋め合わせは必ず…」
「そうですねー。貸し一つって事で手を打ってあげましょう。アレン様もそれで良いですよねー?」
「其処は俺の仕事じゃねぇ。テメェの債権だ、テメェが決めろ」
あら意外。Lv.6だから幹部にはなってると思ってたけど、そんなに出世してたんか?
「フィンはそう言うの気にしないと思うけど…一応報告しておくね。………また、会おうね」
「………あぁ」
コイツも…悔しいが貸しは貸しだ。コイツが危なくなったら適当に助けるとしよう。それが何時になるかは分からんし、そもそもそんな時が来るのかも怪しいが。ってオイ抱き着くなボケ。
「抱き着くな。俺はお前の恋人じゃない」
「恋人じゃなきゃダメなの?」
「ダメだろ。もう16だろ?貞操観念どうなってんだお前」
「…分かった」
お師匠…教育お願いしますよ。団長も居るんだから…。
「…じゃあね」
「………はぁ」
思わず溜息を一つ。やっと終わったという安心感、半ば良い所無しで終わったという虚脱感。一気に襲って来たそれらを、息に乗せて吐き出した。
「……鍛え直そ」
「ロイ…」
「……今は休め。それがお前のするべき事だ」
「…はい」
身体は大丈夫だ。前回に比べたら、ヘイズのお陰で無傷で終わった。でも、結局イケロス・ファミリアは止められなかったし、異端児達は少なからず傷ついた。課題は山盛りだ。
〜ベル視点〜
凱旋を示す勝利の雄叫びを挙げ、アステリオスはダンジョンの奥に消えていく。結果は、敗北。英雄の一撃も真正面から打ち破られた、完膚なきまでの敗北。
「………………敗けたん、だ」
唇から溢れた言葉が、塔の闇に吸い込まれていく。其処には冷たい現実が滲んでいた。
「『異端児』のみんなは……ロイさんは、助かったのかな…」
連絡手段であるオクルスは砕け散っている。故に此処から出ない事には現状の把握は難しい。そんな事は分かっているのに、不思議と動く気は起きなかった。
「これで、良かったんだ…」
都市を巻き込んで戦った事で、ウィーネやリド達はダンジョンに帰れた。自らが勝っていれば、アステリオスは仲間の元に帰れなかった。自分が敗けていなければ、彼はダンジョンにも、仲間の元にも帰れなかった。これで良かったのだ。これで………。
「……嘘だ」
自然に溢れる言葉。もう、止まらない。
「……そんなの、嘘だ」
熱い涙と共にぽろぽろと。少年の悔し涙は堰を切った。鼻の先が熱くなり、視界は滲んでいく。
「敗けて良かったなんて、嘘だっ…!!」
悔しい。ただただ、悔しい。異端児とか使命とか抜きにして、冒険者として、男としてあの好敵手に勝ちたかった。
「ふっ、ぁ、うああぁぁっ…!」
抑えきれない嗚咽が喉を揺らす。
アステリオスは言っていた。次こそが決着だと。まだ、勝負は依然として終わっていないのだと。彼は戦う理由を与えてくれた。異端児達に出会ってから心の何処かで迷っていた自分に、戦う理由をくれたのだ。強くなれ、と。強くならなければならない理由をくれたのだ。
――約束するよ。
――いつか、ウィーネ達と一緒に暮らせる世界を創るって。
――その為には、今より、もっと――。
強くなる。全て己が言った言葉。己が誓った約束。それを叶える為に、彼との決着を着ける為に。憧憬とは別の目標が出来た。いつか辿り着かなければいけない景色が見えた。後は、進むだけ。だから、今は。今だけは。
「うあああぁああああぁぁっ!」
泣こう。みっともなく、無様に泣こう。少年の嗚咽は塔の内部に消えていった。
〜ロイ視点 星屑の庭〜
「ただいま〜っす…」
雑な返事で適当に扉を開ける。あ〜ねむい…。徹夜なんて久しぶりだからな。ダンジョンに居た頃はしっかり八時間睡眠だったし、戦闘やトレーニング以外はほぼレイのおもちゃだった。要は楽すぎて身体が鈍ってたってことだな。
「「ロイっ…!!」」
「ロイ君!」
「……お帰りなさい、ロイ」
アーディにリオン、マリューさんにアストレア様。このおかえりが、一見何でもない事のようだが、実は一番尊い事だ。5年前に思い知った。
「……ただいまです」
「ロイ…!良かった、本当に良かった…!!」
「うっ…!?」
リオンが号泣しながら抱きしめてくる。身体は震えている。トラウマが再発したらしい。
「大丈夫、此処に居るよ」
「はい、はいっ…!!」
嗚咽を殺しながら密着してくる。背中に回される手は、俺の存在を確かめるようにぎこち無く動かされていた。
「よっ。おかえり、ロイ」
「ライラさん…ただいま戻りました」
柱に寄りかかって佇んでいるライラさん。カッコよ………いや、ちょっとウルッと来てるな。なんか俺に対してはカッコつけようとするんだよなぁ…いや、ちゃんとカッコいい時はカッコいいけどね?
「ほらリオン、玄関で抱きしめてやるな。先ずは団欒室にな?」
「っ…すみません…!」
リオンが背中側に回る………え?この状態のまま歩けと?あっそうですか…はい歩きます…。
〜団欒室〜
「【レア・ヴィンデミア】」
「おぉ〜^^」
思わず変な声が出てしまった。でもマリューさんの回復は本当に効くからな。流石都市第三位の治癒魔法使いである。コスパならあの二人と比べてもマリューさんの圧勝らしいから、めちゃくちゃ凄い人なのだ。
「……」
「……リオン?」
「…もう少し」
背中に顔を埋めて話すもんだからちょっとくすぐったい。あと身長差的にリオンの腰が心配だ。
「……えーっとだな。事情は把握してる。お前が帰って来たって事は、一応は収束したんだな?」
「えぇ。塵も残さずに消えました。」
「そうか…良し。リトル・ルーキー達も無事だそうだ。お前の事は伝えておくから、今日はもう休め」
「そうします…インナーもダメにしちゃいましたし」
流石にあんな血まみれのインナーは洗濯しても使えないだろう。出費がイタタタ…。
「それも後で買ってやるって。今は何も気にせずに休め。それとも、一緒に寝てほしいのかぁ?」
「……まあ、ライラさんなら」
「どういう意味だコラ」
だって、ねぇ?ライラさんですよ?ナニがとは言わないけど大きくないし、油断しなければ其処まで脅威じゃないし…w
「コラっ。其処までだよ、ロイ?罰として私が寝ちゃおうかな〜?」
「!」
「あらあら。なら、私も…」
「!!」
「ならついでに私も入ろうかしら?」
「アストレア様!?」
背中のリオンが叫ぶ。乗るなリオン!!戻れ!!!
「なっ…なら、私が!」
「「「「どうぞどうぞ!」」」」
「っ〜…!!!!」
ほら言わんこっちゃない。また乗せられてる。そんな簡単に乗せられてると敗北者になっちゃうんだよ?ロキが言ってた。
「うっ……行きますよロイ!」
「えっちょガチで行くの?」
「当たり前です!」
あっパワーの差が。Lv差が此処に来て響いてる!
「えっリオン本当に行くのちょっと待って、私も行きた…ゲフンゲフン、私の前でやらないで親友連行する羽目になっちゃうからぁぁぁ!?」
「離してくださいアーディ!エルフとして有言実行しなければ!」
「「リオン(ちゃん)落ち着いて!?」」
「アストレア様…私は、今だけは正義を捨てます!!」
「本当に落ち着いてリオン!?それは捨てちゃダメよ絶対に!ライラも何か言って!?」
「いや、もう良くないですか?だって輝夜の奴がバラしたんだろ?アレを」
「アレ…?」
「ロイをアストレア・ファミリアで囲っちゃおうって話」
あっ…あ〜…、アレか…(26話参照)
「!?!?ライラさん!?」
「あ〜…。アーディ、伝えてなかったけどマジだぞ?ほら、アタシ達も…その、婚期ってヤツがな?」
「Oh…」
思ったよりもグロい理由が…。そうか、もうこの人達もヤバいのか…。いやでもこんなに美人何だから引く手数多では…?
「ふふふ〜…ライラちゃん、それ以上はダメよ?」
「お、おう。まあ、兎に角そういう事だ。ロイ、頼んだぞ?」
「えーっ…いや、どうしよっかな…嬉しいは嬉しいけど…」
「私達じゃ不満なの…?」
いやそうじゃなくて。
「流石に照れますよ。美女に囲まれて毎日は…」
「「「「「…………」」」」」
あれ。シーンとなった。何でや。
「………お前ホントそう言う所だぞ//」
「何故…?」
「……ロイ君、反省しなさい///」
「ナズェ!?」
ライラさんとマリューさんに怒られた。凹む。
「……はいはい、冗談はコレまでにして、ロイも疲れてるんだから休ませてあげなさい」
「…そうですね、もうちょっと限界…」
「それではロイ、行きましょうか」
リオンに支えられて立つ。眠気が一気に来た。でもシャワーも浴びたい。さっさとしないと床とキスする羽目になりそうだ。
「それじゃ、おやすみなさい…。」
「「「「おやすみ、ロイ」」」」
〜人造迷宮クノッソス
人造迷宮クノッソスへの避難後、闇派閥の追撃を行なっていた
「ロイから君達の事は聞いている……正直、ソレを聞いたとしても僕は今までの総てを投げ打つ覚悟ができなかった。彼は幾度もしていたと言うのにね……だが、ベル・クラネルを見て、漸く踏み出す事が出来そうなんだ」
「…分かった、【
その場は静かな混沌で満ちていた。アリシア本人には理知あるモンスター…異端児の事は伝えられていたものの、その他の団員には通達されていないからである。
「……今回の件は、僕の方から近いうちに【ファミリア】全体に正式に通達する。それまでは今日あったことは口外無用だ。無論、ファミリアの外にも永劫漏らしてはいけない」
静寂が流れる広間に、フィンが指示を出す。怪我人の治療を終えた後、地上に帰還する旨を伝えると団員達はぎこち無く動き始めた。異端児達と別れた帰路、何かが喉につっかえたような顔をするような者、不安な面持ちで考え込む者。皆、様々な顔はあれど、フィンの決定に完全に同意している者は少ないだろう。……現段階では。
「…良かったのか?」
「…正直に言うと、良くはない。だが、今回、アリシア達が見た
「それに?」
「ロイとアイズが完全に仲違いする可能性も避けたい」
「そう……待て、『完全に』だと?」
「実はね…」
フィンはロイとアイズの間にあった事をリヴェリアに伝えた。と、言ってもアイズ本人から語られた事だが。
「そう、か。あの二人は…!」
「君のせいでは無いよ。リヴェリア」
「……分かっている」
「分かっている顔じゃないがのう…」
目に見えて暗くなるリヴェリアに、ガレスが怪訝な表情を浮かべる。とは言え、完全に仲直りの可能性が無くなった訳でもない。その曖昧さが、却ってリヴェリアの不安を煽っていた。
「兎に角、当面の課題はアリシア達のケアだ。モンスター殺害への躊躇…当の異端児達は構わないと言うだろうけど、それでも躊躇してしまうのが人間だからね」
「ベート辺りをどう説得するかも考えねばのぅ……アイズもじゃが」
「……アイズは、問題無い」
リヴェリアの意外な発言にガレスとフィンが一斉に視線を向ける。
「アイズは…今回の件で、今一度己の原点を見つめ直す事になる筈だ。実の弟との敵対…アイズにとっては一番堪えるモノだからな」
「なるほどのぅ。アイズも成長する時と言う事か」
「…確かにね。リヴェリア、二人の事は引き続き…」
「あぁ。任せてくれ。今回は不甲斐ない結果に終わってしまったが…今度こそ、あの二人を仲直りさせてみせる」
課題は山積み。しかし、状況は少しずつだが好転してきている。その火を絶やさぬよう、決意を新たにする三傑だった。
〜殴り書き〜
ロイ・ヴァレンシュタイン→自分で貞操観念が云々とか言っているが、所詮はアイズの弟なので基本的にクソボケ。助けた女ほぼ全員引っ掛けるが、クソボケな上に過去のせいで自己肯定感がイマイチ育たなかったので直接的な言葉か行動を起こされない限りは好意を向けられても気付かない。姉同様罪深い人間。
アイズ・ヴァレンシュタイン→原作同様恋愛と言う概念がインストールされていない。知識なら弟の方が勝っているが、弟も弟で前述の通りなので実際はどんぐりの背比べ。親愛ならあるのにね。
リヴェリア→マッマ。今回の件でかなり凹む。エニュオが何とかなれば本格的に仲直りさせようとしてくるだろう。姉弟が拗らせすぎなだけなのにね。
アストレア・ファミリア→(婚期的な意味で)ピンチ。ランクSのファミリアなので他派閥の男と結婚する訳にもいかないし、そもそもあんまり良いの居ないし…、という所で都合良く帰って来た性格も顔もイケメンな弟分に白羽の矢が立った。クソボケなのは今までの付き合いで分かりきっていたので、さっさと告って直接伝える方向にシフト。本人もまんざらではなさそうなので内心ホッとしている。
フレイヤ・ファミリア→貸し一つ。
今後の展開について。どっちが先の方が良いですかね?
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大抗争(アストレア・レコード編)
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