ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
ロイの優雅でもない休日
〜星屑の庭 ロイの部屋〜
「………」
「………んぅ」
……よく寝た。今何時だ……うわもう午後1時じゃん。お腹空いた。夜警明けみたいだな…似たようなもんか。
「…おーい起きろリオン〜。腹出すな風邪引くぞ〜?」
「………ぁ?ッッッッッッッッッ!?!?」
うわ凄い顔。完熟トマトみてぇ。
「ロッ、ロロロロロロロイ!?何で此処に!?」
「貴女が潜り込んだんですよ…?」
大丈夫かコイツ。思わず敬語になっちゃった。
「す、すみませんロイ……そうでした、私がっ、じぶんでぇ…!」
「………本当に変わったよな」
あのツンケンエルフは何処に…1分以上の接触は即背負い投げだったのに。
「うーっ……、あの、ロイ…起きませんか?」
「元よりそのつもりだよ……もう1時だぞ」
「なっ、そのような時間に…!?寝すぎましたか…」
「お互いに疲れてたって事だな」
何が悲しくてLv.7クラスと二連戦しなけりゃいけないんだ。そこら辺の冒険者なら過労死クラスだぞおめぇ。
「そんな…私は、その、お役に立てなかった…」
「無理もないだろ、あの状況なら。そもそもジャガーノートに関しては完全なイレギュラーだし、あの場に来るまではお前もアストレア様の護衛と言う仕事はしっかりこなしてたんだ、問題無いでしょ」
「ですが…」
「ですがもヘチマも無いの。お互い仕事をこなしてたのは事実なんだから、話はそれでおしまい。気にしちゃ駄目だよ」
リオンの本来の仕事内容はアストレア様の護衛であり、イレギュラーの対処では無い。そう言う意味でも、あの場の撤退は正しかった。
「……ロイ、貴方は…」
「?」
「貴方は、やはり尊敬に値するヒューマンだ」
「久しぶりに聞いたね…自分ではそうは思えないけどね」
「今はそれで良い。ですが、いつか貴方が自分を肯定できるまで…言わせてもらいます」
物好きな奴め。
「……さて、行きますか」
「はい!」
〜星屑の庭 団欒室〜
一先ず団欒室に。……アストレア様だけか。
「二人とも、おはよう。よく寝れたみたいね」
「「おはようございます」」
今日も笑顔が眩しい我が主神、アストレア様である。今日も綺麗だなぁ…。
「ふふっ…二人とも、ラブラブね。ちょっと妬けちゃうわ」
「アストレア様も美人ですね。だいぶ妬けちゃいます」
「……ありがとう///」
はぁ〜^^!何やこの人可愛すぎやろ!流石孤児院の健全な男子達の初恋キラーだ。見ろリオンお前とは格が違うぞ!
「……ロイ、調子に乗りすぎです」
「はいはい…あ〜…で、えっと団長達は…」
「アリーゼと輝夜、ライラはまだ寝ているわ。アリーゼ達はロイの一時間後くらいに帰還したから…まだ寝かせてあげてちょうだい。他の皆は買い出しに行ってるわよ」
買い出しか…そう言えばファミリアのメンバーとした事無いな。何か当番とかあるみたいだし。
「今日の晩ごはん当番は……あら?ちょうどロイね…」
「え、いつの間に組み込まれてたんです…?」
「ロイがクラネルさん達とダンジョンに行っている間ですね。掃除当番含めて組み直しました」
「じゃあ何回かすっぽかしてたりする…?」
「いいえ?ロイは今日が初めてよ?」
良かった。罰ゲームとかあるのかと思ってた。
「……ところでロイ、料理できるのですか?」
「できるよ?」
「くっ……わ、私みたいに不味かったりは…?」
「食っても無いのに失礼すぎるだろ。しないわ」
一応大抗争後の復興で炊き出しとかしたからね?避難民には好評だったから、味は問題無いと思う。
「…………仲間ができたと思ったのですが」
「そんな落ち込まれても……後でレシピくらいは教えてあげるから」
「…はい」
ちなみに何故俺がリオンのメシマズを知っているのかと言うと、二、三回くらい団長達が真っ青な顔でバベルの塔前に来た時があったのだ。その時は何事かと思ったが…輝夜さんが命からがら消え入るような声で伝えてくれた。それ以来俺はリオンの料理を避けるようになった。対異常を貫通する時点でヤバいからな。
「……ま、まあ取り敢えず!マリュー達が帰って来たらよろしくね、ロイ?」
「うっす」
ちょっと頑張るか。
〜星屑の庭 炊事場〜
………あの?
「「「じ~っ…!」」」
「……何か?」
「「「見てるだけ!」」」
何だこの人達。あれから、買い物に行っていたマリューさん達3人が帰って来たので、材料だけ運んでもらって調理に取り掛かったのだ……が。
「見られてるとやりづらいんですが…」
「いや、ロイがどんなオシャレな料理作ってくれるのかって気になっちゃって!」
此方アマゾネスのイスカさん。俺の
「気にしないでね」
クッソ緩い声を優しく奏でるのは
「頑張ってね〜」
そしてヒーラーのマリューさん。俺はこの人とアミッドには頭が上がらない。デカい事が起きると必ずお世話になる人だ。マリューさんが居なければ今頃俺は指の二、三本を紛失する羽目になっていただろう。
「……はあ、見てても良いですけど、刃物使うのでいきなり飛びついたりはやめてくださいね」
「「「はーい」」」
鍋に水を張り、肉の下処理を始める。のんびりしすぎても構わない(整える必要は無い)。
〜団欒室〜
「お腹空いたわ!今日の当番は………!?」
「どうしました団長殿…!?」
「おいお前等こんな所で止まん……何だこの美味しそうな匂いは!?」
食器を並べている所に、団長達が入室してくる。ナイスタイミングだ。
「おはようございます。ご飯ですよ」
「いや、見れば分かるけど……え、ロイが作ったの!?」
「はい」
当番だし。
「こ、こんな美味しそうなビーフシチュー…え、私作れない…」
「デザートにパンナコッタもあります」
「フルコース!?!?」
流石に其処まで豪華じゃないですよ…。でも時間はあったからしっかり煮込めた。ワインと調味料は元からあったし、肉と野菜は買ってきてもらった物だ。あとやっぱり楽。時間の確保とワインの量をミスらなければ後は煮れば良いだけだ。何ていい料理なんだろうか。全員が席に着く。
「何だか乙女としてすっごく悔しいような気分だけど…冷めないうちにいただきましょう!」
「「「「いただきま〜す!!」」」」
召し上がれ。
〜40分後〜
「「「「「「「ごちそうさまでした……」」」」」」」
「何でそんな暗いんです?」
シチューとパンナコッタは見事に完売した。だがやけに皆の表情が暗い。不味かった…ら完売はしないだろう。何で?
「乙女としての敗北感が…」
「何か凄い負けた感じ…」
「オシャレだしすっごく美味しかった…」
あっ成る程そういう…え、そんなに暗くなる程?
「私達、料理とかあんまり得意じゃないのよ…」
「アタシと輝夜はそこそこデキるんだけどな〜」
「団長殿が作った雑草スープよりはマシ程度ですねぇ」
「雑草じゃないわ!野草よ!!」
「アク抜きしてない野草は雑草と変わらんぜ団長…」
雑草スープ…?恐ろしい単語が出てきたぞ。あっアストレア様が見たことない程の真っ青な顔してる!まさか雑草スープ主神に食わせたんか…?
「……団長、もうちょっと料理の勉強しましょうね」
「ひぃん…10歳差の男の子に料理の勉強しろって言われたぁ…!」
野草アク抜き無しはエグいてぇ…。あ、味的な意味でエグいって事だよ?
「ロイ君、後でレシピ教えてね。必ず再現するから…!」
「マリューさん近い近い。あと瞳の奥が燃えてますって」
余程悔しかったらしい。後で大人しくレシピ渡しておこう。
「ふふっ…あ、そうだわロイ。ステイタスの更新しちゃいましょうか」
「あ〜…、そっすねぇ。かなり上がってると思うし」
主に愚姉とクソ骨のせいだが。次機会があったらブチのめす。絶対ブチのめす。
「じゃあ、私の部屋にいらっしゃい」
〜星屑の庭 女神の部屋〜
「ふふっ、それじゃ、寝転がって?」
「は、はい…」
アストレア様と密室で二人きり…やべぇそこはかとない背徳感が。
「行くわよ…」
「…」
ベッドに寝転がり、背中を出す。紅い雫が垂らされた。
「…あら?レベルアップ可能ね。しておく?」
「お願いします」
何か速くね?いや、相手の強さ考えれば不思議では無いのか…?
「発展アビリティは……選ばなければいけないけれど、一気に三つ修得可能ね」
「何があります?」
「ええと…耐異常、神秘、剣士に…精癒と連攻。よりどりみどりだけど…」
「耐異常と精癒、神秘で。」
耐異常は必須として、剣士はなぁ…俺の武器、今は剣だけど今後どうなるか分からないしな。むしろスキルメインの戦い方になるから剣じゃなくなる可能性の方がデカいし。神秘も正直使うか分からんけど、持っておいた方が便利だし…。連攻?スキルと被るんですよ。精癒はなんぼ有っても良いですからね。お師匠が言ってた。
「…はい、それじゃ、コレが貴方のステイタスよ」
「あざっす……ん?」
あれ、何か増えてる…?
Lv.4 ロイ・ヴァレンシュタイン
力 I 10
耐久 I 56
器用 I 16
敏捷 I 83
魔力 I 98
耐異常:I
神秘:H
精癒:I
【魔法】
【?????】
詠唱文:????
【スキル】
【
打撃で敵性存在を排除した場合『力』と『敏捷』上昇。
連続排除の場合は更に効果向上。
上昇する効果に上限無し。
【
暗所、または黒色を布面積の80%以上身に纏った場合、結界魔法の自動展開。
結界魔法の硬度は魔力のアビリティに比例。
スキルの発動には精神力を消費。
発動中は継続的な消費。
単独での戦闘時に精神力の自動回復。
【
早熟する。
憧憬が続く限り効果持続。
嫉妬の丈により効果向上。
憧憬対象との戦闘時、獲得
【
任意発動。
以下、怪物種に対する限定効果。
殺害を決定した対象に対するチャージ実行権。
殺害を決定した対象に対し攻撃力超域強化。
殺意の丈により効果上昇。
早熟?憧憬?嫉妬?は????
「????」
「新しいスキル…と言うか隠していたのとそもそも読めなかった物が明らかになったみたいね。魔法は分からないけど…」
いやそれよりも何この……
「ロイ、大丈夫…?」
「何で…?俺憧れ……て……!?!?」
その時思い浮かぶ、憎たらしい愚姉の顔。俺が最も嫌う筈の、アイツの顔。違う、違う違う!そんな筈は無い!
「……っ…ふーっ…!」
「……ロイ、こっちに来なさい」
「大丈夫…ですから…!」
「こっちに来なさい。主神命令です」
「…はい」
アストレア様の傍に腰掛ける。心音が五月蝿い。頭がざわつく。動悸だろうか。もう分からない。
「大丈夫よロイ。落ち着いて、深呼吸」
「すぅ……はぁっ…!」
駄目だ、落ち着け。深呼吸。他に意識をやるな。
「………もう、大丈夫です」
「駄目。少し休んでいきなさい。震えてるわよ」
………。
「……怖くない、怖くないわ」
「……」
アストレア様に背中を撫でられながら深呼吸をする。……落ち着いた。うん、落ち着いた。
「……何なんですか、このスキル」
「分からないわ。私も初めて見たもの…」
早熟…成長促進系?聞いたことがないスキルだ。
「……ムカつくな」
「ロイ…」
だってそうだろ?今までの成長が実質アイツのお陰だったって言われたようなものだぞ?
「…兎に角、このスキルも隠しておいて下さい」
「ええ。他に漏れたら良くないものね」
ヘルメス…は金包めば良いとして、他の神がこんな最高のおもちゃ放って置く可能性は低い。秘匿が安定だろう。
「……Lv.6、か」
「……」
アイツはもうLv.6。既に第一級の中でも上位に位置している。ソレを超えるとなると…。
「……Lv.7に、なる」
アイツよりも速くレベルアップを果たし、オッタルさんやあの魔女と同じ頂に至るしか無い。どうせスキルや魔法を含めたらアッチの方が上になる。遠慮なんてする必要は無い。
「ロイ、忘れないで」
「はい?」
「どれだけレベルが上がっても、どれだけ強くなっても…自分の正義だけは、捨てないでね。貴方は貴方のまま強くなるのよ?」
「…はい」
本音を言えば、手段を選んでいる場合じゃない。一刻も早くダンジョンに潜り、
「……強くなります。俺のままで」
「…よろしい」
月光が窓の隙間を刺した。
〜補足〜
【
早熟する。
憧憬が続く限り効果持続。
嫉妬の丈により効果向上。
憧憬対象との戦闘時、獲得
ロイ君の新スキルです。薔薇=ローザ=Rose(英語)+Rosa(ラテン語)で、嫉妬は黄色い薔薇の花言葉から取りました。当初はベル君と同じリアリスフレーゼを予定していましたが、やはりそれだと面白みが無いので少し弄りました。ロイ君の場合はアイズへの感情が憧憬だけでは無いので結構複雑に。他のスキルと同じく一見するとリアリスフレーゼの上位互換に思えますが、キチンとデメリットはあります。デメリットの内は後程…。
今後の展開について。どっちが先の方が良いですかね?
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大抗争(アストレア・レコード編)
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深層編