ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
筆が乗ってしまった。
〜ギルド〜
特に何事も無くギルドに着いた。だが、例のモンスターのせいか窓口付近には人混みができている。
「これでは窓口までたどり着けるかどうか…どうしますかロイ?」
「紹介状はあるから何時でも良いんだけど…今日中に済ませたいんだよな。列とかも無さそうだし…どうしよ。」
情報収集に来た冒険者で窓口前は埋まっている。魔石の換金窓口は空いているが…。
「モンスターの情報は現在調査中です!それ以外のご利用の方はこちらへ!」
お、ちょうど良い。一番端が空いた。
「登録をお願いします。」
「了解しました……ギルド長に取り急ぎます。」
紹介状を出すと、職員は奥に入って行く。
〜数分後〜
「すみません、ロイ氏。お一人でギルド長に会っていただけないでしょうか?」
「…一人?俺だけ?」
「はい…すみません、意味は私にも…。」
はぁ?登録できないのか?紹介状渡したのに?
「待ってください。登録なら窓口だけで済む筈です。」
「登録とは別件だそうで…。」
「意味が分からない。ロイ、行く意味などありません。」
「そこを何とか…。」
…厄介事のニオイだな。説明も無しに行くほど俺も馬鹿じゃない。だが…。
「…わーったよ。行くって。」
「ロイ!」
「話だけ聞いてみるさ。」
〜ギルド長室〜
「久しぶりだな。ブラック・バルバロイ。」
「お変わり無いようで安心しましたよ。ロイマンさん。」
体型もシワも変わってないようで安心したぜ本当に。中間管理職の悲哀かねぇ。
「皮肉はいい。ウラノス様からの手紙だ。」
「はぁ?」
蝋封がされた手紙を渡される。何だいきなり。
「これは極秘任務だ。君のファミリアの団員、主神含めて一切の口外を禁ずる。……ヘスティア・ファミリアの面々を除いて。」
…ヘスティア・ファミリア?ベル・クラネルの…何故だ?まあ良い、見れば分かるか。
「……へいへい。」
封を外し、中身を見る。内容は…。
〜オラリオ 北西メインストリート〜
ギルドから出てメインストリートを中央部に向かって進む。
「どういう事ですかロイ!説明してください!」
「できるならしてる。」
まあ実際そうとしか言えない。ウラノスめ…厄介な事しやがって。
「ダンジョンに下見に行くのではないのですか!?」
「必要なくなった。先に帰っててくれ。」
「必要なくなったとは何ですか!説明して下さい!!」
「できないんだって。」
あーあついてないな。よりにもよってリオンにも言えないとは。
「っ…!私が、私が信頼できないのですか!?」
「信頼の問題じゃない。機密なんだよ。」
とにかく…ヘスティア・ファミリアの本拠に向かうか。その為にもリオンには此処で帰ってもらう必要がある。巻けはしないだろうしさて、どうするか…。
「私は…私達はもう、貴方と離れたくない!!」
「俺もだよ。だが、我慢しなきゃいけない時もあるだろう。」
「っ……。」
リオンの顔がどんどん悲しそうになる。ごめん。マジでごめん。でも機密なんや。
「……分かり、ました。先に戻ります…。」
「……ちょっと遅くなる。必ず顔は出すから、待っててくれ。」
「はい…。」
…悪い事したな。だが、しょうがない。
〜第六区画 竈火の館〜
「此処か?デッケぇな。」
借金してまで住みたかったのか?アイツらの人数なら手に余るだろうに…。チャイムを鳴らす。
「はーい…あれ、ロイさん?」
「状況確認しに来た。コレの件で。」
「…!コレって…。」
出てきたベルに手紙を見せる。ヘスティア・ファミリアにも既に話は行っている筈だ。
「…中へどうぞ。」
〜竈火の館〜
「お茶、どうぞ。」
「どうも。」
…
「それでロイさん。コレがこっちに来た手紙なんですけど…。」
えーと何々…護衛の冒険者と共に竜の娘を護衛し、ダンジョン20階層に向かえ…か。
「…なるほど、だいたい分かった。だがいくつか質問させてくれ。」
「はい。」
「昨日の夜、街に出たモンスターは…。」
「……僕たちが保護している、竜女の異端児です。」
やっぱりか。いくら何でもタイミングが良すぎるからな…。
「それをリド達に預けて来いって事か。」
「そうですね…。あんな事になってしまったので、もうウィーネを此処に置いておく訳には…。」
名前はウィーネ、竜女の異端児。隠れ里のある20階層まで護衛…か。
「あの、失礼なんですけどロイさんレベルの方は…。」
「何か知らんけど3だった。」
「えぇ!?いきなり!?いや、ロイさんの場合は境遇が特殊すぎるから…?」
「俺も分からんからどうしてかは聞くなよ?」
「分からないんですか…はい、聞きません。」
良い子だ。
「でも、僕たち隠れ里の場所知らないんですけど…。」
「俺が知ってるから、護衛兼地図として連れて行けって事だろ。」
「なるほど…。」
俺が護衛してもらった時は19階層までリドとレイに送ってもらったからな。ベル達はリド達と話したといっても自己紹介と握手だけだし、隠れ里の位置を知らない。
「ベルくーん!お客様は……あ、君だね?」
ん?神だな。つまりこの人が…。
「初めまして!ボクはヘスティア!ヘスティア・ファミリアの主神だ!君がロイ君だね?話は聞いてるよ!」
「初めまして神ヘスティア。アストレア・ファミリアのロイです。よろしくお願いします。」
「うんうん♪礼儀正しくて良い子だ。よろしく頼むよ!」
デッカ。そしてすげぇ格好だ。何だこの紐。けしからん。
「アストレアの所の子か…一回生き返ったらしいね?」
「ええ。いやぁ大変でしたよ。5年間ダンジョンで暮らしてましたからね。」
「死んだら恩恵も無くなるしね…。ま、それは兎も角一緒に行ってくれるんだろ?よろしく!」
「こちらこそお願いします。」
あっ善神だ間違いない。包容力もすげぇ…アストレア様と良い勝負だ。見た目は幼いが器がデカいタイプだな。
「ベル様ー!お客様はどなた…あ、ロイさんですか。」
「ああ。極秘任務でな。」
「…なるほど、確かに適任ですね。」
リリも合流する。言わずとも察したらしい。まあこのタイミングで来客とかソレ関連だろうしな。
「出発は何時にする?」
「ヴェルフの魔剣がまだなんです。たぶん、明後日の早朝…3時くらいになると思います。」
アイツ魔剣打てるのか。まあ、戦力は多いに越した事はないからな。
「メンバーは?」
「ヘスティア・ファミリアは全員行きます。僕、ヴェルフ、リリ、命さん、春姫さん…勿論ウィーネも。」
「ん?春姫さん?初めてだな。」
「ああ、そこのメイド服を着た狐人の人です。」
「初めまして。サンジョウノ・春姫です。」
「ロイです。」
明らかに冒険者のナリでは無いが…。
「春姫様は後方で支援です。普段は留守番なのですが…。」
「ウィーネ様の為です!ご一緒させて下さい!」
「いや、他所のファミリアに口突っ込むつもりは無いけど…大丈夫?」
「大丈夫です!!」
うーん…まあ良いか。いざとなったら俺のスキルがある。
「オッケー。じゃ、集合はバベル前で良いか?」
「はい!お願いします!」
ふむ…装備調達と行きたい所だが、もう17時だ。店は閉まる所が多いだろうし、一先ず帰るか。
〜星屑の庭〜
あー疲れた。ま、ちょっと色々あり過ぎたからな。さっさと挨拶して宿取ろう。
「ただいま戻りましたぁ…おっと。」
「「「「………。」」」」
えげつねぇ圧を纏った4人が玄関で待ち構えていた。アッ。
「ロイ。どういう事?ギルドに何を言われたの?」
燃えるようなオーラを纏った団長が口を開く。さてどうするか…。
「えーっと…ちょっと厄介事でして…明後日の早朝3時からヘスティア・ファミリアとダンジョン潜るので、お願いします。」
「私達は何も聞いてないが?」
輝夜さんが何時もの丁寧語も捨てて聞いてくる。うーん怒ってるな。
「ギルドから俺一人に指名でして。」
「はぁ?ふざけてんのかギルドは。よし。ちょっと乗り込んで痛い目見させてやる。」
「ダメですってライラさん。」
ウラノスも異端児達の存在がバレなければある程度の情報漏洩は黙認してくれる筈だ。というかしてくれなきゃ困る。
「…ロイ。どうしても、私達は関われないのですか?」
「ダメ。」
絶対ダメだ。確かにこの人達を味方にできた時のリターンは大きいが、リスクもデカい。リド達に預ければ終わりな以上、余計な冒険をする必要は無い。冒険者だけど。
「…そんなに私達が信用できないか?」
「できてなかったら此処に帰ってきてません。」
信用してるし信頼してる。だが、だからこそ巻き込めない。
「…わかったわ。その代わり、必ず帰ってくる事。約束して。」
「はい。約束します。それでは、今日は失礼します。おやすみなさい、団長、皆さん。」
さて、今日の宿は…ん?
「何を言っている。お前はこれから此処で暮らすんだ。」
「えっ…ちょ、何言ってるか分からないんですけど…輝夜さん、流石にマズいですよ。」
「何がだ?私達はファミリア…家族だぞ?そこに性別など関係ない。」
「関係あるでしょ…あるから今まで別だったんでしょ…。」
何で…?あと離して…Lv.5のステイタスでやられると全く動けない…。
「ロイ。」
「っひゃいっ!?」
奥からアストレア様が出てくる。すげぇ…威圧感…神威!?
「貴方の家は此処です。此処以外で暮らす事は許しません。」
「分かり……ました……。」
くっそ。神威出すとか汚いぞ!!
〜自室〜
「…落ち着かね〜。」
この部屋はベッドとクローゼット以外置いてない。花も香も無い筈なのに、すっげぇいい匂いする。如何にも女所帯って感じだ…。
「ロイ、お風呂大丈夫ですよ。」
「ん。さっさと入るよ。」
そしてお風呂上がりのリオン…ちょっと色気が増したな。でも無いんだよなぁ…。何がとは言わんけど。
「……何か侮辱された気がします。」
「輝夜さんじゃない?」
「いえ、ロイ。貴方です。何か失礼な事を心の中で言いましたね?」
「さぁ。」
とぼけたフリでリオンを振り切り、風呂場に向かう。
〜風呂場〜
……それにしても広い。輝夜さんがいるからか?若干極東の要素も混ざった良い風呂だ。身体を洗い終わり、泡を流す。ふぅ…。
「じゃあ早速。」
湯船の縁に座り、ゆっくりと足を入れる。おぉぅ…。
「ええ湯だぁ…。」
ええ湯だぁ…ええ湯…何だが…。
「…広すぎて一人じゃなぁ。」
この風呂場、かなり広い。いや、アストレアファミリアの人数考えれば当然なんだが…落ち着かない。次からはシャワーにしようか。
「……。」
なーんか、ダンジョンから出て早々に厄介事に巻き込まれたなぁ。ウィーネ…か。無事にダンジョンで暮らせると良いが…。
「嫌な予感…。」
いや、マジでやな予感しかしない。うーん…明日、一応ウラノスの所に行ってみようか?そもそもこの異端児達の存在は、俺達以外に誰が知っているんだろうか。俺が知っている情報では…ヘスティア・ファミリア、あとはあの旅好きな胡散臭い黄髪の主神、某群衆の主…ぐらいか。
「うーん。」
それに『アイツ』の動向も気になるな。万が一存在がバレれば異端児達を皆殺しにしようと動くだろう。奴はLv.5になっている。絶対に。時間稼ぎは出来ても打倒はまだ無理だ。アイツの上司と話し合う手もあるが…あの人にも一族の悲願がある。恐らく俺が話しても聞かないだろう。
「……一戦交えるのも覚悟で行くしかないか。」
万が一バレたらヘスティア・ファミリア以外は全員敵になると思って良い。つまり、今俺がすべき事は…。
「情報収集か。」
明日は忙しくなるな。