ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。 作:一般通過社会人
二度とやらんはこんなクソゲー(ロイ君怒りの一言)
〜迷宮都市オラリオ〜
猛火の
大量の火の粉がオラリオに舞い踊る中、東西南北、都市の随所でかき鳴らされるのは剣戟と爆撃の伴奏である。
死兵と化して突撃してくる
「敵の数が多過ぎる……!どこからでも湧いてきやがるぞ!」
「指揮系統が麻痺してる!市民を守ればいいの?敵を迎え撃てばいいの?!?!?」
「知るかよ!知らねえよ!!?!?どうすればいいんだよ、こんなのぉ!」
死ぬまいと戦う冒険者達の多くは混乱の極みにあった。
倒せども倒せども溢れてくる敵の軍勢。どこからでも現れ、隙あらば相討ちを狙ってくる闇派閥の兵士達に息をつく暇もなく、状況把握がかなわない。でたらめに逃げ回る民衆の動きもそれを助長させていた。
反撃か、防衛か、誘導なのか。指揮官もおらず、指揮を仰ぐこともできなければ周囲の者と連携を取ることもできない。同じ【ファミリア】ですらない所属バラバラの冒険者達――互いに仲間を失って半ば成り行きで、強制的に組むことになった、冒険者の臨時のパーティでは、罵詈雑言を交わすことはあれ足並みを揃えるなど、不可能に近かった。
近付かれる前に何とか闇派閥の一団を無力化したヒューマンの弓使い、魔法を操るハーフエルフの女剣士、そして獣人の前衛壁役が、取り乱しながら怒声を交わし合う。
「―――落ち着きなさい。冒険者の動揺は守るべき者達にも伝播する」
その時。
周囲の混沌を一瞬打ち消すほどの、女神の澄み渡った声が、その場に響き渡った。
「あ、あんたは……」
「【アストレア・ファミリア】の……!」
長い胡桃色の髪を揺らし、アストレアが冒険者達の前に現れる。
その純白の衣を纏った穢れなき美しい姿は、まさに戦場に降り立った女神そのもので、冒険者達は性別関係なく目を奪われた。
星海を彷彿させる深い藍色の瞳で彼等を見返すアストレアは、迷える子供達に必要な『方針』を打ち出す。
「民衆の避難は全て『都市中央』に。『盤面』を俯瞰できる者達は必ずそこに集結する」
その細い指が示す方角は都市の中心地、中央広場。
ヒューマンの弓使い達以外にも、周囲で戦っていた他の冒険者が動きを止め、女神の一挙手一投足に目線と意識を引き寄せられる。 アストレアは辺りで戦う全ての者に聞こえるように、淀みなく神意を告げた。
「貴方達はどうか、ここで力なき子達のための盾に。――私の名をもって星の加護を与えます。どうか、耐えて」
「「「は、はいっ!!!」」」
一転して灯るのは希望だった。
一等星が示す星明りに導かれるように、冒険者達は一様に頷いた上級冒険者達は直ちに大声を投げ合い、戦線維持のためこの通りに居残る一団、都市中央へ民衆の避難を行う者達とで別れる。
瓦解寸前からにわかに戦況を立て直す冒険者達にアストレアが笑みを浮かべていると、新たな神が靴の音を鳴らした。
「アストレア、無茶をするな。神が護衛もつけず子供達の鼓舞なんて……体を張り過ぎだぜ?」
「あら、ヘルメス。高いところから一人状況を見渡しているかと思ったのに。そういう貴方は、どうしてここにいるの?」
熱風に巻き込まれまいと帽子を押さえながら現れたヘルメスに、アストレアは微笑を浮かべたまま、軽口を叩くように尋ね返す。
まるで自分と同じ
「……オレは女性の味方でね。ましてや麗しい女神の損失なんて耐えられそうもない。
そして気まぐれな風のような言葉とは裏腹に、真剣な顔付きで、周囲を見回した。
「後は、そうだな………オレも
通りの中央に立つヘルメス達の周囲、道の両端の建物には例外なく炎が燃え移っている。街は壊れ、悲鳴がその姿を消すことはない。この凄惨な状況にあって、『民衆の主』の名を出したヘルメスがここに来るまで何をしていたかは明白だった。
「神の力」を使えない無能の身で、都市民の誘導や情報収集に努めていたのだろう。
自分と同じく護衛も連れていない男神に、アストレアは頷きを返した。
「なら、私と同じ。少しでも子供達の背中を押し、命を救う。ヘルメス、
「……勘弁してくれ。貴方との逢瀬は夢見ていたが、こんな
更なる危地へ飛び込もうとする正義の女神に、さしものヘルメスも顔を顰めて難色を示した。
言葉の上辺だけ三枚目を気取りながら、鋭い視線で訴える。
「生憎、オレの子も総動員してる。はっきり言って手が足りない。零能の神二柱が火の手に巻き込まれたって、誰も気付きやしないぜ」
今、余剰な戦力を抱える 【ファミリア】はこのオラリオにないと言って良かった。
全ての冒険者は対闇派閥の迎撃に駆り出され、非戦闘員の多くもギルドと協力して避難誘導に努めている。まさに猫の手も借りたい状態だ。
自ら戦いの最前線に立ち続け冒険者も民衆も鼓舞し続ける群衆の主、道具の在庫を全て解放して治療に当たる医神や治神、あとはヘルメスやアストレアのような者を除いて、主神の多くが避難手引書に従い、それぞれの退避経路についている。
そんな中で、アストレアの動きは極めつけだった。
戦火から逃れるどころか、激化する戦場の中心へとずんずんと向かう。
こそこそと情報収集を行うヘルメスの行動など霞むほどに。酔狂な神の中でも際立って制御装置が壊れてしまっている。いや、意図的に壊している。
ヘルメスは遠慮なしに奥へ奥へと突き進む正義の女神を見かけ、そして見かねて、引き止めに来たのだ。
「そうね。貴方の言う通りよ、ヘルメス。けれど、私は常々思うわ」
しかし、そんなヘルメスの呼びかけに対しても、アストレアの微笑は崩れなかった。寧ろ更ににこやかに微笑み、悠然と返す。
「神々は下界で子供達を見守ることしかできない。けれど、挺身して、光の道筋を示すことくらいは許されると」
僅か一瞬、目を瞑り、己の胸に片手を添える。
「子供の成長を願うというのなら、
そうして、やはり笑みを浮かべてアストレアは歩み出した。清廉な百合のようにたおやかに、けれど毅然とした姿勢で、神の導きが必要な次の戦場へと足を向ける。
「……鳴呼、まったく。ちっとも似ていないのに、貴方は気高き神と同じ『お転婆』だよ、正義の女神」
そんな彼女の背に、戦乙女にも似たとある
ヘルメスは観念して、アストレアの後を追うのだった。
〜バベル 最上階〜
阿鼻叫喚の叫び声は炎に巻かれ、大地のみにとどまらず頭上にも昇っていた。
星が見えない闇夜にも、天を衝く「神の巨塔」にも、その叫び声は届いていた。
「……冒険者の主戦力を三つの拠点に集め、これ以上のない時機で『一斉蜂起』」
普段腰かけている女王の椅子を放置し、一切の継ぎ目のない巨大な窓辺にたたずむフレイヤは、己の眼下を眺めていた。
「戦力不十分、確定されていた後手……都市全域に「罠」を仕掛けられていたなんて、止められる筈がないわ」
その銀の瞳に、遥か離れた大通りで倒れていく子供達、敵勢に押されていく冒険者を映しながら、美神は眉を品よくひそめる。滅多に見せない表情を浮かべるフレイヤの言葉には、不機嫌の音色が見え隠れしていた。
闇派閥の戦略、無差別攻撃に嫌悪感を滲ませつつ、オラリオで最も高い位置から『盤面』を俯瞰する。
「私達、『美の神』が介入すれば戦いは終わる……『魅了』で闇派閥の子供達を無力化すればいい」
けれど、と。呟きを繋げ、フレイヤは瞳を細めた。
「この布陣……
フレイヤが見下ろすのは
遥か頭上より見下ろすフレイヤの視線に気付いたのか、一団の中にいたけばけばしい化粧の女神の一柱が、唇を吊り上げ、こちらに向かって中指を立ててきた。フレイヤは冷然とした眼差しをそそぎ、すぐに別の方角を見る。
高台以外にも、視認できる限りでは建物の屋上に三小隊、建物内部や森林部にもひそんでいるか。
大通りを始めとした街路の攻防にかかりっきりの冒険者達は今、そこまで手を回す余力がない。敵側は、この『大抗争』容易に鎮圧しうる『美の神』に最大の警戒を払い、殺害候補の最上位に据えている。
〜イシュタル・ファミリア本拠
「――この状況では、フレイヤも亀にならざるをえないだろうな」
『バベル』から見て都市南西、歓楽街の中心地にそびえる『女主の神娼殿』。
そこでは『美の神』イシュタルが、フレイヤ同様、闇派閥の目論見に気付いていた。本拠の広間から眺める彼女の眼下にも、火の手が回った歓楽街の景色が広がっている。恐らくは近辺の建物には闇派閥の暗殺者達が潜入しているだろう。うざったそうに顔をしかめつつ、もう一柱の『美の神』は煙管を手に持ち、紫煙を吐いた。
「闇派閥どもに
己を差し置いて「最も美しい」など謳われる女神に対し憎悪を滲ませながら、イシュタルは唇を吊り上げる。 そうしてすぐに踵を返し、本拠の奥へと引っ込んでいく。
「タンムズ。本拠近辺の守りを徹底させろ。「鼠」が紛れ込んでいることも
「で、ですがイシュタル様っ、このままではオラリオが……!」
「この状況で他者を気遣う余裕などない。いいからさっさと娼婦達をかくまえ。陵辱の玩具になるぞ。私が守るのは、私の息がかかった子供達だけだ」
「っっ…!?か、かしこまりました!」
進言を試みた従者の青年は、あっさりと告げられた内容に絶句しながらも、神意に従った。
いっそ酷薄なまでに、守る者と切り捨てる者の線引きをしたイシュタルは、正確に『盤面』を読んでいる神の一柱に違いなかった。
「慈悲と無謀など、履き違えるものか。私は「正義」の神などではない」
神の送還は一つの【ファミリア】の崩壊と同義。
オラリオと闇派閥の力関係を崩壊させないためにも、イシュタルは『敵の思惑』に乗って、素直に守りの一手を敷く。
〜バベル 最上階〜
「イシュタルは籠城……当然ね」
防衛を固める代わりに動きがない歓楽街方面を観察しながら、自らも身動きが取れないフレイヤは呟く。
こちらの自滅を望む
「この盤面を築いた存在は、相当に意地が悪く……悪辣」
今のオラリオは、眷族達の戦場にとどまらない、神々が幾重もの駆け引きを交わす『盤上』と化していた。
冒険者達の徹底抗戦の裏に隠れて、神同士による高度な読み合いが今も繰り広げられている。迂闊に
――――そして、そんな中で、アストレアだけが故意に空気を読んでいなかった。
誰もが出方を窺う盤面で、戦場のど真ん中を渡り歩き、結果的に多くの冒険者や民衆を救っている。
へルメスを引き連れ闊歩する『正義の女神』の姿を認めたフレイヤは、僅かな笑みを漏らした。
「まったく、普段はのんびりとしてるくせに……」
その言葉には数少ない、彼女が他者へと向ける敬意が込められていた。
「失礼します!無礼をお許しください!」
直後、部屋の扉が開け放たれる。
入室したのは【フレイヤ・ファミリア】の
「闇派閥の破壊行為、止まりません!都市の混乱も収拾がつかず……………!どうか、御下知を!」
「『バベル』を防衛……いいえ、中央広場に兵を布陣させなさい」
呼吸を乱す眷族に一瞥もくれず、フレイヤは簡潔な指示を出す。彼女の瞳は、『バベル』の足もとに集結しつつある戦力を捉えていた。
「ロキの
〜
「ロキ、駄目だ!被害を食い止められない!」
主神の眼前で、【ロキ・ファミリア】の団員が報告を叫ぶ。
「死兵をいくら倒しても、『自爆』されて刺し違えられる!」
「走り回る、生きた『爆弾』………………!最悪や!手段を選ばないゆうても、限度があるやろうが!」
戦場の報せに、ロキは悪態をこれでもかと叫ぶ。本拠『黄昏の館』に残っていたロキはほぼ全ての団員を連れて、この中央広場に移動していた。それはひとえに彼女が「盤面」を見極めているからこそであったが、それでもなお、彼女の顔が晴れることはなかった。
「しっかし……これ以上ない馬鹿げた戦況やっちゅうのに、まだ『嫌な予感』がする」
あらゆる方位から響いてくる叫喚を耳にしつつ、ロキはひそめた声で独白する。
「こんな窮地さえ、「前座」に過ぎんような――」
比喩抜きで燃え上がる都市の熱気のせいか、ロキの頬に汗が伝った、その時。歓声にも似た、どよめきとともに冒険者の一団が中央広場に到着した。
「ロキ!」
「―――フィン、来たか!」
手練れの上級冒険者達を率いる小人族の姿に、ロキは歓呼する。無事な姿に安堵するのも束の間、直ちに情報の共有を行った。
「リヴェリアとガレスは?」
「部隊の半数を預けて、南の迎撃に向かわせた。避難民の誘導はどうなっている?」
「できる限り呼びかけて、この中央広場に集めとる。本拠から連れてきたラウル達、あとはフレイヤの子もおるで」
「助かる」
ロキの説明を聞きながらフィンが視線を巡らせれば、「バベル」の内部一階及び、巨塔の周りには命からがら逃げ延びた民衆が難民キャンプさながら密集していた。フィンが思っていた数よりも遥かに多い。ロキの尽力以外にも、正義の女神や憲兵達をガネーシャ・ファミリア始めとした者達の冷静な判断、後は例の
これだけの数だ、恐らくは闇派閥の敵兵が怪我人と避難民を装って入り込んでいる。それこそ美の神が見抜いた通り暗殺目的の邪神も紛れ込んでいるに違いない――だろうが、今は対処しきれない。している場合では無い。
片目を開いて民衆の一人一人をひそかに探っているロキと視線だけで意思疎通を図り、「
「―――――中央広場の周囲に沿って防衛線を築く。ギルド本部とここが「砦」だ。此処の指揮は僕が執る!」
陣の内外に敵を認めつつ、欠片の隙も見せないフィンはまさに『勇者』だった。
この暴悪な戦場でなおもよく通る彼の声に、冒険者はおろかボロボロの民衆も顔を上げ、一筋の希望を見た。
自派閥の団員を中心に、中央広場の外周に沿った『円形の陣』を構築するよう命じ、十分な戦力として見込めない下級冒険者には障害物を作るよう指示した。
瓦礫や酒場の樽、最早使えなくなった武器や大盾などが積み重ねられ、乱雑で、即席の、けれど確かな「砦」が作り上げられていく。
「団長!各方面、敵の攻撃が激化する一方です!中央広場にも闇派閥が迫って…!!」
「敵の『爆撃』に惑わされるな!戦力では冒険者側の方が上だ! 避難民の誘導と並行して、自爆兵の対応を徹底! 魔法、 及び魔剣で攻撃すれば敵の『火炎石』に引火して自滅する! 爆破に巻き込まれないよう、常に距離を置いて戦え!」
「りょ、了解!」
「狙撃手段のない冒険者は敵の足を狙え!武器でも瓦礫でも何でもいい、投げつけろ!行け!」
駆け込んできた女性団員に、フィンは矢継ぎ早に指示を飛ばす。彼女以外の冒険者にもその声は届き、水を得た魚のように動き始めた。それぞれの方面に散らばり、勇者の声を伝達していく。
「この中央広場が最終防衛線!死守だ! 力なき者達を守れ!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
小さな小人族の叱咤激励の声に、冒険者達の野太い斉唱が続く。フィンの指示は速く、的確だった。この『大抗争』の中で、戦う者達が欲する全てが揃っていた。優れた指揮は万軍の力を底上げする。
フィンの号令によって下がる一方であった士気は立て直され、ギルド傘下の秩序のファミリア軍勢は闇派閥に反撃を開始した。
「やはりフィンが来ると、陣形がよく締まる!見ろ、通夜のように暗かった他の連中の顔が、今は一端の戦士のようだ!なあノアール!」
「ああ、腹が立つほどよくできた後進だ。俺達の前ではまだ生意気なクソガキだがな!」
「ははははっ! 生意気じゃないフィン達なんて、フィン達じゃないさね!」
熟練勢がギリギリのとこで保っていた戦線は、にわかに活気付いた。
かねてから中央広場に攻め入ろうとしていた敵兵を、防戦一方だった 【ロキ・ファミリア】の冒険者が押し返す。
フィン達よりも冒険者歴が長いドワーフのダイン、ヒューマンのノアール、アマゾネスのバーラは後進には負けじと、先達の貫禄をもって敵を次々に無力化していった。それを中央広場の内部から認めるフィンは笑みをこぼし、全幅の信頼とともにノアール達に前線を委ね、自らは指揮に専心する。
「都市の北部には既に【フレイヤ・ファミリア】の予備隊、第一級冒険者達が布陣している!ギルド本部及び工業区の防衛は全てあちらに任せる!」
フィンが中央広場に到着する前、ロキの指示のもとラウル達を始めとした下級冒険者が情報伝達の任に奔走している。そのおかげでフィンは脳裏に都市内の大まかな勢力図を広げることができていた。
『ギルド本部』は勿論のこと、都市北西区の『聖フルランド大精堂』などの歴史的建造物——巨大施設の中に、【フレイヤ・ファミリア】の予備隊が避難民を続々と収容させ、フィンと同じく臨時の「砦」を作り上げているとのことだ。【ロキ・ファミリア】と並んで「迷宮都市の双頭」と比喩される最大派閥に、中央広場以北の守りは一任することを決定した。
それは良い言い方をすれば『信用』。
悪い言い方をすれば『丸投げ』とも言う。
「援軍は送らない!もしもの時は【
「団長!その、あのっ、こちらの指示を見越していたかのように【
「そうか!僕も死ぬ気で頑張るから貴殿の健闘を祈ると激励を送ってくれ!」
「あ、俺、死んだかも……」
まるでフィンの判断を見越していたかのように伝令役の団員が一人駆け込んでくるが、小人族の勇者は状況が状況なのでにこやかな笑みと言葉で返し、取り合わない。 フィンをして予断を許されない大規模かつ熾烈な「戦争」の盤面、少しでも作業量を減らして思考を回転させる必要があった。
ので、ブン投げだ。清々しいまでのブン投げだ。
伝令内容を口にしていた 【ロキ・ファミリア】の団員は、遠い目をした達観の表情で、【フレイヤ・ファミリア】のもとへとんぼ返りする。神々だけでなく、勇者だけでもない。あらゆる者達が、このオラリオの危機に共闘し、奮戦していた。
〜ロイ視点〜
「っは、っは…!」
あ〜重い!いや、重心がマジで取りづらい!何で俺はこんなに身長が低いんだ!………年齢一ケタで冒険者やってるからか。
「っ…オイっ!アーディ、起きろっ!」
「………」
「クソっ…!」
縄で固定してあるとは言え、流石に人一人抱えて大量の闇派閥の相手はキツい。
「死ねっ!冒険者ど…!」
「神よっ!?」
「邪魔だあっ!!」
鮮血が舞い、外套に染み付く。もう、不殺だなんだと言っていられない。頭蓋を砕く感触に吐き気を催しながら、ひたすらに手足を動かした。
「あああああっ!!」
「っ!!」
そして。アーディを背負っていると言う事は、ヘイトが俺含めて二人分になると言う事。当然アーディは反撃できないので、一人で二人分のヘイトを捌かなければならない。
「死ねぇっ!!」
「お前が死ねっ!!」
「ゴフッ…!」
背中からナイフを持って迫る闇派閥をギリギリの所で蹴り飛ばす。キリが無い。本当にキリがない。
「……っち!此処も行き止まりか!?」
そして、都市中の路地が瓦礫で塞がっている。大通りは意図的な物だろうが、路地は完全にランダム。建物から崩れてきた瓦礫、闇派閥が意図的に設置したであろう石詰めの木箱など、武器で壊すのも面倒な物で塞がれていた。
「奥の手だ…!」
だが、もう迂回するのは無理だ。アーディも呼吸が少しずつ浅くなってるし、俺も疲れた。これ以上時間をかけていられない。近くに転がってる自爆兵の骸から、装置を剥ぎ取った。
「フッ!」
既に火炎石はカバーを外してある。後は投げれば…。
「っ……!!よしっ!」
耳を痛めながらも瓦礫を爆破し、道を作る。アーディを背負い直し、走り出した。
「よしっ、もうちょっとでっ…!?」
その時、目の前の景色に足を止めた。血の匂い。嫌な空気が全身に纏わり付く。
「…………来たか」
灰色の魔女が、其処に佇んでいた。
〜リヴェリア視点〜
フィンと別れ、部隊を率いて南で闇派閥を迎撃していたガレスと私。進軍中、とてつもない轟音が瓦礫と化したオラリオを突き抜けた。
「ガレス!」
「分かっとるわ!」
急いで音の鳴った方に駆け出す。恐らく、誰かが戦闘中なのだろう。
ざっ、と。瓦礫の破片を踏みしめる音が響く。轟音が鳴った方に駆け出した筈なのに、着いた瞬間が嫌に静かだった。
「大丈夫か!!……………は?」
ピンと、私の中の糸が張り詰める。視界に映るのは、血まみれになり今直ぐにでも倒れそうになっている身体を、必死に保つ少年。背中を見れば、背負われた青髪の少女が結界に覆われていた。
「リヴェリア!何が………ロイじゃと!?」
「……っ!?……ぉ師匠、ガレスざん……ゲホッ!?」
今にも消え入りそうな声で、言の葉を紡ぐロイ。
「……何を、している?」
「忌むべき雑音を掃除している」
「――――」
雑音?誰がだ?ロイがか?対闇派閥の最前線に立ち、今もなお戦い続けている六歳の子供を、
「――――貴様の所業は、人のそれではない」
自分でも眉が逆立つのが分かった。
「――――貴様の周りに広がるモノ、ソレは何だ?」
女の周りには、幾つも折り重なり、破壊しつくされた冒険者達が居た。
「
その無感動の表情を目にした瞬間、私の中のナニカが切れた。杖が燃え盛る炎に照らされ、輝く。
「そうか」
込められる膨大な
「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風(うず)を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け三度の厳冬――!我が名はアールヴ】っ!!」
怒りのままに詠う。しかし。
ソレを前にしても、目の前の女はやけに静かだった。
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
放たれる三条の吹雪。全てを凍てつかせる…
「【
たったそれだけで、必殺の吹雪は
ロイ・ヴァレンシュタイン(ろくさい)
トマトみたいに真っ赤な六歳。身長差おおよそ20C差のお姉さん背負って爆走。が、死ぬ程運が無いので凄く遠回りし、結果バカみたいな低確率で野生の静寂とエンカウントした。幸運値は某ベル君と違って最低レベル。耳にダメージ入った状態でよりにもよって静寂とエンカウントしたので、ピンチ。二度とやらんはこんなクソゲー(なお叶わぬ願いである模様)。
野生の静寂
本当はマッマとガレスさん伸してからロイ君ボコす予定だったが、予定よりも早めに出会ってしまったのでしょうがなく先にやり合った。結果的にロキ・ファミリアの2人も釣り出せたので、結果オーライ。
マッマ
ロキ・ファミリアが誇るマッマ。駆けつけてみたら息子がボコされてたので怒り心頭。吹雪で頭冷やそうとしたらそれすら消された。かわいそう。
ガレスさん
巻き込まれた一般通過ドワーフ。かつて面倒見てた子供がボコされてたので若干プッツン……になりかけたが、隣の同僚がそれ以上にブチ切れてたので一周回って冷めた。
出番をカットされた人。ダンまち世界の参謀キャラは酷使されがち。なおこの後ちゃんとロイ君と顔合わせる事になる。
出番をカットされた人2。別にこの人とは顔を合わせない。合わせるとしたら大抗争後。
出番をカットされた人3…4、5、6。別にこの人達とは顔を合わせな(ry。
ディース姉妹
出番をカットされた人7。ヘグニさんと交戦中。本人達曰く殺さなければ