ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。   作:一般通過社会人

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パワーーーー!!!

 

〜翌朝 星屑の庭 自室〜

 

「…行くか。」

 

装備を着け、あらかじめ買っておいた黒い外套を羽織る。さーて…久しぶりのダンジョン探索だ。ポーションも煙幕も持った。あとはその場で対応するしかない。

 

「装備良し、アイテムよし、出発。」

 

扉を開けた。

 

 

〜星屑の庭〜

 

草木が飾られた広間に出る。玄関のドアに手をかけると…。

 

「行くのですか。」

 

「リオン…あぁ。そろそろだ。」

 

「そうですか…、気をつけて。」

 

団長、輝夜さん、ライラさんは夜警中だった筈。他の皆は寝てる筈だし、リオンは何故…。

 

「本当は私もついて行きたい。だが、今回は貴方を信じます。必ず帰ってきて。」

 

「……それ言う為にわざわざ起きたの?」

 

「貴方の生存性には疑問しかありませんから。」

 

それを言われるとどうしようもない。だが…。

 

「…ま、ありがとう。必ず帰って来るよ。」

 

「……はい。」

 

嬉しいのには変わりないので感謝する。本当に良い奴だ。

 

「じゃ、行ってくるよ。」

 

「…いってらっしゃい。」

 

 

〜バベルの塔前〜

 

「あ、ロイさーん!」

 

「ん…。」

 

ちょっと遅かったか。待たせてしまったらしい。

 

「待った?」

 

「いや、僕たちも今来たところです。」

 

よし、じゃあ早速…ってん?

 

「うぎぎぎ…!」

 

「むむむむ…!」

 

「リリ様、ヘスティア様…?」

 

何こっち見てるんだこの人達は…?春姫さんも困惑してるんだが?

 

「ベル君と恋人みたいなやり取りを…!」

 

「リリもしたかった…!」

 

「えぇ…?」

 

「お前は何を言ってるんだ。」

 

「大丈夫かリリ助。」

 

「リリ殿…。」

 

思わずヴェルフと一緒に真顔でツッコんでしまった。マジで何言ってるんだこの人達。

 

「俺は同性愛者じゃないんだが?」

 

「神さま…流石にちょっと…。」

 

「見境なしに威嚇すんのやめようなリリ助。」

 

「ぬわー!?ベル君に引かれたーっ!?」

 

「羨ましかったんですっ!」

 

……さて。

 

「君がウィーネちゃんかい?」

 

「あ…うん。」

 

「俺はロイ。よろしくね。」

 

「よ…よろしくお願いします…。」

 

警戒されてるな〜。まあ当然か。だがこれで全員揃った。

 

「それじゃ神さま!行ってきます!」

 

「気をつけて行ってくるんだよ〜!」

 

全員で歩き出す。夜明け前の冷たい空気が今はちょうど良かった。

 

 

〜ダンジョン 18階層〜

 

18階層までの道中はカットである。理由は撮れ高がない。

 

「それでは最終確認です。ヴェルフ様。魔剣の数は?」

 

「温存してたからな。3振りだ。リリ助、使い所を間違えるなよ?」

 

「分かってます!魔法も殆ど使いませんでしたし…。」

 

「それもロイさんのおかげです!ありがとうございます!」

 

「後衛守るだけならだいぶ無法な性能してるからな俺のスキル。」

 

スキル、黒隠(ナイトシーフ)。暗所、もしくは黒色を布面積の80%以上身に纏った場合、結界魔法を自動展開してくれるスキルだ。

精神力の消費は増えるものの、有視界程度なら結界の展開範囲も形も自由自在。展開速度が遅いのがアレだが…基本出しっぱなしなので問題無い。

 

「ロイ凄い!」

 

「流石です、ロイ様!」

 

「いやぁ。それ程でもあるなぁ。」

 

よせやい照れる。

 

「照れてますね…まあ良いです。ここからが本番なので。」

 

「19階層ですね…ウィーネ殿とお会いした階層です。」

 

「大樹の迷宮…懐かしいな。よく死にかけた。」

 

「ロイさんでも死にかけるんですね…。」

 

「飛び道具は結界で何とかできるけど、物理で攻めてくる相手は基本的にな…。」

 

特にバグベアーだ。不意打ちされてよく体当たりでぶっ飛ばされてた。骨は折れるし装備は壊れるし散々だ。

 

「それでは、作戦をお伝えします。と、いっても位置の入れ替えだけです。命様がウィーネ様と春姫様の護衛で、ロイ様、ベル様、ヴェルフ様が前衛、私が必要に応じて魔剣で援護です。」

 

「私とロイ殿が入れ替えですか…頑張ります。」

 

「ま、たっぷり稼ぐか。」

 

所持金が心許ないのでここで魔石をガッポガッポだ。気合入れなければ。

 

「行こう!」

 

ベルに続いて陣形を組み直し、歩き出した。

 

 

〜19階層〜

 

植物が生い茂る迷宮に足を踏み入れると、早速洗礼を受けた。ガン・リベルラか。

 

「ひいふうみぃ…沢山だな!」

 

「言ってる場合ですか!?」

 

「おい来るぞ!」

 

凄まじい轟音を鳴らし、金属の嵐が襲いかかる。

 

「ロイさん!」

 

「あらよっ。」

 

「!?」

 

ベルが驚いてるが無視。砲撃を避けて大樹を駆け登り、結界を前面に最大サイズでカーテンのように展開。ある程度の高さまで来ると、足に力を込めて大樹の樹皮を蹴り飛ばして群れの中に突っ込んだ。

 

「ふんっ!」

 

「ギイッ!?」

 

結界がガン・リベルラを轢き潰す。普通は魔法で対処する奴だ。しかし俺は今も昔も魔法が使えない。だから物理的に撃破するしか無いのだ。

 

「ファイアボルトっ!!」

 

「オラあっ!」

 

ベルが魔法で、ヴェルフが魔剣で撃墜する。あっという間に群れは殲滅された。

 

「急に飛び出すからびっくりしましたよ…凄いですねロイさん!」

 

「いや凄くないぞ。魔法が使えないからの苦肉の策だからな。」

 

「いや十分凄いですよ…ベル様よりも重い武器使ってるのに何であんな動きできるんですか…。」

 

ノリと勢い。空中機動の基本である。…っと。

 

「ベル殿ロイ殿!3時の方向!」

 

「「「「「「「「シャアアアッ!!」」」」」」」」

 

あらリザードマン。でもリドの方が断然強いしな。あんまり怖くない。

 

「数が多い…!」

 

「カモだな。」

 

「はぁ!?何を言ってるんですかロイ様!流石にこの数は…!」

 

「さっさと片付ける。」

 

走って距離を詰めながらメイスをホルダーから抜く。ガード付きのグリップを握りリザードマンに突撃する。

 

「シャァッ!!」

 

「よっ。」

 

ガァン!!天然武器の剣とメイスのヘッドが激突し、鈍い音が鳴る。そして…。

 

「っらあっ!!」

 

「シャ…!」

 

そのまま剣をへし折り、リザードマンのガラ空きの胴体に黒鉄が炸裂した。よし…。

 

「次。」

 

「「シャァッ!!」」

 

俺の左右を挟むように2体。頭を狙って剣を振ってくる。しかし…。

 

「ふん。」

 

「シャッ!?」

 

「シャァッ…!?」

 

素早く屈んで相打ちさせる。そのまま下から上にメイスを振り抜き、1体目を撃破。2体目は上にあるメイスをそのまま振り下ろして撃破した。

 

「ウィーネ!」

 

「ウィーネ様っ!!」

 

「やあっ…!」

 

「おっと。」

 

悲鳴が聞こえた方に視線を向ける。ベルの所に行った2体の片方がウィーネに襲いかかった。

 

「はいはい。」

 

「シャ…!?」

 

メイスは面倒なので飛び蹴りで吹き飛ばす。大木に激突し、あっけなく魔石になった。

 

「すごい…!」

 

「これがブラック・バルバロイですか…!」

 

「まだまだ。」

 

その後ヴェルフを襲っていたリザードマンも一蹴した。

 

 

〜20階層〜

 

道中ダークファンガスやバグベアーに襲われたものの、ダークファンガスは胞子を結界で防いで殴り倒し、バグベアーは結界で受け止めて撲殺した。デッドリーホーネットも居たが…アイツらは群れで突撃してくるので対多数が得意な俺の敵ではない。

 

「あ、あっという間でしたね…。」

 

「末恐ろしいです、ロイ殿は…。」

 

「あれだけ暴れられちゃ魔剣も型無しだぜ…。」

 

いやぁそれ程でも。そもそもレベル3ならここらへんは単独で探索できるしね。

 

「そもそも俺の場合スキルがあるからあんな無茶できるからね。皆は真似しないようにね。」

 

「「「「「できるかあっ!!」」」」」

 

でも多分ヘスティア・ファミリアじゃ時間の問題だろうなぁ…。言わずもがな強いベルと、魔剣でどこでも火力を出せてタンクとアタッカーもできるヴェルフ、索敵役の命さんに指示役とサポーターを同時にこなすリリ…。春姫さんはちょっと分からないけど良いパーティだ。

 

「はぁ…もう敵無しじゃないですか貴方。いったい何ができないんですか…?」

 

「魔法使えない、弓下手くそ剣下手くそ槍下手くそ。単独行動し過ぎてかなり死にかけるし、少なくとも瓦礫に埋めかけられた後イレギュラーに出くわすぐらいには運が無い。」

 

「意外と多かった…。」

 

「致命的なレベルですね…。」

 

ダメな時は割とどうしようもないレベルで死にかける事に定評があります。これも全部闇派閥って奴らのせいなんだ。いや、瓦礫に関しては本当にそうだし…おのれクソ猫。

 

「ちなみにアストレアファミリアの方だと俺は全然弱いです。」

 

「えぇ…。」

 

「いやマジだよ?団長は付与魔法で力尽くで結界突破してくるし、輝夜さんは居合でカウンターしてくるし、ライラさんはそもそも近寄らせてくれないし、リオンは魔法でヒットアンドアウェイされたら死ぬし、主神は武闘派すぎて剣一本でいなされるし…。」

 

「バケモノですかアストレアファミリアは…。」

 

実際バケモノだと思う。何やあの集団。今では俺はアストレアファミリア最弱の名を欲しいがままだ。悲しいなぁ…。

 

「あ、此処だ。」

 

「…此処に、喋るモンスターが。」

 

命さんが緊張した面持ちで呟く。リドとレイと会ったのはベルとヴェルフだけだ。他の皆は初対面。緊張するのも無理は無い。

 

「このクォーツですか?」

 

「うん。壊すからどいておいて。」

 

エメラルド色のクォーツに向かってメイスを抜く。

 

「らあっ!!」

 

破砕音を立ててクォーツは粉々になった。粉々になったクォーツの先には、暗闇が広がっていた。

 

 





【黒隠】
展開速度と条件を犠牲にして燃費と持続性を手にした結界魔法。特に魔法含めた飛び道具に極端に強い。燃費だけならどっかのハイエルフの結界魔法よりも良い。元ネタは某メカアクションのプライマル・アーマー。ただしあっちよりもあっさり減衰させられる。

【撲殺蛮族】
雑魚狩りして発動するバフスキル。理論上はレベルが離れていようが狩る雑魚が尽きない限り格上にも追いつける。弱点は狩る雑魚が居ないと実質文鎮と化すスキルという事。

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