では、どうぞ!
受験
〈神様。僕、強くなりたいです〉
〈リリだから助けたいって思ったんだよ〉
〈英雄になりたかった……!〉
〈僕たちの憧れは! 英雄は! 見捨てたりなんかしない!!〉
〈ウィーネたちと地上で笑い合いたい!〉
〈勝ちたかった……っ!〉
〈今のリューさんの笑顔、とても綺麗です〉
〈────女神を殺した〉
〈あなたの本当を教えてください〉
〈アイズさん────おかえりなさい〉
◇
『………ま。…………様。……魔兎様』
「ん……? …………久しぶりに見たな」
『魔兎様?』
「あぁ、ごめんね。もう着いたの?」
『いいえ。あと3分ほどで到着します。身じたくの確認が必要の可能性を考慮し、早めに声をかけさせていただきました』
「ありがとう、メイ」
あくびと背伸びを一つ。車の中で鏡を取り出し、服と髪を整える。ゆっくり、丁寧に、しっかりと。腰あたりまであるまとまりの悪い真っ白な髪を下の方で一つ結び。前髪を整え、紅眼の瞳でおかしなところがないか確認する。
今日は受験日。合否にあまり不安がないとはいえ緊張しないというわけではない。深呼吸をし心を落ち着かせる。
『魔兎様、到着しました』
「ふぅ…………よし!」
気合いは十分。足りないものもなし。あとは全力を尽くすのみ!
「行ってきます!」
『お気をつけて』
◇
雄英高校は、でかかった。
家が近場にある影響でよく目にしていたはずの校舎が、実物として目の前にあるだけで圧倒される。門の前には受験者が溢れていた。
緊張はするが、同時に期待も膨らんだ。特徴的な長い耳がぴょこぴょこと動く。受験という一大イベントでなければ周りの者は和み癒されていただろうが、あいにく、そこまでの余裕がある者はいなかった。
◇
『受験生のリスナー! 今日は俺のライヴにようこそー! エヴィバディセイヘイ!!!』
突然出てきたプレゼントマイクはいきなりそう叫び、両手を高らかに挙げた。明らかに滑ったからか会場が静まりかえる。
『こいつはシヴィー!! なら受験生のリスナーに実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ! アーユーレディ!?』
さらにプレゼントマイクは続けて声を張り上げた。依然沈黙が保たれる会場。それでも平常心を保てるのはプロ故なのか純粋に鋼のメンタルを持ち合わせているからなのか。
『入試要項通り! リスナーはこの後10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ!!! 持ち込みは自由! プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」
──持ち込み自由。
「(よし!)」
「演習場には“仮想ヴィラン”を三種・多数配置! それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントが変わるぜ! 各々なりの個性で仮想ヴィランを行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達リスナーの目的だ! もちろん他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」
「(────行動不能……ねぇ)」
最後に説明された『行動不能』の言葉を見て仮想敵は破壊だけではなく
「質問よろしいでしょうか!!」
この広い雄英のホールの中でもよく響く声で質問をする男が現れた。声の発生源へと目を向けると『委員長』といった風貌のメガネが似合う男の子がいた。
『オーケェ! 言ってみ!!』
「プリントには4種の敵が記載されております! 誤載であれば日本最高峰である雄英において恥ずべき痴態! 我々受験者は基盤となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」
「(そこまで言う?)」
そして、彼はギュルンという効果音がつきそうな勢いで振り返りながら魔兎の後ろあたりを指さす。
「ついでにそこの縮れ毛の君! 先ほどからボソボソと、気が散る! 物見遊山のつもりなら即刻、ここから去りたまえ!!!」
「すみません……」
「(晒し首やん。かわいそう)」
緑の髪の子、あんなに縮こまっちゃって……。いや、確かにブツブツしてたけども。
「ヘイ!! じゃあさっきのお便りの説明をしよう! 四種目の仮想敵は0P! そいつは言わばお邪魔虫! スーパーマリオブラザーズのドッスンみたいなもんさ! 各会場で大暴れしている『ギミック』よ!!」
「有難う御座います! 失礼致しました!」
それを聞いた『委員長』男の子は勢いよく礼を告げるとその場に座った。思っていた以上にアグレッシブな子が多いな。
にしても『お邪魔虫』ときたか。多分、この子が出てきた時の行動が大きく合否に響くのだろう。
『俺からは以上だ! 最後にリスナーへ我が校の"校訓"をプレゼントしよう! かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った! 『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えてゆく者』と!! ……"
頑張りますか!
いかがでしたか? ノリと勢いで書いたもんだから今後が心配だぜ! ばっくれる気はありませんが。頑張ってもう一作と並行して投稿していくので楽しんで頂けると嬉しいです!
では、またいつか!