歌譚《サーガ》   作:ベート

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 やあ! 最近、筆が乗る作者だよ!

 今回もこちらを書かせていただきました。『ダンまち』の方は…………すまんね。ふ、筆が……!!

 では、どうぞ!


入学

 四月。入学の日。

 

 赤いネクタイを締めて灰色のブレザーに袖を通す。春休みの間に何度か試着したが、真新しい制服はあの雄英に受かったのだと実感する。

 

魔兎(まと)様、準備が整いました』

 

「はーい。今行くねー」

 

 廊下からメイの声がした。鞄を持って部屋を飛び出す。

 

 ──今日は雄英高校の入学日。今日から『ヒーローの卵』だ。

 

 ◇

 

 静岡県の住宅街の外れにある小高い山。自然感すごい場所にいくつかの建造物。国立雄英高等学校だ。

 

 私が校門前に到着したのは、入学案内に載っていた集合時刻の1時間前。玄関前には、クラス分けを示す紙が出されていた。

 

 ──1年A組。

 

 教室番号を確認しながら廊下を歩く。

 

 1年A組の扉も、これまたでかかった。

 

 それもそうだ。生徒には様々な体格の子がいる。異形型の個性で巨大な体を持つ者がいるかもしれない。それを考慮した設計なのだろうなぁ。天才なのでは? 世の中、こういう思いやりで溢れていたら犯罪も減ると思う。

 

 中には誰もいない。私が一番乗り! 職員室やらの場所を覚えるために学校探索を決行。トッコトコー!

 

 ◇

 

 雄英高校職員室。

 

 入学式当日という特別な日であるが、式までまだまだ時間があるので教師は割と少ない。

 

 が、そんな様子を知る機会は魔兎にはなかった。

 

 

 ──目の前に寝袋を見つけたからである。

 

 

 なにこれ? てか、中に人いるんですけど……

 

「……こんなところで何をしている」

 

「いや、こっちのセリフなんですけど……」

 

 伸びた黒い髪に剃っていない顎の髭。片手にゼリー飲料。不健康そうな疲れきった顔。あなたの生活、ちょっと心配。

 

「ん? なんか見たことある気が……あっ! もしかして『イレイザーヘッド』ですか?」

 

「……よくわかったな」

 

「はい! よく資料で見るので!」

 

「資料?」

 

「私の家、サポート会社と縁があって」

 

「あぁ、そういうことか」

 

 よく親の捌いている資料や会社に関わっていたからヒーローオタクでも知らないような情報を持っていたりする。

 

「それで、何をしているんだ? 言代(ことしろ)魔兎(まと)

 

「? 私のこと知っているんですか?」

 

「君の担任だからね。それにあの(・・)言代家の令嬢だ。知らない奴の方が珍しい」

 

「あ、あはは……。えーとですね、早く着いたものですから、場所を今のうちに覚えとこうと思いまして……」

 

「……そうか」

 

「ところで……先生は何しているんですか? 寝袋に入って床に転がってますけど……」

 

 まさか、そのままコロコロして教室に行くつもりなのか?

 

「転がって教室に行こうと思ってね」

 

 まさかだった……!

 

「まさかだった……! ダメですよ! きちゃない!」

 

「きちゃない……」

 

「そんなことするぐらいなら──運びます(・・・・)!!」

 

「…………は? 待て! 持ち上g、おい……!」

 

「いい時間なのでこのまま教室に行きますね!」

 

「あ、歩く! だから降ろせっ!! お、おいっ!」

 

 先生が抗議の声をあげているが、魔兎はこれを無視。そのまま職員室を去っていった。

 

『…………』

 

 職員室にいた教師は思った。

 

『最近の子はスゲーな……』と。

 

 ◇

 

 何人か教室の前に固まってる。どうしたんだろ? ん? あの子……

 

「君……」

 

「ぅえ!? お、おはようございます!」

 

 大丈夫か、この子?

 

 会場で晒し首にされていた緑髪の男の子。緊張しているのか、体がガチガチである。ここは大人な私が緊張を──

 

「君、机の上に足を置くのを辞めないか! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「あぁ? うっぜぇ。テメェ、どこ中だ?」

 

「ぼっ……俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ」

 

「聡明だぁ!? クソエリートだなおい! ぶっ殺し甲斐があるじゃねえか!」

 

「口悪いな!? 君本当にヒーロー志望か!?」

 

 ──おぉ……。なんかすごい子いる。

 

「あー! そのもさもさ頭は!」

 

 後ろから声がしたので振り返る。

 

「麗日お茶子です! よろしくね!」

 

「飯田天哉だ、よろしく、麗日くん!」

 

「み、緑谷出久です……!」

 

 みんながこっちを見たので私も。

 

「言代魔兎です。よろしくね」

 

「こ、言代っ!?」

 

 おぉ……どしたん、金髪の子。

 

「言代って、あの言代!?」

 

「あの言代だよ〜」

 

「マジかよ……」

 

「もう始業時間だから後でね。ほら、皆! 席について!」

 

 みんなに声をかけ、肩に背負っていた先生を教壇へと連れていきそっと置く。

 

「それじゃあ、よろしくお願いします、先生!」

 

「…………あぁ、ありがとね。────という訳で君たちの担任の相澤消太です。よろしくね」

 

『担任だった!?』

 

 騒然とするクラス。私は先生のきちゃない化を阻止できてホクホク顔。

 

 ざわつく教室を睥睨し、圧力で黙らせる相澤先生。静かになるとやっと口を開いた。

 

「はい、静かになるまで10秒かかりました。時間は有限……君たちは合理性に欠けるね。……まあいい。早速だが、お前らこれ着てグラウンド集合しろ」

 

 寝袋の中から出てくるは体操服。あったかそう。




 いかがでしたか? 先生とのやりとりが思ったよりも盛り上がって体力テストまでいかんかった……。次回になりそうです。

 それでは、ばいちゃ!
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