歌譚《サーガ》   作:ベート

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 おはこんばんにちは、作者です!

 戦闘訓練の続きだよ! 今回で戦闘訓練の話を終わりにするつもりだったのに終わらんかった……。

 では、続きをどうぞ!


戦闘訓練②

「ヒ、ヒーローチーム、WIN!」

 

「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら……」

 

「勝負に負けて試合に勝ったということか」

 

「訓練だけど」

 

 WINでいいのか!? ドン引きなんだが。巻き込まれた麗日さん達可哀想。

 

 第一戦。ヒーローチームが緑谷と麗日、ヴィランチームが飯田と爆豪。結論から言うとヒーローチームが酷い方法で勝利を収めた。今からその戦いの講評をする時間であるが、その前に。

 

「緑谷くん、腕見して。治す」

 

「えっ、でもこの後……」

 

「このぐらいならどーてことない。麗日さんたちもこっちおいで」

 

 リカバリーガールに後で見てもらうためのカメラをセットしつつみんなを呼ぶ。爆豪くん、やけに素直だなぁ。

 

 うーん、前回は【ディア・パナケイア】だったから……

 

「…………【一度は拒みし天の光。浅ましき我が身を救う慈悲の(かいな)。届かぬ我が言の葉の代わりに、哀れな(ともがら)を救え。陽光よ、願わくば破滅を退けよ】── 【ソールライト】」

 

 緑谷たちを光が包み込む。太陽のような暖かさに心地よさを感じつつ、彼らは目を見開いた。

 

「気持ち悪さがなくなった……!?」

 

「おお!!」

 

「……!」

 

「ほ、ほんとに何度もありがとう……!」

 

「いえいえ〜」

 

 そんな様子を見た人が落ち着けるはずもなく。

 

「すっげ〜!!」

 

「綺麗に治ってる……」

 

「どうやってるのー?」

 

「あ、後で説明するから今は講評!」

 

 は〜い、と渋々引き下がる彼ら。ごめんね。あとカラスみたいな子、めっちゃ鼻息荒かったけど大丈夫かな?

 

「では、講評するぞ! 今戦のベストは飯田少年だ!」

 

「なな!?」

 

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」

 

「何故だろうな〜? わかる人!」

 

「はい、オールマイト先生」

 

 八百万さん。家柄関係でほんの少しだが八百万家と交流がありこの子を知っている。この子、頭いいんだよね。

 

「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから」

 

 チラッと爆豪の様子を確認する。

 

 ……ありゃ? なんかあの子、めっちゃ沈んでない? そんなに負けたのショックだったの? お姉さん、ちょっと心配。

 

「爆豪さんの行動は、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断」

 

 おぉ……。

 

「そして屋内での大規模攻撃は基本、愚策。緑谷さんも同様の理由ですね」

 

 的確ぅ……ただ今それはちょっと辛いかなぁ。

 

 その後も、麗日さんと飯田くんへの講評を行った八百万さん。

 

「ま、まあ飯田少年も固すぎる節はあったりするわけだが…………正解だよ……!」

 

 思ったよりも言われてしまったのか、悔しそうな表情でサムズアップするオールマイト。『やっべ全部言われた!』って顔しとる……。

 

 にしてもちょいとツンツンし過ぎてるかなぁ、この状況だと。張り切り過ぎちゃったかな? ……フォローするか。

 

「でも、爆豪くんの動き凄かったね。『戦闘センスの塊』って感じ。もしかして実戦経験があるのかな? なかなかできる動きじゃないからね」

 

 皆の視線がこちらに向く。爆豪も少しだけ顔を上げる。緊張するよぉ……。

 

「それに、麗日さん達の連携も初めてにしちゃあすごくよかった」

 

 二人は少し照れくさそうに頬をかいた。

 

「飯田くんも準備よかったね。麗日さんがつい吹き出しちゃうくらいだったもん」

 

 ついでにそう茶化すと、笑い声がそこかしこから聞こえてきた。うんうん、いい感じ。

 

「八百万さんは的確で……リーダーに向いてるんじゃない?」

 

「もちろん、指揮することも考えて励んでおりますわ!」

 

 ドヤってる。かわちぃ。

 

「第一回戦を通してわかっただろうが、こんな感じだ! 次からは今の講評をよく考えて訓練に挑むように!」

 

『はい!』

 

 チラッと、爆豪の様子を窺う。あんまり思い詰めてないといいけど。

 

 ◇

 

 第一戦でビルが使い物にならなくなったので場所を変えて第二戦。次は障子と轟がヒーローチーム、尾白と葉隠がヴィランチーム。こちらは一回戦と比べ、すぐに終わる事態となった。

 

「まさかのビル丸ごと凍結」

 

「仲間も巻き込まず核兵器にもダメージを与えず尚且つ敵も弱体化!」

 

「最強じゃねえか!!」

 

 そして戦闘終了後は熱を出して解凍。まさかの冷気と熱気を操る個性持ち。

 

 ◇

 

 その後も戦闘訓練は続き、いよいよ私の番。

 

「では最後に言代少女と戦うメンバーを決めよう! 立候補はいるかな?」

 

「はい!」

 

 手を挙げたのは、尾白。

 

「なにもできず負けてしまったので、もう一度俺たちにやらせてください。葉隠さんもそれで良い?」

 

「あ、うん」

 

 瞬殺されちゃったもんね。あれはドンマイ。

 

「二人はさっきヴィラン役やったから、次はヒーロー役にしよっか」

 

「そうだね……よろしくお願いします」

 

「あ、はい、よろしくお願いします」

 

「…………」

 

 なんか相方黙り込んじゃってるけど、大丈夫かな?

 

 まぁ、それは置いといて、ヴィラン役なので一足先にビルに行って準備をする。作戦はついさっき決まったんだよね。よぉし、頑張るぞー!

 

 ◇

 

「葉隠さんって言代さんのこと知ってる?」

 

「試験会場が一緒だったから、ちょっとだけなら……」

 

「本当? よし!」

 

「えっとね、雷を飛ばしてた」

 

「え」

 

「個性把握テストの時も使ってたけど、風を纏って? 飛ぶやつ……人一人(ひとひとり)運ぶこともできてた」

 

「うん……」

 

「あとは個性把握テストの時に見たものくらいしか……」

 

「…………立候補しといてアレだけど、作戦の立てようがないな」

 

「……あと、私のこと見えるって言ってた」

 

「え“」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……一緒に行動しようか」

 

「……うん」

 

 そんな会話もここまで。オールマイトの開始の合図が出たので、警戒しながら足を進めていく…………つもりだったが。

 

「「なにこれ……?」」

 

 そこには明らかに怪しい紋様の広がっている一階の床と、等間隔(とうかんかく)で置かれている鏃状(ぞくじょう)の雷があった。

 

「ま、まずどうやって入る!?」

 

「入れるのか、これ!?」

 

 焦る焦る。ぐるぐると忙しなく動き回りあたりを見回す。ただ、残念なことに扉付近、もしくは一階あたりの防御が硬かった。一階は(・・・)、だが。

 

「こ、これ! 二階から行けるんじゃない!?」

 

「あ、本当だ!!」

 

 二階の窓付近からところどころ雷がないところがあり、中に入れそうであった。

 

「葉隠さん、捕まって!」

 

「よしっ!」

 

 尾白の個性を上手く使って建物に侵入。ここにも雷が設置されていたが、一階よりは少なく、動くには少し気をつければ大丈夫な程度だった。

 

「たぶん一階で時間を稼ぐつもりだったんだ! 葉隠さんは俺が言代さんと戦っている時に『核』を確保してほしい」

 

「わかった!」

 

 言代には葉隠が見えるらしいが尾白には全く見えない。見えない相手と共闘するよりも尾白一人で時間を稼いで葉隠に『核』を確保してもらうのがいいと二人は判断した。

 

 上に上がれば上がるほど雷の数も減っていく。いよいよ戦闘かと意気込み最後の部屋の扉を開く。

 

 

 

 

 

 

「「()?」」

 

 

 

 

 

 

 ──そこにはなにも(・・・)なかった。

 

 

 

 

 

 

「……どういうこと!?」

 

「こ、ここまで来る途中で言代さんにも『核』にも出会って…………まさか……っ!!」

 

 ここまで来ればわかるであろう。

 

 

 

「「一階にある(・・・・・)!?」」

 

 

 

 ◇

 

「そろそろかな?」

 

 一階に待機している魔兎はソワソワしていた。それは対戦相手が影響している。尾白は対処できるのだが、問題は葉隠。

 

「(葉隠さんは見えない(・・・・)からなぁ)」

 

 見えない葉隠には攻撃し辛い。打ちどころが悪かった場合、大怪我をさせる恐れがあるからだ。最悪、殺してしまうかもしれない。

 

「トラップに引っかかってくれて嬉しいよ」

 

 魔兎はそう呟き、意地悪な笑みを浮かべた。

 

 ◇

 

「ね、ねえっ!」

 

「なにっ?」

 

「なんか遅くないっ?」

 

「葉隠さんもっ?」

 

 尾白と葉隠は走っていた。走っていたからこそやっと気づいたことがあった。

 

 ──動きが遅い。

 

 一般的には階段を登るよりも降りる方が速いはずなのに、さっき上に上がっていた時の速さと今の駆け降りている速さが同じくらい、もしくはそれ以下(・・・・)であるのだ。何かが起きているとわかっていても原因がわからない。二人はただただ愚直に前へ進むしかない。

 

 一階に着いた二人はまず落ちていたコンクリートの欠片を紋様の範囲内に投げ入れた。

 

「…………何も起きない?」

 

 そっと足を入れてみる。────何も起きない。

 

「ただのブラフじゃん!!」

 

 そうとわかればこっちのもん!、というかのようにどんどん進んでいく。他の階を進んでいる時にコツを掴んだのか、雷を避けるのも上手くなっていた。これにはオールマイトもにっこり。

 

 そして。

 

「ずいぶん遅かったね、ヒーロー?」

 

 一階の奥の部屋。その二つ前の部屋と一方通行の廊下の境目あたりに風を纏っている魔兎が陣取っていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「めっちゃ息上がってるけど大丈夫? …………返事も返ってこないくらい疲弊してるのはやばくない? これ酸欠になってない? ほんとに大丈夫? 戦える?」

 

「ヒーローを心配するなんてっ…………余裕だな……!」

 

「あっ、やるの? んっ、んん“っ! ……そんなに疲れていて何ができるの? ある程度しか戦えない子と透明というだけの子。勝ち目ないんじゃない?」

 

「それで諦めるようなヒーローじゃないんでね……!」

 

「……そ」

 

 開戦の火蓋(ひぶた)を切ったのは魔兎。風を纏い尾白に急接近する。

 

「おおお!!」

 

 尾白が尻尾を横に薙ぎ払うが、魔兎は下に体を沈め懐に潜り込み、腹にワンパン。

 

「がっ!?」

 

 そのまま右足を軸に左足を蹴り上げ、首筋にワンキック。

 

「────」

 

「(早く『核』を!!)」

 

 葉隠は魔兎の横を通り過ぎようとするが、事前に完成間近まで唱えておいた魔法の方が早かった。

 

「──── 【シルヴァー・ヴァイン】」

 

「へあっ!?」

 

「つーかまーえたっ♪」

 

 気絶した尾白と蔦のようなものに縛られ拘束された葉隠。ここから大逆転するのはほぼ不可能である。よって。

 

「ヴィランチーム、WIN!!」

 

 私の勝ちだ。




鏃状(ぞくじょう)」とは、矢の先端につける金具(矢尻(やじり))のような形、または「矢の先端のように尖って中央が膨らんだ形状」を指す言葉です。主に考古学や歴史学、生物学などの分野で用いられます。(by AI情報)

 いかがでしたか? 戦闘描写が難しい! 書ける人すごくなぁい?

 次回も楽しみに! ばいちゃ!
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