魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第十話 姉妹模擬戦

森での戦闘から数日後。

 

海鳴市には、いつもの穏やかな日常が戻っていた。

 

ジュエルシードの回収も順調に進んでいる。

 

もっとも――そのほとんどは、なのは自身の力によるものだった。

 

「封印!」

 

『Sealing mode.』

 

桃色の光がジュエルシードを包み込み、静かに沈黙する。

 

カラン、と宝石がなのはの手へ落ちた。

 

「やった!」

 

なのはが嬉しそうに笑う。

 

その少し後ろでは、さくらが静かに見守っていた。

 

戦闘には一切介入しない。

 

約束だからだ。

 

---

 

そして休日。

 

海鳴市の広い公園。

 

ユーノが周囲へ結界を展開していた。

 

「これで一般人には見えないよ」

 

淡い光が公園を包み込む。

 

なのははレイジングハートを握り、真剣な顔でさくらを見る。

 

「よろしくお願いします!」

 

さくらは少し苦笑した。

 

「そんなに気合入れなくてもいいのに」

 

そう言いながら、ポケットへ手を入れる。

 

取り出したのは、紫色の宝石が埋め込まれたリング。

 

さらに、小さな匣。

 

ユーノが目を瞬かせる。

 

「また違うリング……」

 

さくらはリングを指にはめる。

 

紫色の炎が静かに灯った。

 

そして、その炎を匣の穴へ押し当てる。

 

炎が流れ込む。

 

カチリ。

 

匣が開口した。

 

吹き上がる紫色の炎。

 

その中から飛び出したのは――二本のトンファー。

 

見た目はごく普通。

 

少し長めではあるが、特別な構造には見えない。

 

さくらが両手で軽く回す。

 

紫色の炎が武器へ静かに纏わりついた。

 

なのははレイジングハートを構える。

 

「行くよ!」

 

『Stand by ready.』

 

桃色の魔法陣展開。

 

次の瞬間。

 

なのはが飛び出した。

 

ドンッ!!

 

桃色の魔力弾。

 

さくらは最小限の動きで回避。

 

そのまま地面を蹴る。

 

爆発的加速。

 

「速っ!?」

 

なのはが咄嗟に防御。

 

バチィッ!!

 

トンファーとレイジングハートが激突する。

 

重い。

 

なのはの身体が押し込まれる。

 

「くっ……!」

 

さらに連撃。

 

左右から叩き込まれる攻撃を、なのはは必死に受け止める。

 

だが押される。

 

「うわっ!」

 

なのはは空へ逃げるように飛び上がった。

 

距離を取る。

 

「はぁ、はぁ……近接強すぎ……!」

 

上空で体勢を立て直す。

 

その瞬間。

 

ジャラッ――

 

「……え?」

 

聞こえた音に、なのはが目を瞬かせた。

 

次の瞬間。

 

さくらのトンファー側面が展開する。

 

内部から飛び出した玉鎖。

 

「えぇっ!?」

 

鎖が一直線になのはへ伸びる。

 

ガシリ。

 

片足へ巻き付いた。

 

「きゃっ!?」

 

なのはの身体が引かれる。

 

同時に、さくら自身も地面を蹴った。

 

ドンッ!!

 

鎖を利用して一気に空中へ。

 

ユーノが目を見開く。

 

「仕込み武器!?」

 

空中で急接近。

 

なのはが慌てて障壁を張る。

 

だが遅い。

 

ドォンッ!!

 

トンファーの一撃。

 

障壁ごと吹き飛ばされる。

 

「きゃああっ!?」

 

なのはが空中を転がる。

 

なんとか体勢を立て直すが、目を丸くしていた。

 

「そんなのあり!?」

 

さくらは鎖を巻き取りながら静かに言う。

 

「実戦なら普通」

 

「普通じゃないよ!?」

 

なのはが即座にツッコむ。

 

ユーノも頷いた。

 

「僕もそう思う!」

 

だが、なのはの表情はどこか楽しそうだった。

 

強い。

 

予想外。

 

でも、それが面白い。

 

なのははレイジングハートを構え直す。

 

「まだまだ!」

 

桃色の魔法陣が空中へ展開される。

 

アクセルシューター。

 

誘導弾一斉射撃。

 

さくらは空中で鎖を振るいながら機動。

 

トンファーで魔力弾を弾き飛ばしていく。

 

バチィッ!!

 

火花が散る。

 

夕焼けの公園。

 

桃色と紫色の光が何度も交差する。

 

それは戦いでありながら――

 

姉妹だけの、大切な時間だった。

 

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