魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第十三話 再戦の夜

夕日は沈み。

 

海鳴市は、完全に夜の帳へ包まれていた。

 

高層ビルの窓明かりが夜景のように輝き、道路には車のライトが流れていく。

 

そんな都市部の一角を、なのはたちは歩いていた。

 

「うーん……見つからないね」

 

なのはが少し疲れた声で言う。

 

肩にはユーノ。

 

その少し後ろを、さくらが静かについて来ていた。

 

現在時刻は二十時過ぎ。

 

学校も終わり、夕食も済ませた後の捜索だった。

 

ユーノが周囲へ視線を巡らせる。

 

「反応はあるんだけど、弱いんだ」

 

「ジュエルシードが休眠状態に近いのかも」

 

「うぅ……難しい……」

 

なのはが小さく肩を落とす。

 

そんな時だった。

 

ゴロォォン……

 

遠くで雷鳴が響いた。

 

なのはが空を見上げる。

 

「……あれ?」

 

夜空は晴れている。

 

雲も少ない。

 

なのに、雷だけが鳴っていた。

 

ユーノの顔色が変わる。

 

「この感じ……!」

 

次の瞬間。

 

ドクン――

 

空気そのものが震えた。

 

凄まじい魔力反応。

 

ビル街の向こう側から、暴力的な魔力が噴き上がる。

 

そして――

 

バリィッ!!

 

金色の雷が夜空を裂いた。

 

「っ!?」

 

なのはが目を見開く。

 

雷は自然現象じゃない。

 

魔力だ。

 

しかもジュエルシードの。

 

ユーノが即座に叫ぶ。

 

「まずい! 結界を張る!」

 

魔法陣が展開される。

 

淡い光が周囲へ広がっていく。

 

都市部だからこそ、一般人を巻き込む訳にはいかない。

 

結界が閉じる。

 

ビル街の一角が静かに隔離された。

 

だが、ユーノは険しい顔のままだった。

 

「向こうも気付いてる……!」

 

「あっちも戦闘前提だ」

 

さくらは静かに空を見る。

 

雷鳴。

 

空気の震え。

 

そして暴走した魔力。

 

「……無理やり起こした」

 

ユーノが頷く。

 

「多分、ジュエルシードを強制活性化させたんだ」

 

「回収を急いでる」

 

ゴロォォォン――!!

 

再び雷鳴。

 

今度は近い。

 

なのははレイジングハートを握った。

 

『Stand by ready.』

 

桃色の魔法陣が足元へ展開される。

 

三人は反応地点へ急いだ。

 

 

高層ビル群の中心部。

 

大通り。

 

本来なら人や車で賑わっているはずの場所。

 

だが結界の中では、静寂だけが支配していた。

 

そして。

 

バチバチと金色の雷が暴れている。

 

道路標識。

 

街灯。

 

信号機。

 

周囲の金属へ雷が走り、火花が散っていた。

 

暴走したジュエルシードの影響だ。

 

その中心。

 

一人の少女が静かに立っていた。

 

黒衣。

 

長い金髪。

 

赤い瞳。

 

そして手には、大鎌型デバイス。

 

フェイト。

 

なのはが立ち止まる。

 

フェイトも静かになのはを見る。

 

夜風が吹き抜けた。

 

雷光が二人を照らす。

 

数秒の沈黙。

 

そして。

 

フェイトが静かに口を開く。

 

「また来たんだ」

 

冷たい声。

 

なのはは一歩前へ出た。

 

「ジュエルシード……危ないんでしょ!?」

 

「こんな無理やり暴走させたら!」

 

フェイトの表情は変わらない。

 

「必要だからやっただけ」

 

「っ……!」

 

なのはが言葉を詰まらせる。

 

ユーノが小声で言った。

 

「なのは、来る!」

 

その瞬間。

 

フェイトが消えた。

 

「速っ――!?」

 

金色の閃光。

 

次の瞬間には、なのはの目の前。

 

バルディッシュが振り下ろされる。

 

ガギィンッ!!

 

レイジングハートで受け止める。

 

衝撃。

 

なのはの身体が大きく押し込まれた。

 

「くぅっ!」

 

重い。

 

速い。

 

以前よりも鋭い。

 

フェイトはそのまま連撃へ移行する。

 

金色の斬撃。

 

なのはは必死に防御。

 

火花が夜空へ散る。

 

その戦いを、少し後方からさくらが静かに見つめていた。

 

ポケットへ手を入れる。

 

その時だった。

 

「そっちの嬢ちゃんは、動くんじゃないよ」

 

低い声。

 

さくらが視線を向ける。

 

ビルの上。

 

そこには、大柄な女性が立っていた。

 

獣の耳。

 

鋭い眼光。

 

フェイトとは違う、荒々しい魔力。

 

アルフ。

 

彼女はビルから飛び降りる。

 

ドンッ!!

 

アスファルトが砕けた。

 

ユーノが目を見開く。

 

「使い魔……!」

 

アルフはなのはとフェイトの戦闘をちらりと見て、舌打ちする。

 

「フェイトの邪魔はさせないよ」

 

さくらは静かにアルフを見る。

 

「そっちも」

 

短い返答。

 

アルフが笑った。

 

「へぇ……怖がらないんだ?」

 

さくらは答えない。

 

ただ、静かにポケットへ手を入れる。

 

赤。

 

紫。

 

藍。

 

三つのリングへ指先が触れた。

 

一方。

 

空中では、なのはとフェイトの高速戦闘が激化していく。

 

桃色と金色の光。

 

そして地上では――

 

さくらとアルフが、静かに睨み合っていた。

 

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