魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第十四話 雷光と嵐

夜のビル街。

 

高層ビルの隙間を、桃色と金色の閃光が駆け抜ける。

 

ガギィンッ!!

 

空中で激突する、レイジングハートとバルディッシュ。

 

衝撃波が周囲の窓ガラスを震わせた。

 

「はぁっ!!」

 

なのはが桃色の魔力弾を放つ。

 

だがフェイトは高速移動で回避。

 

金色の残光だけを残し、一瞬でなのはの背後へ回り込む。

 

「っ!?」

 

振り向きざま。

 

バルディッシュの斬撃。

 

しかし。

 

ガギン!!

 

今度はなのはがしっかり受け止めた。

 

フェイトの目が僅かに細くなる。

 

以前とは違う。

 

反応速度。

 

防御。

 

空中機動。

 

全てが、あの時より明らかに上がっていた。

 

なのは自身も、それを理解していた。

 

――さくらとの模擬戦。

 

何度も叩き潰された。

 

空中戦。

 

接近戦。

 

高速移動。

 

フェイント。

 

容赦なく追い詰められた。

 

だからこそ。

 

「前より、見える……!」

 

フェイトの動きに食らいつける。

 

フェイトが距離を取る。

 

バルディッシュへ魔力収束。

 

『Arc Saber.』

 

金色の刃が複数形成された。

 

「いけ」

 

放たれる高速魔力刃。

 

なのはは即座に反応。

 

「ディバインシューター!」

 

桃色の誘導弾が空中で迎撃。

 

バチバチバチィッ!!

 

魔力同士が激突し、夜空へ火花が散る。

 

フェイトが少し驚いたように目を細めた。

 

「……強くなってる」

 

なのははレイジングハートを握り締める。

 

「わたしだって、頑張ってるから!」

 

次の瞬間。

 

なのはが一気に加速した。

 

桃色の魔法陣が連続展開。

 

フェイトへ突撃。

 

以前なら押されていた距離。

 

だが今は違う。

 

近接戦へ持ち込める。

 

ガギィン!!

 

再び衝突。

 

フェイトの表情が変わる。

 

「っ……!」

 

重い。

 

なのはの一撃が、以前より鋭い。

 

そのまま、なのはが魔力弾をゼロ距離展開。

 

「アクセルシューター!!」

 

至近距離から放たれる桃色弾。

 

フェイトが咄嗟に防御。

 

爆発。

 

金色の障壁が軋む。

 

夜空へ煙が広がった。

 

 

一方、地上。

 

アルフは目の前の少女を見据えていた。

 

「アンタ……魔導師じゃないね」

 

さくらは答えない。

 

ただ静かに、ポケットから赤い宝石のリングを取り出した。

 

人差し指へ嵌める。

 

ボッ――

 

赤い炎。

 

嵐の炎。

 

続いて取り出したのは、一つの匣。

 

アルフの目が細くなる。

 

「またその妙な武器かい」

 

さくらは何も言わない。

 

リングへ灯した赤い炎を、匣の穴へ押し当てる。

 

炎が注ぎ込まれた瞬間――

 

ガコンッ!!

 

匣が両開きに展開。

 

内部から、赤い炎を纏った影が飛び出した。

 

「ガァァァッ!!」

 

巨大な虎。

 

赤い炎を纏う獣。

 

鋭い牙。

 

燃えるような双眼。

 

アルフが目を見開く。

 

「っ!? なんだいそりゃ!」

 

嵐の匣兵器。

 

『嵐トラ(ティグレ・デッラ・テンペスタ)』

 

虎は低く唸りながら、さくらの前へ着地する。

 

アスファルトへ爪が食い込んだ。

 

さくらは静かに前へ出る。

 

次の瞬間。

 

虎が消えた。

 

「速――!?」

 

アルフが反応した時には遅い。

 

赤い炎を纏った爪撃。

 

ガギィンッ!!

 

アルフが腕で受け止める。

 

衝撃。

 

そのまま吹き飛ばされた。

 

「ぐっ……!」

 

ビル壁へ叩き付けられる。

 

だがアルフも即座に反撃。

 

獣化した腕を振り抜く。

 

だが。

 

赤い炎が揺らぐ。

 

次の瞬間。

 

虎の爪が触れた街灯が、ボロボロと崩壊した。

 

「っ!?」

 

アルフが目を見開く。

 

分解。

 

触れた部分が崩されている。

 

さくらは静かにアルフを見る。

 

その瞳に感情は少ない。

 

だが。

 

確かな戦意だけが宿っていた。

 

空では、桃色と金色。

 

地上では、赤い炎。

 

夜のビル街で――

 

二つの戦いが激化していく。

 

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