魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第2話「戦いの嵐、ふたたびなの」

夜。

 

月村家ではアリサとすずかが電話で話していた。

 

話題は、もうすぐ海鳴へやって来るフェイト・テスタロッサのことだった。

 

「やっと来るのね、なのはの友達」

 

『うん。歓迎会しようって話してたんだ』

 

「当然でしょ!盛大にやるわよ!」

 

二人は楽しそうに笑い合う。

 

その頃。

 

海鳴市上空の封鎖領域では、激しい戦いが繰り広げられていた。

 

傷付き倒れたなのはを守るように立つフェイト。

 

その右手には、雷のマーレリングが輝いている。

 

「管理局執務官補佐、フェイト・テスタロッサです」

 

バルディッシュを構え、ヴィータへ告げる。

 

「あなたは管理外世界での無許可魔法行使、及び民間人への攻撃を行いました」

 

「……」

 

「武装解除を要求します」

 

ヴィータは鼻で笑った。

 

「断る」

 

次の瞬間。

 

二人は同時に飛び出した。

 

激しい空中戦。

 

さらにアルフも加わり、ヴィータは徐々に押され始める。

 

だがその時。

 

フェイトの視線がヴィータの右手へ向いた。

 

紫色の宝石のリング。

 

見覚えのある意匠。

 

フェイト自身が持つ雷のマーレリングと酷似した形。

 

見間違えるはずがない。

 

「あのリング……!」

 

脳裏に浮かぶのは高町さくらの顔。

 

まさか。

 

そんなはずはない。

 

そう思いたかった。

 

「どこでそのリングを手に入れたの!?」

 

ヴィータは舌打ちする。

 

「知るかよ!」

 

答えることなくグラーフアイゼンを振り下ろした。

 

――――――――――

 

一方。

 

倒れたなのはの元ではユーノが治療を続けていた。

 

「なのは、大丈夫?」

 

「ユーノくん……」

 

かすかに目を開くなのは。

 

ユーノは安堵する。

 

フェイトの裁判が終わり、連絡を取ろうとした時。

 

突然通信が途絶えた。

 

レイジングハートとも連絡が取れない。

 

嫌な予感がして急行したのだという。

 

なのはは小さく微笑んだ。

 

「来てくれて……ありがとう」

 

――――――――――

 

その時。

 

夜空を裂く一閃。

 

フェイトが吹き飛ばされた。

 

現れたのは白き騎士。

 

シグナム。

 

そして守護獣ザフィーラ。

 

「シグナム!」

 

ヴィータが叫ぶ。

 

シグナムは拘束を斬り裂きながら言った。

 

「無茶をするな」

 

帽子を差し出す。

 

ヴィータは気まずそうに受け取った。

 

「お前が怪我をすれば、主はやてが心配する」

 

「わ、分かってるよ!」

 

照れ隠しに叫ぶヴィータ。

 

――――――――――

 

戦況は変わる。

 

シグナム対フェイト。

 

ヴィータ対ユーノ。

 

ザフィーラ対アルフ。

 

それぞれが戦闘へ移行した。

 

フェイトは再び目を見開く。

 

シグナムの右手。

 

嵐のマーレリング。

 

ザフィーラの前脚。

 

雨のマーレリング。

 

間違いない。

 

全員が持っている。

 

フェイトは無意識に自分の右手を見る。

 

雷のマーレリング。

 

さくらから託されたリング。

 

ならば何故。

 

どうして彼らも持っているのか。

 

「あなたたち……」

 

「どこでそのリングを手に入れたの?」

 

シグナムは静かに答えた。

 

「答える義務はない」

 

その瞬間。

 

レヴァンティンが振り下ろされた。

 

――――――――――

 

激突。

 

火花が散る。

 

技量は互角。

 

だが。

 

『Kartusche Laden』

 

カートリッジロード。

 

さらに。

 

嵐のマーレリングが赤く燃え上がる。

 

嵐の炎。

 

分解の力。

 

レヴァンティンを包み込む赤い炎。

 

「っ!?」

 

フェイトが受け止める。

 

しかしバルディッシュに傷が走った。

 

圧倒的な破壊力。

 

フェイトは押されていく。

 

一方。

 

ザフィーラの雨の炎はアルフの闘争心を静かに抑え込んでいた。

 

力が出しにくい。

 

集中しづらい。

 

アルフは違和感を覚えるが理由は分からない。

 

――――――――――

 

フェイトたちは結界破壊を試みる。

 

ユーノ。

 

アルフ。

 

フェイト。

 

三人で攻撃するが、封鎖領域はびくともしない。

 

その中で。

 

シグナムは名乗った。

 

「ベルカの騎士」

 

「ヴォルケンリッターが将」

 

「シグナム」

 

「炎の魔剣レヴァンティン」

 

フェイトも答える。

 

「フェイト・T・ハラオウン」

 

「バルディッシュ」

 

互いに名乗り。

 

再び剣を交える。

 

――――――――――

 

その頃。

 

八神家。

 

はやては夕食の準備をしていた。

 

シチューを煮込みながら帰りを待つ。

 

電話が鳴る。

 

相手はシャマルだった。

 

『材料が足りなくて少し遠くまで来てるの』

 

「無理せんでええよ?」

 

『大丈夫』

 

優しい声。

 

『みんな連れて帰るから』

 

電話は切れた。

 

しかし。

 

シャマルは今。

 

戦場を見下ろしていた。

 

晴のマーレリングをはめた手。

 

そして闇の書。

 

静かに機会を待っていた。

 

――――――――――

 

なのはは唇を噛む。

 

自分のせいでみんなが戦っている。

 

その時。

 

レイジングハートが輝いた。

 

『Starlight Breaker』

 

「え?」

 

『Proposal』

 

スターライトブレイカー。

 

最大砲撃。

 

結界破壊。

 

「でも、レイジングハート……!」

 

既に深刻な損傷。

 

危険すぎる。

 

しかし。

 

『Can Fire』

 

撃てます。

 

静かな返答。

 

半年間。

 

共に戦ってきた相棒。

 

なのはは頷いた。

 

「お願い」

 

レイジングハートへ魔力が集まる。

 

そして。

 

なのはの指にはめられた嵐のリングが赤く輝いた。

 

嵐の炎。

 

分解の力。

 

その力がスターライトブレイカーへ混ざっていく。

 

――――――――――

 

だが。

 

その瞬間だった。

 

空間が歪む。

 

「え……?」

 

なのはの背後から腕が現れた。

 

旅の鏡。

 

シャマルの魔法。

 

腕はなのはの胸へ伸びる。

 

そして。

 

リンカーコアを掴み出した。

 

「ああああああっ!!」

 

闇の書のページが急速に埋まっていく。

 

「なのは!!」

 

フェイトが叫ぶ。

 

助けようとする。

 

しかし。

 

シグナムが立ちはだかる。

 

「通さん」

 

――――――――――

 

それでも。

 

なのはは諦めなかった。

 

最後の力を振り絞る。

 

「レイジングハート!!」

 

『All Green』

 

スターライトブレイカー。

 

発射。

 

桜色の極大砲撃。

 

その中心を赤い嵐の炎が貫く。

 

結界へ直撃。

 

分解の力が魔力構造を削り取る。

 

そして。

 

封鎖領域全体に亀裂が走った。

 

「撃ち抜いてぇぇぇぇっ!!」

 

轟音。

 

結界崩壊。

 

だが同時に。

 

パキッ――

 

なのはの嵐のリングに亀裂が入る。

 

限界を超えた出力。

 

耐えきれなかった。

 

リングは砕け散り、赤い欠片が夜空へ舞った。

 

「あ……」

 

なのはの身体から力が抜ける。

 

――――――――――

 

管理局アースラ。

 

全員が絶句していた。

 

AAAランク魔導師であるなのはとフェイトが苦戦している。

 

そして。

 

シャマルの持つ一冊の本。

 

クロノの表情が凍り付く。

 

「あれは……」

 

「知ってるの?」

 

エイミィが問う。

 

クロノは苦い顔で答えた。

 

「ああ」

 

「嫌な因縁がある」

 

そして。

 

「闇の書だ」

 

――――――――――

 

結界崩壊。

 

ヴォルケンリッターは即座に撤退する。

 

シグナム。

 

ヴィータ。

 

ザフィーラ。

 

シャマル。

 

全員が夜へ消えた。

 

残されたのは傷付いたなのは。

 

フェイトはなのはを抱き起こす。

 

「なのは!」

 

返事はない。

 

ユーノも青ざめる。

 

夜風だけが吹き抜ける。

 

フェイトの脳裏には、敵が持っていたマーレリングの姿が焼き付いていた。

 

高町さくら。

 

本当に関係しているのだろうか。

 

新たな疑問を残したまま、夜は更けていく――

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