魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第十五話 時空管理局

夜のビル街。

 

桃色と金色の光が、夜空を激しく駆け巡っていた。

 

ガギィンッ!!

 

空中で激突する、レイジングハートとバルディッシュ。

 

衝撃波がビルの窓を震わせる。

 

「はぁぁっ!!」

 

なのはが魔力を解放。

 

桃色の砲撃が一直線に走る。

 

フェイトは高速機動で回避。

 

金色の雷光がビル壁を蹴り、一瞬でなのはの死角へ潜り込む。

 

「っ!?」

 

振り向くより早く、斬撃。

 

ガギン!!

 

なのはが咄嗟に防御。

 

押し込まれる。

 

だが、以前のように一方的ではない。

 

なのはは食らいついていた。

 

フェイトもそれを理解している。

 

「……強い」

 

小さな呟き。

 

なのははレイジングハートを握る。

 

「わたしだって……負けたくない!」

 

桃色の魔力が膨れ上がる。

 

一方。

 

地上では、アルフとさくらの戦いが続いていた。

 

「くっそ……!」

 

アルフが地面を蹴る。

 

獣のような速度。

 

だが、その目前へ赤い炎の虎が飛び込む。

 

『嵐トラ(ティグレ・デッラ・テンペスタ)』

 

ガァァァッ!!

 

鋭い爪撃。

 

アルフが回避した直後、背後の街灯が崩れ落ちた。

 

「分解しやがるのかい!」

 

アルフが舌打ちする。

 

さくらは静かにアルフを見据える。

 

赤い炎が揺らめく。

 

その時だった。

 

「そこまでだ」

 

突然。

 

少年の声が響いた。

 

全員の動きが止まる。

 

ビル上空。

 

そこに、一人の少年が浮かんでいた。

 

黒いバリアジャケット。

 

整った顔立ち。

 

冷静な瞳。

 

手にはデバイス。

 

ユーノが目を見開く。

 

「時空管理局……!?」

 

クロノ・ハラオウン。

 

管理局執務官。

 

クロノは周囲を見渡しながら、鋭い声で告げた。

 

「ロストロギアの不法使用を確認した」

 

「全員、武装解除――」

 

その瞬間。

 

フェイトの表情が変わった。

 

「っ……!」

 

即座に距離を取る。

 

アルフも戦闘を中断し、フェイトの元へ跳ぶ。

 

「フェイト!」

 

管理局。

 

それはフェイトたちにとって、最悪クラスの遭遇だった。

 

だが。

 

次の瞬間。

 

ゴロォォォォォッ!!!!

 

空気が爆発した。

 

「っ!?」

 

全員が空を見る。

 

暴走。

 

ジュエルシードだ。

 

抑え込まれていた魔力が、一気に膨れ上がる。

 

金色の雷が暴走し、ビル街全体へ広がり始めた。

 

道路が砕ける。

 

街灯が爆ぜる。

 

クロノが舌打ちした。

 

「まずい……!」

 

ユーノも青ざめる。

 

「完全暴走だ!」

 

なのはが息を呑む。

 

「そんな……!」

 

その時。

 

さくらが静かにポケットへ手を入れた。

 

取り出したのは、紫色の宝石が付いたリング。

 

中指へ嵌める。

 

ボッ――

 

紫色の炎。

 

続いて、匣を取り出す。

 

炎を穴へ押し当てる。

 

ガコンッ!!

 

開匣。

 

飛び出したのは――

 

小さなハリネズミ。

 

『雲ハリネズミ(リッチョ・デッレ・ヌーヴォレ)』

 

ハリネズミが地面へ着地した瞬間。

 

紫色の炎が一気に増殖。

 

ドーム状の壁が広がっていく。

 

「隔離する気か……!」

 

クロノが驚く。

 

だが。

 

ジュエルシードの暴走は、想像以上だった。

 

雷が荒れ狂う。

 

空間そのものが軋む。

 

紫炎の壁が激しく震え始めた。

 

「っ……!」

 

さくらが炎の出力を上げる。

 

紫色の炎がさらに増殖。

 

ドームが広がる。

 

しかし。

 

ピシッ――

 

嫌な音が響いた。

 

ユーノが目を見開く。

 

「リングが……!」

 

さくらの中指。

 

紫色の宝石へ、亀裂が走っていた。

 

暴走するジュエルシードの波動。

 

その負荷に、リングが耐え切れていない。

 

それでも、さくらは炎を止めない。

 

紫炎はさらに膨れ上がる。

 

だが次の瞬間――

 

バキィンッ!!

 

紫色のリングが砕け散った。

 

「っ――!」

 

炎が大きく揺らぐ。

 

ドームが崩壊しかける。

 

なのはが叫んだ。

 

「お姉ちゃん!」

 

だが、その時だった。

 

「バルディッシュ!」

 

フェイトが前へ出た。

 

金色の魔力が膨れ上がる。

 

「封じるよ……!」

 

フェイトが暴走の中心へ突っ込む。

 

「フェイト!?」

 

アルフが叫ぶ。

 

だがフェイトは止まらない。

 

両手を広げ、無理矢理ジュエルシードへ魔力を叩き込む。

 

金色の雷と雷が衝突。

 

空気が悲鳴を上げる。

 

フェイトの表情が苦痛に歪む。

 

それでも。

 

「……止まれぇぇっ!!」

 

金色の光が爆発した。

 

そして――

 

暴走が止まる。

 

静寂。

 

雷鳴が消えた。

 

崩壊しかけていたビル街も、辛うじて持ち堪えている。

 

なのはが息を呑む。

 

「止めた……」

 

クロノも驚いていた。

 

だが。

 

フェイトは大きく息を乱している。

 

消耗が激しい。

 

その隙を、アルフは見逃さなかった。

 

「撤退するよ!」

 

アルフがフェイトを抱き寄せる。

 

「っ――!」

 

転移魔法陣。

 

金色の光。

 

フェイトが最後になのはを見る。

 

何か言いたげだった。

 

だが。

 

そのまま、二人の姿は消えた。

 

静寂が戻る。

 

なのはは追おうとした。

 

だが。

 

「っ……」

 

膝が崩れる。

 

限界だった。

 

連戦。

 

高出力戦闘。

 

体力も魔力も、ほぼ空。

 

ユーノが慌てる。

 

「なのは!」

 

クロノはそんななのはを見ると、小さく息を吐いた。

 

そして、砕けた紫色のリングへ視線を向ける。

 

「……君たち」

 

「少し事情を聞かせてもらう必要がある」

 

その後ろ。

 

空間へ巨大な魔法陣が展開される。

 

次元航行艦。

 

『アースラ』

 

管理局の船だった。

 

クロノは静かに告げる。

 

「来てもらう」

 

こうして。

 

なのはたちは――

 

時空管理局と接触することになった。

 

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