魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第4話「新たなる力、起動なの!」

早朝。

 

海鳴市の空はまだ白み始めたばかりだった。

 

八神家では、一日の始まりを告げるようにキッチンから小さな物音が聞こえている。

 

車椅子に座った八神はやてが、慣れた手つきで朝食の準備をしていた。

 

「今日はちょっと冷えるなぁ」

 

そう呟きながら鍋に火をかける。

 

リビングでは、昨夜遅くまで活動していたシグナムとザフィーラが仮眠を取っていた。

 

はやてはそっと毛布を掛ける。

 

「お疲れさま」

 

小さな声。

 

守護騎士たちには届かない。

 

だが、その優しさは確かにそこにあった。

 

部屋へ戻る途中、はやてはまだ眠るヴィータを見つける。

 

同じベッド。

 

おそろいのパジャマ。

 

無防備な寝顔。

 

思わず笑みが零れた。

 

「おはよう、ヴィータ」

 

返事はない。

 

だがそれでよかった。

 

家族がいる。

 

ただそれだけで、はやては幸せだった。

 

---

 

同じ頃。

 

高町なのはは自宅近くの公園で訓練をしていた。

 

だが思うようにいかない。

 

リンカーコアは回復途中。

 

魔力弾の形成も安定しない。

 

「うーん……」

 

何度目かの失敗。

 

レイジングハートも修理中。

 

焦りだけが募る。

 

一方。

 

フェイトもまた訓練を続けていた。

 

バルディッシュが戻るまでの間、訓練用ロッドによる基礎鍛錬。

 

振るたびに思い出す。

 

炎の魔剣。

 

シグナム。

 

あの圧倒的な強さ。

 

負けたくない。

 

次こそは。

 

その想いだけが身体を動かしていた。

 

---

 

朝食の時間。

 

八神家は賑やかだった。

 

「ヴィータ、早く食べないと冷めますよ」

 

「うー……」

 

寝ぼけながら朝食を口に運ぶヴィータ。

 

シャマルは苦笑する。

 

はやてはそんな様子を楽しそうに見ていた。

 

シグナムは温かいミルクを口にする。

 

穏やかな時間。

 

だがその胸中には焦りがあった。

 

闇の書。

 

蒐集。

 

主の命。

 

そして、はやての病。

 

残された時間は決して多くない。

 

---

 

聖祥大附属小学校。

 

朝のホームルーム。

 

教壇へ立つ金髪の少女に教室中の視線が集まっていた。

 

「フェイト・T・ハラオウンです」

 

静かな声。

 

だが、その美しい容姿に教室は騒然となる。

 

「よろしくお願いします」

 

歓声が上がる。

 

なのはは苦笑した。

 

その様子を少し離れた席から見ていたさくらも小さく笑う。

 

---

 

昼休み。

 

屋上。

 

そこにはなのは、フェイト、そしてさくらの三人だけがいた。

 

フェイトは真剣な表情だった。

 

「さくら」

 

「ん?」

 

「聞きたいことがある」

 

なのはも表情を引き締める。

 

フェイトは続けた。

 

「ヴィータたちが持っていたリング」

 

「あれはマーレリングだったよね」

 

さくらは否定しなかった。

 

「ヴィータは雲」

 

「シグナムは嵐」

 

「ザフィーラは雨」

 

「シャマルは晴」

 

フェイトの右手では雷のマーレリングが静かに輝いている。

 

「あのリングの形は間違いなくマーレリングだった」

 

沈黙。

 

やがてさくらが答える。

 

「渡したのは私だよ」

 

なのはが驚く。

 

フェイトは静かに頷いた。

 

「やっぱり」

 

「でも理由は話せない」

 

「いつ渡したのかも」

 

「目的も」

 

さくらはそれ以上語らない。

 

なのはは困ったように声を漏らした。

 

「お姉ちゃん……」

 

「ごめん」

 

それだけだった。

 

しばらくの沈黙。

 

そして。

 

さくらはポケットから小さなケースを取り出した。

 

「なのは」

 

「え?」

 

ケースを開いたなのはが息を呑む。

 

そこには赤く輝くリング。

 

嵐のリングだった。

 

「新しい嵐のリング」

 

なのはは目を丸くする。

 

「お姉ちゃん!」

 

スターライトブレイカーへ嵐の炎を重ねた際、リングは砕け散った。

 

さくらは苦笑する。

 

「あの時のは限界以上の出力を引き出した結果だから」

 

「壊れたのは仕方ないよ」

 

「そもそもリングは消耗品だし」

 

そう言って新しいリングを手渡した。

 

「今度のは前のより高ランク品」

 

「簡単には壊れないと思う」

 

なのはは嬉しそうに受け取った。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

フェイトも微笑む。

 

「これでまた一緒に戦えるね」

 

「うん!」

 

なのはは力強く頷いた。

 

---

 

一方。

 

管理局の臨時駐屯地。

 

クロノとエイミィは事件の調査を続けていた。

 

新たな被害者。

 

消えたリンカーコア。

 

そして闇の書。

 

「完成前に止めるしかない」

 

クロノはモニターを見つめながら呟く。

 

闇の書が完成すれば被害は拡大する。

 

それだけは避けなければならない。

 

---

 

その頃。

 

病院では、はやての診察が行われていた。

 

検査結果は芳しくない。

 

だが、はやては笑っていた。

 

シグナムも笑顔を作る。

 

それが今できる精一杯だった。

 

---

 

放課後。

 

なのはたちは高町家で過ごしていた。

 

フェイトも少しずつ新しい生活に慣れてきている。

 

クロノから通信が入る。

 

「レイジングハートとバルディッシュの修理が完了した」

 

二人の顔が明るくなった。

 

---

 

そして一週間後。

 

異世界。

 

蒐集を終えたヴィータとザフィーラの前に転移魔法陣が展開された。

 

管理局。

 

捕獲作戦。

 

武装局員たちが周囲を囲む。

 

「囲まれたか」

 

ザフィーラが唸る。

 

「面白ぇ!」

 

ヴィータはグラーフアイゼンを構えた。

 

その右手では紫色の雲のマーレリングが輝く。

 

同時に。

 

クロノが姿を現した。

 

戦闘開始。

 

だが。

 

夜空を二つの光が駆ける。

 

桃色。

 

金色。

 

「なのは!」

 

「フェイト!」

 

レイジングハートとバルディッシュを手にした二人だった。

 

その瞬間。

 

通信回線が開く。

 

『二人とも!』

 

エイミィの声。

 

『レイジングハートとバルディッシュ、自分たちで新システムを希望したの!』

 

驚くなのはとフェイト。

 

だが手の中から伝わる鼓動が、それを証明していた。

 

「レイジングハート!」

 

『Setup』

 

魔法陣が展開する。

 

「レイジングハート・エクセリオン!」

 

桃色の光が弾ける。

 

強化バリアジャケット展開。

 

腰部に装備された六連装カートリッジ。

 

そして右手には新たな嵐のリング。

 

赤い炎が燃え上がる。

 

続いて。

 

「バルディッシュ!」

 

『Yes, Sir』

 

黄金の雷光。

 

「バルディッシュ・アサルト!」

 

フェイトの右手では雷のマーレリングが緑の稲妻を放つ。

 

六連装カートリッジシステム。

 

新型バリアジャケット。

 

新たな力。

 

ヴィータは不敵に笑った。

 

「へぇ……」

 

雲のマーレリングが紫炎を噴き上げる。

 

「面白ぇじゃねえか!」

 

なのははレイジングハートを構える。

 

フェイトはバルディッシュを構える。

 

クロノもまたデュランダルを構えた。

 

再戦。

 

新たな力。

 

新たな決意。

 

そして。

 

闇の書事件は、さらに大きく動き始めようとしていた。

 

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