魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第二十二話 覚悟

夕食を終えた後。

 

なのはとさくらの共同部屋には、穏やかな空気が流れていた。

 

机の上には、開かれた大きな箱。

 

中には色とりどりのリングが整然と並んでいる。

 

なのはは、その光景を何度見ても驚いていた。

 

「やっぱり多いよぉ……」

 

ベッドに座りながら、なのはが呟く。

 

ユーノも机の上のリングを見ながら苦笑していた。

 

「これだけあると、コレクションみたいだね……」

 

さくらは椅子へ座ったまま、静かに麦茶を飲む。

 

「消耗品だから」

 

「壊れるし」

 

さらっと言う。

 

なのはは、今日壊れた紫色のリングを見る。

 

「でも、リングってそんな簡単に壊れちゃうんだね」

 

「リングには等級があるの」

 

さくらが静かに説明する。

 

「A〜Dまであって、低いほど壊れやすい」

 

ユーノが興味深そうに聞く。

 

「じゃあ、この箱のリングは?」

 

「ほとんどCとD」

 

「量産品だから」

 

なのはが目を丸くする。

 

「えぇっ!?」

 

「じゃ、じゃあお姉ちゃんが普段使ってるリングは!?」

 

「霧はB」

 

「嵐はC」

 

「雲もC」

 

ユーノが少し引きつった顔になる。

 

「C級であれだけ戦えるの……?」

 

アルフ戦。

 

フェイト戦。

 

どれも尋常ではなかった。

 

だが。

 

さくらは淡々としている。

 

「クロノとの戦いで使ったのは別」

 

なのはが思い出す。

 

羽のような装飾が付いた、特別な霧のリング。

 

「あのリング?」

 

「A+」

 

「通称、マーレリング」

 

「世界に一つしかない特別製」

 

ユーノが固まった。

 

「世界に一つ……!?」

 

なのはも目を輝かせる。

 

「すごい……!」

 

さくらは静かに箱を閉じる。

 

「普通のリングとは違うの」

 

「炎の出力も、強度も別格」

 

なのはは少し考えてから。

 

ぱっと顔を上げた。

 

「わたしも使ってみたい!」

 

ユーノが苦笑する。

 

「でも、なのはの属性が分からないよ?」

 

死ぬ気の炎には属性がある。

 

大空。

 

嵐。

 

雨。

 

雲。

 

晴。

 

雷。

 

霧。

 

どれに適性があるかは人それぞれ。

 

すると。

 

さくらは箱から一つリングを取り出した。

 

赤い宝石。

 

嵐のリング。

 

それをなのはへ差し出す。

 

「え?」

 

なのはがきょとんとする。

 

ユーノも不思議そうだった。

 

「なんで嵐?」

 

さくらは静かに答える。

 

「波動って血縁に近いから」

 

「家族なら、同じ属性が流れてる可能性が高いの」

 

「私は嵐だから、なのはも可能性が高い」

 

「へぇ……」

 

なのはは少し緊張しながらリングを受け取った。

 

赤い宝石が灯りを反射して輝く。

 

なのははそっと中指へ嵌めた。

 

静寂。

 

……何も起きない。

 

「あれ?」

 

なのはが首を傾げる。

 

炎は出ない。

 

ユーノも困った顔をした。

 

「やっぱり簡単には……」

 

だが。

 

さくらは静かに言った。

 

「死ぬ気の炎は、覚悟で灯るから」

 

なのはが顔を上げる。

 

「覚悟?」

 

「自分を押し通す力」

 

「譲れない意思」

 

「それが炎になる」

 

静かな声。

 

なのはは真剣に聞いていた。

 

さくらは少しだけ、なのはを見る。

 

「なのはは、戦うの怖い?」

 

「……うん」

 

なのはは素直に頷く。

 

「でも、やめたくない」

 

「助けたいから」

 

「フェイトちゃんとも話したいから」

 

その言葉を聞いて。

 

さくらは静かに言う。

 

「なら、それを離さないこと」

 

「怖くても、逃げない」

 

「それが覚悟」

 

なのははリングを見る。

 

赤い宝石。

 

自分の指。

 

そして。

 

ぎゅっと拳を握った。

 

「……わたし、負けたくない」

 

「もっと強くなりたい」

 

「みんなを助けたい」

 

その瞬間。

 

ボッ――

 

小さな赤い炎が灯った。

 

「――っ!?」

 

なのはが目を見開く。

 

中指。

 

嵐のリング。

 

そこに、小さいながらも確かに赤い炎が揺れていた。

 

ユーノが驚いて立ち上がる。

 

「で、出た!?」

 

なのはは驚きながら、自分の炎を見る。

 

まだ小さい。

 

弱い。

 

でも。

 

確かにそこに存在していた。

 

さくらは静かに麦茶を飲む。

 

「……適性ありだね」

 

なのはの顔に、ぱっと笑顔が広がった。

 

「お姉ちゃん! 出たよ!」

 

赤い炎が、小さく揺れていた。

 

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