魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第10話「運命」

結界内では激しい戦闘が続いていた。

 

ユーノのバインド。

 

アルフの魔法。

 

フェイトのプラズマランサー。

 

なのはのディバインバスター。

 

しかし、闇の書の意志はその全てを受け止める。

 

その右手には五つの指輪が輝いていた。

 

親指には晴のマーレリング。

 

人差し指には嵐のマーレリング。

 

中指には大空のマーレリング。

 

薬指には雨のマーレリング。

 

小指には雲のマーレリング。

 

本来なら、はやてと守護騎士たちが持つ力。

 

だが闇の書の意志は、その膨大な蒐集能力によって、死ぬ気の炎の力さえ再現していた。

 

「まさか……!」

 

フェイトが目を見開く。

 

「マーレリング……!」

 

なのはも息を呑んだ。

 

闇の書の意志が静かに右手を掲げる。

 

最初に輝いたのは雨のマーレリングだった。

 

青黒い炎が空へと広がる。

 

降り注ぐ雨の炎。

 

その炎に触れた魔法は急速に勢いを失っていく。

 

ユーノのバインドが弱まり。

 

アルフの魔法がかき消される。

 

「魔力が抑え込まれてる!?」

 

ユーノが驚愕する。

 

雨の炎。

 

鎮静の力。

 

あらゆる活動を弱める力だった。

 

続いて嵐のマーレリングが輝く。

 

黒い嵐の炎が無数の槍となって放たれた。

 

フェイトが回避する。

 

その背後で高層ビルが崩れた。

 

爆発ではない。

 

崩壊でもない。

 

分解だった。

 

建物そのものが砂のように崩れ落ちていく。

 

「分解の炎……!」

 

フェイトが叫ぶ。

 

嵐の炎。

 

あらゆるものを分解する破壊の力。

 

さらに晴のマーレリングが輝く。

 

闇の書の意志の魔力が急激に増大した。

 

ブラッディダガー。

 

デアボリックエミッション。

 

スターライトブレイカー。

 

膨大な魔法が瞬時に構築される。

 

「速すぎる!」

 

なのはが叫ぶ。

 

晴の炎。

 

活性。

 

増幅。

 

加速。

 

闇の書の魔力をさらに押し上げる力だった。

 

そして雲のマーレリング。

 

放たれた魔力弾が分裂する。

 

一つが二つに。

 

二つが四つに。

 

四つが八つに。

 

空を埋め尽くす魔力弾群。

 

「冗談じゃない……!」

 

アルフが顔を引きつらせる。

 

雲の炎。

 

増殖。

 

闇の書の膨大な魔力との相性は最悪だった。

 

そして。

 

最後に中指の大空のマーレリングが輝く。

 

橙色の炎。

 

静かで。

 

優しく。

 

そして恐ろしい炎。

 

闇の書の意志が手を伸ばした。

 

その炎が地面へ広がる。

 

ビルへ広がる。

 

瓦礫へ広がる。

 

そして――なのはへ。

 

「っ!?」

 

なのはの足元が灰色へ変わる。

 

石。

 

足首から下が石化し始めていた。

 

「なのは!」

 

フェイトが飛び込み、強引に引き離す。

 

石化は止まる。

 

だが地面には石像のような跡が残っていた。

 

「環境と同化させてる……!」

 

フェイトが驚愕する。

 

大空の炎。

 

調和。

 

その本質は対象を周囲と同化させる力。

 

闇の書の意志はそれを石化として発現させていた。

 

建物は岩と同化し。

 

道路は瓦礫と融合し。

 

魔法弾さえ周囲の空間へ溶けて消える。

 

触れれば最後。

 

対象は世界へ溶け込み。

 

石へと変わる。

 

闇の書の意志は涙を流しながら五本の指を握り締めた。

 

五つのマーレリングが同時に輝く。

 

晴。

 

嵐。

 

大空。

 

雨。

 

雲。

 

五つの炎と闇の書の魔力。

 

それらが融合していく。

 

空に巨大な魔法陣が出現した。

 

「我が力の全ては――」

 

闇の書の意志が呟く。

 

「主の願いのままに」

 

その瞬間。

 

五つの炎を纏った黒銀色のスターライトブレイカーが完成した。

 

なのはとフェイトは、その圧倒的な魔力を前に言葉を失う。

 

そして戦場は、さらなる絶望へと飲み込まれていくのだった。

 




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