魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第15話 明かされる真実

アースラ。

 

ブリーフィングルーム。

 

モニターには過去の「闇の書事件」の記録が並んでいる。

 

クロノが低く言う。

 

「共通点は一つだな」

 

エイミィが頷いた。

 

「はい……どの事例でも、“闇の書の持ち主は最終的に侵食されている”んです」

 

リンディが静かに補足する。

 

「持ち主の魔力と精神は、時間と共に闇の書に取り込まれます」

 

「そして最終的には制御を失い、暴走状態へ移行する」

 

モニターには過去の暴走記録。

 

都市を飲み込むような魔力災害の痕跡。

 

それを見ながらフェイトが小さく息を呑む。

 

「……止められなかった、んだね」

 

ユーノは通信越しに続ける。

 

『そして今のケースも同じ進行をしてる』

 

画面には現在の侵食進行データ。

 

ゆっくりだが確実に悪化している。

 

なのはが拳を握る。

 

「じゃあ……もう時間がないってこと?」

 

その問いに場の空気が重くなる。

 

だがクロノは、別の一点を見ていた。

 

「問題はそこじゃない」

 

モニターが切り替わる。

 

高町さくらの行動ログ。

 

守護騎士への支援。

 

管理局の介入妨害。

 

そしてなのはとフェイトへの戦力補助。

 

リンディが静かに言う。

 

「彼女の行動には一貫性があります」

 

「“崩壊までの流れを制御するための調整”です」

 

クロノが目を細める。

 

「制御?」

 

そこでユーノが、少し慎重に言葉を選びながら続けた。

 

『さくらさんから聞いた“死ぬ気の炎”の性質が関係してる』

 

エイミィが首を傾げる。

 

「それって魔法じゃないんだよね?」

 

ユーノは頷く。

 

『うん。魔法じゃない』

 

『現象そのものの“性質”を変える力なんだ』

 

モニターに属性一覧が表示される。

 

『嵐:分解』

『雨:沈静』

『晴:活性』

『雷:硬化』

『雲:増殖』

『霧:構築』

そして――

『大空:調和』

 

ユーノは続ける。

 

『大空の調和は、“対立する流れを共存できる形に整える性質”』

 

『そして今回、それが闇の書の侵食に対して使われてる』

 

なのはが小さく呟く。

 

「侵食を……止めてる?」

 

ユーノは首を振る。

 

『完全に止めてるわけじゃない』

 

『“進行している侵食と、調和の力をぶつけて相殺してる”状態なんだ』

 

モニターには二つの波形。

 

侵食の流れと、調和の流れ。

 

ぶつかるのではなく、重なり合って一定の安定を保っている。

 

ユーノが続ける。

 

『だから結果として、侵食はそれ以上進まないように見える』

 

クロノが低く言う。

 

「延命か」

 

ユーノは頷く。

 

『そう』

 

『暴走までの時間を稼いでる』

 

リンディが静かに整理する。

 

「そしてその時間は、単なる待機ではありません」

 

モニターが切り替わる。

 

なのはとフェイトの戦闘データ。

 

以前より明らかに上昇している出力と制御精度。

 

リンディは続ける。

 

「高町さくらは、その時間を使って」

 

「なのはさんとフェイトさんの戦力向上も同時に行っています」

 

なのはが目を見開く。

 

「私たちの……?」

 

ユーノは静かに頷く。

 

『うん』

 

『戦わせながら、成長できる環境を作ってる』

 

モニターには戦闘回数と成長曲線。

 

不自然なほどに効率的な上昇カーブ。

 

クロノが眉をひそめる。

 

「偶然にしては出来すぎているな」

 

リンディが静かに言う。

 

「意図的に“戦力が揃う時点”へ収束させていると考えるべきでしょう」

 

沈黙。

 

なのはは視線を落とす。

 

戦っていると思っていた。

 

止めていると思っていた。

 

だがその裏で、自分たちは“完成へ向かう要素”として組み込まれているようにも見える。

 

フェイトが小さく呟く。

 

「それって……守られてるのかな」

 

それとも。

 

作られているのか。

 

クロノは低く言う。

 

「現時点では判断できない」

 

「だが一つだけ確かなのは」

 

視線を上げる。

 

「この流れは、既に完成に向かって動いている」

 

静寂。

 

時間は稼がれている。

 

侵食は止まっていない。

 

そして戦力は、確実に“整えられている”。

 

まだ誰も、その先にある結末の形を知らない。

 

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