魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第二十九話 託された雷

# 第二十九話 託された雷

 

時の庭園。

 

崩れかけた古代遺跡の内部で、激しい爆発が響き渡る。

 

魔力砲撃。

 

誘導弾。

 

次元障壁。

 

時空管理局の魔導師達が次々と突入していた。

 

だが。

 

進軍速度は異常なほど遅い。

 

「くっ……また来るぞ!」

 

無数の機械兵器。

 

プレシアが配備した警備ロボット群。

 

さらに古代防衛システムまで起動し、通路そのものが罠と化していた。

 

クロノが高速詠唱で砲撃を叩き込む。

 

爆発。

 

だが、すぐ次が現れる。

 

「数が多すぎる……!」

 

リンディもブリッジで険しい表情を浮かべていた。

 

『動力炉周辺に高エネルギー反応!』

 

『プレシア・テスタロッサ、ジュエルシードを使用中!』

 

時間が無い。

 

だが。

 

プレシア最後の足掻きは、想像以上に苛烈だった。

 

 

アースラ医務室。

 

なのはがゆっくりと目を開ける。

 

「……ん」

 

ぼやけた視界。

 

白い天井。

 

そして。

 

椅子に座り、窓の外を見ているさくらの姿。

 

「お姉ちゃん……?」

 

さくらが振り返る。

 

「起きた?」

 

なのはは身体を起こそうとして顔をしかめた。

 

まだ全身が重い。

 

だが。

 

艦内へ響く警報音で、ただ事ではないと理解する。

 

「何かあったの?」

 

さくらは隠さず答えた。

 

「管理局がプレシアの所へ突入してる」

 

その瞬間。

 

なのはの表情が変わった。

 

「フェイトちゃんは!?」

 

「まだ寝てる」

 

少しだけ安心した表情。

 

だが、すぐになのはは真剣な顔になる。

 

「……私、行かなきゃ」

 

さくらは何も言わない。

 

なのはは続ける。

 

「聞きたいことがあるの」

 

「プレシアさんに」

 

「フェイトちゃんのこと」

 

その瞳に迷いは無かった。

 

さくらは少しだけ目を細める。

 

そして。

 

静かに立ち上がった。

 

「なら、行ってきな」

 

なのはが驚く。

 

「え……?」

 

「お姉ちゃん、止めないの?」

 

さくらは肩を竦めた。

 

「なのはが決めたことでしょ」

 

「だったら私は背中押すだけ」

 

その言葉に、なのはは嬉しそうに笑う。

 

すぐにレイジングハートを握り締めた。

 

「うん!」

 

 

だが。

 

時の庭園内部は、想像以上の激戦だった。

 

「ディバイン――」

 

砲撃。

 

ロボット群が吹き飛ぶ。

 

だが。

 

次の瞬間、天井から新たな機械兵器が降下する。

 

「なのは!」

 

ユーノの結界が炸裂。

 

それでも数が多すぎる。

 

なのはは歯を食いしばった。

 

「これじゃ先に進めない……!」

 

プレシアの元まで辿り着けない。

 

その時だった。

 

アースラ医務室。

 

静かだった病室で、小さく布団が揺れる。

 

フェイトがゆっくりと目を開けた。

 

「……なのは」

 

ぼんやりとした視界。

 

最初に見えたのは、ベッドの横に立つ少女。

 

黒髪。

 

静かな瞳。

 

フェイトは、ぼんやり呟く。

 

「なのは……?」

 

だが。

 

その少女は小さく首を傾げた。

 

「残念、ハズレ」

 

そこでようやくフェイトの意識がはっきりする。

 

「……さくら?」

 

さくらは特に気にした様子もなく、水の入ったコップを渡した。

 

フェイトは身体を起こしながら周囲を見る。

 

「ここは……」

 

「アースラ」

 

そして。

 

さくらは今起きていることを、簡潔に説明した。

 

プレシア。

 

時の庭園。

 

管理局の突入。

 

なのはも向かったこと。

 

それを聞いた瞬間。

 

フェイトの表情が変わる。

 

「母さん……!」

 

すぐに立ち上がろうとする。

 

だが、身体がふらついた。

 

さくらが支える。

 

「無理しない」

 

「でも……!」

 

フェイトは唇を噛む。

 

「止めないと……!」

 

その瞳には、もう以前の迷いは無かった。

 

逃げるでもなく。

 

認められたいでもなく。

 

ただ。

 

止めたい。

 

その想いだけだった。

 

さくらは静かにフェイトを見る。

 

そして。

 

問いかける。

 

「フェイト」

 

「あなたはどうしたい?」

 

フェイトは真っ直ぐ顔を上げた。

 

そして。

 

ハッキリと言った。

 

「お母さんを止めます」

 

その声に、迷いは無い。

 

その瞳を見て。

 

さくらは静かに目を細めた。

 

――この子なら、大丈夫。

 

そう確信した。

 

さくらはポケットへ手を入れる。

 

取り出したのは。

 

銀色の箱。

 

そして。

 

緑色の雷光を宿したリング。

 

羽の装飾が施された、特別なリング。

 

雷のマーレリング。

 

さらに。

 

もう一つ。

 

小型の匣。

 

さくらはそれらをフェイトへ差し出した。

 

「選別」

 

フェイトが目を見開く。

 

「これ……」

 

「雷のマーレリング」

 

そして、もう一つの匣を軽く持ち上げる。

 

「匣兵器『雷キツネ(ヴォルペ・デル・フルミネ)』」

 

フェイトは静かにそれを受け取った。

 

その瞬間。

 

微かに。

 

リングの宝石へ雷光が走った。

 

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