魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第Ⅲ話 集結

機動六課―――。

それは、古代遺物“レリック”に関連する事件への即応を目的として設立された、時空管理局の新部隊。

 

正式稼働の日。

陸士108部隊の一角に新設された隊舎には、多くの隊員たちが集まっていた。

 

訓練場では、スバルとティアナが新しい制服に袖を通しながら緊張した面持ちで周囲を見回している。

 

「なんか……本当にすごい部隊なんだね……」

 

「今さら何言ってんのよ」

 

ティアナはそう返しつつも、視線は自然と前方へ向いていた。

 

そこには、白い教導隊制服に身を包んだなのは。

黒を基調とした執務官制服のフェイト。

そして、隊員たちへ楽しげに指示を飛ばす八神はやての姿。

 

機動六課―――。

 

教導隊のエース・オブ・エース、高町なのは。

若手最強執務官、フェイト・T・ハラオウン。

さらに、“夜天の書事件”を解決した八神はやて。

 

そんな英雄たちが中心となって立ち上げた新部隊だった。

 

エリオとキャロもまた、緊張した様子で辺りを見ている。

 

「ここが……機動六課……」

 

「なんだか、すごい人ばっかりです……」

 

そんな中。

 

隊舎入口付近で、突然ざわめきが起こった。

 

「止まりなさい!」

 

武装局員たちが一斉にデバイスを構える。

 

入口に立っていたのは、ボロボロの黒いフードを被った女性だった。

 

長旅をしてきたような擦り切れた外套。

顔も見えず、魔力反応も不安定。

 

どう見ても怪人物である。

 

「八神はやてに呼ばれて来たのに……」

 

低く静かな声。

 

隊員たちの緊張が走る。

 

だが―――。

 

「お、来た来た!」

 

「お姉ちゃん!」

 

はやてとなのはが、逆に嬉しそうに手を振った。

 

「え?」

 

スバルたちは呆然とする。

 

フェイトもまた、どこか安心したように小さく息を吐いた。

 

「無事に着いたんだね」

 

「まあね」

 

女性は肩をすくめると、ゆっくりフードへ手をかけた。

 

その瞬間。

 

隊舎内の空気が凍りつく。

 

現れた顔を見て、全員が息を呑んだ。

 

「……え?」

 

スバルが固まる。

 

「な、なのはさん……?」

 

そこにいたのは―――。

 

高町なのはと、ほとんど同じ顔をした女性だった。

 

違うのは雰囲気。

 

なのはの柔らかさとは対照的に、彼女の瞳には鋭さと危うさが宿っていた。

 

フェイトが前へ出る。

 

「紹介するね。高町さくら。なのはのお姉さんで―――」

 

一瞬、言葉を区切る。

 

「私たち三人の、元・教官兼友人」

 

「…………は?」

 

ティアナが目を丸くした。

 

スバルもキャロもエリオも固まる。

 

なのはとフェイトを育てた教官。

 

その時点で十分異常なのだが。

 

ティアナはさらに別のことを思い出していた。

 

「……高町、さくら……?」

 

青ざめた顔で、ティアナが一歩後退する。

 

「まさか……」

 

勢いよく端末を取り出し、過去に見た資料を思い返す。

 

そして叫んだ。

 

「第一級次元犯罪者……!!」

 

場の空気が一変した。

 

「単独で武装隊を壊滅させた超危険人物……っ!」

 

ざわり、と隊員たちが騒然となる。

 

エリオとキャロも驚きに目を見開いた。

 

だが当の本人は。

 

「あー……まだその扱いなんだ」

 

面倒臭そうに頭をかいた。

 

「いやまあ、壊滅させたの事実だけど」

 

「認めるんですか!?」

 

ティアナが思わず叫ぶ。

 

その横で、なのはは苦笑していた。

 

「大丈夫だよ。さくらはちゃんと味方だから」

 

「説得力ありません!!」

 

即答だった。

 

そんなやり取りを見ながら、はやてがパンッと手を叩く。

 

「はいはい、そこまで!」

 

そして、にやりと笑った。

 

「せっかくやし、今日は特別メニューや」

 

嫌な予感に、フォワード陣の背筋が震える。

 

なのはが、楽しそうに前へ出た。

 

「実戦形式の模擬戦をやろうか」

 

フェイトも頷く。

 

「相手はガジェットドローンを想定」

 

「さらに―――」

 

はやてが横を見る。

 

「さくらの匣兵器付きや」

 

「えっ」

 

「えっ?」

 

四人が固まった。

 

さくらは深々とため息を吐く。

 

「……やっぱりそうなるのね」

 

「お願い!」

 

なのはが笑顔で両手を合わせる。

 

「さくらの訓練、みんなにも受けさせたいんだ!」

 

「……はぁ」

 

根負けしたように肩をすくめるさくら。

 

「一応言っとくけど、泣いても知らないから」

 

その言葉と同時。

 

さくらは右手を掲げた。

 

中指にはめられた翼のリング。

 

そこから灯る、紫色の炎。

 

揺らめく―――雲の炎。

 

さらに、さくらは静かに匣を取り出す。

 

表面には、雲の紋章。

 

炎を注ぎ込む。

 

「開匣」

 

次の瞬間。

 

匣が勢いよく開いた。

 

飛び出したのは―――。

 

紫色の炎を纏う、小型のハリネズミ。

 

「匣兵器……!」

 

エリオが息を呑む。

 

ハリネズミは地面へ着地すると、身体を震わせた。

 

直後。

 

ボンッ!!

 

一匹だったはずのハリネズミが二匹に増える。

 

さらに四匹。

 

八匹。

 

十六匹。

 

増殖。

 

雲属性の特性―――“増殖”。

 

瞬く間に訓練場を埋め尽くしていく紫色の群れに、スバルたちは絶句した。

 

「うそぉぉぉぉっ!?」

 

その奥で。

 

ガジェットドローンが起動する。

 

赤い単眼を光らせ、魔法無効化フィールドを展開。

 

「―――始め」

 

なのはの声と同時に。

 

機動六課フォワード部隊、初めての実戦訓練が始まった。

 

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