魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第Ⅳ話 ファースト・アラート

機動六課―――。

 

正式稼働を始めたその日から、フォワード陣を待っていたのは、想像を絶する訓練の日々だった。

 

「甘い!」

 

紫色の炎が弾ける。

 

訓練場を高速で駆けるスバルの目前に、突如として無数の障害物が出現した。

 

「うわぁっ!?」

 

反射的に跳躍するスバル。

 

だが、その着地点にはさらに別の障害物。

 

「フェイントに全部引っかかってる」

 

冷静な声。

 

高台に立つさくらが、腕を組みながら訓練の様子を見下ろしていた。

 

その足元では、紫色の炎を纏ったハリネズミたちが次々と増殖している。

 

雲属性匣兵器―――雲ハリネズミ。

 

増殖した個体たちが訓練場全体へ展開され、幻術と組み合わせることで、実戦さながらの複雑な戦場を作り上げていた。

 

「ティア。後ろ」

 

「っ!?」

 

ティアナが振り向いた瞬間。

 

横から飛来した模擬弾が肩をかすめる。

 

「視野が狭い。狙撃手は“今見えてる敵”だけを見るんじゃない」

 

「くっ……!」

 

汗を流しながら歯を食いしばるティアナ。

 

エリオはキャロを庇いながら前衛として動き、キャロもまたフリードと共に支援を行う。

 

基礎。

 

連携。

 

反応。

 

判断。

 

ただひたすら、それらを身体へ叩き込む毎日。

 

だが、その積み重ねは確実に四人を変えていた。

 

なのはは訓練場の端で、その様子を穏やかに見守っている。

 

「みんな、強くなってきたね」

 

「まあ、筋は悪くない」

 

さくらは素っ気なく答える。

 

「特にスバル。あれは伸びる」

 

「えへへ……」

 

少し離れた場所で聞いていたスバルが、嬉しそうに笑った。

 

「でも突っ込み癖は危険」

 

「うっ」

 

即座に撃沈する。

 

そんなやり取りを見ながらも、ティアナだけは時折、さくらへ複雑な視線を向けていた。

 

第一級次元犯罪者。

 

単独で武装隊を壊滅させた危険人物。

 

それが今、自分たちの教官として普通に訓練をしている。

 

しかも誰も捕まえようとしない。

 

「……本当に大丈夫なの?」

 

ぽつりと漏らしたティアナへ、なのはが苦笑した。

 

「お姉ちゃん、今は霧の幻術で別人に見えるようにしてるから」

 

「いや、そういう問題じゃないんですけど!?」

 

ティアナのツッコミが飛ぶ。

 

「防犯カメラとかにも映らないんだよ」

 

「余計怖いです!!」

 

高度すぎる霧属性幻術。

 

視覚認識だけでなく、電子機器すら欺く異常な技術。

 

それを軽く使いこなすさくらに、ティアナはますます胃が痛くなるのだった。

 

そんなある日。

 

「うわっ!?」

 

訓練中、スバルのリボルバーナックルから火花が散った。

 

続いてティアナのクロスミラージュも動作不良を起こす。

 

「限界だね」

 

シャリオが端末を確認しながら呟く。

 

連日の高負荷訓練。

 

自作デバイスである二人の武装は、ついに限界を迎えていた。

 

「というわけでー!」

 

リーンフォースⅡが元気よく飛び上がる。

 

「お待たせしました、新デバイスです!」

 

整備室。

 

そこには新たな武装が並べられていた。

 

機動六課製。

 

シャリオ、マリエル、リーン、そしてなのはたちが調整を重ねた最新デバイス。

 

スバルは新しいリボルバーナックル―――マッハキャリバーを受け取る。

 

ティアナにはクロスミラージュ改。

 

エリオにはストラーダ。

 

キャロにはケリュケイオン。

 

それぞれの特性と戦闘スタイルに合わせ、最適化された“魂の武装”。

 

「すごい……」

 

スバルは目を輝かせる。

 

リーンは小さく胸を張った。

 

「大切に使ってくださいです!」

 

そして、少し真面目な顔になる。

 

「でも、“壊れないように”じゃなくて―――」

 

小さな拳を握る。

 

「性能限界まで、思い切り使ってほしいです!」

 

その言葉に、フォワード陣は力強く頷いた。

 

―――その時だった。

 

突然。

 

艦内アラートが鳴り響く。

 

『警報。レリック反応を確認』

 

空気が一変する。

 

『山岳地帯にてガジェット反応多数』

 

『戦闘レベルB+』

 

はやてが即座に立ち上がった。

 

「場所は!?」

 

エイミィが高速でコンソールを操作する。

 

「ミッドチルダ北部山岳地帯です!」

 

なのはとフェイトの表情が引き締まる。

 

「……初任務だね」

 

なのはが静かにフォワード陣を見る。

 

緊張した面持ちの四人。

 

だが、その瞳には恐怖だけではない光があった。

 

「フォワード部隊、出撃準備!」

 

はやての号令が響く。

 

「機動六課―――初出動や!」

 

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