魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第Ⅴ話 星と雷

ミッドチルダ北部山岳地帯。

 

深い渓谷を縫うように走る山岳モノレールは、多数の乗客を乗せながら静かに走行していた。

 

―――その時。

 

警報音が車内に響き渡る。

 

窓の外を、黒い影が高速で通過した。

 

「ガジェットだ!」

 

無人戦闘機械―――ガジェットドローン。

 

赤い単眼を光らせながら、複数機がモノレールへ襲いかかる。

 

砲撃。

 

爆発。

 

車体が激しく揺れ、悲鳴が上がった。

 

だが次の瞬間。

 

「スターズ1、行きます!」

 

空から飛び込んできた赤い影。

 

スバルだった。

 

両足に装着された新型ローラーデバイス―――マッハキャリバーを噴かし、車体側面を滑走する。

 

「うおおおおっ!!」

 

拳を叩き込む。

 

炸裂するカートリッジ。

 

ガジェット一機が吹き飛んだ。

 

「すご……!」

 

スバル自身が驚く。

 

新デバイスの反応速度。

 

加速性能。

 

出力。

 

その全てが、以前とは比べ物にならない。

 

「これが……マッハキャリバー!」

 

上空からティアナの声が飛ぶ。

 

「感動してる場合じゃないわよ!」

 

双銃型デバイス―――クロスミラージュ。

 

高速射撃魔法が連続で炸裂し、別方向から迫るガジェットを撃ち落としていく。

 

「ちゃんと前見なさい、スバル!」

 

「はいっ!」

 

勢いよく返事をしながら、スバルはさらに加速した。

 

一方。

 

後方支援担当のライトニング隊。

 

エリオとキャロはモノレール後部へ向かっていた。

 

だが。

 

キャロの表情は硬い。

 

「……っ」

 

小さく震える手。

 

呼吸も浅い。

 

なのはが優しく声をかける。

 

「大丈夫?」

 

「は、はい……」

 

返事はする。

 

だが、その瞳には恐怖が浮かんでいた。

 

敵が怖いわけではない。

 

危険が怖いわけでもない。

 

キャロが恐れているのは―――自分自身の力だった。

 

竜召喚。

 

強力すぎる古代魔法。

 

制御を誤れば周囲を巻き込み、全てを壊してしまう危険な力。

 

その記憶が、今もキャロを縛っていた。

 

スバルが通信を飛ばす。

 

『大丈夫だって!』

 

ティアナも続く。

 

『私たちが前にいるんだから、後ろは任せなさい!』

 

「スバルさん……ティアナさん……」

 

そして。

 

エリオが静かに手を差し伸べた。

 

「一緒に行こう、キャロ」

 

まっすぐな瞳。

 

その優しさに、キャロは小さく頷いた。

 

「……うん」

 

再び前を向く。

 

だがその直後。

 

突如、新たなガジェットが現れた。

 

従来型とは違う。

 

大型。

 

高出力。

 

さらに魔力ジャミング機能まで搭載している。

 

「新型!?」

 

エリオが驚く。

 

ガジェットの砲撃が炸裂。

 

「きゃあっ!?」

 

キャロが吹き飛ばされる。

 

「キャロ!!」

 

エリオが庇い、車外へ弾き飛ばされた。

 

さらに。

 

キャロのデバイス―――ケリュケイオンが反応しない。

 

『Standby』

 

冷たい待機音声だけ。

 

「なんで……!」

 

焦るキャロ。

 

迫るガジェット。

 

恐怖。

 

その瞬間。

 

脳裏に、過去の記憶が蘇った。

 

幼い頃。

 

制御できなかった召喚魔法。

 

周囲から向けられた怯えと拒絶。

 

「危険な子」

 

「近づくな」

 

里を追われ。

 

居場所を失い。

 

どこへ行っても受け入れてもらえなかった。

 

そんな時。

 

差し伸べられた一つの手。

 

フェイトだった。

 

『キャロがどこへ行きたくて、何をしたいのかによるよ』

 

優しい笑顔。

 

温かな声。

 

『私は、キャロと一緒にいたい』

 

その言葉に救われた。

 

だから。

 

キャロはここにいる。

 

守りたい場所がある。

 

大切な人たちがいる。

 

「わたしは……!」

 

涙を拭う。

 

「みんなを守りたい!」

 

その瞬間。

 

ケリュケイオンが光を放った。

 

『Device awake』

 

緑色の魔力光。

 

魔法陣が展開される。

 

キャロの瞳に、強い意志が宿った。

 

「お願い、フリード!」

 

咆哮。

 

召喚魔法陣から、赤竜フリードリヒが姿を現す。

 

さらに。

 

キャロの足元に新たな魔法陣が展開された。

 

古代ベルカ式。

 

竜召喚師としての真の力。

 

「行こう、フリード!」

 

巨大な炎が吹き荒れる。

 

新型ガジェットを、竜の咆哮が飲み込んだ。

 

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