魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

31 / 31
第Ⅴ話 星と雷

ミッドチルダ北部山岳地帯。

 

深い渓谷を縫うように走る山岳モノレールは、多数の乗客を乗せながら静かに走行していた。

 

―――その時。

 

警報音が車内に響き渡る。

 

窓の外を、黒い影が高速で通過した。

 

「ガジェットだ!」

 

無人戦闘機械―――ガジェットドローン。

 

赤い単眼を光らせながら、複数機がモノレールへ襲いかかる。

 

砲撃。

 

爆発。

 

車体が激しく揺れ、悲鳴が上がった。

 

だが次の瞬間。

 

「スターズ1、行きます!」

 

空から飛び込んできた赤い影。

 

スバルだった。

 

両足に装着された新型ローラーデバイス―――マッハキャリバーを噴かし、車体側面を滑走する。

 

「うおおおおっ!!」

 

拳を叩き込む。

 

炸裂するカートリッジ。

 

ガジェット一機が吹き飛んだ。

 

「すご……!」

 

スバル自身が驚く。

 

新デバイスの反応速度。

 

加速性能。

 

出力。

 

その全てが、以前とは比べ物にならない。

 

「これが……マッハキャリバー!」

 

上空からティアナの声が飛ぶ。

 

「感動してる場合じゃないわよ!」

 

双銃型デバイス―――クロスミラージュ。

 

高速射撃魔法が連続で炸裂し、別方向から迫るガジェットを撃ち落としていく。

 

「ちゃんと前見なさい、スバル!」

 

「はいっ!」

 

勢いよく返事をしながら、スバルはさらに加速した。

 

一方。

 

後方支援担当のライトニング隊。

 

エリオとキャロはモノレール後部へ向かっていた。

 

だが。

 

キャロの表情は硬い。

 

「……っ」

 

小さく震える手。

 

呼吸も浅い。

 

なのはが優しく声をかける。

 

「大丈夫?」

 

「は、はい……」

 

返事はする。

 

だが、その瞳には恐怖が浮かんでいた。

 

敵が怖いわけではない。

 

危険が怖いわけでもない。

 

キャロが恐れているのは―――自分自身の力だった。

 

竜召喚。

 

強力すぎる古代魔法。

 

制御を誤れば周囲を巻き込み、全てを壊してしまう危険な力。

 

その記憶が、今もキャロを縛っていた。

 

スバルが通信を飛ばす。

 

『大丈夫だって!』

 

ティアナも続く。

 

『私たちが前にいるんだから、後ろは任せなさい!』

 

「スバルさん……ティアナさん……」

 

そして。

 

エリオが静かに手を差し伸べた。

 

「一緒に行こう、キャロ」

 

まっすぐな瞳。

 

その優しさに、キャロは小さく頷いた。

 

「……うん」

 

再び前を向く。

 

だがその直後。

 

突如、新たなガジェットが現れた。

 

従来型とは違う。

 

大型。

 

高出力。

 

さらに魔力ジャミング機能まで搭載している。

 

「新型!?」

 

エリオが驚く。

 

ガジェットの砲撃が炸裂。

 

「きゃあっ!?」

 

キャロが吹き飛ばされる。

 

「キャロ!!」

 

エリオが庇い、車外へ弾き飛ばされた。

 

さらに。

 

キャロのデバイス―――ケリュケイオンが反応しない。

 

『Standby』

 

冷たい待機音声だけ。

 

「なんで……!」

 

焦るキャロ。

 

迫るガジェット。

 

恐怖。

 

その瞬間。

 

脳裏に、過去の記憶が蘇った。

 

幼い頃。

 

制御できなかった召喚魔法。

 

周囲から向けられた怯えと拒絶。

 

「危険な子」

 

「近づくな」

 

里を追われ。

 

居場所を失い。

 

どこへ行っても受け入れてもらえなかった。

 

そんな時。

 

差し伸べられた一つの手。

 

フェイトだった。

 

『キャロがどこへ行きたくて、何をしたいのかによるよ』

 

優しい笑顔。

 

温かな声。

 

『私は、キャロと一緒にいたい』

 

その言葉に救われた。

 

だから。

 

キャロはここにいる。

 

守りたい場所がある。

 

大切な人たちがいる。

 

「わたしは……!」

 

涙を拭う。

 

「みんなを守りたい!」

 

その瞬間。

 

ケリュケイオンが光を放った。

 

『Device awake』

 

緑色の魔力光。

 

魔法陣が展開される。

 

キャロの瞳に、強い意志が宿った。

 

「お願い、フリード!」

 

咆哮。

 

召喚魔法陣から、赤竜フリードリヒが姿を現す。

 

さらに。

 

キャロの足元に新たな魔法陣が展開された。

 

古代ベルカ式。

 

竜召喚師としての真の力。

 

「行こう、フリード!」

 

巨大な炎が吹き荒れる。

 

新型ガジェットを、竜の咆哮が飲み込んだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

星輝の女帝(スターライト・エンプレス)(作者:アキ 3150)(原作:魔法少女リリカルなのは)

ー追加タグー▼ワンピース(覇気のみ)▼宇宙戦艦ヤマト(技術のみ)▼「」会話▼()思ったこと▼[]思念伝達▼『』スキル・魔法・必殺技・権能▼★今作における異世界と次元世界の違い▼次元世界=時空管理局の技術力で到達可能な世界(リリカルなのはに登場する次元世界)▼異世界=時空管理局が認識・到達不可能な世界(他作品の世界)▼──以下あらすじ▼ 海鳴市に住む少女─高町…


総合評価:42/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年05月07日(木) 00:04 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3056/評価:6.76/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報

黒歌転生 死んだ姉は保健室にいる(作者:好きな性癖発表ドラゴン)(原作:ハイスクールD×D)

黒歌にTS転生した主人公は、原作の悲劇を知っていた。▼妹の白音を守るため、眷属の主を殺すところまでは原作通り。けれど彼女は、はぐれ悪魔として逃げ続けるのではなく、グレモリー家へ助けを求める道を選ぶ。▼魔王サーゼクスの監視下で保護され、リアスとぶつかり、朱乃の悲劇にも手を伸ばしながら、黒歌は少しずつ居場所を得ていく。だが、自分の存在が妹に危険を呼ぶと悟った彼女…


総合評価:190/評価:9/連載:6話/更新日時:2026年06月06日(土) 23:14 小説情報

錬鉄と鍛造の贋作者(作者:英雄に憧れた一般魔導師)(原作:杖と剣のウィストリア)

あるはずの無い記憶、何処か遠い記憶。求めて失えど、それらだけは焼き付いて離れる事なんて無い、鮮烈に残る記憶。▼理想に裏切られた赤い外套纏いし錬鉄の英雄▼業を絶つ無念無想の刃を目指した鍛冶師▼そんな二人の力と技術を得て、ドワーフに鍛えられた鍛造技法を以て、彼は▼魔法の世界で剣を打つ。▼これは、杖と剣が交わる物語に贋作者が交差する。


総合評価:727/評価:8.73/連載:8話/更新日時:2026年06月10日(水) 17:00 小説情報

デジモンアドベンチャー IB(作者:煮干し銀)(原作:デジモンアドベンチャー)

デジモンゲーム最新作をプレイしてデジモン好きになった男は、正月休みを利用してデジモン作品を観ようと計画していた。▼しかし、いざデジモンアドベンチャーを観始めようとしたところで意識を失い、気がつくと森の中だった。▼男は森をさまよい、一匹のツノモンと出会う。▼ツノモンからこの場所がファイル島だと聞かされた男は、スマホにいつの間にかインストールされていたデジモン育…


総合評価:820/評価:8.42/連載:22話/更新日時:2026年06月03日(水) 09:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>