魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第三十二話 終幕

時の庭園最深部。

 

激しい戦闘が続いていた。

 

なのはの砲撃。

 

フェイトの雷撃。

 

二匹の雷キツネが空中を駆け回り、プレシアの魔力弾を切り裂いていく。

 

だが。

 

プレシアは真正面から戦おうとはしなかった。

 

次々と防衛術式を展開し、空間を歪め、時間だけを稼いでいく。

 

クロノ達も別ルートから接近していた。

 

しかし。

 

その時にはもう、遅かった。

 

空間全体が激しく震える。

 

『次元震動、限界値突破!』

 

アースラから警告通信。

 

『時の庭園の崩壊が始まっています!』

 

巨大な亀裂が空間へ走る。

 

床が崩れ。

 

壁が砕け。

 

次元空間そのものが裂け始めていた。

 

なのはが叫ぶ。

 

「プレシアさん!」

 

プレシアは崩れていく空間の中央で、静かに笑った。

 

その腕には。

 

大量のジュエルシード。

 

フェイトが集めた分だけが握られている。

 

フェイトが目を見開いた。

 

「母さん!」

 

プレシアはフェイトを見る。

 

その表情は、どこか穏やかだった。

 

「……アリシア」

 

フェイトの身体が震える。

 

だが。

 

次の瞬間。

 

プレシアの背後の空間が、大きく崩落した。

 

暗黒。

 

光すら飲み込む虚無。

 

次元の狭間。

 

なのはが手を伸ばす。

 

「待って!!」

 

だが届かない。

 

プレシアは、そのまま後ろへ落ちていく。

 

ジュエルシードと共に。

 

「母さんッ!!」

 

フェイトが飛び出そうとする。

 

しかし。

 

崩落。

 

巨大な瓦礫が落下する。

 

なのはがフェイトを抱き寄せた。

 

「フェイトちゃん!!」

 

轟音。

 

次元震動。

 

さらに空間が崩壊する。

 

『全員撤退!』

 

『時の庭園崩壊まで残り二分!』

 

クロノの通信が響く。

 

ユーノが叫ぶ。

 

「なのは! もう限界だ!」

 

フェイトは震えていた。

 

伸ばした手。

 

届かなかった。

 

助けられなかった。

 

それでも。

 

なのははフェイトを強く抱き締める。

 

「帰ろう」

 

小さな声。

 

フェイトは唇を噛む。

 

そして。

 

ゆっくりと頷いた。

 

 

アースラ。

 

転移光がブリッジへ広がる。

 

なのは。

 

フェイト。

 

ユーノ。

 

クロノ達が次々と帰還する。

 

その直後だった。

 

モニターに映る時の庭園が、完全崩壊を始める。

 

巨大な光。

 

空間崩落。

 

そして――

 

時の庭園は、静かに次元の狭間へ消えていった。

 

ブリッジが静まり返る。

 

誰も言葉を発せなかった。

 

リンディが静かに目を閉じる。

 

「……ジュエルシード事件」

 

そして。

 

ゆっくりと告げる。

 

「これにて終了です」

 

長かった戦い。

 

数々の出会い。

 

幾つもの戦い。

 

そして。

 

多くの想い。

 

その全てが、ようやく終わった。

 

なのはは隣を見る。

 

フェイトは俯いたままだった。

 

だが。

 

その肩へ、そっと手が置かれる。

 

さくらだった。

 

いつの間に来ていたのか。

 

フェイトは少し驚いたように顔を上げる。

 

さくらは何も言わない。

 

ただ。

 

静かに隣へ立っていた。

 

その温もりに。

 

フェイトは小さく目を閉じた。

 

こうして――

 

ジュエルシード事件は、終幕を迎えた。

 

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