魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第Ⅶ話 ホテル・アグスタ

高級ホテル―――ホテル・アグスタ。

 

今日、この場所では大規模な骨董品オークションが行われていた。

 

会場に集まる各世界の富豪、研究者、蒐集家。

 

そして、その中には当然、“危険なロストロギア”が紛れ込む可能性もある。

 

そのため。

 

機動六課は総員出動となっていた。

 

「警備エリア再確認。スターズは北棟、ライトニングは搬入口側を担当」

 

シャマルの指示が通信に響く。

 

ティアナは小さく返答する。

 

「スターズ2、了解」

 

だが、その表情はどこか硬かった。

 

ホテルのロビー。

 

警戒を続けながら、ティアナは周囲を見る。

 

なのは。

 

フェイト。

 

はやて。

 

さらにヴォルケンリッター。

 

全員が、圧倒的だった。

 

Sランク魔導師。

 

実戦経験。

 

才能。

 

力。

 

そして。

 

スバル、エリオ、キャロ。

 

新人組ですら、それぞれ特別な才能を持っている。

 

スバルの近接戦闘能力。

 

エリオの高速機動。

 

キャロの召喚魔法。

 

それに比べて、自分はどうだ。

 

ティアナは奥歯を噛む。

 

(私は……平凡だ)

 

射撃も。

 

魔力量も。

 

特別じゃない。

 

そんな時。

 

少し離れた場所で、なのはとさくらが話している姿が目に入った。

 

白い制服姿のなのは。

 

黒いコートを羽織ったさくら。

 

同じ顔。

 

だが、まるで違う存在感。

 

ティアナはふと思う。

 

(さくらさんは、なのは隊長をどう思ってるんだろう)

 

優秀な妹。

 

空のエース。

 

誰からも尊敬される魔導師。

 

対して、姉のさくらは魔法が使えない。

 

だからこそ。

 

それを覆すために、リングや匣兵器が生まれたのではないか。

 

そんな考えが浮かんだ、その時。

 

『警報! ガジェット反応多数!』

 

館内にアラートが響く。

 

「来たか」

 

シグナムが剣を抜く。

 

ヴィータが笑う。

 

「久々に暴れられそうだな!」

 

ザフィーラは静かに頷いた。

 

即座に出動するヴォルケンリッター。

 

空を舞うシグナム。

 

鉄槌を振るうヴィータ。

 

巨大な魔力弾を放つザフィーラ。

 

圧倒的。

 

まさに歴戦。

 

ガジェットを次々撃破していく。

 

それを見ながら、ティアナは拳を握る。

 

(違う……)

 

(私はこんな所で止まりたくない……!)

 

その頃。

 

ホテル地下。

 

薄暗い空間で、男が愉快そうに笑っていた。

 

白衣。

 

眼鏡。

 

狂気を孕んだ笑顔。

 

ジェイル・スカリエッティ。

 

「さてさて」

 

彼はモニターを見つめながら言う。

 

「頼み事をしてもよろしいかな?」

 

その背後。

 

長身の騎士―――ゼスト・グランガイツ。

 

そして。

 

紫髪の少女―――ルーテシア。

 

スカリエッティは楽しげに続けた。

 

「オークション会場に運ばれた“品物”を回収してきてほしい」

 

ルーテシアが無表情に問い返す。

 

「壊してもいい?」

 

「程々に頼むよ」

 

スカリエッティは笑う。

 

「機動六課の反応も見たいからね」

 

直後。

 

地面が揺れた。

 

巨大召喚魔法。

 

ルーテシアの使役する召喚獣が、ホテル周辺へ出現する。

 

「なっ……!?」

 

スバルが驚く。

 

さらに。

 

地面そのものが動き出した。

 

ルーテシアの特殊技能。

 

地脈操作。

 

建物が歪み、足場が崩れる。

 

フォワード陣は一気に分断された。

 

「キャロ!」

 

「エリオ!」

 

混乱する戦場。

 

シャマルの声が響く。

 

『無理をしないで! 副隊長たちの合流を待って!』

 

だが。

 

ティアナは歯を食いしばる。

 

まただ。

 

また、“待て”だ。

 

守られる側。

 

助けられる側。

 

そんなのは嫌だった。

 

「ティア?」

 

スバルが不安そうに見る。

 

ティアナはクロスミラージュを構えた。

 

「やるわよ」

 

「え?」

 

「私たちで止める!」

 

ティアナの脳内で、何度もシミュレーションが回る。

 

スバルの突撃。

 

自分の幻惑射撃。

 

タイミング。

 

角度。

 

一撃必殺。

 

訓練し続けたコンビネーション。

 

それなら勝てる。

 

そう信じた。

 

「行くわよ、スバル!」

 

「う、うん!」

 

スターズ隊が駆ける。

 

ティアナの幻影魔法。

 

スバルの高速突撃。

 

完璧―――だったはずだった。

 

だが。

 

「っ!?」

 

敵の反応が、想定以上に速い。

 

召喚獣の一撃。

 

スバルが弾き飛ばされる。

 

「スバル!!」

 

さらに。

 

ティアナの射線を、別のガジェットが遮った。

 

コンビネーションが崩れる。

 

一瞬の隙。

 

その瞬間。

 

轟音。

 

巨大な衝撃がティアナを襲った―――。

 

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