魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第2話 紅の鉄槌

夜の廃墟街。

 

崩れたビル群の中で、なのはとフェイトは背中合わせに浮かんでいた。

 

向かい合うのは、二人の騎士。

 

赤髪の少女――ヴィータ。

 

そして、長剣を携えた騎士――シグナム。

 

張り詰めた空気。

 

先に動いたのはヴィータだった。

 

「行くぜ!!」

 

爆音。

 

地面を砕きながら、一直線になのはへ突撃する。

 

「っ!?」

 

なのはは即座に回避。

 

その直後、グラーフアイゼンが振り下ろされる。

 

轟音と共に地面が陥没した。

 

「は、速い……!」

 

ジュエルシード事件の頃とは比較にならない。

 

純粋な近接戦闘能力。

 

なのはは砲撃を展開する。

 

「ディバインシューター!」

 

桃色の光弾。

 

だがヴィータは笑った。

 

「そんな遅ぇの当たるかよ!」

 

高速移動。

 

残像。

 

全弾回避。

 

そして懐へ飛び込んでくる。

 

「きゃっ!?」

 

防御魔法を展開するなのは。

 

その直後。

 

ガギィンッ!!

 

重い一撃が叩き込まれる。

 

「うぅっ……!」

 

防御壁が激しく軋む。

 

ヴィータは獰猛に笑った。

 

「硬ぇなぁ!」

 

グラーフアイゼンの側面へ、薬莢型カートリッジが装填される。

 

――カートリッジシステム。

 

《Explosion》

 

轟音。

 

魔力が爆発的に跳ね上がる。

 

「っ!?」

 

なのはが吹き飛ばされた。

 

「なのは!」

 

フェイトが叫ぶ。

 

だが、その前へ一つの影が降り立った。

 

シグナム。

 

赤い瞳が静かにフェイトを見据える。

 

「よそ見をするな」

 

レヴァンティンが振るわれる。

 

フェイトは咄嗟に受け止める。

 

火花。

 

衝撃。

 

空中で二人が激突する。

 

「くっ……!」

 

重い。

 

速い。

 

そして鋭い。

 

シグナムの剣撃は、一撃一撃が洗練されていた。

 

「ハァッ!!」

 

斬撃。

 

炎。

 

フェイトは高速機動で回避する。

 

雷光が夜空を駆け抜ける。

 

《Blitz Action》

 

バルディッシュが雷刃を展開。

 

フェイトが加速した。

 

「はぁぁっ!!」

 

高速斬撃。

 

だがシグナムは冷静だった。

 

レヴァンティンが正確に受け止める。

 

ガギィンッ!!

 

火花が散る。

 

「速いな」

 

シグナムが低く呟く。

 

その直後。

 

カートリッジ装填。

 

《Explosion》

 

爆発的な魔力噴出。

 

「っ!?」

 

シグナムの剣速がさらに増す。

 

フェイトの頬を斬撃が掠めた。

 

「くぅ……!」

 

その時だった。

 

フェイトの視線が、シグナムの右手に止まる。

 

そこには――

 

赤い宝石を持つリング。

 

嵐のマーレリング。

 

「……っ!」

 

フェイトの表情が変わる。

 

シグナムもまた、フェイトの雷のマーレリングへ目を向けた。

 

一瞬の沈黙。

 

そして。

 

シグナムのリングへ炎が灯る。

 

荒れ狂う赤色の炎。

 

嵐の炎。

 

「なるほど……貴様も“持つ者”か」

 

炎がレヴァンティンへ流れ込む。

 

剣圧が一気に跳ね上がる。

 

フェイトは目を見開いた。

 

(死ぬ気の炎……!)

 

知っている。

 

この力を。

 

さくらが使う、特殊な炎。

 

なぜ守護騎士が持っているのか。

 

その答えは、まだ分からない。

 

だが。

 

シグナムは静かに剣を構える。

 

「行くぞ」

 

次の瞬間。

 

暴風のような斬撃が、フェイトへ襲いかかった。

 

---

 

一方。

 

ヴィータの猛攻に、なのはは押され続けていた。

 

「くっ……!」

 

砲撃を撃つ暇がない。

 

距離を取れない。

 

ヴィータは完全に接近戦へ持ち込んでいる。

 

「どうした! そんなんじゃ終わりだぞ!」

 

さらにカートリッジ装填。

 

《Explosion》

 

グラーフアイゼンが唸る。

 

その時。

 

なのはの視線が、ヴィータの右手を捉えた。

 

紫色の宝石。

 

雲のマーレリング。

 

「それ……!」

 

ヴィータがニヤリと笑う。

 

「気になるか?」

 

次の瞬間。

 

紫色の炎が噴き上がった。

 

粘つくような炎。

 

雲の炎。

 

それがグラーフアイゼンへ流れ込む。

 

するとヴィータは、腰の後ろから複数の鉄球を取り出した。

 

「新しい遊び方を教えてやるよ!」

 

鉄球を空中へ放り投げる。

 

グラーフアイゼンをフルスイング。

 

轟音。

 

撃ち出された鉄球が、一直線になのはへ飛ぶ。

 

「っ!?」

 

なのはは回避行動へ入る。

 

だが次の瞬間。

 

飛翔中の鉄球が、紫色の炎を纏った。

 

そして――増えた。

 

「えっ!?」

 

一つだった鉄球が二つに。

 

二つが四つに。

 

四つが八つへ。

 

空中で次々と分裂増殖していく。

 

雲の炎による“増殖”。

 

無数の鉄球が弾幕のようになのはへ降り注ぐ。

 

「きゃあっ!?」

 

回避。

 

防御。

 

爆発。

 

ビル壁面が次々と破壊されていく。

 

ヴィータは豪快に笑った。

 

「逃げ切れるかよ!!」

 

さらに鉄球を打ち出す。

 

増殖。

 

増殖。

 

増殖。

 

空が鉄球で埋まる。

 

なのはは完全に押し込まれていた。

 

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