魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第11話 黒き雷狐

夜空を裂く轟音。

 

桃色の光と紅蓮の炎が激突し続ける中――。

 

フェイトとシグナムの戦いも、さらに激化していた。

 

「ハァァッ!!」

 

フェイトの高速斬撃。

 

だが、シグナムはレヴァンティンで受け流す。

 

火花。

 

衝撃。

 

そして即座に反撃。

 

「烈火――」

 

紅い炎が剣へ収束する。

 

「断空!!」

 

巨大な斬撃。

 

フェイトはギリギリで回避するが――。

 

「っ!」

 

頬が裂ける。

 

速い。

 

重い。

 

そして鋭い。

 

フェイトは空中で距離を取る。

 

息が荒い。

 

カートリッジシステムのおかげで互角に近付いている。

 

だが、それでも押し切れない。

 

シグナムが静かに構え直す。

 

右手の嵐のマーレリング。

 

赤い炎が、レヴァンティンへ絡みついていた。

 

「どうした」

 

「その程度か」

 

フェイトが歯を食いしばる。

 

負けたくない。

 

なのはも戦っている。

 

自分だけ止まる訳にはいかない。

 

その時。

 

フェイトの指先が、ポケットの中の黒い匣へ触れた。

 

アップグレート匣。

 

さくらから渡された物。

 

脳裏に、あの日の言葉が蘇る。

 

――『雷キツネに接続することで、“黒狐”へ変化する』

 

――『速度、出力、耐久、全部が跳ね上がる』

 

フェイトの瞳が静かに細まる。

 

「……バルディッシュ」

 

《Yes, sir》

 

フェイトは黒い匣を取り出す。

 

漆黒の匣。

 

そこへ、静かに雷の炎を流し込んだ。

 

バチバチバチッ――!!

 

金色の電撃が奔る。

 

匣が反応。

 

低い駆動音が響いた。

 

《Battery Box. Stand by》

 

シグナムが目を細める。

 

「新型か」

 

フェイトは静かに頷いた。

 

そして。

 

黒い匣を開匣する。

 

「――開匣」

 

ガコンッ!!

 

匣が展開。

 

内部から、黒い雷を纏った二匹の狐が飛び出した。

 

通常の雷キツネとは違う。

 

全身が黒い装甲のような雷で覆われ、瞳は鋭い金色。

 

周囲へ、黒雷が激しく弾けている。

 

「これが……」

 

フェイトの周囲を、二匹の黒狐――『黒狐』(ヴォルペ・ネーラ)が高速で駆け回る。

 

《Black Fox mode》

 

《All status up》

 

次の瞬間。

 

フェイトの全身へ、黒い雷が走った。

 

魔力が跳ね上がる。

 

速度。

 

反応。

 

出力。

 

全てが、一段階上へ引き上げられる。

 

シグナムの目が鋭くなる。

 

「ほう……!」

 

フェイトはゆっくりとバルディッシュを構えた。

 

金色だった雷が、黒を帯び始める。

 

「いくよ、バルディッシュ」

 

《Yes, sir》

 

瞬間。

 

フェイトの姿が消えた。

 

「っ!?」

 

シグナムが反応する。

 

だが、遅い。

 

背後。

 

「ハァッ!!」

 

轟音。

 

シグナムが吹き飛ばされる。

 

速い。

 

今までとは比較にならない。

 

シグナムが空中で体勢を立て直す。

 

その瞬間。

 

左右から『黒狐』(ヴォルペ・ネーラ)が突撃。

 

「なっ!?」

 

黒雷が炸裂した。

 

シグナムが斬り払う。

 

だが、その隙へ。

 

フェイトが真正面から突っ込む。

 

「フォトンランサー!!」

 

無数の黒雷弾。

 

シグナムが防御する。

 

爆発。

 

煙。

 

だが次の瞬間。

 

煙の中から、フェイトが現れた。

 

「はああああっ!!」

 

超高速斬撃。

 

レヴァンティンと激突。

 

轟音が夜空を揺らした。

 

シグナムが押される。

 

「ぐっ……!」

 

フェイトの瞳は真っ直ぐだった。

 

迷いがない。

 

その姿を見て。

 

シグナムは、わずかに笑った。

 

「なるほど……」

 

「それがお前の新しい力か」

 

フェイトは答えない。

 

ただ、静かに構える。

 

その背後で。

 

二匹の『黒狐』(ヴォルペ・ネーラ)が、黒雷を纏いながら低く唸っていた。

 

---

 

一方。

 

なのはとヴィータの戦いも、さらに激しさを増していた。

 

「おおおおっ!!」

 

ヴィータが鉄球を撃ち出す。

 

緑色の炎を纏った鉄球が、空中で次々と増殖。

 

だが。

 

「ディバインシューター!!」

 

桃色の魔力弾が直撃した瞬間。

 

鉄球が、内側から崩壊するように砕け散った。

 

「なっ!?」

 

ヴィータが目を見開く。

 

なのはの周囲では、赤い嵐の炎が吹き荒れている。

 

分解。

 

それが、嵐の特性。

 

なのはは、ようやくその力を理解し始めていた。

 

「私は――!」

 

レイジングハートを構える。

 

赤い炎が、砲撃へ絡みついていく。

 

「負けない!!」

 

桃色の閃光が、夜空を貫いた。

 

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