魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第13話 深まる疑念

アースラ。

 

ブリーフィングルーム。

 

大型モニターには、今回の戦闘データが映し出されていた。

 

なのはとフェイト。

 

そして、シグナムとヴィータ。

 

四人の戦闘記録。

 

クロノは腕を組みながら、険しい顔をしていた。

 

「戦闘能力が上がっている……」

 

特に問題なのは、守護騎士たちの強化だった。

 

カートリッジシステム。

 

そして――。

 

マーレリング。

 

リンディも静かに映像を見る。

 

シグナムの赤い炎。

 

ヴィータの増殖する鉄球。

 

どちらも、通常のベルカ式では説明がつかない。

 

エイミィが端末を操作しながら口を開く。

 

「やっぱり、あのリングの影響が大きいと思う」

 

「解析しても、既存の魔法体系と一致しないんだよね」

 

クロノが小さく息を吐く。

 

「問題は、高町さくらの真意だ」

 

静寂。

 

ブリーフィングルームの空気が重くなる。

 

なのはが静かに俯いた。

 

フェイトもまた、難しい表情を浮かべる。

 

リンディが静かに言う。

 

「守護騎士たちへリングを渡しながら、なのはさんやフェイトさんにも力を与えている……」

 

「その行動に、一貫した敵意は感じません」

 

「ですが――」

 

クロノが続ける。

 

「管理局の妨害をしているのも事実だ」

 

今回の戦闘でもそうだった。

 

さくらは結界の外でクロノたちを足止めし、なのはとフェイトだけを戦場へ向かわせた。

 

敵対行動。

 

だが、殺意はない。

 

むしろ、意図的に戦場を限定しているようにすら見える。

 

エイミィが困ったように頭を掻く。

 

「もう何がしたいのか全然分かんないよ……」

 

なのはは小さく呟いた。

 

「お姉ちゃん……」

 

フェイトも静かに言う。

 

「私、“黒狐”を渡された時に聞いたの」

 

「どうして私にこんな力をくれるのかって」

 

クロノが視線を向ける。

 

フェイトは小さく首を振った。

 

「でも、答えてくれなかった」

 

「ただ、“必要になる”って……」

 

誰にも分からない。

 

さくらが何を考えているのか。

 

なぜ守護騎士たちへリングを渡したのか。

 

なぜ管理局を妨害するのか。

 

そして、なぜなのはたちへも力を与えるのか。

 

その真意は、誰にも見えていなかった。

 

リンディが静かに目を閉じる。

 

「少なくとも、今は警戒を続けるしかありませんね……」

 

その時だった。

 

『――みんな、聞こえる!?』

 

突然、通信モニターへユーノの顔が映し出された。

 

少し興奮した様子だった。

 

クロノが振り返る。

 

「ユーノ?」

 

『無限図書館で調べてたんだ!』

 

『そしたら、今回の事件に似た記録を見つけた!』

 

その言葉に、全員の空気が変わる。

 

ユーノは急いでデータを転送する。

 

モニターへ、古い資料が映し出された。

 

一冊の古文書。

 

そこへ記されていた名称を見て――。

 

クロノの目が見開かれた。

 

「……闇の書」

 

なのはが呟く。

 

「闇の……書?」

 

ユーノが通信越しに説明する。

 

『正式名称、“闇の書事件”』

 

『古代ベルカ時代に存在したロストロギアだよ』

 

『蒐集したリンカーコアを利用して成長する危険な魔導書なんだ』

 

フェイトの表情が強張る。

 

「蒐集……」

 

今、守護騎士たちが行っている行為。

 

全て繋がる。

 

ユーノはさらに続けた。

 

『しかも、この記録に出てくる特徴が一致してる』

 

『ベルカ式騎士』

 

『リンカーコア蒐集』

 

『そして、主を守る四人の守護騎士』

 

クロノが低く呟く。

 

「間違いない……」

 

「奴らは、“闇の書の守護騎士”だ」

 

部屋へ緊張が走る。

 

だが。

 

なのはだけは、静かに拳を握っていた。

 

はやての笑顔が浮かぶ。

 

ヴィータの不器用な優しさ。

 

シグナムの騎士としての誇り。

 

本当に。

 

あの人たちが、ただの悪なのか。

 

なのはには、どうしてもそう思えなかった。

 

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