森の奥で、異変は突然起きた。
黒い光が地面から噴き出し、空間そのものを歪めていく。
「来た……!」
ユーノが声を上げる。
なのははレイジングハートを握りしめた。
『Sealing mode set up』
「ここで止める……!」
暴走したジュエルシードが形を持ち、獣のような影へと変貌する。
空気が悲鳴を上げるように震えた。
「わたしが封印する!」
なのはが前へ出る。
その瞬間――
空が裂けた。
金色の光。
「……!」
ユーノが息を呑む。
「まずい、誰か来る!」
森に降り立ったのは、魔法の光を纏う少女。
フェイト。
「ジュエルシード……回収する」
短い言葉と同時に、彼女は迷いなく動いた。
雷のような魔力弾。
ドンッ!!
暴走体の動きが一瞬で止まる。
「え……?」
なのはが踏み出そうとした瞬間には、すでに遅かった。
フェイトは暴走体の中心へ踏み込み、魔力を集中させる。
「封印」
光が収束する。
そして――ジュエルシードはフェイトの手に渡った。
「そんな……!」
なのはの声は届かない。
フェイトは一瞥もくれず、すぐに離脱しようとする。
だが――その瞬間。
なのはの胸元の反応に気付いた。
封印済みのジュエルシード。
微かに光るそれへ、フェイトの視線が向く。
「……まだある」
次の瞬間。
金色の光が再び爆ぜた。
森に衝撃が走る。
フェイトがなのはへ向かってくる。
「えっ……!?」
なのはは反射的にバリアを展開する。
ガンッ!!
衝撃。
「ジュエルシードを渡して」
冷たい声。
「これは危ないものだから封印したの!」
なのはが叫ぶ。
だがフェイトは止まらない。
「関係ない」
一撃。
バリアに亀裂。
ユーノが叫ぶ。
「なのは!狙いは君の持ってるジュエルシードだ!」
「っ……!」
なのはは後退しながらも踏みとどまる。
「渡せない!」
その言葉に、フェイトの動きが一瞬だけ止まる。
だがすぐに切り替わる。
「なら、全部」
さらに魔力が高まる。
連続攻撃。
なのはは必死に防御しながら応戦する。
「フォトンランサー!」
光弾が放たれる。
しかしフェイトは最小限の動きで回避し、一気に距離を詰めた。
速い。
圧倒的に。
「くっ……!」
至近距離。
バリアが限界に近づく。
フェイトの視線は揺れない。
ただ目的だけを見ている。
「それを渡せば、終わる」
なのはは歯を食いしばる。
「終わらないよ……そんなの!」
光が弾ける。
二人の魔力が衝突し、森に衝撃波が広がった。
だがそれはまだ序章にすぎない。
フェイトは撤退しない。
なのはも退かない。
そして――フェイトの視線は、明確に“次”を見ていた。
なのはの持つ、最後のジュエルシードへ。
戦いは、さらに激しさを増していく。