魔法少女リリカルなのは ~~   作:ぬっく~

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第七話 藍の決断

森は魔力の衝突で崩れかけていた。

 

倒れたなのはの視界の先に、さくらが立っている。

 

「……お姉ちゃん……」

 

かすかな声。

 

さくらは一瞬だけ振り返る。

 

その目は優しいが、今は戦場のものだった。

 

「ここで待ってて」

 

短く告げる。

 

そしてフェイトへ向き直る。

 

「ジュエルシードは渡さない」

 

フェイトは即答する。

 

「回収するだけ」

 

雷光が森を裂く。

 

ドンッ!!

 

さくらは横に跳び、回避する。

 

着地と同時に、右手のリングに藍色の“炎”が灯る。

 

それは魔力ではない。

 

想像を現実の“認識”に変える霧の炎。

 

さくらは匣を取り出し、静かに開ける。

 

カッ……

 

中から現れるのは一体の梟。

 

霧フクロウ。

 

それは実体ではない。

 

だが、そこに「存在している」としか認識できない異常な感覚を生む。

 

ユーノは目を見開く。

 

「……なに、これ……?」

 

知らない。

 

魔法体系にも存在しない。

 

ただ“見える”。

 

その違和感だけがある。

 

霧フクロウが羽ばたく。

 

キィィィン……

 

空間がわずかに揺れる。

 

そしてさくらの前に、もう一つの“存在”が現れる。

 

レイジングハート。

 

それは本物ではない。

 

霧の炎によって作られた「なのはの武器の模倣」。

 

だが、見た目も動作も完全に一致している。

 

ユーノは息を呑む。

 

「レイジングハート……!?なんでここに……!」

 

なのはは眠ったままだ。

 

つまりこれは“本物ではない”。

 

だが、存在として認識されている以上、戦闘に影響する。

 

フェイトの目が鋭くなる。

 

「模倣……?」

 

さくらはそれを握る。

 

「これでいい」

 

次の瞬間、フェイトが動く。

 

雷撃。

 

ドンッ!!

 

さくらはレイジングハート“のように見える杖”を振る。

 

衝撃がぶつかる。

 

魔法と魔法の真正面衝突。

 

森が震える。

 

ユーノは混乱する。

 

「何が起きてるんだ……!?本物のレイジングハートじゃないのに……!」

 

そう。

 

これは“魔力の模倣”ではない。

 

「戦闘の認識そのものを一致させている現象」だった。

 

フェイトは踏み込む。

 

雷光の連撃。

 

ドンッ! ドンッ!

 

さくらは回避しながら距離を詰める。

 

完全な前衛戦闘。

 

霧フクロウが羽ばたくたびに、フェイトの認識がわずかにズレる。

 

攻撃のタイミングがほんの一瞬遅れる。

 

その差をさくらは突く。

 

ドンッ!!

 

拳が交差する。

 

魔力と身体の衝突。

 

フェイトの足がわずかに滑る。

 

「……っ」

 

フェイトは即座に距離を取る。

 

さくらは追わない。

 

レイジングハートを構えたまま静かに言う。

 

「あなたの目的は分かってる」

 

「でも、なのはのものは渡さない」

 

ユーノは理解できないまま立ち尽くしている。

 

「なんなんだ……あの杖も、あの鳥も……」

 

だが一つだけ確かなことがある。

 

そこには“確かに戦闘が成立している”。

 

そしてその中心で、なのはがかすかに目を開けていた。

 

「……お姉ちゃん……」

 

霧と雷が交わる戦場で、戦いは続く。

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