シエルの父親・ヴィンセントに成り代わった物語 作:アルトリア・ブラック(Main)
「旦那様、お目覚めになりましたか?」
目の前にいるのは…えっ?
【黒執事】のタナカ?
え?マジで?
「……タナカ?」
「はい、旦那様、いかがなさいましたか?」
ちょっと待って、俺『旦那様』って呼ばれてる?
落ち着きたいから、タナカには退出して貰わないと!
「…ちょっと頭痛いから、食事は後で取るよ」
「かしこまりました。失礼します」
退出したのを見ると慌てて部屋にあった鏡で顔を確認すると…
(あー!!!ヴィンセントだぁぁああー!!?)
【黒執事】のヴィンセント・ファントムハイヴじゃねぇか!!
ちょっと待って待って
死亡確定?!俺死ぬの!?
意味わかんないし、すぐ死ぬの嫌だよ?!
「…とりあえず、深呼吸…」
頭が痛いよとりあえず
「あなたー?大丈夫?」
トントンと部屋をノックしてきたのは妻のレイチェルだった。
「…ああ、大丈夫だよ、ちょっと頭痛がするから寝てたんだ」
「…そう」
心配そうに部屋に入って来てタオルを乗せてくれる。
(…ホント美人…実際に見ると美人だなぁ…)
「今日の予定、タナカに言って中止にしてもらったからゆっくり休んでね」
「ありがとう、レイチェル」
レイチェルが退出した後、起き上がり
(…どうやってあの襲撃事件を生き残るか…)
ヴィンセントの死の場面はぶっちゃけてトラウマものである。
(…どうやれば生き残れるかな…)
相手が人外だった場合はどうやっても勝てない気がする。
(…うーん、アンダーテーカー辺りならなんとかしてくれるかな…)
ヴィンセントの記憶(過去の思い出)を見れたのでその人物が出てくる。
あの事件の日は誕生日前日だったのだ、シエルが犯人にしろ無しにしろ、その日に起こるのは確定だ。
「お父様ー!具合大丈夫?」
息子が心配そうに言ってくる
元気な方をシエル、病気がちの子は坊ちゃんと呼ぶことにしよう(ネタバレになっちゃうしね)
「すっかり治ったよ」
ヴィンセントはそう言ってシエルの
頭を撫でる。
「旦那様、今日の予定が詰まっております。食事をしたらまず仕事に参りましょう」
「分かったよ、タナカ」
(あー…女王の番犬としての仕事があるんだよなぁ…中身は普通の高校生だから、普通に出来るかな…失敗したら死亡確定だろうし…)
内心めっちゃ戸惑いを隠せない。
どうした良いものか、ホント
家族で食事を取った後、女王からの依頼で仕事に出かける。
裏社会ってホント怖い
今回の相手は銃の密輸を止めることと大元への攻撃だった。
坊ちゃん時代と違って悪魔セバスチャンがいないから大変だと思ったけど…
「今日もありがとうアンダーテーカー」
[[rb:葬儀屋 > アンダーテーカー]]が手助けしてくれた。
「ヒッヒッヒ、今回の相手も対して骨がなかったねぇ、小生は笑えたけど」
馬車の中、葬儀屋が笑いながら言う。
「楽しかったなら何よりだよ」
ヴィンセントさんの記憶を知った時、ホント驚いたよ
だっていろんなネタバレ詰まってるんだよ、漫画ではやってないところとか普通に
「どうしたの?ヴィンズ」
愛称で呼ばれるくらい仲良いのもね…ビックリしたよ
「何が?」
ヴィンセントは目の前に座る葬儀屋を見ると
「最近、よそ見が多いから、いつもらしくないと思ってね」
(…いやだって…シネマティックレコードとか見られたら俺が別人なのバレバレじゃん)
「一週間後には俺の子供の誕生日会があるからね、それで考え事してたんだ」
運命の日まで後一週間しかないし…
「リトルファントムハイヴの?」
(…『little』ってすごい悪口の意味合いにも取れるんだけど…)
little(リトル)は小さな子供とかいう意味で言ってるのならまだしも
littleには、『つまらない』『子供じみた』『けちで卑劣な』『重要でない人々』みたいな意味合いにも取られる。
英語もなかなかいろんな意味があるよね
(…葬儀屋の場合は後者かな…)
「あの子達のことバカにして、アンダーテーカーでも怒るよ」
「ヒッヒッヒ冗談だよ、でも小生にして見ればなんの実感もないんだよね、あの二人は」
「その実感を持ってもらうためにもさ」
前のめりになると笑いながら
「アンダーテーカーも誕生日会来てくれないかな?」
(来てくれないと俺死ぬ)
葬儀屋はぎゃはははと大げさに笑うと
「小生にそんな来て欲しいのかい?」
「もちろん、だってさ…」
最後まで言い終える前に葬儀屋が
「いいよ、ヴィンズのお願いだからね」
(アンダーテーカー、すごい優しいわふつうに…)
自宅に帰った後、双子が出迎えてくれる。
二人と一緒に家に入って食事取って…としていながらもヴィンセントはいろいろ考えていた。
(…シエル、腹黒いからなぁ)
弟と一緒に居られればいい、次男として外に出されてしまう弟をずっと引き止めておくには…とかいろいろ考えた上で暴挙に出そうな予感がした。
ヤンデレも実際いると怖いよホント
「ねぇ!お父様!」
「ん?なんだい?シエル」
噂のシエルがこっちを見て笑顔で…
「明日、ボート遊びに行こうよ!」と唐突に言われる。
「シエル。明日はお父様はお仕事があるのよ?」
レイチェルから注意されるが
「いいよ、明日は依頼もないしね」
「やったぁ!!」
と飛び上がるような勢いで喜ぶ
「……」
ボート遊びに行けなかった弟にお土産を大量に持って来るっていうシーンがあるんだが…
(…花言葉が怖い花をプレゼントするんだよね…)
うん、怖い
襲撃事件の日
アンダーテーカーから『早めに行くよー』という連絡を貰った後、運命の日になった。
(…死にたくないわ普通に)
そして、屋敷が暗くなった瞬間に…
「……」
襲撃者がまっすぐこっちに向かって襲って来る。
(やっぱ俺に向かって来た!!)
嫌な予感的中!
「あなた!」
レイチェルの悲鳴が聞こえてくる。
敵の目当てはおそらく自分だけだ。
レイチェルの腕を引っ張って隠れられる場所を見つけて、そこに入れると
(イッテェ!!)
肩をバッサリ斬られて想像以上に激痛が走ったが、取り敢えずは生き残るために妻には…
「いいかいレイチェル、どんな叫び声が聞こえて来ても出てきたら行けないよ、【赤いもの】が見えたら出るんだ、いいね!」
というとレイチェルが泣きそうになりながら
「あなたは!?」
と悲鳴混じりに言う
「大丈夫だから、君が生き残らないと話が始まらないんだ」
「あなた!!」
押入れの戸を閉めて剣を持って走る。
剣客がまっすぐこっちに向かってくる
(…多分、出口にも襲撃者はいるな…絶対逃さないタイプだ)
ギィンッ!!という金属音が響く
襲撃者の剣を防いだものの後方からも剣が飛んできて刺さる
「…ッ!!」
口から血が溢れる。
倒れこむと
「…ヴィンセント・ファントムハイヴ、お覚悟」
襲撃者の声が男だったのは分かったが、心臓に向かって刺される…と思ったら…
ザンッ!!という肉をそぎ落とす音が聞こえてきた。
(…えっ…?)
血が真上から降ってくる。
なにかと思って上を見ると…
「…ヴィンズ!!」
葬儀屋がそこにいた
鎌を、デスサイズを持った葬儀屋がいた。
葬儀屋の緑色の眼光が見えたと思った瞬間…
(…あ、ヤバっ…)
意識が遠のいて行く
「ヴィンズ!!」
悲鳴混じりの声が聞こえてきて、葬儀屋が走り寄ってるのが見えた。