シエルの父親・ヴィンセントに成り代わった物語 作:アルトリア・ブラック(Main)
ヴィンセント・ファントムハイヴは寄宿学校から卒業した後、婚約者探しを始めた。
(…ヴィンセント、絶対、美貌か性格で選んだよなぁ…)
同じ伯爵家の令嬢二人のうち、どちらかを選ぶということになった。
未来の嫁・レイチェルとアンジェリーナことマダム・レッド
二人と話して見て、女王の番犬の仕事をしていく上で問題が発生しないのはレイチェルだと思った。
まぁ、原作ではレイチェル確定だったし、仕方のないことだが
マダム・レッドは純粋すぎて妥協を許さなさそうだった。
レイチェルを選んで結婚した翌年に早速、シエルと坊ちゃんが生まれた。
手が早いとか言わないでね
ヴィンセントは外出する機会が多いことから、シエル達との遊びは空いた時間にしか出来なかった。
シエルと坊ちゃんの違いについては、原作知識から着くようになった。
シエルは気さくな方で笑顔を常に浮かべている。前髪の癖っ毛も見分けする形になっているし
坊ちゃんの方は温和な性格で、不安げな表情を浮かべていることがある。
(…シエルとあの子は可愛いよなぁ、性格は置いといて)
そう思いながらも、屋敷に戻ると
「おかえりなさい!!お父様!」
「ただいま、タナカやお母様の言うことは聞いてたかい?」
「「はい!」」
元気に言ってくる二人
後ろを見るとレイチェルとマダムレッドがいた。
最近、マダムレッドがバーネット男爵と結婚したらしく、順風満帆な生活を送っているらしい(本音はともかく)
レイチェルがマダムレッドを招くと彼もやってくるので、顔見知り程度の仲だ(表の顔だけ、裏の顔は見せない)
「これからお昼ご飯を食べよう」
「はーい!」
シエルがそう言って坊ちゃんを連れて家に入る
「貴方、ネクタイ曲がってますよ」
レイチェルがこちらに寄ってくる
「あ、本当だ、危ない危ない」
そう言ってネクタイを直すと
「アンジェリーナもご一緒に」
「…ありがとうございます」
ちょっと赤くなるの複雑だからやめてほしい。
レイチェルは妹と居られるのが楽しいのか微笑みながら入っていく
「では、私はこれにて」
別邸の使用人がそう言って礼をしてくる。
「うん、今日はありがとう」
「いえ、ヴィンセント様のお役に立てるのならば」
そう言って馬車に乗り込む
ファントムハイヴ襲撃事件。
俺ことヴィンセント・ファントムハイヴとレイチェルが命を落とすシーン
その死亡フラグ満載の事件をどう潜り抜けるかの算段を考えるのと同時に、あの事件の一部一部がおかしな点があるのだ。
おかしなシーン、それは、坊ちゃんがシエルを探しに行くシーンなのに、時折シエルの画面になっているのだ。
驚くシーンとか、坊ちゃんで書けば良いのになんでシエルで書く必要がある?というような感じなのだ。
それに、葬儀屋はファントムハイヴ家を贔屓にしてくれているのだが、坊ちゃんに対しては何もしていない。
まぁ、セバスチャンがいるから漫画の流れ的に出番を増やさない方が良いという原作者の都合かもしれないが、葬儀屋は力のある使用人がいようと割と遠慮なしにくるタイプだ。
ファントムハイヴ家のことを執着している葬儀屋が何もしないのは、限りなく…
「旦那様!!奥様!!お逃げください!!」
タナカが刺客の相手をしてくれているときにレイチェルを引っ張って逃げる。
(…こんな展開、二期でも見たなぁ)
真シエル犯人説とかいろいろあるが、子供が一回りふた回り大きい大人に敵うわけないのだ。
何かしら、人外がいるからこそ、役に立つ
物の見事に俺は人外に負けて瀕死の重傷に陥ったわけだが、幸いにも事件に気づいた葬儀屋が助けに来てくれた。
「全く、あの子はひどいことをするね」
真シエルが蘇り、あの恐怖に満ちた坊ちゃんの表情を思い出し言うと
「それでも、伯爵を助けたいんだろう?矛盾してないかい?」
葬儀屋の言葉に頷き
「確かにおかしいね、でも、アレは仕方のなかったことだと思うよ」
「うん?」
布団から手を出し軽く運動しながら
「あの子は伯爵として向いていたけど、シエルは女王の番犬として向いてたと思ったけど、俺の考え違いだったようだし」
「??」
首を傾げる葬儀屋
あの子は、温和な性格で表の伯爵の仕事に向いていると思った。
シエルは女王の番犬として活躍するのが良いと思った。
「跡目のこと?小生は分からないなぁ、父親を殺そうとしたのに許すなんて」
葬儀屋は近くにあった椅子に座ると
「"一度くらい"なら許せるよ、シエルにも問題はあったんだしね、でもまぁ、親子喧嘩くらいなら許されるよね?」
そうにこやかに言うと、葬儀屋は『ヴィンズにはそれだけする価値はあるよ』と返してくる。
「フワァ…やばい、眠くなって来た」
欠伸しながら言うと葬儀屋が立ち上がり
「じゃあ、寝ていなよ、まだ治ってないんだしね」
「そうさせてもらうよ、あと」
寝る体勢に入りながら、悪い表情で
「夜這いはやめてくれないかな?レイチェルなら喜んでなんだけど、男の人に夜這いされても対して嬉しくないから」
「ヒッヒッ、ひどいこと言うねぇ」
バイオレットは【シリウス】とスフィア・ミュージックホールに来た時に言われ、同時にかなり珍しいんだよと笑顔で言われた
仲間たちからは「よかったな!」と言われていたが、今となればちっとも嬉しくない。
バイオレットは知っていた。
スフィア・ミュージックホールと裏の顔を
お星様と言われる者達のために輸血が行われていることも
「バイオレットくん、聖歌隊の君にこんなことを頼むのは心苦しいんだけど」
ブラバットの冷たい眼光
言いたいことは分かっていた。
「シリウス様の光が弱まってる。同じシリウスである君に力を貸してもらいたいんだけど、構わないかな?」
「……はい」
仲間達には、こんなことは言えない
『助けてほしい』と
「次踊るぞ!」
「ああ!!」
居場所を見つけ笑っている彼らに
ここが悪魔の組織だということを
「シリウス様、バイオレットが参りました」
カーテンでその"シリウス様"が見えなくなっていた
だが、影で分かったのは、大人の男性であること
「おいで」
シリウス様の声にビクつく
ブラバットに案内され、輸血の部屋に行く
シリウス様は別室にいた。
ヴィンセントside
バイオレットがシリウス様に遭遇するあのシーンに必然と俺にも回ってくるわけで
(…顔バレするのかな)
と思っていると、原作とは違って目の前にカーテンがかけられて見えないようになっていた。
まぁ、原作通りに行くのならその通りのセリフを言うけど
バイオレットが別室に通され、自分は動かず輸血されていた。
(…注射嫌いだったんだけど、だいぶ慣れたな)
大怪我をして痛みに鈍感になっているから有り難い
「じゃあ、バイオレットくんは聖歌隊に戻るんだ。良いね?」
「……はい」
輸血した後なのか、ひどく疲れている声が聞こえてくる。
なかなか酷なことをしていると思ったが、ブラバットの『仕方ないよね』というような笑顔に苦笑いをしてしまう。
バイオレットが退出したのを見て
「…あの子は、もうすぐここを滅ぼすと思うから気をつけるんだよ、ブラバット」
そう言うと仰々しくひざまづいて
「はい、かしこまりました。シリウス様」
なんか、新興宗教の教祖って感じがするなぁ…
レイチェルside
スフィア・ミュージックホールで夫を見つけてから、レイチェルはいろんなことを見聞きしてしまった。
ヴィンセント・ファントムハイヴのために多くの人間が犠牲になっているということを
本当なら、止めないといけない
でも、止めてしまったらどうなるか手に取るように分かる。
「…貴方を殺すことなんて出来ない。大勢を救って、貴方が死んでしまうなら…」
「……」
ベットにいるヴィンセントに抱きつく
ヴィンセントは何も言わないでこちらを見ていた。
レイチェルが抱きついてくる背に触れることはしなかった。
「貴方と一緒にいたい」
息子を取るのが、本来の母としての形だろう。
なのに、自分は夫を選んでしまった。
どんな未来になろうと、夫からは離れたくなかった。
夫の考えを聞いてからは特に
「…レイチェル」
自身を呼ぶ声に顔を見上げる
「……一緒に死んでくれるかい?」
「ええ、もちろん、あなたのために」
ブラバットside
ファントムハイヴ社の到来により、供給源が大幅に流れて行ってしまった。
そうなれば、お星様方の輸血は上手くいかなくなるし、一番の問題はシリウスの血を集められなくなる。
『あの子はいずれ、ここを滅ぼすことになるからね』
シリウス様…いや、ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵の予知は確実だった。
(…なんとかしなければ)
今あるシリウスの血と他の血をまとめて持っていき、施術できるくらいの準備をしなければいけない。
(…ここも時期に崩壊する。その前にお星様方を安全な場所に避難させなければ…)
そう考え準備を始める
オセロはお上からの申し送りに目を通して感心した声を出す
「へぇ」
書類を見ながら言うとグレルが「何よ」と言ってくる。
「んー、あのファントムハイヴ家について調べてるんだ」
「確か、最近現れたヴィンセント・ファントムハイヴのこと?それがどうしたって言うのヨ」
セバスチャンに会いたいわぁと言うグレルを無視して
「いやね、彼、恐ろしいほど寿命が伸びてるのよ」
そう言って手帳を見せる
「輸血実験したからじゃないの?」
「それもそうなんだろうけど、ヴィンズちゃんの場合は未来視でも持ってるのか?ってくらいの生き残り方。それに、すごく頭がいい」
ヴィンセントが番犬時代に使った道具に、明らかに今の時代に見合わない武器があったり、科学兵器があったりする。
「…アンタの趣味を疑うわ、あんな男に興味を持つなんて」
「そうでもないよ、お上からのお達し」
そう言ってグレルに書類を見せる
「緊急事態発生により、急遽処理…」
「そ、お上が『ヴィンセント・ファントムハイヴの危険性』に気づいて支度をし始めたんだ」
「支度って…生きてる人間を殺せって言うワケ?人には散々、懲戒免職とかさせたのに」
「グレルちゃんの場合は余計な死も招いたからでしょ」
オセロは目の前に来た紅茶を飲みながら
「できるならさし飲みしたいけどねぇ、ヴィンズちゃんと」
「悪趣味ね」
グレルは興味なさげに返す
オセロは手帳に書いてあるヴィンセント・ファントムハイヴの項目を見て笑う。
『自殺をさせないこと』と力強い筆跡で書かれていた。
(…自殺させないことねぇ)
生きているだけでいろんな人に実害を与えるヴィンセント・ファントムハイヴ
普通の紳士であった子供思いの男も、自分へ初恋を抱いていた女性に対しても
関わることで死を招いていた。
唯一無事なのは、ドイツにいる彼くらいだろう。
(…セバスちゃんと同等くらいの魔性の男だねぇ、ひょっとしたら生まれてくる人種間違えたんじゃないかな?彼)
もし、次があるなら是非とも悪魔に転生してもらいたい。
転生したら面白いだろう。
「オセロ、次の仕事行くわよ」
「了解」
ヴィンセントは一人、ファントムハイヴ家屋敷内を歩いていた。
月明かりに照らされた空を見上げる
(…あの子は、これからこっちを潰すために戦うだろうな、最悪の展開は殺し合い、一度復讐を決めたら意地でも動かないからな)
坊ちゃんはきっと、自分がファントムハイヴ家に舞い戻るために準備をしているのだろう。
そして、こちらもあの子を追い詰めるための算段を練っている。
あの子が途中でセバスチャンに食われないために
復讐という歯止めから目を覚まさせるために
やり方は恐ろしいだろう。
だけど、こうでもしないと意味がないのだ。
こうしないと彼を救えない
空を見上げていた視界が霞む
(…あれ?この展開になるの?)
自分は真シエルじゃないからという思いでいたのだが…
倒れそうになると…
「危ない危ない」
葬儀屋が支えてくれる
「…おかしいな、本調子に戻って来たと思ったんだけど」
そう言うと葬儀屋は笑い
「輸血はまだまだ未発達だからね、新しい血と古い血を交互に入れ替えないといけないからねぇ」
普通は身体機能が独自に動き、血を入れ替えたりする
そういう仕組みになっているが、自分の場合、そこは未だに上手くいっていなかった。
死にかけの体からここまで戻ったのはすごいことだよ?と葬儀屋に言われる。
「…悔しいな、あの子を今すぐ助けてやりたいと思ったんだけど…」
消えゆく意識の中、葬儀屋が微笑み
「焦らなくても大丈夫さ、それに、君はこんなにも幸せそうじゃないか」
眠りに落ちたヴィンセントの髪を撫でる。
「おやすみ、ヴィンズ」
坊ちゃんside
「てんでダメだね」
シエルはラウの下、働いていたが、物を運ぶのすら上手くいかないことにラウは笑いながら言う
「ほとんど執事くん任せにして来たんでしょ、分かってはいたけど、こうも出来ないとはねぇ」
「……」
女装するくらいなら死んだ方がマシだと言う。
「我儘だねぇ」
ラウはタバコの煙を吐くと
「それで、新聞をとって来たんだけど見る?」
「…ああ」
そう言って机いっぱいに広げる
見出しいっぱいに『ファントムハイヴ家前当主殺害未遂、親殺しか』という見出しと
『現在逃走中の犯人について』と書かれていた。
「すっかり指名手配犯だねぇ」
ラウは笑いながら言うとシエルは
「笑い事じゃない」
「それで?手っ取り早く乗り込んで親を暗殺してしまえば良いんじゃないかな?」
ラウの言葉にシエルは首を振り
「あっちも厄介な傭兵を雇っているからな…そう簡単に倒せない」
シエルの脳裏に葬儀屋とヴィンセントの映像が出てくる。
「しかし、あの様子を見るに、まだ完全ではないも思います」
セバスチャンの言葉にシエルが振り向く
「へぇ?なんでそう思うんだい?」
ラウの愉快そうな表情に
「ファントムハイヴ家襲撃事件についての書類を見させてもらいましたが、ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵の血痕の数、血溜まりを見たという証言から、体内の血の半数が流れて行ったと思います」
「うーん、確かに、半数以上の血が流れたら普通は死があるだろうけど、それを輸血でなんとかしていたのならある程度は復活できるんじゃない?」
「輸血にもデメリットはあります。同じ血を輸血することに成功しても副作用が発生しますしね」
セバスチャンは新聞をたたむ
「そもそも、他人の血を他人に輸血するのは危険行為です。同族ならともかく」
そして、輸血は終わっていないことを言う
他人の血を受け入れるには、時間がかかる。
スフィアの事件で、カルト教団になりスフィア・ミュージックホールは使えなくなっている。
ならばこそ、他の供給源があるはずだと言うと
「なら、そこから潰して行く!」
シエルの強い言葉に全員が『YES,my road』と言う
ラウがふざけながら「やってみたかったんだよねぇ」と言う
:バタフライエフェクト
(#あくまで推測・セリフの違和感)
一人、ベッドにいた時に考えたことがある。
それは、シエルがいずれ直面する女王からのゲーム時でチャールズ・グレイ。通称・グレイ伯爵が言っていたこと
『ドイツが英国に勝つなんて、10年早いよ』というセリフ
ここまでなら、相手に対しての皮肉の言葉で済むのだろうが、この後のセリフに違和感があるのだ。
『ま、本当に10年なんだけどね』
ヴィンセントは馬車から降りて王宮を見る
ヴィクトリア女王が待っているのだ。
「ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵、こちらへ」
そう言われて女王の城に入る
ポラリスが馬車内から見ていた
いつものように女王の座に謁見しに行った。
労いと体調の有無、息子であるシエルの親殺しの件を話した後、帰宅する用意をしようとした時
「ファントムハイヴ伯爵」
「はい、なんでしょう?」
女王はいつにも増して真面目な顔で
「ーーー」
とあることを言ってくる。
「ええもちろん、出来ますよ」
聞いてきたことは案の定、輸血のことだった。
そして、城から出て馬車に乗り込むと
「推察通りだよ、アンダーテーカー」
目の前に座っている葬儀屋にそう言うと
「ヒッヒッ、悪どいことを考えるね、ヴィンズ」
「お褒めに預かり光栄だよ」
いかにして女王を黙らすか考えた結果、あれが最善だと判断した。
女王の本当の顔なんて知り尽くしている。
短気で人から進言されるのは嫌がる傾向にあるのだ。
気に入らないことがあれば、すぐに殺人行為や殺人事件をなすりつけたりなどする。
非情で冷酷で冷淡で非道
ヴィクトリア女王の政権の強さはたかが知れている。
万が一のことがあっても死神派遣協会が女王を守れないよう手を打っておく必要があった。
「さすが、ヴィンズ頭が良い」
ファントムハイヴ家へ戻る道すがらそう言う
「血友病は輸血でなんとかなると知ったら、当然、女王は動くだろうね」
血友病は女王の子供たちが持っている病気だ。
「ヴィクトリア女王の衰退なんて目を見るに明らかだ。だからこそ」
ヴィンセントは馬車の外を見ながら
「…余計な展開なんかにさせるものか」
〜考察〜
物語形式にしてみましたが、書いてて??になってしまうという状態に陥ったので、軽くまとめます
・シエルと坊ちゃんの明確な判断方法が髪
・襲撃事件のシーンで部屋から出て行くシーンは坊ちゃんだけど、驚くシーンはシエルの分け目になってる。
(泣いてるシーンは坊ちゃんに戻ったりなど)
・『シエル様は、あなた様には酷すぎ』というセリフの違和感。
↓
ーあくまで個人の考えー
・『シエル様には酷過ぎ』と言おうとしたのかな?って(それか、真シエルが犯人説なら、坊ちゃんには酷過ぎになるけど…)
・もし、真シエルが犯人なら蘇って戻って来た時に味方する?と思った。
・『私は代々ファントムハイヴ家当主の執事』と言っているから、真シエルは犯人じゃない?(仮に犯人ならあの時の当主はヴィンセントで、家督を正式に継いだのは坊ちゃんだから違和感がある)
まぁ、長くはなりますが、タナカの『ファントムハイヴ家当主に仕えている身なら坊ちゃんに付かないとおかしいと思って書きました。