シエルの父親・ヴィンセントに成り代わった物語   作:アルトリア・ブラック(Main)

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第8話

裏社会では超有名人

 

 

今までのファントムハイヴ家は【女王の番犬】から始まりファントムハイヴと呼ばれていた。

 

当主によっては『ファントムハイヴ』のみしか知られていない人間もいる。

 

そんな中、もっとも名前で知られている【女王の番犬】は…

 

 

「……」

↑机に突っ伏してる。

 

女王の番犬として女王からの命令を忠実に承り、実行していたヴィンセント

 

時には非情な手段で勝ち取る正義もあった。

 

女王からの依頼で言及していない所は容赦なく

 

「旦那様、ミッドフォード家の方が参りました」

 

「…りょうかーい…仕事が終わったら行くって伝えておいて」

 

「かしこまりました」

 

扉が閉まった音がした後、ヴィンセントは再び机に向かって書類を書き始める。

 

(…明日もまた来るんだよなぁ、この書類…)

 

領地内や領地外でも工場などを運営していたヴィンセント。

 

その会社から続け様に来る書類に投げやり気分だった。

 

長時間労働にもほどがある。

 

残業代の発生しない事務仕事

 

(…ブラック会社だぁ(><))

 

書類を作成したりしながら頬杖をつく

 

(…まぁ、日本みたいに堅苦しい文章じゃないから全然良いんだけどね…)

 

漢字だらけの文章とかはなくて本当に良かった。

 

一時間経った時…

 

トントンというノック音が聞こえてくる。

 

「はい?」

集中してて反応が遅れたが、返事をすると…

 

「ヴィンセントさん」

というジョージ声が聞こえてくる。

 

「あ、アレクシス」

ヴィンセントは仕事をしていた手を止める。

 

老け顔をしているが、実年齢はヴィンセントやディーデリヒより年下である。

 

ディーデリヒはともかく、ヴィンセントは老けなさすぎ

 

「お忙しい中すまない」

 

アレクシスは侯爵家出身でファントムハイヴ伯爵家よりは格上の家であるが、学生時代からヴィンセントとディーデリヒの後ろを歩いていたり

 

何かとヴィンセントのことを気に入っている節があった。

 

慣れなさそうにタメ口を使っていた。

 

 

 

アレクシスが近くにあった椅子に座ると話し始めたことは…

 

「…実は先日から●●家の人間が頻繁に別荘地に向かっているようで、相談が…」

 

アレクシスの言いずらそうな言葉を察するに…

 

「…武器密輸や人身売買を行なっているとの話があって」

 

(…やっぱり)

 

だが、証拠のないまま事は動かせない。

 

「証拠は?」

と聞くとアレクシスは…

 

「…社交界の場でコソコソ話をするように子爵や伯爵位階の人間が【狩り】や【黒魔術の儀式】を行うと小声で言ってるのを確認しただけで…」

 

「……」

ヴィンセントは悔しそうにするアレクシスを見る

 

(正義感に強くて耳が良いアレクシスのことだから言ってる事は50%は本当なのだろうけれど…)

 

残りの50%は真実味に欠ける事だった。

 

アレクシスをいくら信用していようと、根拠や事実がなければ話が話だ。

 

(信用だけで摘発するわけにも行かないし…)

 

人身売買や黒魔術系のアレは『絶対にそうである』という事実がない限り無理なのである。

 

「分かったよ、こっちで調べておくから」

ヴィンセントが立ち上がるとアレクシスも立ち上がり

 

「…心もとない情報だけですまない…もっとコレと言った情報があれば良かったのだが…」

 

アレクシスが申し訳なさそうにしてくるが…

 

「大丈夫、そんな噂が立ってること自体悪いことだからね」

 

そう言って頭を下げて去って行くアレクシス。

 

すると…

 

「旦那様」

タナカが部屋に入ってくる。

 

「タナカ、アンダーテーカーに至急知らせを飛ばしてくれ」

 

「かしこまりました」

 

タナカが去って行った後、アレクシスから聞いた家について調べることにした。

 

公に調べると【女王の番犬】に嗅ぎつけられたと思われ姿を消される可能性がある。

 

「…さてと…厄介な相手がきたな…」

 

後々のためにも黒魔術系や人身売買を行なって組織は破壊しなければならない。

 

 

 

ヴィンセントからの依頼を受けてアンダーテーカーは人身売買から黒魔術の儀式を行なっているであろう組織を調べに行った。

 

「ー!早く中に入れろ!」

子供や女性を引っ張って中に入れる男達がいた。

 

アンダーテーカーはそれをかなり高い家の屋根から見ていた。

 

長い銀髪と黄緑色の眼光がその男達を見下ろしていた。

 

 

 

一時間後…

 

「ヴィンズ〜探って来たよ〜」

 

「早いな…アンダーテーカー」

 

「小生は死神だからね〜簡単に入れるよ、それに死体に葬儀屋は付き物だからね〜」

アンダーテーカーはわずかな書類と口だけで説明し始めた。

 

「タナカ、シエル達のこと頼むよ」

 

「はい、かしこまりました」

裏社会の話に二人の子は巻き込めない。

 

「人身売買とか黒魔術みたいな儀式を行ってる家は『ビースト家』だよ、まさに『野獣』に似つかわしい家だ」

 

アンダーテーカーが笑いながら言う

 

「幼い子供から大人の女性までかなりの裏取引でやってるみたいだよ、主にイギリスからの経由で外国にも売られてるらしい」

アンダーテーカーの調べ方には本当に驚かされる

 

後々のシエルの時は笑いがないと情報を提供しないのに、今は笑いは求めずに普通に情報提供してくれる。

 

挙げ句の果てには人身売買の売り飛ばさられ先まで調べていた。

 

「じゃあ、女王に報告してからことを動かそうか、面倒でも女王の意思は大事だからね」

 

バックに伯爵家や子爵家が絡んでしまっているのだ、何も言わずに滅したらいろいろ責任転嫁されるかもしれないからだ。

 

ヴィンセントは執事・タナカに女王へ手紙を出して欲しいと手紙を渡した後…三時間後には了承の許可が下りた。

 

「じゃあ、行こうか、悪趣味な事をしている奴らの元に」

 

ヴィンセントがそう言うと黒服を着たファントムハイヴ家の精鋭達が現れた。

 

黒服の使用人達が出て行った後、ヴィンセントは一応のためにアレクシスの元に行った。

 

「アレクシス」

と部屋の中にいたアレクシスを呼ぶと

 

「ヴィンセント」

とまた言いづらそうに自分の名前を呼んでやって来た。

 

アレクシスの横にはフランシスがいて、フランシスもこっちを見ていた。

 

「…さっきのは大体わかったよ、これから向かうから息子達のことはよろしく頼むよ?」

 

「…分かりました」

こそこそ話をする二人。

 

ヴィンセントは背を向け

 

「じゃあ、仕事があるから頼むよ、タナカも」

 

「はい」

 

 

ヴィンセントは参加者として入ることにした。

 

顔はもちろん隠してます。フードで

 

アンダーテーカーも一緒に参加、他も時期を決めたら入ってきてもらうことにした。

 

「黒魔術の儀式を始めます!そして悪魔を召喚します!」

 

黒執事のトラウマシーンで似たようなシーンを見かけた気がした。

 

「!!」

女性の悲痛な目、怖すぎて声が出ない女性。

 

そして…

 

「悪魔よ!我が願いを聞き入れよ!」

 

そう言ってナイフを女性の脳天に突き刺そうとした時…

 

「アンダーテーカー」

そう名前を呼ぶとアンダーテーカーが悪魔のようなスピードで飛んで行き…

 

ゴリッ!という鈍い音が聴こえて来る。

 

「なっ!?」

落ちた頭がそんな声を発するくらい物凄い勢いで落としていた。

 

「やれやれ〜こんなヘビーな笑いは好まないんだけどなぁ〜小生は」

 

寝かせられていた女性に手を出すアンダーテーカー。

 

周囲にいた男達もアンダーテーカーがいつのまにか倒していた。

 

「な、なんだ!お前は…!」

小太りの男がアンダーテーカーを指差す。

 

しかし…

 

「ここは神聖な…」

言い終わる前に突入していた黒服の使用人が殺害していた。

 

「……」

冷たい目が死体と成り果てた男を見下ろす使用人。

 

「全員、取り押さえて」

ヴィンセントは座って命じるだけで使用人達が頷いて動いていた。

 

「アンダーテーカー、殺してないよね?」

そう言ってアンダーテーカーの元に行くと…

 

「お、お助け…」

ビースト家の当主が尻餅をついて座っていた。

 

格好が本当に不恰好である。

 

男として情けない姿になっている

 

(下品だから詳しくは言わないけどね)

 

「単刀直入に言うよ、人身売買はどこから行ってたの?」

 

「あ…あ…」

 

「俺はあんまり気が長い方じゃないんだ、ハンバーグにはなりたくないだろう?」

ヴィンセントの黒笑いが男に炸裂する

 

ハンバーグって例え許して、出て来たのそれしかなかった。

 

「ち中国からだ!!あそこの人身売買は…」

男が必死に言うが、ヴィンセントは横目で檻から出された子供を見ると

 

「アジア人には見えないよ?イギリス系の子供とロシア人の子供や大人が多いけど」

と嗤うと男を見下ろす

 

「本当のこと言わないとどうなるか分かってるよね?」

 

本当のことを言わない人間は嫌いだと言った目を向けると

 

「ああれは…」

と事実を話し始める。

 

ヴィンセントは女子供をヤードに渡した後、次々と人身売買や黒魔術系のところを潰して行った。

 

「やれやれ、これで30件目か…中には侯爵家まで関与してるなんてね」

 

ヴィンセントは椅子に座りため息をつき書類を見ながら言う。

 

「陛下からは報酬が支払われました。旦那様」

 

「ありがとう。タナカ」

報酬が今までより遥かに報酬料があった。

 

これでしばらく旅行でもしたいと思ったが、それも無理な話。

 

出来るだけ貯金しておいて後々のシエルのために取っておくかと思っていた。

 

それか、自分の将来のために武器でも買うかとは思ったが、それはやめておこう

 

ヴィンセントは立ち上がって廊下を歩いて行く

 

「待ってよリジー!!」

 

「アン叔母さんー!」

 

子供達の元気な声が聞こえて来る。

 

(…あの異常じみた組織は今の所現れてないし…かといって根本を破壊するのは難しそうだな…)

 

シエル達が人身売買にかけられてしまう組織はいまだに見つからない。

 

あるいは、ヴィンセントが死後すぐに息を吹き返すのかもしれないが…

 

「……」

高校生の昔の自分だったらありえないくらい事を切るのに上手く行ってると思っていた。

[newpage]

[chapter:オセロとヴィンセント]

 

科捜課の死神・オセロは上からの命令がない限り下界には降りられなかった。

 

(そもそも、科捜課のある意味がねぇ…)

 

オセロはため息をついて死神派遣協会の廊下を歩き、自室に向かっていた。

 

下界で起こる人間同士のいざこざには手を出さないが…

 

オセロの所属する【科捜課】は下界で《離脱組》が起こした事件を処理したり、死神が余計な発明をしてしまった場合は即刻調査して消すのが役目だった。

 

しかし、50年余はそういうのが起こっていない…というのが上の認識だった。

 

だが…

 

「さーて、今日も下界の様子見ましょうか〜主に『ヴィンズ』チャンの」

 

オセロが最近興味があるのが、ヴィンセント・ファントムハイヴという人間だった。

 

「カレ、頭良いのよね〜」

ヴィンセント・ファントムハイヴの発想力は今の時代の人に似つかわしくない柔軟さがある。

 

『進みすぎている』物を開発しても死神派遣協会は彼のことを処分はしない。

 

何故なら彼は生きているから

 

死神派遣協会は《生者を殺してはならない》というルールがあるのだから

 

『ヴィンセント様、完成しました』

 

「あ、コレ化学兵器じゃん!凄いなぁ〜ヴィンズチャンの発明力は〜」

 

オセロはワクワクしながら動向を見ていると…

 

「あれ?また故障?」

オセロは見ていたモニターが壊れたことに気づき、モニターを振るが…

 

「なんでいっつも番犬仕事の時は見られないんだろうなぁ〜」

 

 

 

アンダーテーカーはヴィンセントと共に女王の番犬の仕事をしていた。

 

女王なんてどうでも良く、ヴィンセントが生き残れるならそれで良いと思っていた。

 

(ヴィンズは死神に好かれる才能でもあるのかねえ)

 

アンダーテーカーは知っていた。

 

死神派遣協会から下界を見る術を

 

ヴィンセントの周りを別の死神が見ているということを

 

「アンダーテーカー?どうしたんだい?」

ヴィンセントが余所見していたアンダーテーカーに問いかける。

 

「なんでもないよ〜」

と言うとヴィンセントは「そう」と言って机に向き直る。

 

別の死神からの干渉を強引に切り見させないようにしていた。

 

(死神派遣協会なんて好きじゃないからねえ、小生は)

 

と思いながら書類をまとめていたヴィンセントに絡む

 

「ヴィンズ〜笑いをおくれよ〜」

 

「今?別に情報は要らないよ?」

 

「なんか笑いたいんだよ〜」

 

 

 

シエル・ファントムハイヴはファントムハイヴ家を継いだ後、女王の番犬の仕事を始めた。

 

しかし、仕事をしていくに裏社会では常に『ヴィンセント・ファントムハイヴじゃないから再開するぞ』という行動が見て取れた。

 

(やれやれ、先代が記録してた書類が見つかりましたが、こんなに増えているとは…先代の強さはかなりのようだったのですね…やれやれ重要な人を殺したようだ…もったいない)

 

真シエルの魂を食ったため、セバスチャンにはいろんな事実が見えた。

 

セバスチャンは自室に戻ると書類を読み漁っていた。

 

今後のことで不都合なことがないように

 

聞かれても分かるようにと読んでいた

 

(…しかし、ヴィンセント・ファントムハイヴには未来でも見通してたかのような記述ばかりだ…)

 

意図したかのように行動しているのが見てとれた。

 

まるでこうなる事をわかっていたかのように

 

(…まさか…)

 

彼も人外の何かだったのか、あるいは、人外の何者かが彼に助力してたのか…

 

(…いやしかし、悪魔ですら未来を見通すのは無理な話ですし、なおのこと死神も無理なはず…気のせいですかね)

 

そして、明け方になっているのに気づき、服を着替えて執事の仕事に取り掛かることにした。

 

 

 

ヴィンセントはセバスチャンの正体を仕事がてら探っていた。

 

「……」

セバスチャンの本体の確証を得られたヴィンセントはその対処法も調べていた。

 

(変化をする悪魔はアンダーテーカーでも難しそうだな…なおのこと化学兵器や人間の武器じゃ倒せないだろうし…)

 

「……デスサイズとかか…」

 

デスサイズの物質がかなり特殊でアンダーテーカーのデスサイズを調べてもらった武器商人の人が『かなり難しい』と言っていた。

 

「……後のことはあれ以降にしないといけないんだな…」

 

悪魔を退治する話なんて前世では山ほど見ている。

 

(ビックリするほどオカルトオタクだったからなぁ…俺)

 

それがまさかこんな時に役に立つとは思わなかった。

 

バチカンに相談しに行っても良い話なのだが、それはそれで面倒なことになりそうだ。

 

下手したら虐殺パーティーである

 

(死神も悪魔に分類されちゃうしね)

 

死神は悪魔に比べれば天と地ほどの差だ。

 

アンダーテーカーは協力してくれてるし、退治されたらたまったものではない。

 

 

レイチェルはシエルに何も言わずに【スフィア・ミュージックホール】に来た。

 

全てを聞かされた時、レイチェルは胸が引き裂かれる思いだった。

 

味方だと思い込んでいたセバスチャンが息子の仇

 

そして、夫を失ったことに気を病んで励ましてくれたあの女王が…

 

「…あなた…」

 

『シリウス』の部屋でレイチェルは夫の手を握り締める。

 

壊死しないように優しく握り締める。

 

「…私、どうすれば…」

 

悪魔や女王はここを壊そうとして来る

 

大切なものをまた失わせようとして来る。

 

でも、護れる強さが自分にはない。

 

リジーのように剣術に長けている訳ではない。

 

今からやっても遅いと…そう思ってしまっている。

 

すると…

 

コンコンというノック音が聞こえてくる。

 

「シリウス様、輸血の準備しました」

 

と言って入って来たのはブラバットだった。

 

レイチェルを見ると頭をわずかに下げ

 

「…輸血を始めますので、抜かないでくださいね、この管を」

 

「…はい」

そう言ってブラバットが輸血の準備を始めたのを見ていた

 

逆サイドに座り夫の手を握り締める。

 

死んではいないが、手が冷たくなってしまっている。

 

ブラバットが頭を下げて部屋を退出して行く

 

「…レイチェル…来てたのかい…?」

 

「あなた」

気がついたのかレイチェルを見て言って来る。

 

「…レイチェル…ダメじゃないか、あの子を置いて行くなんて」

 

寝ぼけているのか、あるいは意識がはっきりとしていないのかレイチェルの手を握る。

 

「…貴方を置いて行けないわ…あの子には…」

 

やっと夫に出会えたのだ

 

もう、側を離れたくない

 

 

 

いつのまにか寝ていたヴィンセントは目が醒めると輸血の管が見えた。

 

そして、自分の左手を優しく握っている人物がいると思い見ると…

 

「…レイチェル…?」

思ったより声が小さすぎてレイチェルが反応しなかった

 

「…レイチェル、来てたのかい?」

 

そう言うとレイチェルが泣きそうな目で見て来る。

 

(泣かせてしまった…)

 

そう思いながらもレイチェルの手を大丈夫だよというのを込めて握るとすり寄って来る。

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