シエルの父親・ヴィンセントに成り代わった物語 作:アルトリア・ブラック(Main)
スフィアの事件
「…僕は"シエル"として戻って来た。それ以外に理由なんてない!」
シエルはキッと俺を見て来る。
まぁ、そう言うのは分かってる。
「そうだね、確かにお前が頑張って三年間を過ごしてたのは知ってる。女王の番犬として覚悟を持ってね」
ヴィンセントスマイルで言うと、なんか全員の表情が凍りつく
なんか嫌だね
「俺が今更どうこう言える立場じゃないのもわかってるんだよね」
やれやれと言ったポーズをとると、数秒遅れて…
ガッシャーン!!という音が聞こえて来る
グレル達の登場かなー
「ハーイ☆セバスちゃん〜」
案の定やってきたのはグレルとオセロだった。
「あ、やっぱり生きてたんだ、ヴィンズちゃん」
(…ヴィンズちゃん…?)
なんか背筋ゾッとした。
「ついでに離脱組もいるか〜やっぱりね〜」
それから軽く戦闘モードにグレルが入る
俺はその場から少し離れると、タナカが守ってくれる。
「屋敷に傷が付いてしまうのでここで戦うのはよしてくれませんか?」
セバスチャンがナイフで葬儀屋を襲う
「ここがお前の家のような物言い。出て行ってもらうのはお前の方だよ?セバスチャン」
その言葉が合図のように玄関が勢いよく開けられる。
「!!」
入って来たヤードと…
「シエル!!」
リジーとミッドフォード侯爵達だった。
「ヴィンセント伯爵!?」
「ヴィンセント叔父様!?」
俺を見て驚く二人
なんか、有難いような面白いような…
「お久しぶりで、アレクシス侯爵、エドワード、リジーも元気そうで何より」
常に笑顔でなければ余裕は生まれない。
警察が入って来たことによって死神達が停止する。
[newpage]
「ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵…!生きていたのですか」
アバーラインが俺を見て言って来る
「いろいろあって動けない身体だったんですが、周りの人の協力を得て戻って来ることが出来ました」
警察官達はザワザワとざわめく
まぁ、通報した理由が理由だから戸惑うのも分かるけど
「ファントムハイヴ伯爵…、ヴィンセント伯爵!通報した内容では、スフィア・ミュージックホールの事件の"犯人"とファントムハイヴ伯爵家襲撃事件の犯人がここにいると通報を受けましたが…!」
「!!」
シエルがアバーラインを見る
「ああ、その件は今から話します」
にこやかにアバーラインを見る
今から言うことは本当に残酷なことを言うつもりでいる。
「ファントムハイヴ伯爵襲撃事件と今回の事件の犯人は」
シエルを見ると
「シエル・ファントムハイヴ伯爵だよ」
「!?」
その告発に全員が騒然とする
まぁ、そりゃそうだ
父親が息子を摘発するんだ。
それに、スフィアの事件に関しては俺が犯人だ
「…お見事」
セバスチャンがそんなことを言って来る
「嘘…シエル」
リジーが泣きそうに言って来る。
「それは…!どういうことですか!ヴィンセント叔父様!今回の事件ではシエルが犯人なのも、ファントムハイヴ家が襲撃された事件でも、シエルが全部仕組んだことなんですか!?」
エドワード興奮してるなぁ
「数年前のあの事件で、俺を襲う命令を出したのは【シエル・ファントムハイヴ】だよ、刺された時に確かに見たんだよ、シエルが『これで一緒に居られる』ってね」
これは本当のことだ。
「…シエル」
リジーがシエルの手を握る
「でも、俺はそんなことを恨んでるわけじゃない。問題は今回の事件である【スフィア・ミュージックホール】の事件のことだ、ファントムミュージックホールが出来た瞬間に多くの犠牲者が出た。それは紛れもない事実だ」
「アバーライン警部!!」
すると、地下から警察官が出て来る
「地下からブラバット・スカイと例の事件で押収した血液サンプルを見つけました!!」
ブラバットは地下から連れて来られると、俺を見ずに警察官達に屑星だの明らかに挑発することを言って…
「そうですよね?シリウス様」
「!!」
シエルの方を見て言う
確かに『シリウス』はAB型を表している。
俺とシエルは血液型が同じだからブラバットの言う事は正しい。
アバーラインは何かを言いたそうにするが
「…ファントムハイヴ伯爵、今回の事件について御同行を願います」
「!!」
シエルが俺をありえないと言う目と一緒に『何を企んでいるんだ』といったような目で見て来る
「そんな…!シエルが犯人なんてそんなの間違いよ!」
リジーが庇おうとして来る。
「リジー」
アレクシスがリジーを制する
「アバーライン警部」
俺はアバーラインを見るとアバーラインは完全に俺を警戒した目で見て来る
分かってんなぁ
「シエルのことをよろしく頼みます」
「……はい」
シエルを見てにっこりと笑う
俺はこのまま彼を見捨てるつもりはない。
シエルが警察に連れて行かれた後、俺はタナカに通されて応接間に入る
リジーはショックのあまりに倒れたので、ファントムハイヴの屋敷で休ませることにした。
「…ヴィンセント叔父様、これからどうなさるおつもりなんですか?」
エドワードがまぁまぁ警戒しながら俺を見て来る。
まぁ、そうだよね
シエルから大体のことは聞いてるだろうし、後継者であるシエルが警察に捕まった以上、跡取りのことも考えなければならない。
「どうするか、それは考えてるよ、シエルのことを諦めるつもりもない」
「…それはどういう…」
「息子を告発しておいて平気な顔していられる程、私も残酷じゃないからね」
シエルは絶対に助けたい
ただ、セバスチャンが邪魔だ
かつて自分を支持していた使用人は別邸にいたおかげで、襲撃事件には巻き込まれていなかった。
「…ヴィンセント叔父様…」
「しかし、襲撃事件の犯人がシエルならば、家名を継ぐのはもう…」
「無理に近いだろうね」
「!!」
「だけど、シエルは死なないだろうし、刑罰もないだろう」
「…なぜ、そう言い切れるのですか?」
「ん?手を回しておいたから平気だよ」
問題はセバスチャンが強行突破するか可能性もあるが…
二人が俺を心配そうに見て来るが、納得したのかアレクシスは部屋から退出する
エドワードは何か言いたげにしていたが、リジーの方が心配なのかお辞儀をして退出する。
「……やばいな…、これ」
手先が謎の震えを起こし始めた
「…傷も塞がったはずなんだけど…ゴホッ!!」
勢いよく咳をすると、熱いモノが込み上げて来る。
「あー…」
俺の手には血が溢れていた。
(…拒絶反応かな)
他人の血を輸血するときに、ある程度拒絶反応のないように処置されていたが、それでも最新技術の医療に比べれば発展途上だ。
あの事件のときにかなりの血を失った上に、他人の血を輸血しまくった
それなりに拒絶反応が起こってもおかしくない。
「…ヴィンズ」
葬儀屋が入って来るなり、介抱してくる
「やっぱりまだ早かったんだよ」
「…早くないよ」
立ち上がると笑いながらアンダーテーカーを見る
「これから始めないと意味がないんだ」