宮野姉妹の姉として転生したオリ主の話 作:アルトリア・ブラック(Main)
物心をついた時、私は親から引き離されてアメリカに留学した後、訳あってイギリスに編入した
(…宮野雪絵ねぇ…)
その姓を聞いて察してしまった私は悪くない。
私には歳の離れた姉と歳の近い妹がいるらしい。
その二人の写真を見せられればどういうことか察してしまう
(…でも、会ってはいないからなぁ…)
この世界は『名探偵コナン』の世界で、殺人ラブロマンスっていう少年漫画でやって良いのかっていうレベルの漫画だが、前世の世界では大人気漫画だった。
映画が馬鹿人気すぎて終われない漫画、つまりは永遠に犯罪が起こる地獄の世界だ。
「…あ、お姉ちゃんからメールだ」
アメリカにいる志保とは組織内で一回会ったことはあるが、明美姉さんとは会ったことはなかった
組織の計らいで会うことは明日出来るのだが、個人的にはあまり好きじゃなかった。
(私…あんまりコナン好きじゃないんだよなぁ…)
前世の幼い頃は悪い奴らを許さない、悪は裁かれるべきだと悪を追い詰めるコナンに憧れはしたものの、大人になってから見てなんというか、コナンの悍ましさというか…
無駄に自分の頭が成長してしまったせいもあるのだろうが、推理ショーをして犯人を追い詰めるその姿に嫌悪感を露わにした事もある。
まぁ、嫌悪感はあれど、追いかけ続けてはいたが、決定的にダメだと思ったのはコナンが赤井秀一を助けるために楠田陸道の遺体を損壊した時点でだ。
(…犯人を推理で追い詰めるのは嫌だとしても仲間が自殺に追い込んだ犯人の遺体は遠慮なく利用するのはなぁ…)
正義は確かに万人受けするだろうが、私は嫌いだった。
正義のためならなんでもしていい、みたいな発想が
それに比べて私が好きだったのは『ジン』だった。
《黒と黒を混ぜても黒にしかならねぇよ》
自分達のやっていることは悪だと思っている悪役の鏡
まぁ、完璧な正義なんてモノもないだろうが…
「…宮野明美、宮野志保…かぁ」
そう呟くと
「ヤケに不満そうだな」
「!?」
後ろから聞こえて来る低い声にビックリして足を強打しながら飛び上がってしまう。
「猫かテメェ」
「後ろにきゅうりを置いて振り返った時の猫みたいな反応してやしたね」
ジンとウォッカが真後ろにいた。
足をさすりながら
「背後に立ったらビックリするでしょうが!!」
シャーと猫みたいに反応してしまうと、ジンが凶悪な笑顔で笑って来る
「研究熱心なのは良い事だが、あの方からはテメェは少し休めとお達しだ」
タバコを吸いながらそう言って来る
「…やらなかったらやらなかったらで文句いうじゃないですか」
文句を言いつつ、白衣を直す
「0か100しかねぇテメェが悪い」
「……スイッチ入るのに時間掛かるんです」
そう言いながらモニター室の前に行くと二人も着いて来る。
「研究の成果は?」
「上々ですよ、志保と違って親の研究じゃないですけど」
志保は自分より歳が少し若いという事と親の研究書類を見ただけでAPTX4869の仕組みを理解した脳だったからそっちに行ったのだろう。
「妬みか?」
「いーえ?一つの研究にのめり込まなきゃならないより私はこっちの方が好きです」
私が研究している内容は色々ある。
前世の知識をフル活用して研究に勤しんだ
まぁ、前世の知識というのは犯罪知識に関してだが…
前世の私はいわゆる犯罪オタク、いろんな事件を調べ犯人の心境を推理したり、犯罪に使われたモノや犯罪現場・殺害方法などいろいろ調べるのが大好きだったいわゆるちょっとイタイ系だった。
「最近研究してるのは痛覚遮断ドラックですね」
「痛覚遮断ドラック?」
ウォッカが首を傾げる。それを見てふふふと笑いながら拳銃を白衣から出して腕に当てて『こんな感じに』とニコニコしながら撃つ
それにビックリしたウォッカが『な、なにしてんだ』と言う反面、ジンは大袈裟にため息を吐く
「……テメェの脳みそどうなってるんだ」
包帯を甲斐甲斐しく巻いてくれるウォッカ
「いやだって、人体実験する前に自分で試した方が良いでしょ?自分にされて嫌な事は他人にしちゃダメですし」
「それを実行するのは頭おかしいだろうが」
べしっと頭軽く叩かれる
「こんな感じで痛みはまるでないんですよ、まぁ傷は塞がらないんで手当は大事ですし、痛みは感じてなかろうと致命傷になり得るのは普通に即死ですけど」
研究している内容は他にも沢山ある。痛覚遮断ドラックに関してはわりかし作るのが楽だった、他の研究はややメルヘンというかイカれているというか、まともに相手にされないレベルの研究もあるが
それから数日後、宮野姉妹二人に会うことになり、少しだけ楽しみだった。
原作キャラに会えるのは正直に言って嬉しいのもある。ジンに会った時は内心荒れ狂っていたが
「志保も雪絵も可愛い服似合うわよ〜」
明美姉は黒を知らない、犯罪とは無縁の人だった。
3人で喫茶店に入り、普通に会話して普通に暮らす
そういうありきたりな生活が志保にとっては欲しかったのだろう。
明美がトイレに化粧直しに入ったのを見計らって志保が真剣な声で
「…雪絵お姉ちゃんは普通の生活、送りたい?」
そう言われんーと考える
志保にとっても明美は明るくて求めていた当たり前の日常を与えてくれる太陽のような人なのだろう。
私はどうか、同じ組織の仕事をしている同類、と見られてるいるのだろうか
「普通の生活かぁ」
壁に寄り掛かりながらふと考える
普通の日常は前世で散々味わった。
それをもう一度やりたいかと言われたらまぁやりたいのだろうが、つまらないのもある。
「やりたくはあるけど、研究さえしていれば割と普通に近いんじゃない?私たち」
「…監視も着いているのに?」
その監視が今この会話を聞いている可能性を考えて
「んー、流石にトイレ風呂は覗いてこないから良いと思ってる」
ドヤと言うと志保が呆れたようにため息をつく
「研究さえ続けていれば明美姉さんと一緒に遊ぶことだって出来るし、何よりブラック企業に入っちゃって過労死するかもしれないっていう危険性もないわけだし」
「……目が死んでるわよ」
前世の死因は過労死、トラ転ならぬ過労転なんて笑えない
せめて俺強い系とかなろう系に転生させろよ神、何が悲しくて殺人長編ラブロマンス漫画に転生させたんだよ…
明美姉に会った日から2日後、志保に続いてコードネームをもらった私のコードネームは『アブサン』になった。
女らしい名前にして欲しかったというのと『蒸留酒』やんけと不満を感じたのは言わずもがな
確かコナン漫画では蒸留酒は男につくコードネームと言われていたはず
(え?何?男だと思われてる?)
性別間違えて申告された?とか思っていると
「コードネーム貰ったんだってな、雪絵」
「あ、ウォッカ」
廊下でウォッカと出会い、素直に歓迎してくれるウォッカにありがとうと返す
原作で色々幹部たちの不和が話題に上がっていたが、もうちょっと連携しろよお前らと思ったのは仕方ない話。
「アブサンだって、志保はシェリーっていうかわいらしいコードネームなのに、何で私だけヤベェカクテル名なの?」
『アブサン』は禁断の酒・破滅の酒と言われてるカクテルで「ハマる人はハマり、苦手な人は二度と飲まない」と言われてるほどの酒である
アブサンの主原料である「ニガヨモギ」これに含まれている「ツジョン」という成分が幻覚などを引き起こす麻薬に近い成分が含まれているという。
多くの芸術家を破滅させてきた酒
「麻薬から毒物を作り上げた挙句に自分に試すようなマッドサイエンティストにはお似合いだろう」
後ろからジンがやって来る
「………なんか納得した」
私ってそんなマッドサイエンティスト?と考える。
自分にはやるが人体実験はまだやっていない、ロボトミーとかそういう激ヤバなのは流石にやらないが
「あ、そう言えばジンとウォッカって好きな人います?」
「‥なんだ唐突に」「主語が抜けてるぜ」と言われる
「四徹して作り上げた薬です」
小瓶に入ったのを見せると『薬を外に持ち出すな』と怒られる
数年後、APTX4869を勝手に使うやつに言われたくないなぁと思いつつラボに戻る
「特に名前は決めてないんで私は適当に『愛の妙薬』とか呼んでますけど、コレ、対象に飲ませると最初に見た人間を猛烈に好きになって理性ぶっ飛ばす薬です」
前世の頃、ネット小説で色々見かけたのを引用させて貰った。
麻薬の依存作用だけ残して改良に改良を重ねて作った。
水のような色をした液体を見るジン
「ガラクタ作って何がしたい」
そう言われムッとなりつつ
「ジンさん達って拷問して聞き出しますよね?それって物凄く時間掛かって労力も掛かりますけど、コレはある意味楽ですよ」
そう言って瓶をもらうとこっちこっちと案内する
別室に行くとそこにはnocバレして逃亡を図ったが捕まって研究に回されてきた男がいた。
今は睡眠薬で眠らされており、その男に飲ませ耳元で思いっきり発砲音をさせると飛び起きる
男は怯えることなく、いきなり会いたかったとかなんとか言いながら目の前に座って来る
「貴方が送られて来た組織の名前は?」
「MI6だ」
「他に仲間は?」
「下っ端のジャックとウィルが一緒に入って来た」
「その二人の家族構成と自分の家族構成書ける?」
「勿論だ」
そう言ってささっと紙に書く男
「ありがと」
そう言ってジンに情報を渡すと確認したのか、その男に向けて発砲する
「合ってた?」
「あぁ」
「ちなみにこの薬の効果ってどれくらいなんだ?」
ウォッカからの質問に『大体一週間かな』と返す
研究員がオドオドしながらやって来るのが分かる。
「それじゃあ、失礼します」
そう言ってジンとウォッカに背中を向けて歩いて行く
あれから志保と明美とはメールでは話しているが直接会ったことはない。
まぁ、イギリスから日本に行くのは時間が掛かるし、何より志保と違って組織での交流関係は大事にしている。
会社の人間関係と同じだ、悪人達だからという理由で煙たがっていたら生きて行けない。
「ベレッタってジンさんの手の大きさじゃ撃ちづらくないですか?」
あまりにも徹夜しすぎてボスから『運動するように』なんてふざけた命令を何度か無視したらジンがきて強制的に射撃場に連行された。
用意して貰ったベレッタM92を両手で持って撃っていると
「銃身が下がってる」
そう言って上から手が伸びて来る
ジンに持って貰うと順調に撃てた。
10分そうやって訓練をして貰う。
ある程度片手で撃てるようになると
「やるじゃねぇか」
「…!」
褒めてくれるジンにビクつく
「なんだ」
「ジンさんダメですってそのギャップ」
「は?」
「凶悪顔なのに微笑まれたら大抵の女は落とせますよ、タラシなんですか」
↑5徹目で思考がおかしくなってる
「テメェの頭がおかしくなってんのは理解してる。タラシとはなんだ」
「ごべんなさい」
頬を軽く引っ張られる
「ハーイ、アブサン」
向かい側からやって来たのはベルモットで黒い服を着ている。
「相変わらずの美人ですね」
「ありがと、とりあえず貴女何徹目?」
「3から数えてないです!」
テンション高めに言うとベルモットがため息をついて来る
「…ボスから再三言われてるわよ、シェリーと違って貴女は休まないって」
「だって楽しいんですもん研究。それよりベルモットさんの声帯模写のやり方教えてください」
「貴女が寝たら教えてあげるわよ」
「……はい」
(´・ω・`)としながら言う
「貴女、ジンの言うことしか聞かないってボス嘆いてたわよ?」
タバコを吸いながらそう言われる
「‥ジンさんはカッコいいじゃないですか、脳天撃ち抜かれたいぐらい」
「………貴女相当ハイになってるわね」
そうドン引かれる
三日後、約束通りベルモットさんから声帯模写のやり方を教わりつつ徹夜してたらジンに半ば強制に連れ出され他の事も教えてくれるようになった。
ボスからの評価は『飲み込みは良い、のめり込むのは注意するように』とメールでお叱りを受けた。
「出来たーー!!!」
「うるせぇ」
最高のコンディションで研究に勤しむため、気づいたらジンと同棲(監視も兼ねて)していた。
ジンもはじめは『マッドサイエンティストと暮らしたくねえ』とボスに珍しく苦情を入れたらしいが、そんな事言ったら殺し屋と寝起きしたくないと言いそうになった私は悪くない。
べちんと頭を叩かれる
「細胞再生薬です」
「…は?」
この世界には遺伝子組み換え技術は勿論、遺伝子に関わる技術品は無かった。
細胞再生薬は言わば銃創や怪我を回復させる機能を持っている薬だ
「まだ一部箇所でしか出来てませんけど、こんな感じで」
「テメェ」
ブシャー!と私の手から血が噴射する
切れた指をくっつけると見事に繋がって行く
それを見たジンが眉を顰めるが
「…やる前に言え」
カーペット汚れただろうがと怒られる
私が開発した細胞再生薬はボスからもかなりの高評価を受けた
(…まぁ、若返りたいだろうしね)
志保が開発するAPTX4869は未だ試作品段階らしいが
「タバコにお酒解禁なんてまだ早いんじゃないかしら?」
そう言ってやって来たのはベルモットで、あれ以降私の事は原作の灰原みたいに殺意に全振りしていないらしい。
「タバコはともかく、お酒飲んでも酔わなくなったんですよね…痛覚遮断ドラックのせいで…まさか自分で試した薬で自滅するなんて情けない…」
「でもしっかり身体には不調は来てるのよね?」
「はい、飲みすぎた翌日、セーフハウスで嘔吐しました」
「…飲んでる最中に言わないの」
「すみません」
「ところで貴方、ジンとの生活で何か進展あったの?」
ベルモットから期待の眼差しで言われて
「いや、何も進展してませんよ?」
「あら、つまんないわね、男と一緒に住んでるのに関係が発展しないなんて」
ベルモットがマティーニを飲みながら言って来る
当てつけか?と思いつつ
「いや別に私、ジンはかっこいいと思いますけど恋心云々はないですよ」
テレビの俳優が好きでも離れた所から応援するのが一番良いのと同じだ。
握手会とか行くほど熱意もないが、応援するぐらいでちょうど良いのだ
そう言うとベルモットはあらあらと返される
「?」
「ジンの好みじゃない…全く」
「え?え?何が?」
「ジンって目つきは怖いけど、モテるのよ」
「でしょうね」
「大抵の女はイチコロなのよ」
「んまぁなんとなく分かります」
「ジンの好みはジン並みにイカれてるって所よ」
そう言ってマスターにお金を支払って居なくなる
幹部入りを果たしたバーボンはジンとウォッカとの任務に同行することになったのだが、その流れでジンが一人の女性を連れて戻って来たことにビックリする。
(…エレーナ先生に似てる…)
エレーナ先生よりやや金髪の癖っ毛のある髪だが、彼女は車から降りると死体の近くに寄って行く
手袋をして何か探っていた
「ーーーー」
「ーー?」
ジンと二人で何か話しているのを遠目から見ていると
「バーボン。なんだ?アブサンに興味があんのか?」
ウォッカが話しかけて来る
「アブサン?彼女、コードネーム持ちなんですか」
そう聞くとウォッカは『お前より二年早くコードネーム貰ってるぞ』といわれる
現場に出て来る幹部の名前は把握しているが、後方支援組の幹部の名前はいまだにわかって無かった。
「へぇ、すごい、でも彼女は現場には来ない方ですよね?」
エレーナさんに似ている彼女を見て胸騒ぎを感じる
アブサンというコードネームから危険な気配を感じた、
「まぁ科学者だからな」
「科学者?」
「兄貴のお気に入りだな」
「へぇ、あのジンの」
血の通わない男、殺し屋のジンにお気に入りがいるということに少し驚く
二人を見ていると唐突にアブサンが懐から出したケースから薬を出して死体に無理やり入れる
すると…
「っ!?」
死体のはずの男が起き上がった
死んだはずの男が、殺し損ねたのかと思ったが、男は再度、ジンを見て怯えて逃げようとしていた。
「…30…31」
アブサンがそう数えている声が微かに聞こえて来る
1分を過ぎた辺りで男は再び倒れる
アブサンはライトで死体の目を確認していた。
露骨にガッカリした表情のアブサンにジンが嗤いながら頭をポンポンしていた。
「…今のは…」
そう呟くとウォッカは『アブサンの薬を試してたんだよ』と話しつつ二人の元に駆け寄って行く
『細胞再生薬』はAPTX4869に並んで重要な薬と言われていたが、APTX4869と同様、むやみやたらに利用したらゾンビ軍団が出来るとボスに言ったら持ち出しは開発者である私だけ許可が降りた。
そして、志保はAPTX4869の研究を続けている反面、組織の構成員との関係は悪いらしい。
まぁ、悪の組織に馴染む必要なんてないが
そして、組織とは無関係の明美姉は最近付き合ってる人間がいると言う
その写真を確認したかったのだが、彼氏は写真が嫌いらしく撮らせてくれないらしい。
いやどう考えても下心ある人間だからだろとか思ったが
研究に勤しんでいたらボスから通達が来た
宮野明美の彼氏である諸星大がコードネームを貰った三年後にノックだとバレ、明美は責任を取らされる事になった。
明美に10億円を強奪するという犯罪に成功したら妹共々組織から抜けさせてやるという話しになっていた。
「……その妹候補から私は外せない?」
志保は別の幹部に監視され、私はジンと同棲していたためジンに監視される事になった。
殺気の凄まじさに胃がもげる
「あ?」
提案した内容にジンから殺気が凄い
「…いやだって、数回会っただけの家族に着いて行きたいって思わないし…」
「………」
「…………」
「………」
無言でジッと見つめられて胃が痛くなる。
「…あァそうだな、テメェはそういう奴だったな、家族愛より研究、情より実験だったな」
「ちょっ…」
ジンに詰め寄られる
「アブサン」
「……何?」
顎をぐいっと掴まれ、その凶悪な表情を見せながら
「宮野明美が強盗事件に成功しても失敗してもどの道、あの女は始末される」
「………」
それを妹である私に言うのはなんで性格の悪い事だろう。
「その始末をテメェがやれ」
悪魔みたいな内容に、ジンが血も涙もない男と言われる所以がわかる
「…良いよ、ここにいる為ならいくらでもやってあげる」
そう言うとジンが嗤う
「マッドサイエンティストでも肉親を殺すのは嫌か」
「…好き好んで殺すほどイカれちゃいないわよ、でも、平和な世界よりこういう世界の方に慣れちゃったからねぇ」
そう言ってジンに笑いかける
「黒と黒を混ぜ合わせても黒にしかならねぇって誰の言葉だったかしらね」
運命の日、私はベレッタM92を持ってポルシェの後部座席にいた。
どうやら姉は強盗に成功したらしい。
「アブサン行くぞ」
「………」
ジンが前を歩いてウォッカが横を着いて来る
「今更だけど、ウォッカって本当にガタイ良いよね」
「本当に今更だな」
ウォッカがツッコミを入れて来る
ウォッカがジンに追い付く為に横に行くのが見える
ちょくちょく後ろを見て来るジンに逃げられるわけないじゃないと思いつつ歩いていると
「妹達を連れて来なさい!!話はそれからよ!」
明美の声が聞こえて来る
(…殺しの現場は見慣れているけど…やるってなると相当覚悟いるんだなぁ)
昔、誰かが言った殺しに慣れたらそれ以降は手段でしかなくなると
私もそうなる自信がある
「安心しろ、宮野明美、テメェが会いたくて仕方無かった妹の一人は連れて来たぜ」
そう言ってジンが前に行けと合図して来る
「!雪絵!」
明美は私を見て凄く嬉しそうな顔をした。
犯罪の世界を知らない、いや、つい最近知ってしまった姉
「………」
「!雪絵…!?」
右手で銃を構えた私に明美は息を呑む
殺されるとは思わないよなぁと思っていると
「雪絵」
後ろから、耳元にジンの声が聞こえて来る
「ーーーー」
口パクで容赦なく発砲する
「うっ…」
明美は胸を抑えながら蹲る
心臓の横を撃ち抜けた
「兄貴、サツが来ます」
ウォッカの言葉に「あぁ」と返したジン
「アブサン行くぞ」
「………」
明美を一瞥して着いて行こうとすると
「………ね、ゆきえ」
明美の声が、悲しげな声が聞こえて来る
「…すくえ、なくて…ごめんね」
そう言われ、心臓に骨が刺さったような感覚になる。
足早に二人の後を追って行く
ラボに戻ってからジンからパクったタバコを吸いながら天井を眺めていた。
あれから宮野明美は失血死し、事件は幕を閉じたらしい。
「涙一つ流さねえとは驚きだな」
そう言って入って来たのはジンで悪魔のような微笑みで言われる
「それは自分でも驚いた、全然悲しくない」
つらいが
そう話しているとジンが真後ろにいた。
「良い目してるぜ、アブサン」
「……人殺しが好きって聞いたけど、悪趣味ねぇ」
「家族を殺した奴の目は誰よりも違う」
愉快そうに嗤うジンに苦笑いを浮かべながら
「悲しくはないけど、寂しいのよ」
「抱いてやろうかァ?」
姉を殺せと言って来た悪魔の言葉に
「痛みは感じないけど、優しく抱いてね」
「俺は一等に優しいぜ」