感覚のないTSクローンはデスゲームの才能があったみたいです。   作:ねこスマ

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世界

 

【26:40】

 

 負けが込み、運ゲーなどと嘆くカードゲーマーの様に

 運の要素が低くなれば何故か自分は勝てる側だと大多数が思い込んでいる。

 

__大半は運の要素で格上に勝つことが出来る凡人だというのに

 

(僕は痛みを感じないただの人だ……)

 

 A級の内容が頭脳に振り切った内容だったら?

 いや、A級は撃破ボーナスが搭載されていて『ランキング』で撃破数まで競わせている。過激な内容が多いことは予想されるが絶対という保証はない。

 死の恐怖はないがけっ……

 

「おーい、聞こえてるッスかぁ?」

「……僕ですか?」

「順番に下の番号を言ってるっス、俺が1番で、左の青髪が2番っスよ」

「すみません…3番です」

 

 こんな大事な会話も聞き逃すとは……

 死が背後に迫っていると感じると耳が遠くなり、思考に耽ってしまった。

 自分の体がいつもより重く感じるが、このゲームに集中しなくては。

 

「私は4番です、時間はあまりなさそうですね」

 

 ピンク髪のドレスの人が言ったように、ボタンの上には制限時間が残り26分と示している。

 そしてこれからの会話は自分が異端者だった場合、三人が敵ということも念頭に置かないといけない。

 

「………」

「………」

「………」

「………」

 

 明らかに話し合ってくださいと言わんばかりの巨大な絵画。

 絵画は檻の背後に設置してあり四隅に一つずつ配置してある、そもそも絵画自体が全員には他の物に見えている可能性もあるため、話の切り出し方が難しい。

 

 四番ピンク髪の人がゆっくり立ち上がると、ドレスの皺を伸ばし沈黙を破った。

 

「私の名前は『雨』って言います、私はB級とC級のデスゲームによく参加しているので、皆さんにアドバイスをしてもいいですか?」

「「「………」」」

「例えばここにいるプレイヤーネームに共通点がない人が『異端者』みたいな冷めるようなゲーム作りはされていない事が多いです。もっとも一度だけそういうゲームに遭遇しましたが本当に稀です」

「つまり、何が言いたいっスか?」

「私たちが話し合うのはこの『絵画』についてではないでしょうか?これで絵画そのものが異端者には他の物に見えていたらゲーム制作がお粗末です」

 

 肩にかかった青髪を手で払いのけて、二番の人が声を上げる。

 

「だけど容易に絵画の内容は話すべきではないわね、異端者に答えを教えているようなものよ」

「そうっスよねぇ、でもこのまま話が進まないと異端者が生き残る確率が高いっス」

 

 当てずっぽうで投票した場合、正常者なら約7割で死亡するが異端者なら会話を逸らして運に持ち込めればかなり分の良い勝負になる。

 

「自分の後ろにある絵画の内容を順に言っていくのはどうかしら?その際他の人は絵画についての言及を禁止する」

「どういうことっスか?」

「正常者は四つの絵画の内容が合っていればいいから、順に言っていけば一人だけおかしい発言の人を炙りだせるかもしれない」

「なるほどです、四分の一の確率で異端者が間違った絵画の内容を話すかもしれない。それに異端者の絵画が違って見えるのが、一枚だとは限らないと考えると有利になる場合も」

「………」

 

 僕はまだ何も発言できていない、無知の雑魚。

 まるでダニングなんとか効果だ、こんな調子で僕は一億ポイントなんて集めることが出来るのか?

 

 

【19:30】

 

 

 黄髪の1番から順に背後の絵画を伝えていく。

 

「赤い車っス、ラクガキみたいっスね」

 

「青いバラが茶色の壺に生けてあるわ、正直センスを疑うわね」

 

「馬車に商人のような人が乗っています、荷台は白いです」

 

「裸の男の人が草原で夕空に手を伸ばしていますね」

 

 他の三人の発言でおかしく箇所ない。自分の言った絵画がおかしい場合は三人から投票されるだろう。

 

「誰か指摘はあるかしら?」

「「「………」」」

「25%を外したようね」

「でもこれで、異端者は自分だと気付けましたよね」

 

 …あれ?

 確かに四分の一で異端者を探すことが出来るがもっと良い方法があったかも…

 

「過ぎたことなので今更だけど、一つ良いですか?」

 

 僕は三人の籠を見渡して言った。

 

「同時に絵画の特徴を言っていくというのはダメでしたかね?例えば車が特徴的なので「せーのっ」で車と答えるやり方とか」

「表現がズレて冤罪になる可能性がありますがそれも有効ですね。ただ色を考察に入れると、一長一短と言えるかもしれません。最後2枚の絵は少し表現が複雑ですし」

「雨さんありがとうございます・・・」

 

 僕の疑問がスッキリしたところでピンク髪四番さんに頭を下げて、また静かに見守る体勢に入った。

 

「異端者の人自首してくれないっスかね?」

「あなたはゲーム何回目なの?そんな自己犠牲をもった人がいたのかしら?」

「いるかもしれないじゃないっスか!俺は見たことないスけど」

「答え出ているじゃない」

 

 

【10:00】

 

 

 全員絵画の内容を詳しく言い合ったり分析するが進展なし。

 残り10分で話は平行線、僕は恐る恐る事実を口にする。

 

「えっと…これは正常者の負け濃厚ってことですか?」

「そうなるわね、細かな色と配置を順に言い合っても異端者に逸らされているわ」

「俺死にたくないっスよッ!!異端者は三人を生かすべきっス!!」

「あなたが演技をしているだけかもしれないじゃない」

「俺はガチで違うっスよーッ!」

「仕方ないですね、正常者は少ない運を掴みましょう」

 

 

【5:00】

 

 

 残り5分。胸の動悸が早くなり、明確な死を突き付けれられる。

 高所なのも相まって立っているのに浮遊感を感じていた。

 

「3番さん大丈夫ですか?顔色が優れないですけど」

「……流石に死ぬとなると緊張してきて」

「私、AA(エーシーズ)という組織に所属しています。あなたのような弱者でもこの『夢の鎖』で生き残れる人員を育成しているんです」

AA(エーシーズ)?」

「はい、次の多数イベントに参加した際にお声がけください、歓迎しますよ」

「4番、気が狂ったの?こんな牢獄の中で宗教ごっこでもしているつもり?」

「このドレス、天然のダイヤが幾つも装飾してあって一千万Pもするんです、A級を受けなくても、AAに加入すれば大量にポイントを稼げるようになります」

「もしかしてアンタが異端者っスね!急に意味不明なことを抜かして来たっスよ!」

「ふぅ、私も4番に投票するわ」

 

 

【3:00】

 

 

 4番、雨さんが下に落ちている封筒を拾うと全員に見せつけた。

 

「全員開封した封筒を見せてください」

「最後の悪あがきっスか?」

「1番、従いなさい」

「なッ、2番はどっちの味方っスかぁ!」

 

 全員封筒を見せ合うが全部黒。

 ここまでされて気付かない訳ではないが…

 

「全員白の封筒、もしかして壁も白く見えますか?」

「「………」」

「ずっとそうっスよ!てか投票まで時間がないっスッ!!」

「間違えました、私は封筒も壁も黒く見えます」

「は?何を言ってるっスか?壁は白っスよね?」

「……馬鹿が見つかったようね」

 

【1:00】

 

「……いや、壁は黒っス!!4番に話を合わせただけでみんな騙されないで欲しいっス!!」

「4番は黒と最初に訂正して、私と色が一致している。赤でも黄色でもない黒だわ」

「2番さん、雨さん、僕、何も出来なくてすみませんでした…」

 

 

『投票結果』 

【1番】三票 【4番】一票

 

ガタンッ‼︎

 

「オイッ……スッ‼︎」

 

……………

 

…………

 

………

 

 

 

 

 もし僕が白い世界を見ていたら、雨さんの返答に何と答えていただろうか。

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