暗殺教室 -月を求めて-   作:雨水 

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暗殺の時間

この教室に来てから丁度1週間が経過した。

なんだかんだ殺せんせーの授業や初めての学校生活は私にとってはとっても楽しかったし、新鮮だった。

 

「小鳥遊君、頼まれていた物ができたぞ。ところで、あいつは殺せそうか?」

 

そう言って烏間先生がスーツケースを持ってきて教室にいる私に話しかけてきた。

 

「あぁ、やっとですか。やっぱりあれがないと暗殺する気になりませんから、助かります。それと、多分今の状態だったら4割の確率で殺せますよきっと。」

 

「な、本当か!!?」

 

烏間先生が面食らった様な顔をしてそう叫んだ。

みんなからの注目がすんごいからやめて欲しい本当に。

 

「まあ...今日の放課後にでもやりますから。」

 

烏間先生の方を向いて、真剣な顔でそう告げると

 

「にゅるふふふ、殺せますかねぇ?」

 

いつの間にか教室へと来ていた殺せんせーが黄色と緑色のしましま顔でこちらを見ていた。

 

「せんせー、放課後に時間下さいね。初めての私の暗殺と行きましょう。」

 

そう宣言するとほぼ同時に、始業の鐘がなった。

 

 

授業を受けながら今日の暗殺についての思考を巡らせていく。

 

先生を殺すには、同じだけの速度か、私が殺し切れるだけの隙を作る必要がある。

魔法を使ってもいいけど......遠距離のものだと確実に避けられるか。

だとしたら近距離攻撃を同時に仕掛けるようなものか、避けた先に設置する方がいいか。

まあ、やれるだけやってみるしかないですね。

 

 

「ねーねー、あんなこと言ってたけどー、本当に殺せるの?」

 

休み時間になると、心配そうにした茅野さんがそう声をかけてきた。

 

「えぇ、できますよ。まあ見ててくださいな。」

 

「でも、殺せんせーはマッハ20だよ?生半可な攻撃じゃ当たんないよ〜。」

 

そういいながらゆるふわな雰囲気を周りに撒き散らしてる倉橋さんも寄ってきた。

先週の水曜日にお菓子をあげたら何故か懐いてきたんですよね。

 

「まぁまぁ、先程も茅野さんに居ましたが、見れば分かりますよ。」

 

そういいながらトマトジュースの紙パックで偽装した血液を飲んでいた。

 

 

 

ザワザワッ...

 

 

放課後になると、いつもは帰る人も今日は帰らずに学校に残り、みんな教室の窓からこちらを覗いていた。

 

「1分以内に私が殺したら私の、1分逃げ切ったら殺せんせーの勝利です。」

 

「いいですよ。さぁ、いつでも来なさい。」

 

そう言って殺せんせーは余裕そうな表情から真剣な表情へと変わった。

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。私は昼が嫌いなので、まずは夜にしましょうか。」

 

パチンッ

 

私が指を鳴らすと同時に、薄らと霧がかかり始め、昼なのにも関わらず真夜中のように当たりが暗くなり始めていく。

 

それと同時に影に日傘を落とす。

 

「にゅやっ!?」

 

「な、なんだ!?」

 

「当たりが暗くなり始めた!?」

 

突然のことにみんなが驚き出した。

まあ無理もない、こんな光景普通ではないのだから。

 

私は制服の上着を脱ぎ捨て、背中に生える大きな蝙蝠の羽を広げ、烏間先生に預けていた右手にのみアーマーリングと篭手を装着した。

 

「さ、せんせー。悪夢の時間をはじめましょう?」

 

そう宣言すると同時に、殺せんせー目掛けて突進して行った。

普段みんなが見ている殺せんせーと近しい速度で。

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

渚side

 

当たりが暗くなったと思ったら、結弦君がその場から消えたように居なくなった。

それとほぼ同時に殺せんせーの触手が1本破壊された。

 

「え?」

 

「速すぎて、見えなかった。」

 

「てかそれよりもだよ!あいつの背中見たか!?羽生えてたぞ!?!?」

 

さっきまで固まってた杉野がそう言うのを聴いて、突然現れたように見えた結弦くんの背中を見ると...黒い羽が生えてた。

そして...何もつけてない手で殺せんせーの触手を持って、空を飛んでいた。

 

「うっそだろ。」

 

「あんなんありかよ。」

 

彼は何者なんだろうという疑問を察し、答えを教えるかのように結弦君が話し始めた。

 

「私は半分は人間ですが、もう半分は吸血鬼。どうです?せんせー。貴方とほぼ同じ速度を持つ暗殺者は初めてでしょう?」

 

殺せんせーでさえ驚きぜただ呆然としていた。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

結弦side

 

思ったよりも殺せんせーは弱いんですね。

たかだか触手1本程度とはいえこんなにあっさりと破壊できるとは。

 

「さぁ、まだまだ行きましょうか。」

 

シャドウスパイクという魔法を発動し、殺せんせーの周りの影から棘を延ばし突き刺そうとしたのだが、これは避けられてしまった。

だが、それでいい。

 

不用意に私の位置も確認せずに上へ飛んだ殺せんせーを、サッカーで言うオーバーヘッドキックで蹴り落とし、地面へと叩きつけられた殺せんせー目掛け追撃をする。

 

『おやすみなさい、永遠に』

 

そう呟きながら最速で心臓があるであろう位置目掛けて爪を突き立てた。

 

だが...手応えがない。

これは逃しましたかね。

 

「危なかった...」

 

上から殺せんせーの本気で安堵した声が聞こえてきた。

ふと手元を見ると、透明な抜け殻のような皮を貫通していた。

なんだこれ。

 

「まだ終わってませんよっ!」

 

それに気づくと殺せんせーの方へと飛んでいき、爪による斬撃と、影の棘による攻撃を連続して繰り出していく。

空に逃げようとする度に蹴り落とし、地上へと追い詰めていく。

 

そして、わざと斬撃を空振りさせた。

にも関わらず触手が5本近く消し飛んだ。

 

「にゅや!?避けたのに!?」

 

「これが魔法ですよ。鎌鼬は流石の先生でも見えなければ避けようがないでしょう?」

 

わざと空振りをしたのは油断させるため、実際には空振りした場所から少し離れた場所に鎌鼬を発生させていた。

 

あと5秒ですか...これで終わりにしましょうか。

 

輸血パックを2つ懐から取り出し切り裂いた。

 

「これでラストですっ!!」

 

辺りに飛び散った血は、地面に落ちることなく空中に留まり、槍の形を形成した。

それを躊躇なく掴み、全力で投擲した。

 

だが残念ながら避けられてしまった。

 

「はぁ...私の負けですか。」

 

「あ、危なかったァ...」

 

殺せんせーは初めて自分の命に王手がかかったことに焦りを感じているのか割とグロッキーになってた。

 

「あんな奥の手があったんですねせんせー。」

 

「月に一度だけ使える脱皮です。まさかこの段階で使わされるとは思わなかったですよ。」

 

「おい結弦!!」

 

「お前その羽とか色々説明しろっ!!」

 

教室の方からそんな声が聞こえてきた。

 

「すぐ行きますからお待ちくださいな。」

 

影からいつもの日傘を取り出して差したあとに、再び指を鳴らすと、夜から昼へと変わった。

 

それを確認してから校舎へと歩き出し、中へと入っていった。

 

「先程も暗殺中に言いましたが私は半人半妖の吸血鬼、いわゆるダンピールです。羽も生えてますし、血だって吸います。血を吸わない代わりに普通にご飯食べたりもしますけど。それと完全な吸血鬼ではないので私に血を吸われても吸血鬼にはならないですからご安心を。」

 

みんなはその説明を聞きだんまりとしていた。

これは嫌われましたかねぇ?

一応騙していた訳ですし。

 

「吸血鬼なんて存在したんだ。」

 

「すっげぇ羨ましいなぁ。」

 

「ちょっと怖いけど、結弦なら大丈夫だよねきっと。」

 

各々納得したようで普通に席を立って近づいてきた。

 

「なんでそんな大事なこと隠してんだよー!」

 

前原くんは馴れ馴れしくも肩を組んできて、岡島くんは...

 

「美女を魅惑して手篭めにできるとか、羨ましすぎるっ!」

 

と謎に血の涙を流しながら叫んでいた。

そんなことできないのですが?

吸血鬼とインキュバスを勘違いしてません?

 

「いつも日傘差してるなーって思ってたけど、そーいうことだったんだね!」

 

「日光が当たった程度で死ぬことはありませんけど身体能力が落ちたり気分が悪くなってしまいますからね。」

 

「あはは、大変そうだね。」

 

「にしても、皆さん怖くないんですか?仮にも血を吸う化け物ですよ?」

 

「殺せんせーに比べたら怖いけど、小鳥遊は俺らのこと殺したりはしないだろ?」

 

そう言って磯貝くんが俺の方を見て言ってきた。

それに同調するようにみんなが頷いてた。

 

「このクラスの皆さんはお人好しですねぇ。」

 

「結弦くんが言う?」

 

渚くんがそう言いましたが...はて、私なにかしましたっけ。

 

「僕と茅野は、結弦がナンパから他の生徒助けてたりしたのちゃんと見てたんだよ?」

 

あー、あれ見られてたんですね。ちょっと恥ずかしい。

 

「そんなの人として当然のことですよ。」

 

「そう言ってる時点でお人好しだよ。」

 

そう言って茅野さんと渚くん、その他のみんなも笑っていた。

 

 

やっぱりこの教室は暖かいな。

まだほんの少ししか経ってないですが、やっぱり私はこの教室が大好きです。

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