新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター   作:転々々

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恒星日誌、宇宙歴XXXX.X

 

 転送の使用を避けるため、実験の規模に合わせ、地上にレプリケータとパワーユニットを降ろした。併せて、クルーも交代で地上に降りることとなった。魔力子(マギトロン)の安全性について、一応の確認がとれ、対策も可能であることから、一種の半舷休暇を兼ねている。

 レプリケートされた食事ではなく、実際に調理したものを食べたいという欲求が人類から失われることは無いのだろう。ライカーも何度か料理の腕を披露していた。

 元の宇宙に戻る方法、彼らは『送還魔法』と呼んでいたが、その方法は確立されつつある。しかし、元の宇宙を特定する方法は未だ確立されていない。

 天文データ、特にパルサーの配置について情報を提供したものの、元の宇宙ですら無数の銀河が存在し、そこから目的の星域を特定することは極めて困難と言わざるを得ない。そもそも、我々には他の宇宙を知覚し、観測する方法が無いのだ。

 あるいは、最低限の魔法技術を得たら、この宇宙で他の文明を探すことも視野に入れる必要があるだろう。

 

 

 

 カウンセラーと医療部長が海岸を眺めながら食事していた。凪いだ海に輝く太陽に目を細める。

 

「艦長、珍しく弱気になっているわ」

 

「そうね。いっそQの悪ふざけなら、なんて、艦長らしくない」

 

「なーに深刻になってるの? 楽しめるときには楽しみましょ」

 

 クラッシャーが振り向くと、ガイナンがゴーレムを伴って歩いてきた。

 

「あら、ガイナン。どうしたの?」

 

「みんな降りちゃって、船のラウンジはヒマなの。どう? 酒精は強くないけど、本物よ」

 

 椅子に座ると、ゴーレムがグラスを並べ、六分目ほど注いだ。

 

「まずは、生きてることに乾杯しましょ、ビバリー、ディアナ」

 

 その後二言三言交わすと、ガイナンは別のクルーの方へ歩いて行った。

 

「ガイナンなら、どこの宇宙でも生きて行けそうね」

 

「本当に」

 

 

 

「とりあえず、小さなものなら十分送り出せるが、エンタープライズの大きさは難しいな」

 

「そうですね。マギシーケンスの効率化と、何より大本のエネルギーですね。エルラドライトで瞬発力は上げられますが、結局は大本のパワー次第です。

 同期さえとれば、エルラドライトを使わない方が安定するでしょう」

 

「そうだな。それもそうだが、問題は行き先だ。

 せめて目印になるものがあればいいんだが……。それこそ、星は星の数ほどあるからな」

 

「お二人さん」

 

「ガイナン! 驚かさないで下さいよ」

 

「ちょっとは休みなさいな。これは長期戦よ。短距離走のペースじゃ、走りきれないわ」

 

 そういうと、グラスを差し出した。

 

「勤務中にお酒は拙いですよ」

 

「でも、あなたたちだけずっとでしょ? 艦長には内緒にしといてあげる」

 

「いや、そういう問題ではなくて……」

 

「あら、カワイイお嬢ちゃん。あなたがレーコちゃんね? あなたもそう思うでしょ?」

 

「確かに、お父様も夢中になると食事を忘れてしまうので、周囲りが注意する必要がありました」

 

「でしょ?

 あなたたちは急ぎ過ぎてる。そして前ばかり見ている。

 上手く行かないときは、一度歩みを停めて、通ったところや足下を見るのも大事よ。

 あなたもそう思わない?」

 

「確かにその通りです。

 老君と相談することがあるので、一旦、休みましょう」

 

 そう言うと、研究室を出て行った。

 

「レーコさんなら、作業しながらでも、老君と相談できるはずですが……」

 

 礼子の後ろ姿を見送りながらバークレーが呟くと、ガイナンは「あの子なりに気を遣ってるのよ」と、二人にグラスを押しつけた。

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