新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター 作:転々々
ピカードは艦長室で独り瞑目していた。背後で呼び鈴の音がする。
「入れ」
「こんばんは、艦長」
「ガイナン。どうしたんだ? 急に」
「ちょっとお疲れのようだから、差し入れ。レーコちゃんによると、疲労回復効果もあるジュースよ」
ポットからグラスにジュースを注いでピカードに渡す。
「美味いな。桃のジュースかな? しかし後味がすっきりとしている」
「そうでしょ? ペルシカって果物のジュースですって。
魔力が欠乏したときの回復効果もあるそうよ」
ピカードは二口、三口と嚥下する。
「なるほど。確かに疲れがとれたような気がする」
「これを飲むとね、気分がアガるの。世界をクリアに感じ取れる気がする」
「それは少し心配な効果だ」
二人はそれをゆっくりと味わっていた。
「本当に疲れが和らいだようだ。今夜はよく眠れそうだ」
「なら、良かった。
ところで、このペルシカジュースには高濃度の魔素が含まれているそうよ。そして私はこの数日これを浴びるように飲んで、転送を使ってない。
魔法使いになれるかも知れないわ」
「どんな魔法を使えそうかな?」
「今は、別の時間、別の宇宙に居る私を探しているわ。でも宇宙は無数にあって、時間も長い。私は人間よりは長生きだけど、宇宙から見れば一瞬しか生きてない。
他のクルーには話してないけど、艦長であるあなたには、知らせておくわ。
希望はある。でも、期待しすぎることはしないで」
「解った。ありがとうガイナン」
「じゃ、おやすみ」
ラ=フォージ、データ、バークレー、礼子の四人は、ホロデッキでマギ・クリスタルに書き込む
これまでに経験のない、歴史上存在しなかったサイズのマギ・クリスタルに、同じくこれまでで最も緻密に――高集積度で――書き込む巨大な
「この、ホロデッキは素晴らしいですね。
拡大・縮小・透視……。今まで思考の中でしか出来なかったことを、具体的な姿に出来ます」
「そうだな。魔法でなければ仮想実験も出来る。本当は魔法の実験も出来れば良かったけど、コンピュータは魔法を知らないんだ」
「それでも形状は再現できますし、それを元にレプリケートできます。それに、何度でもやり直しが出来ます」
「その通りです。見てください。この
ホロデッキは素晴らしい」
「おいおいレッジ、使いすぎも良くなかっただろ」
「分かっていますとも。
ところで今日の夕食は地上でどうです? ラウンジが暇になったからって、ガイナンが地上でバーを開いているそうです。酒も料理も『本物』だとか」
軽口を交わす二人だったが、もう一つの課題については糸口すら掴めていない。それを直視しないために、目の前の作業に没頭していた。そのことを知ってか、データもあえて口にはしない。
「レーコちゃん、ローシさん今夜もお願いね」
「はい」
礼子と老君はガイナンと同じ魔力パターンを探す。ガイナンも探すが、魔力操作能力が違うため、その速さは三桁以上落ちる。
ガイナンの作業は全体から見れば微々たる差、誤差の範囲ではあるが、それでもすべて任せることをよしとしなかった。
「ガイナン、そろそろお休みになっては?」
「日中に十分休んでるわ」
「いえ、睡眠を取るべきかと」
「歳をとると、なかなか眠れないのよ。睡眠時間が少なくなるの。こう見えて、私はエンタープライズでは一番のお年寄りなのよ」
「それでもです」