新スタートレック(TNG)×マギクラフト・マイスター   作:転々々

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恒星日誌、宇宙歴XXXX.X

 

 エンタープライズの転移を行う前に、長径で1キロ近い小天体を用いて、検証実験を行う。エンタープライズよりも十分に大きな体積と質量の物体で転移を検証するためだ。

 通常、エンタープライズはワープフィールド等でその質量の大半を亜空間に沈めることで慣性質量を小さくしているが、転移時はそれを使えない。ワープフィールドではなく魔力による空間歪曲場(マギ・ディストーションフィールド)と言うべき場は質量そのものが対象となるためらしい。

 また、船体は構造維持フィールドで守られるが、転移時に大きな潮汐力がはたらく可能性を否定できないため、現在、小惑星に計測器を埋め込む作業が進められている。

 まずは、別の宇宙にマーカーを設置し、そのマーカーに向けて小天体の送還・召喚を行う。

 実験は星系から一光年離れた位置で行われる。

 

 

 

「礼子さん、活動に問題はありませんか?」

 

 シャトル01のコースを設定しながら、データが訊いた。

 

「予備のマナプールもありますので、当面の問題はありません。心配してくださり、ありがとうございます。

 光速を超えての航行は初めてです。人類は魔法無しでここまで進歩できたのですね。

 きっと、お父様が見たかった景色です」

 

「私から見れば、仁さんの方が驚異的です。

 魔法を知らない世界から来て、学び、ほとんど独力で宇宙に出ることができたのですから」

 

「魔法と科学知識の両方を使えたからです」

 

「しかし、誰もができることではありません」

 

「ですから、私たちはお父様の意を受けて、一歩一歩科学を広めることを後押ししています。今回提供いただいた『哲学』もその助けになるに違いありません」

 

「私もそうなることを願っています。

 ……ところで礼子さん、あなたは、寂しくなることはありませんか?」

 

「……寂しいです。

 でも、この世界の人たちの行く先を見ることも、お父様の意思であり、願いでもあります。

 そして、私は出会った人のことを決して忘れません」

 

「私もです」

 

 会話は途切れたが、シャトル01は実験地点へ向かう。

 

 

 

 小天体にはデュラニウム合金で覆われた転移装置2つ、半ば埋め込まれている。

 本来は1つでも可能、というより単独の方が高効率だ。しかし、それではディフレクターを避けつつ船体の中心線に設置することが難しく、複数を左右対称に設置することとなった。そのため、魔導装置(マギデバイス)間の同期も課題となる。

 その本体はミスリルとマギクリスタルであり、それに隣接するように、更に巨大なマギクリスタルが魔力供給装置として埋め込まれている。

 礼子が知る限り、これほど巨大なマギクリスタルは天然に存在しない。まして、不純物を一切含んでいない。

 マギ・レプリケータがあって初めて可能な規模だ。

 

 

 

「データよりバークレー。

 埋め込んだ計測装置の正確な座標を送ってください」

 

「バークレー了解。今すぐ送信します」

 

「礼子さん、座標が来ました。単位は我々のミリです。

 天体はゆっくりですが多軸回転をしています。問題無いとは思いますが、注意してください」

 

「わかりました。こちらも順次転移させます」

 

 

 

「データよりバークレー。魔力計測装置の設置を確認」

 

「こちらバークレー。シャトル02からも確認しました。

 転移装置間の遅延も許容範囲内です。すべてのパラメータは基準値内。

 いつでも始められます」

 

「よし、艦長に報告だ」

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